パルスパワー
エネルギーの放出の型式
パルスパワー(Pulse powerまたはPulsed power)とは、200V(もしくは100V)の高電圧電源から電気エネルギーを一旦コンデンサへ蓄積し、これらをマイクロ秒(100万分の1)~ナノ秒(1億分の1)レベルで取り出すことで得られる瞬間的(超)巨大電力。高電圧大電流ともいう[1][2][3]。
概要
編集パルスパワーとは、蓄積したエネルギーを短時間でパルス的に放出することである。仕事率(パワー)は、単位時間あたりのエネルギーの変化で表されるため、長時間に低い仕事率で蓄えたエネルギーを短時間に放出することで高い仕事率を得ることができる。例えば、電気回路では、コンデンサに低電力でゆっくりと電荷を蓄積し(充電)、短時間で放電することにより大きな電力を発生させることができるため、カメラのフラッシュ(エレクトロニックフラッシュ)や自動体外式除細動器などに応用されている。
2018年から経産省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」の採択を受けた国の支援事業となり[3]、2022年に熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授、王斗艶准教授、松田技術専門職員と株式会社ジャパン・シーフーズらの共同研究グループが、パルスパワー技術で瞬間的に高電圧大電流を流すことにで魚身の内部にいるアニサキス1000匹全ての殺虫に成功し、この殺虫装置の特許出願をした[2]。
脚注
編集- ^ 秋山秀典, 原雅則「パルスパワー高度利用技術」『電気学会誌』第115巻第3号、電気学会、1995年、164-169頁、doi:10.1541/ieejjournal.115.164。
- ^ a b “【プレスリリース】パルスパワーを用いた新しいアニサキス殺虫方法を開発 ―アニサキス食中毒リスクのない刺身―”. 日本の研究.com. 2022年6月15日閲覧。
- ^ a b “世界初のアニサキス感電殺虫技術/ジャパンシーフーズと熊大など国支援事業で開発”. みなと新聞 電子版. 2022年6月15日閲覧。
参考文献
編集- 原 雅則・秋山 秀典:『高電圧パルスパワー工学』、森北出版(1991年)
- 八井 浄・江 偉華:『パルス電磁エネルギー工学』、電気学会(2002年)
- 秋山 秀典:『高電圧パルスパワー工学』、オーム社(2003年)
- 『電気学会125年史』、一般財団法人 電気学会(2013年)「A部門 2編 3章 パルス電磁エネルギー」
- 「パルスパワー技術入門」、プラズマ・核融合学会誌、講座、第87巻第1号(2011年1月)?第4号(2011年4月)
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_01/jspf2011_01-44.pdf
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_01/jspf2011_01-46.pdf
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_02/jspf2011_02-106.pdf
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_03/jspf2011_03-202.pdf
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_04/jspf2011_04-268.pdf
- http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2011_04/jspf2011_04-276.pdf