I'll be back (アーノルド・シュワルツェネッガー)
「I'll be back」(アイル・ビー・バック)は、俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが映画で演じる数多くの人物が発する台詞である。日本語訳は翻訳者により若干異なる[注 1]。
マイコミジャーナルの「つい口に出してしまう映画の名台詞」では第1位[1]、アメリカン・フィルム・インスティチュートの『アメリカ映画の名セリフベスト100』では37位に位置する[2]。
この言葉に対し、戻ってきた際に発せられる台詞として「I'm Back」(アイム・バック)[注 2]が存在する。この台詞も、シュワルツェネッガーの出演する映画では多く用いられている。
歴史
編集この台詞が初めて登場した作品は『ターミネーター』(1984年)であり、シュワルツェネッガーの演じたT-800が警察署窓口で発するものである[注 3]。シュワルツェネッガーは当初、「I'll be back」という台詞が砕けていて女性的だと嫌い、監督のジェームス・キャメロンに何度も「I will be back」の方が機械的で、オーストリア出身である自身のドイツ語訛りを活かせる[注 4]として変更を求めたが、「僕は君に演技指導をしないから、君は脚本に口出ししないでくれ」と強硬に突っぱねられ、聞き入られなかった[3]。なお、初期の脚本における台詞は「I'll come back」であり、同年に発売されたノベライズ作品も「I'll come back」のままになっている。
次年に公開された『コマンドー』(1985年)でも、主人公として演じたジョン・メイトリックスが宿敵のベネット(演:ヴァーノン・ウェルズ)に対して発する。
『ターミネーター2』(1991年)では第一作目へのオマージュも含め、コナー親子(+ダイソン)とのサイバーダイン社での破壊活動後、警察に包囲されている状況で発する[注 5]。
『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)では、主人公であり映画の中(劇中劇)の人物、ジャック・スレイターを演じた際に発し、現実世界の少年ダニー・マディガン(演:オースティン・オブライエン)に「(その台詞を言うのは)あんたの名刺のようなもの」、「(映画を見ている)みんながそれを言うのを待っている」と言われるシーンがある。
なお、「I'll be back」は、かたちを変えて使われることもある。例えば『シックス・デイ』(2000年)では「I might be back」(戻って来たいと思う)、『ターミネーター3』(2003年)では「She'll be back」(彼女は戻って来るさ)となっている。
『ラスト・アクション・ヒーロー』で返される台詞のように、「I'll be back」と「I'm back」はシュワルツェネッガーの代名詞となっており、訪日した際や、マスメディアへのインタビューでは、ほぼ必ず発している。
使用されている作品
編集映画タイトル | シリーズ名 | 公開年 | 備考 |
---|---|---|---|
『ターミネーター』 | ターミネーターシリーズ | 1984年 | |
『コマンドー』 | 1985年 | ||
『ゴリラ』 | 1986年 | 「I'll be right back」 | |
『バトルランナー』 | 1987年 | ||
『ツインズ』 | 1988年 | ||
『トータル・リコール』 | 1990年 | ||
『キンダガートン・コップ』 | 1990年 | 「I'm back」 | |
『ターミネーター2』 | ターミネーターシリーズ | 1991年 | |
『ラスト・アクション・ヒーロー』 | 1993年 | ||
『ジュニア』 | 1994年 | 「It's nice to be back」 | |
『ジングル・オール・ザ・ウェイ』 | 1996年 | 「I'll be back with the doll」 | |
『シックス・デイ』 | 2000年 | 「I might be back」 | |
『ターミネーター3』 | ターミネーターシリーズ | 2003年 | 「She'll be back」 「I'm back」 |
『ターミネーター4』 | ターミネーターシリーズ | 2009年 | [注 6] |
『エクスペンダブルズ2』 | エクスペンダブルズシリーズ | 2012年 | [注 7] |
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 | ターミネーターシリーズ | 2015年 | |
『ターミネーター:ニュー・フェイト』 | ターミネーターシリーズ | 2019年 | 「I won't be back」 [注 8] |
脚注
編集注釈
編集- ^ 日本語では「また戻ってくる」「また来る」、「必ず戻ってくるぞ」、「戻ってくるぜ」などと訳される。『バトルランナー』のように、「また会おうぜ」と前後の文脈から違ったニュアンスの言葉になった例もある。また、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』では、日本語翻訳せずにそのまま「アイルビーバック」と字幕表示、吹き替えされている。
- ^ 日本語では「戻ったぞ」「今戻った」、「戻ってきたぞ」などと訳される。
- ^ 状況は「サラ・コナーに会わせてくれ。」というT-800に対し、警察官が「現在サラ・コナーは聴取中で会えない。待つならベンチでどうぞ。」と答え、T-800が「また来る。」というもので、いったん外へ出たあと、すぐに文字どおりの意味で、車に乗って警察窓口へ「戻ってくる」。
- ^ 「I'll be back」だと「アイルビーバック」と発音し、ドイツ語訛りでも変わらないが、「I will be back」だと、英語は「アイウィルビーバック」ドイツ語訛りでは「アイヴィルビーバック」となるため。
- ^ その後、コナー親子をトラックに乗せるため奪いに行く直前に「戻ってくる」。なお終盤の溶鉱炉に入っていくシーンでは指を突き出すだけで特に言葉は発しない。
- ^ シュワルツェネッガーがCG合成によるカメオ出演のみで、彼の代わりにジョン・コナー(演:クリスチャン・ベール)が「I'll be back」を言う。
- ^ トレンチ(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)がこの台詞を使うと、会話相手のチャーチ(演:ブルース・ウィリス)に「I'll be back」と言い返され、それに対してトレンチは「Yipee-ki-yay」と発するシーンが存在する。
- ^ シュワルツェネッガーの代わりにサラ・コナー(演:リンダ・ハミルトン)が「I'll be back」を言う。
出典
編集- ^ つい口に出してしまう映画の名台詞Top10 - 1位は"I'll be back" - マイナビニュース、2007年11月10日配信
- ^ “AFI'S 100 GREATEST MOVIE QUOTES OF ALL TIME” (英語). AFI.com. 2014年7月15日閲覧。
- ^ アーノルド・シュワルツェネッガー、本当は「I'll be back」を言いたくなかった! Archived 2014年7月15日, at the Wayback Machine. - エキサイトニュース、2012年10月5日配信