遠江

かつての令制国の遠江国にほぼ相当する現在の静岡県西部地方を指す時の呼称
遠州地方から転送)

遠江(とおとうみ)は、かつての令制国遠江国およびその後の浜松県、そしてその領域にほぼ相当する現在の静岡県西部地方を指す時の呼称。遠州(えんしゅう)とも呼ばれる。この記事では現在の静岡県遠州地方について述べる。令制国時代の遠江地方に関しては遠江国の記事を参照。

駿河地方焼津上空から御前崎方面を望む。画面中央が大井川河口で、上半分が遠江。

現代の遠江地方

編集
遠州地方のデータ
日本
地方 中部地方東海地方
面積 2,544.10km2
推計人口 1,456,665
(2024年7月1日)
榛原郡の内、大井川鉄道井川線の沿線を除く。

特徴

編集

太平洋フィリピン海遠州灘))に面し、俗に遠州地方と呼ばれる事も多い。糸魚川静岡構造線よりも西側。

のいずれかを指す。

自治体

編集
自治体 県の地方区分 地域 方言区画 総合庁舎 都市雇用圏 大都市圏 広域圏/広域都市圏 備考
浜松市天竜区 西部(遠州)地方 北遠 西部方言 北遠 浜松 静岡・浜松大都市圏 三遠南信 政令指定都市
浜松市中央区・浜名区 西遠 浜松
湖西市
磐田市 中遠 中遠
袋井市
周智郡森町
掛川市 東遠/南遠 中部方言 掛川
菊川市
御前崎市 合併以前は旧御前崎町エリアは中部地方であった
牧之原市 中部地方 志太榛原 藤枝 静岡・浜松大都市圏 しずおか

中部連携 中枢都市圏

大井川以西
榛原郡吉田町
榛原郡川根本町の一部 大井川以西のエリア
島田市の一部 島田 静岡・浜松大都市圏 大井川以西又は栃山川以西のエリア
焼津市の一部 静岡 栃山川以西のエリア
藤枝市の一部

自然

編集

天竜川に沿って中央構造線が走っており、中央構造線の沿線に山々が
列んでいる。気候では、からっ風が吹く地方としても知られる。

産業

編集
 
牧之原の茶畑
農業(代表的農産物)
工業
浜松市は、楽器バイクの生産で有名である。ただし、ヤマハ発動機は、当初は旧浜北市(現在の浜松市浜名区)に本社を置いていたが、後に磐田市に本社を移転した。
繊維

祭事

編集
 
掛川で使用される二輪屋台
  • 遠州では、山車のことを屋台と呼ぶ(掛川市横須賀地区では祢里と呼ぶ)。屋台には花屋台御殿屋台があるが、御殿屋台の方が遠州全域に広まっており、花屋台は少数派である。
  • 屋台の文化が発展している反面、神輿の文化は殆どなく、屋台引き回しと平行で小規模に行うところ、神輿自体出さない(或いは無い)ところが殆どである。
  • 遠州には、初子祝いで初凧を揚げる文化があるが、浜松市を除き衰退してしまっている。浜松市の浜松まつりは現在でも初凧の文化を継承している。
  • 西遠地区を中心に練りという文化があるが、それは浜松まつりの影響を受けている。詳細は、浜松まつり#練りを参照。
  • 浜松市内各所では祭事の際にラッパ隊という老若男女がラッパを演奏する。こちらも浜松まつりの影響を受けている。詳細は、ラッパを参照。
  • 西遠地区の一部(主に浜名湖岸)では手筒花火の文化が存在する。
  • 花火の一環として地割れ花火の文化も遠州各地に点在する。

現在の交通網

編集
 
静岡空港牧之原市
 
浜松駅浜松市中央区
 
三ヶ日JCT浜松市浜名区
 
御前崎港御前崎市
鉄道
東海旅客鉄道(JR東海)
日本貨物鉄道(JR貨物)
  • 東海道本線
遠州鉄道(遠鉄)
天竜浜名湖鉄道(THR)
主なバス会社(わずかな乗り入れ、高速バス等は除く)
主な道路
高速道路
国道
空港

メディア

編集

県紙の静岡新聞の影響力がやや強いが、西遠地区を中心として、浜松市で編集発行されている中日新聞東海本社の影響も強い。

名古屋系の夕刊紙も販売されているが、全国紙では読売新聞社毎日新聞社産経新聞社東京本社のエリアとなっている。

名古屋系の朝夕刊紙
名古屋系の夕刊紙

派生用語

編集
  • ふぐ料理において、外の皮(鮫皮)とフグの身の間にある内の皮をとおとうみという。これは身と皮三河)に近い事からの駄洒落である。

地区

編集
北遠(ほくえん)
北部。浜松市天竜区。広義では川根本町大井川以西(大井川以東は駿河)を含む。
全体的に観光名所や森林が多い。
西遠(せいえん)
天竜川以西。浜松市(天竜区以外)と湖西市
工業地区。
中遠(ちゅうえん)
天竜川以東の中部地区。磐周とも呼ばれる。磐田市袋井市森町
東遠と合わせて「中東遠」や「中遠」と呼ぶ場合もある。
東遠(とうえん)
東部。主に掛川市菊川市御前崎市の旧浜岡町地区の三市。
旧遠江国の榛原郡エリアを含むこともある。
南遠(なんえん)
南東部の遠州灘沿い。御前崎市。掛川市の(旧大東町大須賀町エリア)を含むこともある。
榛南地域と共に「榛南・南遠広域」として発展してきた歴史がある。
御前崎灯台などが立地する。

脚注・出典

編集

関連項目

編集