酸化銅(I)(さんかどう いち、: copper(I) oxide)は化学式 Cu2O で表される酸化物で、赤色ないし赤褐色の結晶または結晶性粉末。CAS登録番号は [1317-39-1]。にほとんど溶けない。希塩酸及び希硫酸塩化アンモニウム溶液アンモニア水に可溶。有機溶媒に不溶。融点は1232 °Cで、1800 °Cで分解して酸素を失う。乾燥空気中で安定であるが湿った空気中では徐々に酸化され酸化銅(II)に変わる。フェーリング反応に陽性の物質は、フェーリング液還元し酸化銅(I)を沈殿させる。類似した用途に使われるベネジクト液も、同様の反応を起こす。濃塩酸に溶けて ジクロロ銅(Ⅰ)酸を生成する。

酸化銅(I)
識別情報
CAS登録番号 1317-39-1
KEGG C18714
特性
化学式 Cu2O
モル質量 143.09
外観 赤色ないし赤褐色の結晶または結晶性粉末
密度 6.040, 固体
融点

1235

沸点

1800 (分解)

関連する物質
その他の陰イオン 塩化銅(I)
臭化銅(I)
ヨウ化銅(I)
硫化銅(I)
硫化銅(II)
その他の陽イオン 酸化ニッケル(II)
酸化亜鉛
関連物質 酸化銅(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化銅(I)は整流作用を持つ物質であり、シリコンが標準となるよりかなり前の1924年に、酸化銅(I)を使用した整流ダイオードが作られ、産業的に利用されていた。天然では赤銅鉱として産出する。赤銅鉱は宝石にも利用される鉱物である。

航行中の摩擦抵抗の増加による燃費の悪化を招くフジツボ付着を防止する作用があり、有機スズ化合物に比べ毒性が低いため船底塗料に使用される[1]が、異種金属間のガルバニック腐食が生じるためアルミニウム艇には使用できず、繊維強化プラスチック、木製の船底に採用される[2]

糖検出試薬との関係

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(共に還元性の糖などにより酸化銅(I)の赤褐色沈澱を生ずる)

脚注

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  1. ^ 沖野龍文「船にフジツボをつけない技術」北海道大学大学院地球環境科学研究院平成20年度公開講座 ヒトと地球にやさしい化学技術. 平成20年8月19日~9月30日. 札幌市、2008年9月。 
  2. ^ 船底塗料の種類 - 日本ペイントマリン株式会社、

関連項目

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