BeagleBoard
BeagleBoard(ビーグルボード)および BeagleBone(ビーグルボーン) は省電力、低コストのシングルボードコンピュータであり、テキサス・インスツルメンツ(TI)によりDigi-Keyの協力を得て開発された。BeagleBoard(BeagleとBoardの間にスペースは入れない)はオープンソースの理念に基づき設計され、Texas Instruments OMAP3のSoC技術成果を示すために作られた。このボードは、世界中で仲間同士がオープンソースハードウエアとオープンソースソフトウエアを教え合う目的に使える教育用ボードとしての機能性能を備えるよう、TI在籍エンジニアの小規模チームによって開発された。このボードはまたクリエイティブ・コモンズにおけるShare-alikeライセンス形態で一般向けに販売されている。BeagleBoardについては beagle.org に巨大なコミュニティが存在する。
BeagleBoard rev.B | |
開発時期 | 2008年 |
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主なメーカー |
テキサス・インスツルメンツ Digi-Key |
設計者 | テキサス・インスツルメンツ |
販売開始 |
BeagleBoard 2008年7月28日[1] BeagleBoard rev.C 2009年5月13日[2] BeagleBoard-xM: 2010年9月14日[3] BeagleBone: 2011年10月31日 BeagleBone Black: 2013年4月22日 |
価格 |
US$128 (rev.C) US$149 (xM) US$89 (BeagleBone) US$45 (BeagleBone Black) |
種類 | シングルボードコンピュータ |
プロセッサー | ARM Cortex-A8 (1コア) |
周波数 |
600MHz 720MHz (rev.C, BeagleBone) 1GHz (xM, BeagleBone Black) |
メモリ |
128MB LPDDR SDRAM 256MB (rev.C, BeagleBone) 512MB (xM, BeagleBone Black) |
接続 | USB On-The-Go |
ポート | USB On-The-Go/DVI-D/PC audio/SDHC/JTAG |
電源 | 2W |
重量 | ~37g[4] |
寸法 |
7.62cm x 7.62cm x 1.6cm 8.64cm x 5.34cm (Beagle Bone) |
BeagleBoardの後継として、CPU性能およびメモリ搭載量と周辺機能を強化したBeagleBoard-xMがある。またBeagleBoneの後継として、機能向上と共に大幅にコストダウンを図ったBeagleBone Black(単なる色違いではなく機能が異なる別製品)がある。
また、同様のオープンソースハードウエアコミュニティによって設計され、OMAP4系列のSoCを搭載したPandaBoardがある。
BeagleBoard
編集BeagleBoardは基板の外寸サイズは約75 x 75 mm で、基本的なコンピュータの全ての機能を搭載している[5]。ARM Cortex-A8をコアとしたOMAP3530を搭載。Windows CE、Linux、Symbianなどのオペレーティングシステムを実装することができる。TMS320C64x+のDSPをビデオ・オーディオのデコードのために搭載、そしてイマジネーションテクノロジー社のPowerVR SGX530GPUを2Dおよび3Dレンダリングのため搭載[6]。映像出力はS端子とDVI端子の2つ。SDメモリーカード (MMC) スロットを1個搭載しSDIOセキュリティ機能にも対応可能、USB On-The-Go対応端子、RS-232シリアルポート、JTAG接続、オーディオ信号入力/オーディオ信号出力用に2個のステレオ3.5mmジャックを搭載。
内蔵メディアとメモリはPoP形状で提供され、256MBのNAND Flashメモリ、128MBのDRAM を搭載。
電源電圧は5V動作、最大消費電力は2W (0.4A) で、ACアダプタ接続用のDCジャック(プラグ外径5.5mm、内径2.1mm)およびUSB On The GoミニUSBコネクタから電源供給ができる。電力消費が小さいので、冷却系やヒートシンクの追加は不要。
BeagleBoard Rev. C4
編集BeagleBoard-xM
編集BeagleBoardの改版として、BeagleBoard-xMが2010年8月27日から出荷開始された。基板外形は82.55x82.55mm(基板穴間隔は約68.5x71.0mm)で、OMAP3530の改良版であるDM3730を搭載している。DRAMを512MBに拡張、オンボードイーサネットポート、4ポートのUSBハブを持つ。フラッシュメモリは搭載されていないため、microSDカードを起動メディアとして使用する必要がある。xMで追加されたカメラポートはLeopard Board社のベアボーンのカメラ用[22][23][24]。
- PoP構造で、パッケージ内部でメモリとコアチップは親亀/子亀状態に重ねられている。
- ペリフェラル接続[8]
- DVI-D接続端子(BeagleBoard同様、HDMIコネクタ形状) - 最低解像度は640x480ピクセル / 60Hz、最大解像度は1280x1024ピクセル / 60Hz[25]
- S端子
- USB On-The-Go 端子(mini-AB端子、設定によりターミナル通信端子として使用可能)
- USB標準ポート
- Ethernet RJ-45コネクタ
- MicroSD/MMCカードスロットコネクタ
- ステレオ音声入力3.5mmミニジャック、ステレオ音声出力3.5mmミニジャック
- RS232C D-SUB9ピン端子[26]
- JTAGコネクタ
- DCジャック(DC5V入力)
- カメラポート(カメラ用)
- 拡張ポート
- RTC は備えていない(時計は毎回設定)
- 開発[9]
BeagleBone
編集- 大きさ:8.64cm x 5.34cm
- SoC:AM3359ZC272 720MHz (Cortex-A8)
- メモリ:DDR2 256MB
- ストレージ:microSD
BeagleBone Black
編集- 大きさ:8.64cm x 5.34cm
- SoC:Texas Instruments Sitara AM3359AZCZ100 1GHz (Cortex-A8 + PowerVR SGX530)
- メモリ:DDR3L 512MB
- ストレージ:eMMC 2GB + microSD
- 映像音声出力:HDMI(最大解像度1280x1024)
- 有線LAN:RJ45x1 (100Mbps)
- 電源:5V 最大0.46A
オプションボード
編集- BeagleBoard Zippy - BeagleBoard 用の機能拡張用ドーターボード
- BeagleTouch Display - Liquidware社がビルドしたAngstrom Linux用のドライバーと、タッチスクリーン 4.3" OLEDタッチスクリーン付きパネル。
- BeagleBoard Zippy2 - BeagleBoard 用の第2世代 Zippy。(UART、EEPROM、100BASE-T、SD-Slot、RTC、I2C)
- BeagleLCD2 Expansion Board - 4.3" ワイド液晶パネル + タッチパネル、インターフェースボード付。HY Research社製。
- BeagleJuice - Liquidware社製のリチウムイオンバッテリーパック。
- BeagleToy WLAN adapter featured on beaglezoo.com - BeagleBoard用のワイヤレス接続機能の追加拡張ボード。
オプション筺体
編集Beagle が犬のアイコンのため、犬小屋とも呼ばれる。基板を上下から挟んでスペーサーで支持保護するアクリル板などの保護筺体で、ホビー店での加工で自分で簡単に揃えられるが、凝った造りの筺体を販売している業者もある。
- BeagleBoard Rev.C 用のクリア・アクリルケース - BeagleBoard だけが入り、追加基板の Zippy2 などは入らない。
- BeagleLCD2 クリアアクリルケース - BeagleBoard と BeagleLCD2 とが接続基板を折りたたんでちょうど納まる。
クローン
編集- Touch Book - ハイブリッドタイプの、ネットブックタブレット装置で、512MBのRAM、Bluetooth、Wi-Fi、6つのUSBポート、8.9インチスクリーン / タッチパネル付き、キーボードと操作タッチパッド構成。
- IGEPv2 - BeagleBoardよりも少し大きめのボードで、RAM容量も拡張し、BluetoothとWi-Fiを内蔵, USBホストを1ポート、Ethernetポートを1つ搭載。
- ICETEK Mini Board (中国製)[27]
- Embest DevKit8000- TI OMAP3530ベースの開発用ボード
- Embest DevKit8500D- TI DM3730ベースの開発ボード
- OpenSourceMID.org - OMAP3530 ベースのタブレット型モバイル・インターネット・デバイス(MID)で、7インチ液晶 LCD(タッチパネル付)、Wi-Fi、3Gモジュール、カメラ、GPS、加速度センサの各機能を搭載。
類似製品
編集- Parallella
- Raspberry Pi
- PandaBoard - BeagleBoard-xM の後継機。(OMAP4 デュアルコア 1GHz OMAP4430、1GB RAM)
- Hawk Board - 低消費版OMAPのSBCを使い、SATAドライブI/F接続とVGA出力装備。
- Gumstix Overo COMs - OMAP3503あるいはOMAP3530を使い、ホビー、ロボット、民生用途向けに文字通りガムパッケージサイズの BeagleBoard互換の超小型OMAPボード。
- OSWALD - オレゴン州立大学のコンピューターサイエンス専攻の学生たちの開発で、OMAP3530を使用。
- Empower Technologies の EMP3503 と EMP3530 シングルボードコンピューターでリアルタイム OS の LEOs (RTOS)[28]が走る。
- Embest DevKit8000 TI OMAP3530ベースの開発ボード。
- Embest DevKit8500D TI DM3730ベースの開発ボード。
- OpenSourceMID.org OMAP3530 ベースのタブレット端末開発プラットフォーム。
関連
編集参照
編集- ^ “USB-powered Beagle Board from Digi-Key Unleashes Community Development”. Digi-Key (July 28, 2008). May 12, 2011閲覧。
- ^ “Digi-Key Announces New Open Source BeagleBoard Development Board”. Digi-Key (May 13, 2009). May 12, 2011閲覧。
- ^ “BeagleBoard-xM page” (September 14, 2010). May 12, 2011閲覧。
- ^ BeagleBoard page at elinux.org, referenced 2011-05-12
- ^ a b c https://archive.is/20120711061852/http://linuxdevices.com/news/NS5852740920.html
- ^ グラフィックレンダリング性能はTIのAndroid Froyo Pre-build版640x480画面上でアプリ動作確認可能
- ^ a b c d e “"OMAP3530 BeagleBoard" ''High performance and numerous expansion options'':page 3”. Dkc1.digikey.com (2009年5月27日). 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b “"OMAP3530 BeagleBoard" ''High performance and numerous expansion options'':page 4”. Dkc1.digikey.com (2009年5月27日). 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b “"OMAP3530 BeagleBoard" ''Boot Options'': page 9”. Dkc1.digikey.com (2009年5月27日). 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b “Android On Beagle”. Beagleboard.org. 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b https://archive.is/20130127212134/http://www.linuxdevices.com/news/NS8479495970.html
- ^ a b “Neuvoo Project”. Neuvoo. Neuvoo Devs. 2010年1月5日閲覧。
- ^ a b Paul, Ryan (2008年8月1日). “TI launches hackable Beagle Board for hobbyist projects”. Arstechnica.com. 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b https://archive.is/20130209092949/http://www.windowsfordevices.com/news/NS5111878566.html
- ^ “The Wild Ducks Project”. wildducks.org. 2011年3月31日閲覧。
- ^ “Foundry27 BSP for BeagleBoard”. community.qnx.com. 2010年12月3日閲覧。
- ^ “RISC OS Open Cortex-A8 port”. Riscosopen.org (2010年1月18日). 2010年2月4日閲覧。
- ^ “RISC OS 5 pictured running on ARM Cortex-A8 kit”. Drobe.co.uk. 2010年2月4日閲覧。
- ^ “Beagleboard runs RISC OS 5 desktop”. Drobe.co.uk. 2010年2月4日閲覧。
- ^ “RISC OS on OMAP - the future?”. Iconbar.com. 2010年2月4日閲覧。
- ^ [1] RISC OS on new hardware
- ^ Androidにおいては、USBポートにUVC対応のWebカメラを接続して映像入力するための技術情報がWebや書籍で提供されている。
- ^ https://groups.google.com/g/beagleboard/c/ZgSg3r8APIo/m/HStC45u6m2AJ
- ^ http://beagleboard.org/hardware-xM
- ^ 内部PLL都合で画面ピクセル指定、リフレッシュレート設定60Hzのときに、垂直走査周波数の出力ズレが60.4kHzより大きい場合には、非力な可搬タイプの小型液晶モニターでは表示可能周波数範囲に収まらない場合がある。
- ^ BeagleboardではRS-232C端子はピンヘッダ形状で、一般的なRS-232Cケーブルを接続するためにはD-SUB 9ピン変換ケーブルなどを用いる必要があったが、xMでは基板上にD-SUB9ピン端子が実装されたため、RS-232Cケーブルを直接接続できるようになった。
- ^ “Mini Board”. eLinux.org. 2010年2月4日閲覧。
- ^ https://archive.is/20120907022437/http://www.linuxfordevices.com/c/a/News/Empower-EMP3503-and-EMP3530/
参考文献・他
編集- TI launches hackable BeagleBoard for hobbyist projects
- TI Takes Wireless Chips into New Markets
- BeagleBoard Product Training Module
- beagleboard.org
- “Linux-friendly Beagle fetches $150”. 2013年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月27日閲覧。
- 坂本俊之、出村成和、渡邊昌之 『基礎から学ぶ 組み込みAndroid』 C&R研究所、2010年 ISBN 978-4-86354-076-7
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- OMAP35x Applications Processors
- Texas Instruments OMAP Developer Network
- Google Code hosted BeagleBoard code site
- elinux.org BeagleBoard wiki page
- Link to set of BeagleBoard introductory videos (Youtube)
- PEEDI JTAG/BDM Emulator and Flash Programmer
- Hackaday reports about the BeagleBoard tablet project
- Wired article about building a Linux tablet around the BeagleBoard