長居球技場
長居球技場(ながいきゅうぎじょう)は、大阪府大阪市東住吉区の長居公園内にある球技場。施設は大阪市が所有し、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)・セレッソ大阪の関連団体である一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブが指定管理者として管理を行っている。
長居球技場 ヨドコウ桜スタジアム | |
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施設情報 | |
所在地 | 大阪府大阪市東住吉区長居公園1 |
開場 | 1987年4月25日[1] |
拡張 |
2010年(第1期改修) 2014年(第2期改修) 2019年(第3期改修) |
所有者 | 大阪市 |
運用者 | 長居公園スポーツの森プロジェクトグループ |
グラウンド | 天然芝(118m×71m) |
ピッチサイズ | 105m×68m |
大型映像装置 | 電光掲示板(映像可) |
建設費 | 48億円[2] |
設計者 | IAO竹田設計・竹中工務店(第3期改修)[3] |
建設者 | 竹中工務店(第3期改修)[3] |
旧称 | |
キンチョウスタジアム (命名権・2010年8月1日 - 2018年12月31日) | |
使用チーム、大会 | |
#開催された主なイベント・大会を参照 | |
収容人員 | |
24,481人 | |
アクセス | |
長居陸上競技場#アクセスを参照 |
セレッソ大阪とジャパンラグビーリーグワン(リーグワン)に加盟するレッドハリケーンズ大阪がそれぞれホームスタジアムとしている。
2021年4月1日以降は淀川製鋼所の命名権行使により「ヨドコウ桜スタジアム」(ヨドコウさくらスタジアム)の呼称を用いている(後述)。
概要
編集1987年に野球場以外では日本初となる全面に人工芝を張った球技場として開場した。フィールドホッケー、アメリカンフットボールの関西学生リーグおよびXリーグ、地域大会レベルのサッカーの試合会場として利用されてきた。
2010年にセレッソ大阪のホームスタジアムとする前提で同クラブが主体となって実施した改修工事により天然芝に張り替えられ、サッカー、ラグビーでも使用されるようになった。一方、フィールドホッケーの競技フィールドは人工芝であることが事実上必須になっているなど人工芝の球技場は必要であり、長居球技場の天然芝化と同時進行で、1997年に靱蹴球場の代替施設となる天然芝の球技場として開場した鶴見緑地球技場が人工芝に張り替えられた。
天然芝化後も数度にわたる改修工事が実施され、2021年4月1日に収容人員2万5000人規模のスタジアムに拡張された(詳細後述)。2012年および2013年のJリーグアウォーズではJリーグベストピッチ賞を受賞している。
指定管理者制度が導入されており、2015年までは一般財団法人大阪スポーツみどり財団・美津濃株式会社・三菱電機ビルテクノサービス株式会社による「長居公園スポーツみどり振興グループ」が[4]、2020年までは公園内の他の施設共々一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ・一般財団法人大阪スポーツみどり財団・株式会社NTTファシリティーズ・関西ユニベール株式会社・シンコースポーツ株式会社・モリタスポーツ・サービス株式会社・タイムズ24株式会社で結成された「長居公園スポーツの森プロジェクトグループ」が運営管理を行っていた[5] が、大規模改修を機に2021年4月1日からの30年契約で一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ単独による指定管理となった[6]。
施設
編集以下の記述は、2016年現在の、第二期改修工事が完了した時点でのスペックである[7]。
- ピッチはサッカー使用時には全面天然芝(118 m×71m)で、周囲に人工芝が貼られている。天然芝ピッチは北側に寄せられており、スタンドとの最短距離は7m。
- 収容人員は19,628人。メインスタンド・バックスタンド・南サイドスタンドは椅子席で、北サイドスタンドは立ち見席。屋根はメインスタンド一部のみ。
- LED式電光掲示板が南側サイドスタンドに設けられている。照明設備は、メインスタンド側に屋根一体型のものが、バックスタンド側に照明塔が3基設置されている。
改修工事
編集第一期工事
編集2009年にC大阪が施設所有者の大阪市に長居球技場のホームスタジアム化と、それに伴う改修工事を提案。同年11月6日に市との協議開始が公表された[8]。具体的には、以下の工事をセレッソ大阪の運営母体である大阪サッカークラブが工事主体となって施工した上で、完成後に大阪市に寄贈する、というスキームで実施された[7]。
- フィールドを人工芝(156m×87.5m)から天然芝(118 m×71m)へ全面改修(人工芝から天然芝への改修は当時ほとんど前例のない工事であった)。ただし、アメリカンフットボールでの使用も想定し、周囲に人工芝のスペースも確保した。
- 北側サイド(ゴール裏)に928人収容の立ち見席を新設し、上部に防音壁を設置。
- メインスタンド内に更衣室2箇所、湯沸し室、ドーピングルームを整備、女子トイレの改修。
- バックスタンドの観客席を改修。
工事(設計期間含む)は同年8月から約1年をかけて行われ、総工費は1億6千万円。収容人員が20,000人から20,500人に増えた。
第二期工事
編集第二期工事は2012年と2013年のシーズンオフに実施された。具体的な工事内容は以下の通り[7]。
- 南側サイドスタンドを芝生席から椅子席に変更。
- 北側サイドスタンド(立見席)の増設
- バックスタンドのトイレ増設
- メインスタンド・バックスタンドの座席を背もたれ・カップホルダー付きに改修。
総工費は5億3200万円で、一部の費用はスポーツ振興くじ助成事業を充当している。座席の快適化もあって収容人員は若干減少している。
第三期工事
編集2015年9月29日、C大阪は長居球技場の育成型複合スタジアム化改修計画「セレッソの森スタジアム構想」を発表する[9]。具体的には、以下の大規模改修を実施し、スタジアムの規格をJリーグクラブライセンス制度におけるスタジアム基準を満たすものに拡張改修するというもので、完成後は本拠地を長居球技場に完全移行する方針と報じられている[10]。
- 既存建築物を最大活用した継続的な改修を行うべく、従来のメインスタンドはほぼそのまま活用し、北サイドスタンドの拡張を実施。バックスタンド・南サイドスタンドは全面改築(改築後のバックスタンド側を新たなメインスタンドとし、南サイドスタンドをホーム側に入れ替え)とし、併せて屋根を新設。また、スタンド外壁の緑化と国産木材の使用を想定。
- 「日本一の親近感」を目指し、敷地の狭さ(バックスタンド後方にJR阪和線の高架線が通過するため拡張用地が取れない)を逆手に取り、バックスタンドを三層化した上で角度をつけて臨場感を追求。
- 「地域のための都市型スタジアム」をめざし、防災拠点としても活用できる改修を実施。
以上の改修により、収容人員40,000人規模のスタジアムを目指すという。2018年シーズンオフからの着工で総工費は約50億円を見込み、費用は補助金を活用するほか、クラウドファンディングやふるさと納税などを活用した寄付を募る形を想定した。
2017年3月15日に「桜スタジアム建設募金団体」を設立し、「セレッソの森スタジアム構想」改め「桜スタジアムプロジェクト」として66億円を目標に募金活動を始めることを発表した。「桜スタジアム」は現在の1万8007人から25,000人収容のサッカー・アメフト・ラグビー専用スタジアムで2021年の完成を目指す[11]。
2018年10月5日、第三期改修工事の最終イメージパースが公表された[12]。当初の構想時点よりいくつかの変更点が加えられている[13]。
- 近隣への騒音問題から、ホームとアウェイの入れ替えを取りやめ、当初そのまま活用する予定としていた北側サイドスタンドを増席して屋根を設置し、南側サイドスタンドは増席はするものの、大型映像装置を含めて基本的に現状のまま屋根なしとする。
- 当初はAFCチャンピオンズリーグ (ACL) 規格への対応を想定していなかったが、ACL規格適合を考慮し、現在立見席の両サイドスタンドに座席を設置。
これらの措置により収容人員規模が縮小され、改修後の収容人数は約25,000人となる。翌2019年2月より工事着工、2021年4月1日に竣工式を行った。
セレッソ大阪の試合としては2021年6月9日開催の天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会2回戦・ガイナーレ鳥取戦でこけら落としとなった[14]。
J1リーグにおいては2021年1月22日に発表された2021年シーズンの当初の日程で、同年6月19日のJ1第18節・徳島ヴォルティス戦で完成後初の公式戦となる予定であったが[15]、同年3月31日に発表された試合日程変更により、同年7月17日のJ1第20節・ヴィッセル神戸戦が完成後初のJ1公式戦となった[16]。
一方で、老朽化したバックスタンドや屋根が未設置のアウェイゴール裏の改修については、施設所有者である大阪市の財政との兼ね合いがあり当分は行われないとみられる。
開催された主なイベント・大会
編集サッカー
編集国内大会
編集- セレッソ大阪(含・U-23)のJリーグ公式戦(ホームゲーム開催数は当項目(トップチーム)・(U-23チーム)を参照)
- FC大阪の日本フットボールリーグ公式戦(- 2018年・ホームゲーム開催数は当項目を参照)
- セレッソ大阪堺レディースの日本女子サッカーリーグ公式戦
- 天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会
- Jリーグカップ
- 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント
- 関西学生サッカーリーグ公式戦
- 関西サッカーリーグ公式戦
- 大阪サッカー選手権大会他
国際大会
編集- オリンピック予選
- 2016年2月29日 - 3月9日:リオデジャネイロオリンピック女子サッカー・アジア最終予選[17]
- 2023年11月18日・19日:2024年パリオリンピックのラグビー競技・アジア予選[18]
- サッカー日本代表強化試合
- 2014年5月8日:日本女子代表×ニュージーランド女子代表(初の国際Aマッチ)[19]
- 2021年7月12日:キリンチャレンジカップ2021 U-24日本代表×U-24ホンジュラス代表[20]
- 2023年3月28日 : キリンチャレンジカップ2023 日本代表×コロンビア代表(初の男子国際Aマッチ)[21]
その他
編集- ジャパンラグビートップリーグ公式戦
- Xリーグ(社会人アメリカンフットボールリーグ)公式戦
- 関西学生アメリカンフットボール連盟公式戦
- 西日本6人制ホッケー選手権大会(-2010年)
- NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 (ジャパンラグビーリーグワン) 主催試合
命名権
編集大阪市と大阪サッカークラブ(セレッソ大阪)が共同で命名権の募集を行い、2010年7月に大阪市に本社を置く大日本除虫菊が長居球技場の命名権を年額3,600万で取得した。契約期間は2010年8月1日 - 2013年12月31日の3年5か月で、契約により同社の商標名を冠した「キンチョウスタジアム」(略称:「金鳥スタ」)の呼称となった[2][22]。2013年12月、大阪市は大日本除虫菊と命名権契約を更新した。契約期間は2014年1月1日 - 2016年12月31日の3年間で条件は前回と同様である[23]。その後再び契約期間が延長されたが、2018年12月31日を以てネーミングライツパートナー協定が満了となった[24]。
2020年12月26日、長居球技場を含む長居公園の指定管理者でもあるセレッソ大阪が、鋼板・エクステリア商品の製造販売を手がける淀川製鋼所(ヨドコウ)と包括的パートナーシップ契約を締結した。契約期間は2021年4月から5年間で、契約の中で本競技場の命名権を取得し、新たな名称を「ヨドコウ桜スタジアム」(略称:「ヨドコウ」)とすることを発表した[25]。また、新メインスタンドの北ゲートについては、事務機器等の製造販売を行うナカバヤシと新たに命名権契約を締結し、「ナカバヤシゲート」とした[26] ほか、同南ゲートにはホームセンター事業を行うコーナン商事と命名権契約を締結し、「コーナンゲート」とした[27]。2023年9月1日以降は学校法人森ノ宮医療学園と新たに命名権契約を行い、メイン南ゲートの呼称を「森ノ宮医療大学ゲート」に改めている[28]。
なお、大会のライセンス等の兼ね合いで命名権が使用できない試合では、命名権を外した名称を使用する可能性があるが、2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピック女子サッカー・アジア最終予選においては、会場名は命名権適用後の「キンチョウスタジアム」の名称が案内されていた[29]。
公園内その他の施設
編集- 大阪市立長居植物園
- 大阪市立自然史博物館
- ヤンマースタジアム長居
- ヤンマーフィールド長居
- 大阪市長居障害者スポーツセンター
- ユースホステル(ヤンマースタジアム3階)
- 長居相撲場 他
アクセス
編集フォトギャラリー
編集-
第1期時の長居球技場(2006年11月)。フィールドは人工芝であった。
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第2期の長居球技場(2010年8月)
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長居球技場の外観(正面。2010年8月)
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第2期・メインスタンドからピッチを臨む(2014年4月)
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スコアボード
関連項目
編集出典
編集- ^ “長居公園HISTORY”. 長居公園公式サイト. 一般財団 大阪スポーツみどり財団. 2022年4月7日閲覧。
- ^ a b 『長居球技場のネーミングライツパートナーが決定しました』(プレスリリース)大阪市、2010年7月1日 。2013年7月15日閲覧。
- ^ a b “竹中工務店/ECMカラーコンクリで色鮮やかなピンク実現/長居球技場改修に採用”. 日刊建設工業新聞. (2020年12月11日) 2020年12月27日閲覧。
- ^ 長居公園及び長居陸上競技場ほか7施設の指定管理予定者選定委員会の選定結果について (PDF) 大阪市建設局公園緑化部 2014年5月16日
- ^ 長居公園、長居陸上競技場及び長居公園地下駐車場ほか6施設の指定管理予定者の選定結果について (PDF) - 大阪市建設局公園緑化部 2015年9月28日
- ^ “長居球技場の指定管理予定者の選定結果について”. 大阪市. (2020年12月28日) 2021年4月9日閲覧。
- ^ a b c “改修工事”. セレッソ大阪. 2016年12月5日閲覧。
- ^ 『長居球技場のホームスタジアム化について』(プレスリリース)セレッソ大阪、2009年11月6日 。2016年12月5日閲覧。
- ^ 『キンチョウスタジアムの育成型複合スタジアム化改修に関して』(プレスリリース)セレッソ大阪、2015年10月3日 。2015年10月9日閲覧。
- ^ “C大阪社長「国際基準のスタジアム」本拠地を改修”. 日刊スポーツ. (2015年9月29日) 2022年4月7日閲覧。
- ^ 『「桜スタジアム建設募金」受付開始のお知らせ』(プレスリリース)セレッソ大阪、2017年3月15日 。2017年3月16日閲覧。
- ^ 『桜スタジアム最新パース決定のお知らせ』(プレスリリース)セレッソ大阪、2018年10月5日 。2019年1月10日閲覧。
- ^ 「桜スタジアム建設募金団体説明会のご報告」『桜スタジアムプロジェクト』2018年7月9日 。2019年1月14日閲覧。
- ^ “天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会について”. セレッソ大阪 (2021年4月2日). 2021年5月24日閲覧。
- ^ “2021シーズンの日程が発表【Jリーグ】”. J.LEAGUE.jp (2021年1月22日). 2021年1月22日閲覧。
- ^ “2021明治安田生命J1リーグ 試合日程変更のお知らせ”. セレッソ大阪 (2021年3月31日). 2021年4月2日閲覧。
- ^ “女子サッカー アジア最終予選(リオデジャネイロオリンピック2016)”. 日本サッカー協会. 2015年12月1日閲覧。
- ^ 『(11/2更新)【会場変更】「男女7人制ラグビーアジア予選」日本開催決定のお知らせ』(プレスリリース)日本ラグビーフットボール協会、2023年11月2日 。2024年2月2日閲覧。
- ^ 2014/5/8(水) vsニュージーランド女子代表 大阪/キンチョウスタジアム 日本サッカー協会「なでしこジャパン」オフィシャルサイト
- ^ キリンチャレンジカップ2021 [7/12] 日本サッカー協会
- ^ “SAMURAI BLUE、1-2でコロンビア代表に敗れる〜キリンチャレンジカップ2023〜”. JFA (2023年3月28日). 2023年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月29日閲覧。
- ^ 長居球技場のネーミングライツパートナー決定のお知らせ 2010年7月1日
- ^ 『大日本除虫菊株式会社とネーミングライツ契約を更新します』(プレスリリース)大阪市、2013年12月27日 。2014年4月16日閲覧。
- ^ 『長居球技場ネーミングライツパートナー協定の満了について』(プレスリリース)大阪市、2018年12月19日 。2019年1月10日閲覧。
- ^ 『株式会社淀川製鋼所・セレッソ大阪包括的パートナーシップ契約締結のお知らせ』(プレスリリース)セレッソ大阪、2020年12月26日 。2020年12月26日閲覧。
- ^ 『ナカバヤシ株式会社とのヨドコウ桜スタジアム「メインスタンド北ゲート」の入場ゲート呼称権の契約締結について』(プレスリリース)セレッソ大阪、2021年4月2日 。2021年4月7日閲覧。
- ^ 『コーナン商事株式会社とのヨドコウ桜スタジアム「メインスタンド南ゲート」の入場ゲート呼称権の契約締結について』(プレスリリース)ヨドコウ桜スタジアム、2021年6月8日 。2022年1月9日閲覧。
- ^ 『学校法人森ノ宮医療学園とヨドコウ桜スタジアムパートナー契約締結のお知らせ』(プレスリリース)ヨドコウ桜スタジアム、2023年9月1日 。2024年6月12日閲覧。
- ^ “Schedule & Results”. アジアサッカー連盟. 2015年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月8日閲覧。
- ^ a b “セレッソ大阪 スタジアム”. 日本プロサッカーリーグ. 2022年4月7日閲覧。
外部リンク
編集座標: 北緯34度36分55.38秒 東経135度30分59.96秒 / 北緯34.6153833度 東経135.5166556度