陸前国
1869年に陸奥国から分立した令制国
陸前国(りくぜんのくに)は、戊辰戦争終結直後に陸奥国から分立した、日本の地方区分の国の一つ。東山道に位置する。領域はほぼ現在の宮城県にあたるが、宮城県南部の亘理郡、伊具郡、刈田郡、角田市、白石市を欠き、岩手県南東部の気仙郡、陸前高田市、大船渡市、釜石市南部を含む。
領域
編集1869年(明治元年)の制定時の領域は、現在の宮城県から下記を除き、岩手県大船渡市・陸前高田市・気仙郡住田町および釜石市の一部(唐丹町)を加えた区域に相当する。
沿革
編集- 「旧高旧領取調帳」の記載によると、明治初年時点での陸奥国のうち後の陸前国内の支配は以下の通り(703村・701,407石余)。太字は当該郡内に藩庁が所在。国名のあるものは飛地領。
- 名取郡(61村・64,149石余) - 仙台藩
- 宮城郡(78村・75,435石余) - 仙台藩
- 黒川郡(49村・43,611石余) - 仙台藩
- 加美郡(38村・39,247石余) - 仙台藩
- 柴田郡(35村・30,527石余) - 仙台藩
- 遠田郡(58村・62,372石余) - 仙台藩
- 志田郡(64村・57,193石余) - 仙台藩
- 牡鹿郡(60村・14,927石余) - 仙台藩
- 桃生郡(65村・73,441石余) - 仙台藩
- 栗原郡(93村・136,492石余) - 仙台藩(有壁村・片馬合村を除く全域)、陸中一関藩(有壁村・片馬合村のみ)
- 登米郡(24村・41,791石余) - 仙台藩
- 玉造郡(21村・24,906石余) - 仙台藩
- 本吉郡(33村・21,682石余) - 仙台藩
- 気仙郡(24村・15,626石余) - 仙台藩
- 慶応4年9月24日(1868年11月8日) - 戊辰戦争後の処分により仙台藩が廃藩。
- 明治元年
- 明治2年
- 1月14日(1869年2月24日) - 戊辰戦争後の処分により一関藩が減封。国内の管轄地域が宇都宮藩取締地となる。
- 3月22日(1869年5月3日) - 宇都宮藩取締地が栗原県、土浦藩取締地が涌谷県を称する[1]。
- 7月20日(1869年8月27日) - 高崎藩取締地に桃生県を設置。
- 7月22日(1869年8月29日) - 白石藩が盛岡藩に再転封。
- 8月7日(1869年9月12日) - 旧白石藩領に白石県、涌谷県および栗原県の一部に登米県を設置。
- 8月12日(1869年9月17日) - 栗原県の残部が胆沢県の管轄となる。
- 8月13日(1869年9月18日) - 桃生県が石巻県に改称。
- 8月18日(1869年9月23日) - 花巻県が江刺県に編入。
- 11月27日(1869年12月29日) - 白石県が角田県に改称。
- 明治3年9月28日(1870年10月22日) - 石巻県が登米県に編入。
- 明治4年
- 明治5年1月8日(1872年2月16日) - 仙台県が宮城県に改称。
- 明治8年(1875年)11月22日 - 水沢県が磐井県に改称。
- 明治9年(1876年)
郡名 | 幕末 | 明治元年 | 明治2年 | 廃藩置県 | 第1次府県統合 | 第2次府県統合 | 現在 |
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柴田郡 | 仙台藩 | 白石藩 | 白石県→角田県 | 仙台県→宮城県 | 宮城県 | ||
名取郡 | 仙台藩 | 仙台県 | |||||
宮城郡 | |||||||
黒川郡 | |||||||
加美郡 | |||||||
玉造郡 | 一関県→水沢県→磐井県 | ||||||
志田郡(西部) | 仙台県→宮城県 | ||||||
志田郡(東部) | 土浦藩取締地(涌谷県[1]) | 登米県 | |||||
遠田郡 | |||||||
登米郡 | 一関県→水沢県→磐井県 | ||||||
栗原郡(東部) | 宇都宮藩取締地(栗原県[1]) | ||||||
栗原郡(西部) | 胆沢県 | ||||||
栗原郡(2村) | 一関藩 | ||||||
本吉郡 | 仙台藩 | 高崎藩取締地 | 桃生県→石巻県 | 登米県 | |||
牡鹿郡 | 仙台県→宮城県 | ||||||
桃生郡 | |||||||
気仙郡 | 松本藩取締地(花巻県[1]) | 江刺県 | 一関県→水沢県→磐井県 | 宮城県 | 岩手県 |
地域
編集郡
編集人口
編集明治5年 (1872年) の調査では、人口53万4609人を数えた。
脚注
編集参考文献
編集- 角川日本地名大辞典 4 宮城県
- 旧高旧領取調帳データベース