貝層
人為的、または自然に貝殻が堆積したもの
貝層(かいそう)とは、地中に貝類が堆積して貝殻による層をなしたもの。過去人類の活動によって形成された「人為貝層」(いわゆる「貝塚」)と、太古の海に生息していた貝類の死骸が海底に堆積して形成された「自然貝層」がある[1]。
人為貝層
編集過去人類が食用等の目的で採取し、集落内外の捨て場に遺棄したもので、「貝塚」とよばれる遺跡を構成する。主に考古学の研究対象となる。人為貝層は、遺跡を構成する土層の一種であり、かつそれ自体が遺構でもある。ハイガイやハマグリ、アサリ、ヤマトシジミ、マガキ、アワビ、サザエなど様々な食用貝類からなり、太古の人類(縄文時代人や弥生時代人など)の食生活や環境を知るための重要な考古資料となる。
考古学では貝類の密度に応じて以下のように分類されている[1]。
- 純貝層(じゅんかいそう):ほぼ貝殻のみで形成される層。
- 混土貝層(こんどかいそう):土より貝殻の割合が多い層。
- 混貝土層(こんかいどそう):貝殻より土の割合が多い層。
人為貝層の例
編集→「日本の貝塚一覧」または「Category:日本の貝塚」を参照
自然貝層
編集太古の海に生息していた貝類が死んだ後、海底土砂と共に地層化したもので、多くは化石と化している。 主に地質学・古生物学の研究対象となる。隆起により陸地化した場合、地層の露頭などで観察され、古環境復元の研究などで活用される。国や地方自治体によって天然記念物に指定されているものもある。
自然貝層の例
編集脚注
編集参考文献
編集- 金子浩昌「貝層」『新日本考古学小辞典』(江坂輝彌・芹沢長介・坂詰秀一編)ニュー・サイエンス社 2005年 pp.70 NAID BA72195827