GiRLPOP
『GiRLPOP』(ガールポップ)は、エムオン・エンタテインメント(旧ソニー・マガジンズ)から発行されている音楽雑誌。
ガールポップという言葉は、1990年代から2000年代中盤、ソニー・マガジンズが中心となって提唱したレコード会社と音楽産業の販売拡大戦略。日本の若手女性ポップス歌手・シンガーソングライターに焦点(フォーカス)をあて、メディアミックスという方法論(メソッド)でムーブメントを起こすことを目的とした。ブームが盛り上がるにつれ音楽ジャンル名(関連:ガール・グループ)としても使われ、さらにテレビ・ラジオ番組名にも使われるほどに成長し、このブーム期を示す一時期を表す言葉となった。
表記「GiRLPOP」は、ソニー・マガジンズが少女ポップスの意味でgirlとpopsを繋げ、さらにスタイルとして「i」を小文字にしたもの。初期にはGiRLとPOPの間に空白を入れていた表記もあったが、一語表記に収斂した。
雑誌自体は、休刊期間前後で編集方針が大きく変化した。そのため以下#初代(1992年 - 2006年)と#2代目(2011年 - )に分けた。
初代(1992年 - 2006年)
編集1990年代初頭、音楽業界は音楽番組が激減した冬の時代に入っていた。数少ないミリオンセラーアーティストを除いてはCDが売れない状況であり、特に女性歌手に関しては、1980年代に隆盛を誇ったアイドル歌手も下火となっていた。そのような状況の中、谷村有美、永井真理子、森高千里、久宝留理子、森川美穂、松田樹利亜など、アイドル性を持ちながら、自ら作詞,作曲を行う若手の女性歌手、シンガーソングライターが数多くデビューを遂げており、これに目を付けたソニー・マガジンズでは、これらのアーティストを指す名称を造語し、各メディアで盛り上げていくことを計画、音楽雑誌「WHAT's IN?」の増刊扱いとして1992年には雑誌での発行を開始した。当初は季刊誌で、1994年から隔月刊誌となった。
20世紀末に入り、安室奈美恵や浜崎あゆみなど、歌姫と呼ばれるようなアーティストの出現もあって、音楽業界はミリオンセラーアーティスト乱発、バブル景気衰退で鎮静化した日本に一縷の望みをもたらし、音楽業界に関しては復権を印象付ける状態になった。当初は女性ボーカリストが台頭していたが、21世紀に入ると、音楽配信の台頭を中心にしたマルチメディア化により、CDが再び売れなくなる。さらに男性アーティストも台頭するようになったことに加え、音楽番組自体の視聴率も低迷するようになる。その影響もあり、雑誌もよりアイドル色の強いアーティスト、女性声優まで幅広く取り上げるような方針転換を行ってきたが、15年目を迎えた2006年春に発行した第79号休刊という形を取って、事実上の廃刊となった。
代表的アーティスト
編集雑誌「GiRLPOP」の第1号には、以下のアーティストが掲載されている。ベテランのアーティストや、アイドル色の強かった歌手、後に歌手以外の分野で実力をあげたアーティストを除くと、そのほとんどが初期の代表的存在と言える。
- 森高千里
- 渡瀬マキ
- 谷村有美
- 田村直美
- 橘いずみ
- 観月ありさ
- 浜田麻里
- 中村あゆみ
- 永井真理子
- 森川美穂
- 松田樹利亜
- 松阪晶子
- CHARA
- 遊佐未森
- 平松愛理
- 笠原弘子
- 山口由子
- 鈴里真帆
- 相馬裕子
- 鈴木彩子
- 荻野目洋子
- 篠原利佳
- 近藤名奈
- 川島だりあ
- 井上昌己
- ELIKA
- 山下久美子
- 久松史奈
- 丸山みゆき
- 佐藤聖子
- 大黒摩季
- 石岡美紀
- 加藤いづみ
- 須藤あきら
- 久宝留理子
- 貴島サリオ
- 奥井亜紀
- 峠恵子
- 鈴木祥子
- 黒田有紀
テレビ番組「GiRLPOP '9*」
編集1994年1月から、tvkにて放送。スペースシャワーTVでも放送されていた時期がある。放送内容の詳細については#外部リンクを参照のこと。
ラジオ番組「GiRLPOP '9*」
編集1993年10月から、FM Fuji、bayfmにて、それぞれ別番組を放送した。1994年4月からは、CBCラジオにて「GiRL POP SLASH」が放送開始。
ライブイベント
編集日清パワーステーション(1998年6月末閉鎖)を中心に、「LIVE 'GiRLPOP'」の公演が行われた。
公演名称 | 公演日 | 会場 | 出演 |
---|---|---|---|
act 1 | 1992年11月20日 | 日清パワーステーション | 加藤いづみ、篠原利佳、久宝留理子、桃姫バンド(尾崎亜美、今野登茂子、谷村有美、小原礼) |
act 2 | 1993年5月30日 | 橘いずみ、篠原利佳、久宝留理子 with 井上昌己、森川美穂、佐藤聖子 | |
act 3 | 1993年9月23日 | チャカと昆虫採集、JUDY AND MARY、近藤名奈、鈴木彩子、井上昌己 | |
大阪 act 1 | 1993年11月28日 | MIDシアター | 久宝留理子、井上昌己、Chica Boom、佐藤聖子、チャカと昆虫採集 |
act 4 | 1993年12月19日 | 日清パワーステーション | JUDY AND MARY、五島良子、佐藤聖子、白井貴子、森川美穂 |
act 5 | 1994年3月5日 | 大阪パフォーマンスドール、裕木奈江、遠藤京子、井上昌己 with YOU | |
act 5 | 1994年3月6日 | Chica Boom with 井上昌己、JUDY AND MARY、山下久美子 with Chara | |
大阪 act 2 | 1994年3月30日 | COKE STEP HALL | 五島良子、峠恵子、井上昌己、鈴木祥子 |
act 6 | 1994年6月18日 | 日清パワーステーション | チャカと昆虫採集、区麗情、米光美保、樋口沙絵子、久松史奈、小比類巻かほる |
act 6 | 1994年6月19日 | 中島優子、くま井ゆう子、裕木奈江、paris blue、白井貴子 with 久宝留理子 | |
act 7 | 1994年9月23日 | YOYOYO、佐藤聖子 with 加藤いづみ、今野登茂子、久宝留理子 | |
大阪 act 3 | 1994年9月30日 | W'OHOL | 川崎真理子、paris blue、区麗情、白井貴子 |
act 8 | 1994年12月17日 | 日清パワーステーション | 中島優子、石岡美紀 with 井上昌己、米光美保、小川美潮、鈴木祥子 |
act 8 | 1994年12月18日 | 松田樹利亜、藤生ゆかり、川村かおり、久松史奈 | |
大阪 act 4 | 1995年3月15日 | W'OHOL | VANILLA、奥井亜紀、JUDY AND MARY |
act 9 | 1995年3月17日 | 日清パワーステーション | 近藤名奈 |
act 9 | 1995年3月18日 | sinon、くま井ゆう子、かとうれいこ、相馬裕子 | |
act 9 | 1995年3月19日 | VANILLA、エスカレーターズ、濱田マリ、藤生ゆかり、中村あゆみ | |
act 10 | 1995年7月16日 | VANILLA、鴨下泰子、篠原涼子、鈴里真帆、川村かおり | |
act 10 | 1995年7月23日 | 日比谷野外音楽堂 | 鈴里真帆、米光美保、近藤名奈、久宝留理子 |
act 11 | 1995年9月24日 | 日清パワーステーション | 田嶋里香、鴨下泰子、奥井亜紀、樋口沙絵子、米光美保 |
大阪 act 5 | 1995年9月26日 | W'OHOL | VANILLA、森若香織、鴨下泰子、UA、少年ナイフ |
act 12 | 1995年12月16日 | 日清パワーステーション | 黒田有紀、チエ・カジウラ、川崎真理子、相馬裕子 with 近藤名奈 |
act 12 | 1995年12月17日 | UA、東亜佐美、かの香織、大塚ジュンコ、井上昌己 | |
大阪 act 6 | 1996年3月26日 | W'OHOL | 鈴里真帆、区麗情、CHAKA |
act 13 | 1996年4月7日 | 日清パワーステーション | 区麗情、鈴里真帆、かの香織、CHAKA with 坂本サトル |
act 14 | 1996年7月6日 | 谷村有美、山崎まさよし | |
act 14 | 1996年7月7日 | 川村結花、川村かおり、國府田マリ子、中村あゆみ | |
act 15 | 1996年9月23日 | 衛藤利恵、米光美保、藤生ゆかり、裕木奈江、鈴木祥子 | |
act 16 | 1996年12月7日 | Jungle Smile、相馬裕子、米光美保、CHAKA | |
act 16 | 1996年12月8日 | 衛藤利恵、酒井麻友子、鈴木彩子、松田樹利亜 | |
act 17 | 1997年3月30日 | 久松史奈、天方直実、CRIPTON、中村あゆみ | |
act 18 | 1997年7月6日 | 大橋利恵、衛藤利恵、井上昌己、露崎春女 | |
act 19 | 1997年9月28日 | 鈴木結女、Anna、亜波根綾乃、加藤いづみ | |
act 20 | 1997年12月6日 | 松田樹利亜、春原佑紀、ミヒロリュウ、久宝留理子 | |
act 20 | 1997年12月7日 | 松雪泰子、ABYSS、Romi、比屋定篤子、露崎春女 | |
act 21 | 1998年3月7日 | 猫沢エミ、Jungle Smile、ヒックスヴィル | |
act 22 | 1998年6月1日 | Jack&Betty、北川恭子、CHAKA、LINDBERG with 森高千里 |
2代目(2011年 - )
編集5年間の休刊を経て、初代発行から20年目を迎えた2011年6月、季刊の形で復活した。
2011年6月21日発売の夏号で復刊したが、これ以降はアイドル中心の構成になっており、以下のアーティストが掲載されている。なお、太字は表紙に掲載されたアーティスト。
テレビ番組「GiRLPOP TV」
編集Webサイト「GiRLPOP Scheduler」
編集2014年12月、アイドルスケジュールサイト「idolscheduler」の運営をエムオン・エンタテインメントが譲受。「GiRLPOP Scheduler」にリニューアルするとともに、URLを従来雑誌「GiRLPOP」の公式サイトであった「www.girlpop.jp」に変更した[5]。2015年10月現在、運営会社はTokyo Girls' Updateを運営するオールブルーに変更となり、サイトの名称も「Tokyo Girls' Scheduler」に変更されている。
ライブイベント
編集復刊後も雑誌と連動したライブイベント「LiVE GiRLPOP」を行っている。
公演名称 | 公演日 | 会場 | 出演 |
---|---|---|---|
Vol.1 〜Colorful〜 | 2012年10月26日 | Zepp Tokyo | Dancing Dolls(オープニングアクト)、スマイレージ、東京女子流、乃木坂46、9nine |
Vol.2 〜Spring Party〜 | 2013年4月21日 | Zepp Tokyo | アイドリング!!!、bump.y、さくら学院(科学部 科学究明機構ロヂカ? & クッキング部 ミニパティ)、Cheeky Parade、アップアップガールズ(仮)、LinQ |
Vol.3 〜flowery〜 | 2014年4月27日 | 中野サンプラザ | 武藤彩未、ベイビーレイズ、さくら学院、Juice=Juice、Little Glee Monster、東京パフォーマンスドール、東京女子流、スマイレージ |
脚注
編集出典
編集- ^ 裏表紙にも掲載。
- ^ a b 2011年8月にMIYU、MAIKO、TOMOKAの3人で2005年に解散以来、6年ぶりに再結成。当初は1ヶ月限定の活動を予定していたが、同月に赤坂BLITZで行った再結成ライブで年内いっぱいまでの活動延長を発表。その後10月をもってTOMOKAが脱退(引退)したが、12月にZEPP TOKYOで行われたライブにおいてMIYU、MAIKOの二人で2012年以降も活動を継続することが発表された。→詳細は「ZONE_(バンド) § 来歴」を参照
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o ポスター付録付き。
- ^ 裏表紙にも掲載。ポスター付録付き。
- ^ 新WEBメディア“GiRLPOP Scheduler”サービス開始! - 2014年12月5日 エムオン・エンタテインメント