高田正子
日本の俳人。黒田杏子に師事。
人物・来歴
編集東京大学卒[2]。1990年、黒田杏子の「藍生」創刊に参加[1]。1997年、藍生賞受賞[1]。2006年、第二句集『花実』により第29回俳人協会新人賞、2015年、第三句集『青麗』により第3回星野立子賞受賞[1]、2024年、「青麗」を創刊。「黒田杏子俳句セレクション」を発行するなど、黒田杏子研究の第一人者である。川崎市在住。夫は青山学院大学教授の高田祐彦。
作品・評
編集- 結社名にもなった「青麗」は第3句集の名であり、第3回星野立子賞受賞作[3]でもある。「青麗」には両親や郷里のことを詠んだ句が含まれており、書籍『星野立子賞の十年』で師の黒田杏子は下記のように評している。[4]
大川の水の匂へる雪蛍
昔からずっと流れている隅田川に対する作者の想い。隅田川を称えるような気持ちを心の内に置いた上で「雪蛍」という生き物を持ってこられた。繊細で、趣きが深いと感じます。
- 三十句抄で「母もまた母恋ふるうた赤とんぼ」「喪の家も枯れゆくもののそのひとつ」に続く句として、小澤實は下記のように評している。
父に湯たんぽ父に家捨てさせて
父をひきとった際にはかく詠む。人生から逃げていないのだ。家と湯たんぽではまったくバランスがとれないし計算が合わない。そこにやぶれかぶれのおかしみが生まれている。そしてどこか不思議の匂いがする。
著書
編集句集
編集- 『玩具』(牧羊社 1994)ISBN 978-4-83331-317-9
- 『花実』(ふらんす堂 2005)ISBN 978-4-89402-766-4
- 『青麗』(KADOKAWA 2014)ISBN 978-4-04652-894-0
黒田杏子俳句セレクション(編著)
編集生前に黒田杏子本人より了解を得て発行されたテーマ別百句セレクション。 [5]
- 1『螢』(コールサック社 2023)ISBN 978-4-86435-571-1
- 2『月』(コールサック社 2023)ISBN 978-4-86435-572-8
- 3『雛』(コールサック社 2024)ISBN 978-4-86435-573-5
- 4『櫻』(コールサック社 2024)ISBN 978-4-86435-574-2
その他
編集- 『子どもの一句』(ふらんす堂 2010)ISBN 978-4-78140-227-7
- 『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』(深夜叢書社 2022)ISBN 978-4-88032-471-5
- 『日々季語日和』(コールサック社 2023)ISBN 978-4-86435-558-2
外部リンク
編集参考文献
編集- 宇多喜代子『戦後生まれの俳人たち』毎日新聞社、2012年。ISBN 978-4620321684
- 長谷川櫂編著『現代俳句の鑑賞101』新書館、2001年。ISBN 978-4403250545
脚注
編集- ^ a b c d “高田正子プロフィール”. 俳人協会・俳文学館. 2022年5月閲覧。
- ^ 『文藝年鑑』2014
- ^ 第3回 星野立子賞
- ^ 星野立子賞選考委員会編『星野立子賞の十年』 (2023年、KADOKAWA)ISBN 978-4048845250
- ^ 第一巻である『螢』のあとがきには下記のようにある。
この「黒田杏子俳句コレクション」はシリーズ企画として、コールサック社から提案され、生前の師の了解を得ていたものである。膨大な句群からテーマ別に百句を抽き、解説を付す、という杏子作品のエッセンスを味わうことを目的としている。当初は「螢」「月」「櫻」の全三巻同時発行の案件であったが、師本人から「雛」を加える指示が出され、更に髙田から季節を合わせて一巻ずつ刊行し、師のその後の新作次第で五巻目の可能性を探ることを提案していたのであった。だが、師は第一巻「螢」の初校ゲラすらご覧にならず逝ってしまわれた。