2024年パリオリンピックの柔道競技
2024年パリオリンピックの柔道競技(2024ねんパリオリンピックのじゅうどうきょうぎ)は国際柔道連盟(IJF)が管轄し、2024年パリオリンピックにて実施されたオリンピックの柔道競技。会場はシャン・ド・マルス・アリーナ(グラン・パレ・エフェメール)。
2024年パリ 柔道 | |
シャン・ド・マルス・アリーナ | |
会場 | シャン・ド・マルス・アリーナ |
---|---|
開催日 | 2024年7月27日 – 8月3日[1] |
種目数 | 15 |
参加選手数 | 372 (男女各186名)人 |
« 2020 | 2028 » |
オリンピック出場資格
編集前回と同じ、男女個人7階級及び男女混合団体戦が実施される。1つのNOCからは個人種目1つにつき1名のみ出場させることができるため、最大14名の選手を派遣することができる。
世界ランキングによる選出
編集- 予選期間である2022年6月24日から2024年6月23日までの国際大会の成績に基づいた世界ランキングにおいて、各階級のそれぞれ17位以内に位置している選手が直接選出される(男子17名×14階級=計238名)。
- 上位17位以内に1つのNOCから2名以上の選手が入っている場合、そのうちの誰を代表に選出するかはNOCが決定する。
- 1つのNOCから複数の選手が上位17位以内に入っている場合、17名に達するまで、順次繰り下げて選出して行く。
大陸枠による選出
編集- 続いて大陸枠により、100名(アフリカ:男女各12、ヨーロッパ:男子13、女子12、アジア:男女各10、オセアニア:男女各5、アメリカ大陸:男子10、女子11)の出場選手が選出される。
- 各大陸連盟がすでに直接選出された238名を除く男女全階級を統合したランキングリストを高得点順に作成し、そのうちの上位選手から順に選出していく。但し、大陸枠で選出されるのはNOCにつき、男女全階級を通じて1名に限られる。
- また各大陸に1枠ずつチーム招待枠が用意されている。出場権を得た選手が5人しかいないNOCのうち各大陸で最もチームランキングの高いNOCに、混合団体チーム編成のための6人目の選手の出場権が与えられる。
その他の出場枠
編集- 開催国に男女全階級の出場権を与える(14名)。
- ユニバーサリティ枠として15カ国に出場資格を付与する(15名)。
- 以上の計372名がオリンピック出場資格を得る。
選出形態 | 男子 | 女子 | 総計 |
---|---|---|---|
世界ランキングによる選出 | 119 | 119 | 238 |
大陸枠による選出 | 50 | 50 | 100 |
開催国による選出 | 7 | 7 | 14 |
チーム招待枠による選出 | 5 | 5 | |
ユニバーサリティ枠による選出 | 15 | 15 | |
総計 | 186 | 186 | 372 |
競技日程
編集日時はいずれも中央ヨーロッパ夏時間(UTC+2)。
Q | 1回戦〜準々決勝 | F | 敗者復活戦・準決勝・3位決定戦・決勝 |
日付 種目 |
7月27日 | 7月28日 | 7月29日 | 7月30日 | 7月31日 | 8月1日 | 8月2日 | 8月3日 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男子 | ||||||||||||||||
男子60kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子66kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子73kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子81kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子90kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子100kg級 | Q | F | ||||||||||||||
男子100kg超級 | Q | F | ||||||||||||||
女子 | ||||||||||||||||
女子48kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子52kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子57kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子63kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子70kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子78kg級 | Q | F | ||||||||||||||
女子78kg超級 | Q | F | ||||||||||||||
混合 | ||||||||||||||||
混合団体 | Q | F |
競技結果
編集男子
編集階級 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|
60 kg[5] 詳細 |
エルドス・スメトフ カザフスタン (KAZ) |
ルカ・ムハイジェ フランス (FRA) |
永山竜樹 日本 (JPN) |
フランシスコ・ガリゴス スペイン (ESP) | |||
66 kg[6] 詳細 |
阿部一二三 日本 (JPN) |
ウィリアン・リマ ブラジル (BRA) |
グスマン・キルギズバエフ カザフスタン (KAZ) |
デニス・ビエル モルドバ (MDA) | |||
73 kg[7] 詳細 |
ヒダヤト・ヘイダロフ アゼルバイジャン (AZE) |
ジョアン=バンジャマン・ガバ フランス (FRA) |
アディル・オスマノフ モルドバ (MDA) |
橋本壮市 日本 (JPN) | |||
81 kg[8] 詳細 |
永瀬貴規 日本 (JPN) |
タト・グリガラシビリ ジョージア (GEO) |
イ・ジュンファン 韓国 (KOR) |
ソモン・マフマドベコフ タジキスタン (TJK) | |||
90 kg[9] 詳細 |
ラシャ・ベカウリ ジョージア (GEO) |
村尾三四郎 日本 (JPN) |
マクシム=ガエル・ンガヤ=アムブ フランス (FRA) |
テオドロス・ツェルディス ギリシャ (GRE) | |||
100 kg[10] 詳細 |
ゼリム・コツォイエフ アゼルバイジャン (AZE) |
イリア・スラマニゼ ジョージア (GEO) |
ピーター・パルチック イスラエル (ISR) |
ムザファルベク・トゥロボエフ ウズベキスタン (UZB) | |||
+100 kg[11] 詳細 |
テディ・リネール フランス (FRA) |
キム・ミンジョン 韓国 (KOR) |
テムール・ラヒモフ タジキスタン (TJK) |
アリシェル・ユスポフ ウズベキスタン (UZB) |
女子
編集階級 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|
48 kg[12] 詳細 |
角田夏実 日本 (JPN) |
バブードルジ・バーサンフー モンゴル (MGL) |
シリヌ・ブクリ フランス (FRA) |
タラ・バブルファト スウェーデン (SWE) | |||
52 kg[13] 詳細 |
ディヨラ・ケルディヨロワ ウズベキスタン (UZB) |
ディストリア・クラスニキ コソボ (KOS) |
ラリッサ・ピメンタ ブラジル (BRA) |
アマンディーヌ・ブシャール フランス (FRA) | |||
57 kg[14] 詳細 |
出口クリスタ カナダ (CAN) |
ホ・ミミ 韓国 (KOR) |
舟久保遥香 日本 (JPN) |
サラ=レオニー・シジク フランス (FRA) | |||
63 kg[15] 詳細 |
アンドレヤ・レシキ スロベニア (SLO) |
プリスカ・アウィティ・アルカラス メキシコ (MEX) |
クラリス・アグベニュー フランス (FRA) |
ラウラ・ファズリウ コソボ (KOS) | |||
70 kg[16] 詳細 |
バルバラ・マティッチ クロアチア (CRO) |
ミリアム・ブトケライト ドイツ (GER) |
ミヒャエラ・ポレレス オーストリア (AUT) |
ガブリエラ・ウィレムス ベルギー (BEL) | |||
78 kg[17] 詳細 |
アリーチェ・ベッランディ イタリア (ITA) |
インバル・ラニル イスラエル (ISR) |
馬振昭 中国 (CHN) |
パトリシア・サンパイオ ポルトガル (POR) | |||
+78 kg[18] 詳細 |
ベアトリス・ソウザ ブラジル (BRA) |
ラズ・ヘルシュコ イスラエル (ISR) |
キム・ハユン 韓国 (KOR) |
ロマヌ・ディッコ フランス (FRA) |
混合団体
編集国・地域別のメダル獲得数
編集* 開催国/地域 ( フランス)
順位 | NOC | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 3 | 2 | 3 | 8 |
2 | フランス* | 2 | 2 | 6 | 10 |
3 | アゼルバイジャン | 2 | 0 | 0 | 2 |
4 | ジョージア | 1 | 2 | 0 | 3 |
5 | ブラジル | 1 | 1 | 2 | 4 |
6 | ウズベキスタン | 1 | 0 | 2 | 3 |
7 | カザフスタン | 1 | 0 | 1 | 2 |
8 | イタリア | 1 | 0 | 0 | 1 |
カナダ | 1 | 0 | 0 | 1 | |
クロアチア | 1 | 0 | 0 | 1 | |
スロベニア | 1 | 0 | 0 | 1 | |
12 | 韓国 | 0 | 2 | 3 | 5 |
13 | イスラエル | 0 | 2 | 1 | 3 |
14 | コソボ | 0 | 1 | 1 | 2 |
15 | ドイツ | 0 | 1 | 0 | 1 |
メキシコ | 0 | 1 | 0 | 1 | |
モンゴル | 0 | 1 | 0 | 1 | |
18 | タジキスタン | 0 | 0 | 2 | 2 |
モルドバ | 0 | 0 | 2 | 2 | |
20 | オーストリア | 0 | 0 | 1 | 1 |
ギリシャ | 0 | 0 | 1 | 1 | |
スウェーデン | 0 | 0 | 1 | 1 | |
スペイン | 0 | 0 | 1 | 1 | |
ベルギー | 0 | 0 | 1 | 1 | |
ポルトガル | 0 | 0 | 1 | 1 | |
中国 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
計 (NOC数: 26) | 15 | 15 | 30 | 60 |
備考
編集- 男子66 kg級の初戦でイスラエルのバールーフ・シュマイロフと対戦したモロッコのアブデラマネ・ブシタは、敗れた後に握手を拒否した。2回戦でシュマイロフと対戦したタジキスタンのヌラリ・エモマリは、勝った直後にアラーアクバルと叫んで、同じく握手を拒否した。エモマリはその後の準々決勝で阿部一二三と対戦して合技で敗れたが、2度目の技ありを取られた際に肩を脱臼した。イスラエルを支援するStandWithUsの指導者は、エモマリは彼に相応しい報いを受けたと語った[20]。
- 男子73 kg級の初戦でイスラエルのトハル・ブトブルと対戦予定だったアルジェリアのメサウド・レドーアネ・ドリスは、大会前日の計量で400グラム超過したため失格となった。アルジェリア政府がイスラエルを国家として承認していないことや、2023年パレスチナ・イスラエル戦争を踏まえた上での政治的な動機により、敢えて体重超過した可能性が指摘されている。イスラエル・オリンピック委員会はドリスがわざと試合放棄したとの見解を示した。ドリスと対戦予定だったブトブルは、「彼らは被害者だと思う。アスリートなのに競技に参加させてもらえない。私は本当に彼と戦いたかった」と語った。この件に関してIJFは、大会後に調査と検証を試みるとしている[21][22]。
- 男子81 kg級に出場予定だったイラクのサジャド・セヘンは、ドーピング検査で筋肉増強剤アナボリックステロイドの陽性反応を示した。そのため国際検査機関(ITA)は、セヘンに暫定的な資格停止処分を科した[23]。また、同じ81 kg級に出場して初戦で敗れたアフガニスタンのモハメド・サミム・ファイザドが、ドーピング検査でタンパク同化ステロイド剤であるスタノゾロールの陽性反応を示したことを、国際検査機関が公表した[24]。
優勝者の世界ランキング
編集男子
編集60 kg級 | カザフスタン | エルドス・スメトフ | 22位 |
66 kg級 | 日本 | 阿部一二三 | 5位 |
73 ㎏級 | アゼルバイジャン | ヒダヤト・ヘイダロフ | 1位 |
81 ㎏級 | 日本 | 永瀬貴規 | 8位 |
90 ㎏級 | ジョージア | ラシャ・ベカウリ | 1位 |
100 ㎏級 | アゼルバイジャン | ゼリム・コツォイエフ | 1位 |
100 ㎏超級 | フランス | テディ・リネール | 7位 |
女子
編集48 kg級 | 日本 | 角田夏実 | 4位 |
52 kg級 | ウズベキスタン | ディヨラ・ケルディヨロワ | 1位 |
57 kg級 | カナダ | 出口クリスタ | 1位 |
63 kg級 | スロベニア | アンドレヤ・レシキ | 7位 |
70 kg級 | クロアチア | バルバラ・マティッチ | 1位 |
78 kg級 | イタリア | アリーチェ・ベッランディ | 1位 |
78 kg超級 | ブラジル | ベアトリス・ソウザ | 5位 |
(出典[25]、JudoInside.com)
世界ランキング1位の成績
編集男子
編集60 kg級 | チャイニーズタイペイ | 楊勇緯 | 7位 |
66 kg級 | モルドバ | デニス・ビエル | 銅メダル |
73 kg級 | アゼルバイジャン | ヒダヤト・ヘイダロフ | 金メダル |
81 kg級 | ベルギー | マティアス・カス | 5位 |
90 kg級 | ジョージア | ラシャ・ベカウリ | 金メダル |
100 kg級 | アゼルバイジャン | ゼリム・コツォイエフ | 金メダル |
100 kg超級 | 韓国 | キム・ミンジョン | 銀メダル |
女子
編集48 kg級 | イタリア | アッスンタ・スクット | 7位 |
52 kg級 | ウズベキスタン | ディヨラ・ケルディヨロワ | 金メダル |
57 kg級 | カナダ | 出口クリスタ | 金メダル |
63 kg級 | オランダ | ジョアンネ・ファンリースハウト | 2回戦敗退 |
70 kg級 | クロアチア | バルバラ・マティッチ | 金メダル |
78 kg級 | イタリア | アリーチェ・ベッランディ | 金メダル |
78 kg超級 | フランス | ロマヌ・ディッコ | 銅メダル |
(出典[25]、JudoInside.com)
脚注
編集注釈
編集
出典
編集- ^ “Paris 2024 – Judo”. Paris 2024. 28 December 2022閲覧。
- ^ “Qualification System – Games of the XXXIII Olympiad – Judo” (PDF) (英語). IJF. 2023年7月12日閲覧。
- ^ “【パリ2024への道】柔道、出場資格取得プロセスを解説”. olympics.com. 2023年7月12日閲覧。
- ^ “Paris 2024 Olympic Competition Schedule – Judo” (PDF). Paris 2024. pp. 55–56. 28 December 2022閲覧。
- ^ “MEN -60 KG FINAL GAME 41 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月27日閲覧。
- ^ “MEN -66 KG FINAL GAME 34 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月28日閲覧。
- ^ “MEN -73 KG FINAL GAME 38 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “MEN -81 KG FINAL GAME 40 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月30日閲覧。
- ^ “MEN -90 KG FINAL GAME 34 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月31日閲覧。
- ^ “MEN -100 KG FINAL GAME 32 RESULTS”. olympics.com. 2024年8月1日閲覧。
- ^ “MEN +100 KG FINAL GAME 36 RESULTS”. olympics.com. 2024年8月2日閲覧。
- ^ “WOMEN -48 KG FINAL GAME 38 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月27日閲覧。
- ^ “WOMEN -52 KG FINAL GAME 37 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月28日閲覧。
- ^ “WOMEN -57 KG FINAL GAME 35 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “WOMEN -63 KG FINAL GAME 43 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月30日閲覧。
- ^ “WOMEN -70 KG FINAL GAME 31 RESULTS”. olympics.com. 2024年7月31日閲覧。
- ^ “WOMEN -78 KG FINAL GAME 35 RESULTS”. olympics.com. 2024年8月1日閲覧。
- ^ “WOMEN +78 KG FINAL GAME 33 RESULTS”. olympics.com. 2024年8月2日閲覧。
- ^ “Medallists Médaillé(e)s”. olympics.com. 2024年8月3日閲覧。
- ^ Judo Olympian refuses to shake Israeli athlete’s hand and shouted ‘Allahu Akbar’
- ^ 【柔道】不戦勝イスラエル異例声明文 アルジェリア選手が体重オーバー失格 政治的な放棄との報道も 日刊スポーツ 2024年7月29日
- ^ 五輪=アルジェリア選手失格、イスラエル選手と対戦回避か 柔道連盟が調査
- ^ 五輪=柔道男子イラク代表、ドーピング疑惑で暫定的資格停止に
- ^ パリ五輪3人目のドーピング陽性 ベン・ジョンソンも陽性示した筋肉増強剤を柔道選手から検出 スポーツニッポン 2024年8月3日
- ^ a b judobase.org