Live2D

2Dアニメーションソフトウェア
Live2D Creative Studioから転送)

Live2D(ライブツーディー)は、株式会社Live2Dが開発した、面制御を軸とした2Dのモーフィングによるシームレスアニメーション(一部はボーン制御にも対応)を可能にする映像表現および関連ソフトウェアの総称。3D制作するよりも原画の画風を保ったままキャラクターを動かせる特徴を持ち、低コストでの制作を可能にする。

ロゴ

本項では開発元である株式会社Live2D(旧商号:株式会社サイバーノイズ)についても併記する。

概要

編集

開発者の中城哲也は世界標準となるソフトウェアを目指し、勤務していた会社を退職して株式会社サイバーノイズを創業。創業当初から他社からの受託開発も受けず自身が独自に研究していた『Live2D』の開発に注力し、2006年の未踏ソフトウエア創造事業に採択される。しかし実績が無いため採用する企業はほとんど無くサイバーノイズの経営も危機を迎える。

そんな中、2011年に『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル』に採用されたことで注目を集め、続いてiPhoneAndroid版にも描画用ライブラリとして採用[1]されたことで存続の危機を脱した[2]。なお2014年には商号を株式会社Live2Dへ変更し、自社製品ブランド名と統一している。

シンプルなものであれば完全に2Dの表現でありながら全方位に回転させることも可能であるが、2011年段階では相応の手間が掛かるため今後効率化される予定と告知された[3][4]

ステージ上の声優がタブレット端末でキャラクターの動きや表情を操作し、音声に合わせて自動でリップシンクさせたキャラクター映像をスクリーンに投影するなど、イベントでのリアルタイム表現も可能である[5]。トラッキングソフトと併用することで、カメラを通じてキャラクターと動きを同期させることも可能。

WEB上で公開されている『Live2D Modeler』、『Live2D Animator』と、開発中で法人に限定して利用できる『Live2D Cubism』がある。

ClariSのプロモーション映像、『するめいか』では動画制作ツールとして利用されている。

製品

編集

Live2D Cubism Editor

編集

画像の読み込み、動きの付与、モーションの作成、Webや組み込み用途の書き出しができる。Modelモード、Animationモード、Form Animationモードが存在する。

Modelモード
元画像を「左白目」「鼻」などにレイヤー分けして.psd形式で保存したものを読み込み、それぞれのパーツごとに動きを付与できる。
Animationモード
Modelモードで付与した動きを使い、「モーション」と呼ばれる動きのプログラムを作成できる。

Live2D Cubism Viewer

編集

Live2D Cubism Editorで作成したモーションを確認できる。

Live2D Cubism SDK

編集

Live2DのSDK(ソフトウェア開発キット)は、一部を除いて開発段階では無料でダウンロードできる。

Cubism SDK for Unity
Unity向けSDK。Unity標準のコンポーネントを使用して構成されていて、Unity開発者には違和感なく使用できる。
Cubism SDK for Native
C++で実装されたSDK。様々なアーキテクチャへの移植性が高くなっている。
Cubism SDK for Web
TypeScriptで実装されたSDK。主要なWebブラウザに対応している。ソースコードはTypeScriptで書かれており、トランスパイルをおこなうことでJavaScriptからも扱える。

採用作品

編集

家庭用ゲーム機

編集

アプリ

編集

PCゲーム

編集

アニメ・イベント映像

編集

その他

編集
  • FaceRig Live2D Module(PCツール)[22] WEBカメラを利用して「キャラクターの表情」をリアルタイムに変化させ、WEBチャット等に利用できる。
    • 後継ソフトの「Animaze」ではデフォルトで実装。

Live2D Creative Studio

編集

Live2D社のデザイナーチーム。Live2Dを使用した自社オリジナルアニメーションも製作している。

The Lamp Man

編集

2017年に公開された短編アニメーション。『第16回インディーズアニメフェスタ』でグランプリ受賞。360度動画『The Lamp Man VR』、紹介動画『Live2D Creative Studio 2018 Showreel』も製作されている。

Beyond Creation

編集

2019年2月16日開催『Live2D Designer's Day』で公開されたショートアニメ第2弾[23]

キャスト
スタッフ
  • メインキャラクターデザイン - 國定みゆき、田河絵美
  • 絵コンテ・演出 - 田河絵美
  • Live2Dモーション監督 - 雲井聖司
  • 撮影監督 - 宮下卓也
  • サブキャラクターデザイン - 中山成美、川上遼太、滝澤初美
  • 美術 - Bamboo
  • 音響監督 - 菊田浩巳
  • 音響製作 - 楽音舎
  • アニメーション制作 - Live2D Creative Studio

ヒーローベータ

編集

2019年11月29日より映画CM(『フラグタイム』上映前)および日本テレビ、TOKYO MX、BS11のテレビCM枠で放送されたショートアニメ第3弾[24][25]

キャスト
スタッフ
  • 監督 - 雲井聖司
  • 原案・キャラクターコンセプト・Live2Dディレクター - 國定みゆき
  • キャラクターデザイン・コンセプトアート・総原画監修 - 南野あき
  • 演出・絵コンテ - 雲井聖司
  • レイアウト - 雲井聖司、川上遼太、田河絵美、森本泰介
  • 原画監修 - 中山成美、滝澤初美
  • 色彩設計 - 田河絵美
  • 美術 - 森本泰介、豊田真希
  • 撮影監督 - 宮下卓也
  • 楽曲 - Tachyon
  • 作・編曲 - Mamenoi
  • 音響監督 - 大室正勝
  • 音響制作 - ダックスプロダクション
  • プロデューサー - 石川源次郎
  • アニメーション制作 - Live2D Creative Studio

脚注

編集
  1. ^ 電撃PlayStation』vol.476 p.53
  2. ^ 会社消滅寸前だったとあるベンチャーが、世界初の2D立体表現技術を完成できたワケ - エンジニアtype
  3. ^ インターフェース2011年1月号 p.84
  4. ^ CG WORLD』Vol.164 p.12
  5. ^ サンライズ「輝白祭2011」レポート!より
  6. ^ PSvitaのソフト 「艦これ改」が発売になりました。”. 2016年2月27日閲覧。
  7. ^ 導入実績”. 2016年1月2日閲覧。
  8. ^ 導入実績より
  9. ^ 『eBASEBALLパワフルプロ野球2020』 - Live2D Cubism”. 2022年5月3日閲覧。
  10. ^ 『妖怪学園Y ~ワイワイ学園生活~』 - Live2D Cubism”. 2022年5月3日閲覧。
  11. ^ 導入実績より
  12. ^ ブシモ内公式サイトより
  13. ^ ザイザックス公式サイトより
  14. ^ 2/2彼氏-天使とアクマ-公式サイトより
  15. ^ 中華艦これ「戦艦少女(幻萌版)」の大型アップデート予告「Project R」に込められた想いとは”. 2016年2月19日閲覧。
  16. ^ http://stars.happyelements.co.jp/
  17. ^ https://app.famitsu.com/20181012_1364137/ (2019年7月22日閲覧)
  18. ^ “日本発のベストモバイルスクワッドRPG”を『メメントモリ』が受賞”. バンク・オブ・イノベーション. 2023年9月27日閲覧。
  19. ^ 《舰装美娘团》恋爱二次元萌娘 live2D浪漫演绎”. 2016年2月19日閲覧。
  20. ^ キラキラ☆プリキュアアラモード:東山紀之とキュアホイップが共演 「サンデーLIVE!!」で生トーク,毎日新聞デジタル,2018年1月27日
  21. ^ ひなビタ♪ライブ2018”. LIVE2D CREATIVE STUDIO. 2018年10月12日閲覧。
  22. ^ あなたもアニメの世界に? 顔の表情と2次元キャラが連携「FaceRig Live2D Module」”. 2016年2月19日閲覧。
  23. ^ Live2Dで制作されたショートアニメ「Beyond Creation」がわからないので作った人に訊きました!「これ、どうやって作ったんですか!?」INSIDE 2019年2月20日
  24. ^ 『ヒーローベータ』TV・映画館CM(シネアド)配信スケジュールLive2D 2019年11月19日
  25. ^ 架空の映像作品『ヒーローベータ』を題材とした全編Live2DのTV-CMが放送開始!電撃オンライン 2019年11月19日

関連項目

編集

外部リンク

編集