1959年モナコグランプリ (1959 Monaco Grand Prix) は、1959年のF1世界選手権の開幕戦として、1959年5月10日モンテカルロ市街地コースで開催された。

モナコ 1959年モナコグランプリ
レース詳細
1959年F1世界選手権全9戦の第1戦
モンテカルロ市街地コース(1929-1972)
モンテカルロ市街地コース(1929-1972)
日程 1959年5月10日
正式名称 XVII Grand Prix Automobile de Monaco
開催地 モンテカルロ市街地コース
モナコの旗 モナコ モンテカルロ
コース 市街地コース
コース長 3.145 km (1.954 mi)
レース距離 100周 314.500 km (195.400 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー クーパー-クライマックス
タイム 1:39.6
ファステストラップ
ドライバー オーストラリア ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス
タイム 1:40.4 (83周目)
決勝順位
優勝 クーパー-クライマックス
2位 フェラーリ
3位 クーパー-クライマックス

17回目のモナコグランプリは100周、314.5kmで行われた。

レース概要

編集

本来開幕戦となるはずだったアルゼンチンGPが財政的な理由で中止となったため、当レースが開幕戦となった。1957年から1958年の度重なる死亡事故や大物ドライバーの引退などで数多くのエースが去ったことにより、チャンピオン経験者が不在という状況で開幕を迎えた[1]

スターリング・モスヴァンウォールの撤退により再び移籍を強いられることになり、前年のアルゼンチンGPでの優勝以来親密な間柄となっていたロブ・ウォーカー・レーシングチームで主に参戦することになった[2]フェラーリは前年同様246を使用するが、ドライバーは前年の相次ぐ事故死やマイク・ホーソーン引退(引退後の1月に事故死)により、トニー・ブルックス(ヴァンウォールから)、ジャン・ベーラBRMから)、クリフ・アリソンロータスから)が移籍加入した。クーパーは新車T51を投入し、搭載されるコヴェントリー・クライマックスFPFエンジンは排気量が2.5Lにアップした。ドライバーはジャック・ブラバムマステン・グレゴリーブルース・マクラーレンの3台体制。BRMはP25、ロータスは16を引き続き使用する。ポルシェF2用の新車718空冷水平対向4気筒エンジンをミッドシップ搭載)で当レースに参加した[3]

レース序盤はベーラがトップを走り、モスとブラバムが追走するが[4]、ベーラは25周目にエンジントラブルでリタイアした。代わってモスがトップに立ったが、レース終盤に差し掛かった82周目にトランスミッションのトラブルでリタイアとなった。これでブラバムがトップに立ち、F1初勝利(クーパー・ワークスにとってもF1初勝利)を飾った。20秒差の2位にブルックス、前年のモナコGPの勝者モーリス・トランティニアン(前年同様ロブ・ウォーカーのクーパーを走らせた)が2周遅れの3位となった。マクラーレンは5位で初入賞[5]を果たした。

エントリーリスト

編集
No. ドライバー エントラント コンストラクター シャシー エンジン
2   ヴォルフガング・ザイデル 1   スクーデリア・コロニア ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
4   マリア・テレーザ・デ・フィリッピス
  ジョゼ・ベーラ 2
  ポルシェ KG ポルシェ ベーラ ポルシェ 547/3 1.5L F4
6   ヴォルフガング・フォン・トリップス 718
8   フリッツ・ドーリー 1   スクーデリア・セントロ・スッド マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6
10   ルシアン・ビアンキ   エキップ・ナツィオナーレ・ベルゲ クーパー T51 クライマックス FPF 1.5L L4
12   アラン・ド・シャニュイ
14   ジャン・ルシアンボネ   ジャン・ルシアンボネ クーパー T45 クライマックス FPF 1.5L L4
16   ハリー・シェル   オーウェン・レーシング・オーガニゼーション BRM P25 BRM P25 2.5L L4
18   ヨアキム・ボニエ
20   ロン・フロックハート
22   ブルース・マクラーレン   クーパー・カー・カンパニー クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
24   ジャック・ブラバム
26   マステン・グレゴリー
28   ブライアン・ホワイトハウス 1   バーニー・エクレストン クーパー T43 クライマックス FPF 2.5L L4
30   スターリング・モス   RRC ウォーカー・レーシングチーム クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
32   モーリス・トランティニアン
34   アイヴァー・ビューブ   ブリティッシュ・レーシング・パートナーシップ クーパー T51 クライマックス FPF 1.5L L4
36   ポール・エメリー 1   エメリソン・カーズ クーパー T51 アルタ GP 2.5L L4
38   ロイ・サルヴァドーリ   ハイ・エフィシエンシー・モータース クーパー T45 マセラティ 250S 2.5L L4
40   グラハム・ヒル   チーム・ロータス ロータス 16 クライマックス FPF 2.5L L4
42   ピート・ラヴリー
44   ブルース・ハルフォード   ジョン・フィッシャー ロータス 16 クライマックス FPF 1.5L L4
46   ジャン・ベーラ   スクーデリア・フェラーリ フェラーリ 246 フェラーリ Tipo155 2.4L V6
48   フィル・ヒル
50   トニー・ブルックス
52   クリフ・アリソン 156(F2) フェラーリ ディーノ156 1.5L V6
54   ジョルジオ・スカルラッティ   スクーデリア・ウゴリーニ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6
56   アンドレ・テスツー   モンテカルロ・オートスポーツ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6
58   ケン・カバナ 1   ケン・カバナ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6
ソース:[6]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - エントリーしたが出場せず
  • ^2 - リザーブドライバー

結果

編集

予選

編集
順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 30   スターリング・モス クーパー-クライマックス 1:39.6
2 46   ジャン・ベーラ フェラーリ 1:40.0 + 0.4
3 24   ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 1:40.1 + 0.5
4 50   トニー・ブルックス フェラーリ 1:41.0 + 1.4
5 48   フィル・ヒル フェラーリ 1:41.3 + 1.7
6 32   モーリス・トランティニアン クーパー-クライマックス 1:41.7 + 2.1
7 18   ヨアキム・ボニエ BRM 1:42.3 + 2.7
8 38   ロイ・サルヴァドーリ クーパー-マセラティ 1:42.4 + 2.8
9 16   ハリー・シェル BRM 1:43.0 + 3.4
10 20   ロン・フロックハート BRM 1:43.1 + 3.5
11 26   マステン・グレゴリー クーパー-クライマックス 1:43.2 + 3.6
12 6   ヴォルフガング・フォン・トリップス ポルシェ 1:43.8 + 4.2
13 22   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:43.9 + 4.3
14 40   グラハム・ヒル ロータス-クライマックス 1:43.9 + 4.3
15 52   クリフ・アリソン フェラーリ 1:44.4 + 4.8
16 44   ブルース・ハルフォード ロータス-クライマックス 1:44.8 + 5.2
17 34   アイヴァー・ビューブ クーパー-クライマックス 1:44.9 + 5.3
18 54   ジョルジオ・スカルラッティ マセラティ 1:45.0 + 5.4
19 10   ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 1:45.4 + 5.8
20 12   アラン・ド・シャニュイ クーパー-クライマックス 1:45.4 + 5.8
21 4   マリア・テレーザ・デ・フィリッピス ポルシェ 1:47.8 + 8.2
22 42   ピート・ラヴリー ロータス-クライマックス 1:47.9 + 8.3
23 14   ジャン・ルシアンボネ クーパー-クライマックス 1:50.9 + 11.3
24 56   アンドレ・テスツー マセラティ 1:59.1 + 19.5
ソース:[7]
追記
  • 上位16台が決勝進出

決勝

編集
順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 24   ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 100 2:55:51.3 3 9 1
2 50   トニー・ブルックス フェラーリ 100 + 20.4 4 6
3 32   モーリス・トランティニアン クーパー-クライマックス 98 + 2 Laps 6 4
4 48   フィル・ヒル フェラーリ 97 + 3 Laps 5 3
5 22   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 96 + 4 Laps 13 2
6 38   ロイ・サルヴァドーリ クーパー-マセラティ 83 + 17 Laps 8
Ret 30   スターリング・モス クーパー-クライマックス 81 トランスミッション 1
Ret 20   ロン・フロックハート BRM 64 スピンオフ 10
Ret 16   ハリー・シェル BRM 48 アクシデント 9
Ret 18   ヨアキム・ボニエ BRM 44 ブレーキ 7
Ret 46   ジャン・ベーラ フェラーリ 24 エンジン 2
Ret 40   グラハム・ヒル ロータス-クライマックス 21 出火 14
Ret 26   マステン・グレゴリー クーパー-クライマックス 6 ギアボックス 11
Ret 6   ヴォルフガング・フォン・トリップス ポルシェ 1 接触 12
Ret 52   クリフ・アリソン フェラーリ 1 接触 15
Ret 44   ブルース・ハルフォード ロータス-クライマックス 1 接触 16
DNQ 34   アイヴァー・ビューブ クーパー-クライマックス 予選不通過
DNQ 54   ジョルジオ・スカルラッティ マセラティ 予選不通過
DNQ 12   アラン・ド・シャニュイ クーパー-クライマックス 予選不通過
DNQ 10   ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 予選不通過
DNQ 4   マリア・テレーザ・デ・フィリッピス ポルシェ 予選不通過
DNQ 42   ピート・ラヴリー ロータス-クライマックス 予選不通過
DNQ 14   ジャン・ルシアンボネ クーパー-クライマックス 予選不通過
DNQ 56   アンドレ・テスツー マセラティ 予選不通過
ソース:[8]
追記

第1戦終了時点のランキング

編集
  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注

編集
  1. ^ (林信次 1999, p. 76)
  2. ^ (林信次 1999, p. 77-78)
  3. ^ (林信次 1999, p. 86-89)
  4. ^ (林信次 1999, p. 75)
  5. ^ 前年のドイツGPでも5位となったが、F2部門での参加だったため無得点
  6. ^ Monaco 1959 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年2月18日閲覧。
  7. ^ Monaco 1959 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年2月18日閲覧。
  8. ^ 1959 Monaco Grand Prix”. formula1.com. 18 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。16 August 2015閲覧。

参照文献

編集
  • 林信次『F1全史 1956-1960』ニューズ出版、1999年。ISBN 4-938495-27-9 

外部リンク

編集
FIA F1世界選手権
1959年シーズン
次戦
1959年インディ500
前回開催
1958年モナコグランプリ
  モナコグランプリ 次回開催
1960年モナコグランプリ