2017年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ アブダビ

2017年にアブダビで開催されたレッドブル・エアレースの世界選手権

座標: 北緯24度28分17秒 東経54度19分50秒 / 北緯24.47139度 東経54.33056度 / 24.47139; 54.33056

2017年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ アブダビでは、通算12シーズン目となるレッドブル・エアレース・ワールドシリーズの内、2017年2月10日11日アラブ首長国連邦アブダビで行われた2017年シーズン開幕戦について述べる。

概要

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アブダビでの開幕レースは10年連続、通算75レース目に当たる[1]。2月の現地の平均気温は摂氏25度を超え、エンジンの空冷性能が肝要となる。レッドブル・エアレース創設時から残る唯一のパイロットとなったカービー・チャンブリス(アメリカ)は、オフシーズンの間に機体の軽量化やエンジンカバーの改良に取り組むなど[2][3]、勝利への貪欲な姿勢を失っていない。[4]

マスタークラス
今シーズンから機体を長年使ってきたMSX-Rからジブコ エッジ540に変更したマット・ホール(オーストラリア)は、機体に慣れるまでに多少の時間を要するだろうというポール・ボノムの事前の予測通り[4]、予選では13位に沈んだ[5]。昨シーズンチャンピオンのマティアス・ドルダラー(ドイツ)も11位と出遅れた[5]。昨年、第2戦の予選で1位となり実力があることを証明しながら、本番ではプレッシャーに負け結果を残せなかったフアン・ベラルデ(スペイン)は、フリープラクティスで2本とも上位に入り[6]、予選でも5位と好調を維持した[5]マルティン・ソンカ(チェコ)が、3本目のフリープラクティスで52.427秒を記録し[7]、予選では更にそれを上回るタイムを記録し首位で通過した[5]。今シーズンデビューした2名、クリスチャン・ボルトン(チリ)とミカエル・ブラジョー(フランス)がそれぞれ7位と8位に入り[5]、ラウンド・オブ・14からルーキー同士の対決となった[8]
ラウンド・オブ・14では、予選から調子を落としていた室屋義秀(日本)がオーバーGで敗退[9]。オーバーGを恐れて慎重なフライトになってしまったカービー・チャンブリス(アメリカ)も敗退し、フランソワ・ルボットが4レースぶりにラウンド・オブ・8に進出、ルーキー対決はボルトンが制した[9]
ラウンド・オブ・14を首位通過したベラルデは、同期のルボットとの対決となり、最初のスプリットこそルボットに後れを取ったものの最終的に0.6秒上回るタイムでゴールし、キャリア初のファイナル4進出を果たした[10]。ファイナル4では、ソンカがキャリア初優勝、ベラルデはマスタークラスに昇格して初めて表彰台を獲得した[11]
チャレンジャークラス
チャレンジャーカップの初戦には、新人のバティスト・ヴィーニュ(フランス)を含む7名が参戦した[12]。フリープラクティスでは、フロリアン・バーガー(ドイツ)が2本とも上位を維持し[13]、予選もトップ通過した[14]。ヴィーニュはフリープラクティス後に「半年前は自分がここにいられるとは思っていませんでした。チャレンジャークラスもマスタークラスも見て学ぶべきことがたくさんあります。正しいラインを見極め、安全に飛ぶことに集中します。」とコメントした[15]。予選前最後の3本目のフリープラクティスでは、7人中5人がスモークが出ていないミスをした[16]。決勝では、ダニエル・リファ(スウェーデン)が巻き返して優勝、バーガーは僅差で2位、レッドブル・エアレース初の女性パイロット、メラニー・アストル(フランス)が3位となり、2度目の表彰台を獲得した[17]

マスタークラス

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予選

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No. パイロット タイム ペナルティ
1 8   マルティン・ソンカ 52.097
2 99   マイケル・グーリアン 52.458
3 10   カービー・チャンブリス 52.500
4 84   ピート・マクロード 53.016
5 26   フアン・ベラルデ 53.208
6 18   ペトル・コプシュタイン 53.221
7 11   ミカエル・ブラジョー 53.326
8 5   クリスチャン・ボルトン 53.584
9 27   ニコラス・イワノフ 53.752
10 31   室屋義秀 54.680
11 21   マティアス・ドルダラー 54.695 +2秒1
12 12   フランソワ・ルボット 54.764
13 95   マット・ホール 55.545
14 37   ピーター・ポドランセック 56.776 +3秒2
  • ^1 ゲート14の水平角度違反により+2秒のペナルティ[5]
  • ^2 ゲート8のパイロンヒットにより+3秒のペナルティ[5]

ラウンド・オブ・14

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ヒート 順位 パイロット1 タイム1 タイム2 パイロット2 順位
1 13   室屋義秀 DNF1 52.795   フアン・ベラルデ 1
2 2   マティアス・ドルダラー 52.984 54.064   ピート・マクロード 4
3 6   ニコラス・イワノフ 54.208 56.7402   ペトル・コプシュタイン 12
4 8   フランソワ・ルボット 54.410 55.8443   カービー・チャンブリス 11
5 7   クリスチャン・ボルトン 54.228 54.503   ミカエル・ブラジョー 9
6 10   マット・ホール 55.332 54.195   マイケル・グーリアン 5
7 14   ピーター・ポドランセック DSQ4 53.202   マルティン・ソンカ 3
凡例
ラウンド・オブ・8進出
ノックアウト(敗退)
敗者の中で最速(=進出)
  • ^1 オーバーGによりDNF (Did Not Finish)[9]
  • ^2 ゲート10でパイロンヒットにより+3秒のペナルティ[9]
  • ^3 ゲート10通過時に水平角度違反により+2秒のペナルティ[9]
  • ^4 セーフティラインを越えたため失格[9]

ラウンド・オブ・8

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ヒート 順位 パイロット1 タイム1 タイム2 パイロット2 順位
8 6   マイケル・グーリアン 54.960 54.952   ピート・マクロード 3
9 5   ニコラス・イワノフ 54.676 53.525   マルティン・ソンカ 1
10 7   クリスチャン・ボルトン 55.890 54.469   マティアス・ドルダラー 2
11 8   フランソワ・ルボット 55.973 55.373   フアン・ベラルデ 4
凡例
ファイナル4進出
ノックアウト(敗退)

ファイナル4

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No. パイロット タイム ペナルティ
1 8   マルティン・ソンカ 53.139
2 26   フアン・ベラルデ 54.166
3 84   ピート・マクロード 54.632
4 21   マティアス・ドルダラー 55.227 +2秒1
  • ^1 ゲート14通過時の水平角度違反にて+2秒のペナルティ[11]

最終結果

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パイロット ポイント
1   マルティン・ソンカ 15
2   フアン・ベラルデ 12
3   ピート・マクロード 9
4   マティス・ドルダラー 7
5   ニコラス・イワノフ 6
6   マイケル・グーリアン 5
7   クリスチャン・ボルトン 4
8   フランソワ・ルボット 3
9   ミカエル・ブラジョー 2
10   マット・ホール 1
11   カービー・チャンブリス 0
12   ペトル・コプシュタイン 0
13   室屋義秀 0
14   ピーター・ポドランセック 0

チャレンジャークラス

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予選

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No. パイロット タイム ペナルティ
1 62   フロリアン・バーガー 59.682
2 17   ダニエル・リファ 1:00.562
3 24   ベン・マーフィ 1:00.585
4 33   メラニー・アストル 1:00.742
5 48   ケヴィン・コールマン 1:02.000
6 15   バティスト・ヴィーニュ 1:02.703
7 6   ルーク・チェピエラ 1:07.587 +7秒1
  • ^1 ゲート4でパイロンヒットにより+3秒、ゲート7及びゲート8の水平角度違反により+2秒ずつ、計+7秒のペナルティ[14]

決勝

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No. パイロット タイム ペナルティ
1 17   ダニエル・リファ 1:00.206
2 62   フロリアン・バーガー 1:00.561
3 33   メラニー・アストル 1:01.197
4 24   ベン・マーフィ 1:02.520
5 48   ケヴィン・コールマン 1:04.757
6 6   ルーク・チェピエラ 1:05.513 +3秒1
7 7   バティスト・ヴィーニュ 1:06.323 +2秒2
  • ^1 パイロンヒットにより+3秒のペナルティ[17]
  • ^2 ゲート7通過時の水平角度違反にて+2秒のペナルティ[17]

第1戦終了後のランキング

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マスタークラス

パイロット トー
タル
1   マルティン・ソンカ 15
2   フアン・ベラルデ 12
3   ピート・マクロード 9
4   マティアス・ドルダラー 7
5   ニコラス・イワノフ 6
6   マイケル・グーリアン 5
7   クリスチャン・ボルトン 4
8   フランソワ・ルボット 3
9   ミカエル・ブラジョー 2
10   マット・ホール 1
11   カービー・チャンブリス 0
12   ペトル・コプシュタイン 0
13   室屋義秀 0
14   ピーター・ポドランセック 0
チャレンジャークラス

パイロット トー
タル
1   ダニエル・リファ 10
2   フロリアン・バーガー 8
3   メラニー・アストル 6
4   ベン・マーフィ 4
5   ケヴィン・コールマン 2
6   ルーク・チェピエラ 0
7   バティスト・ヴィーニュ 0
8   ケニー・チャン 0
9   ダニエル・ジェネヴェイ 0

出典

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  1. ^ Red Bull Air Race 2017シーズンの日程が発表!”. Red Bull Air Race (2017年1月19日). 2017年2月19日閲覧。
  2. ^ チャンブリス:2017シーズンへの取り組み”. Red Bull Air Race (2016年12月30日). 2017年2月19日閲覧。
  3. ^ Staying cool in the desert heat”. Red Bull Air Race (2017年1月26日). 2017年2月19日閲覧。
  4. ^ a b ポール・ボノムが読む2017シーズン”. Red Bull Air Race (2017年1月23日). 2017年2月19日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g アブダビ:マスタークラス予選結果”. Red Bull Air Race (2017年2月10日). 2017年2月19日閲覧。
  6. ^ マスタークラス:フリープラクティス結果”. Red Bull Air Race (2017年2月9日). 2017年2月20日閲覧。
  7. ^ Sonka sets himself up perfectly for Qualifying”. Red Bull Air Race (2017年2月10日). 2017年2月20日閲覧。
  8. ^ Abu Dhabi 2017: Round of 14 preview”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e f Velarde powers through the Round of 14”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月21日閲覧。
  10. ^ Dolderer quickest in Abu Dhabi Round of 8”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月21日閲覧。
  11. ^ a b アブダビ:ソンカがキャリア初優勝”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月21日閲覧。
  12. ^ The Challengers racing in Abu Dhabi”. Red Bull Air Race (2017年2月9日). 2017年2月20日閲覧。
  13. ^ Bergér shines in Free Practice”. Red Bull Air Race (2017年2月9日). 2017年2月20日閲覧。
  14. ^ a b Bergér impresses rivals in Qualifying”. Red Bull Air Race (2017年2月10日). 2017年2月20日閲覧。
  15. ^ Abu Dhabi 2017 Reactions: Challenger Class Free Practice”. Red Bull Air Race (2017年2月9日). 2017年2月20日閲覧。
  16. ^ Ryfa lays down marker before Qualifying”. Red Bull Air Race (2017年2月10日). 2017年2月20日閲覧。
  17. ^ a b c Ryfa kicks off season in style”. Red Bull Air Race (2017年2月11日). 2017年2月21日閲覧。

外部リンク

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