『BIG WAVE 』(ビッグ・ウェイブ)は、1984年6月20日 (1984-06-20 ) に発売された、山下達郎 のサウンドトラック 。
サーフィン を題材としたウォルター・マルコネリー監督のドキュメンタリー映画『ビッグ・ウェイブ 』のサウンドトラック[ 注釈 1] 。
A面は映画のための書き下ろしを含む自身のオリジナル曲。B面はザ・ビーチ・ボーイズ などのカヴァーで構成されたサウンドトラック。A面を全てザ・ビーチ・ボーイズのカヴァー曲で構成した自主制作盤『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY 』[ 注釈 2] と反対に、本作ではB面にザ・ビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソン に関連した楽曲が収録されている。夏に関連した楽曲が収録され、一部は『MELODIES 』[ 注釈 3] や『FOR YOU 』[ 注釈 4] からの再収録となっている。1984年 (1984 ) は自身のコンサート・ツアーに加えて竹内まりや の復帰作『VARIETY 』[ 注釈 5] のレコーディングとも重なり、スケジュールがかなりタイトだったため、既発曲のリミックスにもかなり助けてもらったが、それでもこれまで録音した英語詞の作品を一枚のアルバムにまとめることが出来、その意義もとても大きかったと思うという[ 1] 。
それまで英語がさほど堪能というわけではなく、もともと洋楽好きだったことから、英語の歌は耳で覚えた適当な雰囲気英語で、それでも割と発音がいいと言われていた。そのためあくまで我流の、レコードから耳覚えのある発音で英語曲を歌っていた[ 2] 。山下はそのことが不安で不満だったことから、この際にと1か月の間、本アルバムのオリジナル曲の作詞を行ったアラン・オデイ (Alan O'Day)に歌入れに立ち会ってもらいつつ、英語の発音を徹底的に矯正してもらうことにした。当時ディレクターだった小杉理宇造 は、あまりの厳しいトレーニングぶりに、もう少し抑制するように話したところ、アランは「いや。これはタツが徹底的にやってくれと言っているから、僕だってそんなにやりたくはないんだけれど、やってるんだ」と答えたという。山下はそう言った記憶はなかったが、「初めからいろんな事を指摘されたので、ならばこの際だから徹底的に自分の発音を治そうと思って、自分がそうやってアランにお願いしたのだと思う」[ 3] [ 4] と回想している。その結果、発音は大幅に改善され、それ以降は安心して英語の歌が歌えるようになったという。
歌詞カード には福田一郎 のアルバム解説を収載。また、アナログの初回プレス盤は同封の歌詞カードに間違いがあったため、訂正後の歌詞カードが別途添付されていた。
山下と親交の深い桑田佳祐 はサザンオールスターズ の9枚目のオリジナル・アルバム『Southern All Stars 』に、このアルバムから受けた影響へのオマージュとして、「忘れられたBig Wave」を収録している[ 5] 。
2024年、発売から40年経つが、ボーナス・トラック を出し尽くしてしまった事とライブや楽曲制作等スケジュールが詰まっていると言う理由で40周年記念盤の制作を断念。その代わりに6月30日放送の『サンデー・ソングブック 』にて「アルバム『ビッグ・ウェイヴ』40周年記念ミニ特集」を組む事で発売40周年を祝うとしている。
映画の興業収入はイマイチでヒットしなかったが、本作は映画とは関係なく売れたと語っている。
THE THEME FROM BIG WAVE –ビッグ・ウェイブのテーマ– – (3'37")
JODY – (3'49")
lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita 『MELODIES』[ 注釈 3] 収録曲「悲しみのJODY」の英語詞による改作。2006年にはアサヒビール のタイアップが付く。
ONLY WITH YOU – (3'41")
MAGIC WAYS – (4'45")
lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita 『FOR YOU』[ 注釈 4] レコーディングの頃に書かれた曲。レコーディング当初、間奏にはサックスやギターのソロを入れようと試したがどれも今ひとつしっくりこなかったため、最終的には一人多重コーラスのみとなっている。2022年 (2022 ) 、Nulbarich によってカバーされた[ 7] 。
YOUR EYES – (3'12")
lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita 『FOR YOU』[ 注釈 4] 収録曲。本作収録に際しリミックスされ、エンディングが若干短くなっている。
I LOVE YOU...Part II – (2'02")
lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita テレビ・コマーシャル用に作られた「パートI」を流用して制作されたもの。アランにその「パートI」を聴かせたところ、更にその上に新しいメロディーと歌詞をはめ込んではどうかというアイデアが出され、この歌入りヴァージョンの「パートII」が作られた。
GIRLS ON THE BEACH – (2'42")
PLEASE LET ME WONDER – (3'04")
Mike Love , Brian Wilsonビーチ・ボーイズの1965年 (1965 ) のアルバム『ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ 』収録曲。山下のテイクはシングル「スプリンクラー 」[ 注釈 9] のB面用にレコーディングされたもの。オリジナルに従って、エンディングに“I LOVE YOU”というセリフが入っているが、1984年 放送の新春放談[ 8] で番組中にこの曲を聴いた大瀧詠一 は「声が小さくない?」とコメントしていた。レコーディング後に2番の歌詞にオリジナルと違う箇所がある事が判明した。オリジナルの歌詞を入手した時、一から歌入れをやり直したいと申し出るも吉田保 が「歌詞の違った箇所だけ歌い直せば良い」と言い、歌詞が違った8小節だけ歌い直しテープ編集しており、その箇所だけエコーの掛かり具合が違うと言う。
DARLIN' – (3'27")
Mike Love, Brian Wilson ビーチ・ボーイズの1967年 (1967 ) のアルバム『ワイルド・ハニー 』収録曲。その後シングル・カットされ、翌1968年 (1968 ) 初頭にヒットした。山下はシュガー・ベイブ 時代からライブで歌っていて、シングル「高気圧ガール 」[ 注釈 10] のB面用にレコーディングされた。このテイクでは「ダーリン」の別ヴァージョンともいえるシャロン・マリー(Sharon Marie)「THINKIN' 'BOUT YOU BABY」の一節が、コーダで加えられている。
GUESS I'M DUMB – (3'11")
Russ Titelman, Brian Wilson アルバム『MELODIES』[ 注釈 3] 収録曲で、ブライアン・ウィルソン の作曲、プロデュースで1965年6月 (1965-06 ) にリリースされたグレン・キャンベル のシングル曲のカヴァー。1965年2月 (1965-02 ) 以降、ビーチ・ボーイズのツアーに参加しないことを表明したブライアンに代わってメンバーとして1か月ほど参加した関係で提供された作品。入手困難なレア・アイテムだったこのシングルをようやく入手したら、今度はカヴァーがやりたくなるという経緯でレコーディングされた。
THIS COULD BE THE NIGHT – (4'00")
Harry Nilsson 若き日のハリー・ニルソンによる書下ろしで、フィル・スペクター のプロデュースでモダン・フォーク・カルテット が1965年 (1965 ) にレコーディングした作品。当時は未発表となったが、この曲はブライアン・ウィルソンのオール・タイム・フェイヴァリットであるという記事を読んで、1978年 (1978 ) のアルバム『GO AHEAD! 』[ 注釈 11] でカヴァーされた。本作では歌のやり直しと、間奏がギター・ソロからサックス・ソロに変えられるといった、いくつかの相違点があるリミックス・ヴァージョンになっている。
I LOVE YOU...Part I – (2'02")
Tats Yamashita 「パートII」のオリジナル・ヴァージョン。1983年 (1983 ) から1984年 (1984 ) にかけて放送されたサントリー のCM 曲として使用された。CMのコピーが“I LOVE YOU”という、この3言だけで歌われた曲を書いて欲しいという、“恐ろしい”注文からのスタートだったという。そういう場合には山下曰く“伝家の宝刀”ドゥー・ワップと一人多重録音。それで作られた小品だが、山下自身はとても気に入った作品だという。この曲も『OPUS』[ 注釈 6] と『COME ALONG 3』[ 注釈 7] に収録された。
Side A
THE THEME FROM BIG WAVE
Tats Yamashita – electric guitar, acoustic guitar, rhodes, prophet 5, vocoder, percussion & background vocals
Jun Aoyama – Drums
Kohki Itoh – Bass
JODY
Tats Yamashita
–
drums, bass, electric guitar, acoustic guitar, 12strings guitar, rhodes, piano, hammond organ, vibe, percussion & background vocals
Tats Yamashita
–
drums, bass, electric guitar, acoustic guitar, piano, prophet 5, obx, emulator, percussion & background vocals
Tats Yamashita
–
electric guitar, auto harp, prophet 5, glockenspiel, percussion & background vocals
Jun Aoyama – drums & percussion
Kohki Itoh – bass
Hiroyuki Namba – rhodes & piano
YOUR EYES
Tats Yamashita – rhodes, percussion & background vocals
Jun Aoyama – drums
Kohki Itoh – bass
Kazuo Shiina – electric guitar & electric sitar
Chuei Yoshikawa – acoustic guitar
Hidefumi Toki – alto sax solo
I LOVE YOU
Tats Yamashita
–
drums, piano, electric guitar, percussion & background vocals
on
“GIRLS ON THE BEACH” , “PLEASE LET ME WONDER” , “DARLIN'” , “GUESS I'M DUMB” & “THIS COULD BE THE NIGHT”
All instruments played by Tats Yamashita
except;
Kohki Itoh
–
bass on “GIRLS ON THE BEACH”, “PLEASE LET ME WONDER” & “GUESS I'M DUMB”
Ryuichi Sakamoto – poly moog on “THIS COULD BE THE NIGHT”
Motoya Hamaguchi – percussion on “THIS COULD BE THE NIGHT”
Chuei Yoshikawa – acoustic guitar on “THIS COULD BE THE NIGHT”
Hidefumi Toki – alto sax solo on “THIS COULD BE THE NIGHT”
Ohno Group – strings on “GUESS I'M DUMB”
All vocals & background vocals by Tats Yamashita
#
発売日
リリース
規格
品番
備考
1
1984年6月20日 (1984-06-20 )
MOON ⁄ ALFA MOON
LP
MOON-28019
初回出荷分は帯の代わりにステッカーが貼られたほか、訂正後の歌詞カードを追加封入。
2
MOON ⁄ ALFA MOON
MOCT-28012
カセット同時発売。アナログLPと同内容。
3
1984年7月25日 (1984-07-25 )
MOON ⁄ ALFA MOON
CD
38XM-3
初CD化。
4
1986年12月21日 (1986-12-21 )
MOON ⁄ ALFA MOON
CD
32XM-29
価格変更に伴う品番改定による再発。
5
1992年11月10日 (1992-11-10 )
MOON ⁄ MMG
CD
AMCM-4123
品番改定によるアルファ・ムーン盤の再発(リマスター盤)。
6
1999年6月2日 (1999-06-02 )
MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN
CD
WPCV-10021
品番改定によるエム・エム・ジー盤の再発。
7
2014年7月23日 (2014-07-23 )
MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN
CD
WPCL-11930
8
2014年8月20日 (2014-08-20 )
MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN
2LP
WPJL-10014/5
『BIG WAVE 30th Anniversary Edition』 2014年リマスター音源をディスク2枚に分けて4面に収録した、重量盤180g仕様の2枚組LP。
Warner Music Japan
山下達郎 OFFICIAL SITE
BIG WAVE – Discography ALBUM MOON/WARNER
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