高圧電流
高圧電流(こうあつでんりゅう)とは、電圧が高い状態を意味する「高圧」と、「電流」を組み合わせたことで「高電圧電流」か「高圧大電流」のどちらか不明である俗語的表現である。高電圧電流には、高電圧小電流、高電圧大電流がある[1]。高圧大電流だけでなく、高圧小電流、低電圧大電流、低電圧小電流も存在する[2][3][4]。
インターネットメディアだけでなく[5][6]、大手マスメディア報道や公的機関においてさえも、瞬間的な大電力の意味で「高圧な電流」との表現と共に誤用されているが[7][8][9][10]、こちらの意味では高電圧大電流(パルスパワー)である[11]。
概要
編集「高い電圧がかかり大きな電流が流れる電気回路が構成されている状態」を指して誤って用いられている言葉である。「電圧」と「電流」という異なる物理量を混同した誤った表現であり、物理学、電気設備技術基準などの法令や電気工学において、正しい用語ではない。
「不用意に触ったり近づいたりすると感電し死亡する、もしくは重傷を負う危険がある」という意味を含んでいる場合が多く、電力会社において、電力関連施設への一般人向けに立ち入り禁止を警告する看板に使用する場合もある[12]。
電圧が高い状態と電流が大きい状態は全く別の概念であり、物理学・電気工学においては高電圧(高圧)・大電流として区別して使用される[13][14]。
2022年にジャパンシーフーズが熊本大学などと連携し、刺し身に100メガワットの電力を高電圧大電流(パルスパワー)で瞬間的に流すことで、刺し身内のアニサキスを殺虫する「アニサキス殺虫装置」を開発している。一度に3キログラム分のアジの切り身を6分で処理できる機能を持っている[11][15]。
脚注
編集- ^ “矢野左衛門 電気 を追う ”. www.ntv.co.jp. 日本テレビ. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “放射線医学の歴史”. radiology-history.online. 2022年6月15日閲覧。
- ^ 茂俊, 大内 (1991). “高圧大電流の直流が切れるようになった真空遮断器”. 電氣學會雜誌 111 (2): 147–150. doi:10.11526/ieejjournal1888.111.147 .
- ^ “低電圧大電流化が極まる最先端デジタルLSI、アルテラが独自技術搭載の電源モジュール投入”. EDN Japan (2014年11月4日). 2022年6月15日閲覧。
- ^ “【注意喚起】雷が鳴ったらパソコンのコンセントは抜いたほうがいい”. ロケットニュース24 (2013年7月8日). 2022年6月15日閲覧。
- ^ “【トロロッソ・ホンダ】アルボン、PUの高圧電流のトラブル「タイヤ交換できなかった」 - TopNews” (jp). 2022年6月15日閲覧。
- ^ 刺身に高圧電流で「アニサキス」撲滅 苦節30年、社長の執念が実った開発秘話 2022年6月15日閲覧
- ^ 日経クロステック(xTECH). “電動化で大きく変わる車載部品の熱環境”. 日経クロステック(xTECH). 2022年6月15日閲覧。
- ^ “「電気さく」を設置する際の安全確保等のお願い”. www.city.nagaoka.niigata.jp. 2022年6月15日閲覧。
- ^ “カラスが電線に接触、5500戸停電 爆発音、一時騒然:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “パルスパワーを用いた新しいアニサキス殺虫方法を開発 ―アニサキス食中毒リスクのない刺身―”. 熊本大学. 2022年6月15日閲覧。
- ^ 東北電力鉄塔看板カタログ 2022年6月15日閲覧
- ^ 東京電力パワーグリッド株式会社 送電線近くでの感電事故防止のお願い 2022年6月15日閲覧
- ^ 電気事業連合会 電気が伝わる経路 2022年6月15日閲覧
- ^ “【世界初】電気ショックで感電死 アニサキス殺虫”. テレ朝news. 2022年6月15日閲覧。