鶴岡市文化会館
鶴岡市文化会館(つるおかしぶんかかいかん)は、山形県鶴岡市に所在するホール。ネーミングライツによる愛称は、荘銀タクト鶴岡。
鶴岡市文化会館 「荘銀タクト鶴岡」 SHOGIN TACT Tsuruoka | |
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情報 | |
通称 |
荘銀タクト鶴岡 タクト鶴岡 |
正式名称 | 鶴岡市文化会館 |
完成 | 2017年8月 |
開館 | 2018年3月18日 |
客席数 |
大ホール (固定1,120席 多目的鑑賞室15席)[1] |
延床面積 | 7,846.12[1]m² |
用途 | 劇場 |
運営 | タクトつるおか共同企業体 |
所在地 |
〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町11-1 |
位置 | 北緯38度43分32.3秒 東経139度49分36.5秒 / 北緯38.725639度 東経139.826806度座標: 北緯38度43分32.3秒 東経139度49分36.5秒 / 北緯38.725639度 東経139.826806度 |
最寄バス停 | 「市役所前停留所」下車徒歩1分 |
最寄IC | 山形自動車道「鶴岡IC」下車 |
特記事項 |
敷地面積 13,096.84㎡ 建築面積 5,756.35㎡ 駐車場 153台(うち障害者用4台) 構造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 杭基礎 設計管理 妹島・新穂・石川共同体 施工 竹中工務店・菅原建設・鈴木工務店JV[1] |
概要
編集旧文化会館は鶴岡市における芸術文化活動の拠点として1971年に開館した。しかし、歳月の経過から施設の老朽化が目立ち、改修もしくは改築による再整備が喫緊の課題となった[2]。
市は、2010年11月に文化会館整備に関する庁内検討会議を設置し、整備方法や建設地、スケジュールについての検討を開始するが、改修では十分な耐震性能の実現は困難であること、たとえ改修を実施したとしても、その数年後には再改修が避けられないことがなど分かった。このため市は改築による再整備の方針を決めた[2]。
建設地に関しては、現在地や旧荘内病院跡地、別の市有用地などが候補地として検討され、市は鶴岡アートフォーラムや庄内藩の藩校であった致道館、さらに鶴岡タウンキャンパス(慶應義塾大学先端生命科学研究所、致道ライブラリー、東北公益文科大学大学院)等の文教施設が集積していること、加えて、同じ場所での建て替えなら施設解体費に合併特例債を活用できることなどから、2011年5月に現在地での改築(建て替え)を決定した[3]。同年6月には有識者等や公募による市民からなる鶴岡市文化会館整備検討委員会が設置され、基本計画について協議を行い、その協議を踏まえ、2012年3月に鶴岡市文化会館整備基本計画を策定した[2]。
新会館の設計はプロポーザル方式で公募され、全国から広く提案を求めるとともに、市内設計業者の参加を促すために代表企業枠とは別に市内企業専用枠を設けた。審査の結果、代表企業枠に妹島和世建築設計事務所、さらに市内企業専用枠には新穂建築設計事務所と石川設計事務所が決まった。これに則り、市は2012年8月6日に妹島・新穂・石川設計共同企業体と文化会館改築設計業務委託契約を締結した[2]。設計にあたっては、市民の声を反映させるために設計者のほか関係者らが、市民に説明会やワークショップを開き、設計者と市民の間で新会館のイメージを具体化させ、何度も模型を製作し、検討を重ね基本設計を固めた。外観や景観に関しても、ワークショップや説明会を開き、市民の意見も公募し、それらを設計に反映させた。そして、市景観審議会が「市街地環境上支障がなく、良好な景観形成が図られる」との結論を出したこと得て、2013年3月に基本設計が完了した[2]。
2014年2月、旧会館の解体工事が着手され、同年3月には市内のAランク4~5社による3共同企業体の参加によって、新会館改築工事の入札が執行されるが、3共同企業体がすべて応札を辞退し不調に終わった。不調に終わった主因として震災の復興需要などに伴う工賃高騰に加え、世界的建築家によるデザインが複雑で業者が二の足を踏んだことも背景にあると見られると報じられた[4]。この後、2回執行された入札も不調に終わったため、市は工期および入札資格等の再検討に入り、同年8月22日には本体工事費を78億90百万円とする補正予算が臨時市議会で承認された[2]。これを受けて、4回目の入札が執行され、同年9月30日に竹中工務店東北支店を代表者とする竹中工務店・菅原建設・鈴木工務店特定建設工事共同企業体が78億84百万円で落札し、市と共同企業体は2017年8月31日までを工期とする文化会館改築工事契約を締結した[2]。
3度にわたって入札が成立しなかったため、市はそのたびに工費を増額したため、総事業費は86億円に膨らんだ。さらに2017年2月に、屋根のコンクリート仕上げや、労務単価の高騰等によって、総事業費はさらに嵩み96億7600万円に達することが判明した。これによって、2012年の基本計画で45億円とした新会館整備事業費は当初計画の2倍を超えた。記者会見で榎本政規市長は「何十年、百年に一度の改築。優れた建築物として出来上がりつつあり、やむを得ない」と理解を求めた[5]。なお、整備には合併特例債を活用しているため市の実質負担は30億円程度に収まる[6]。
新会館は2017年8月に完成[7]。同年9月1日には、鶴岡に本店を置く荘内銀行が命名権を取得し「荘銀タクト鶴岡」と決まった愛称の使用が開始され[8]、同月30日には竣工式を挙行[9]。2018年3月18日にNHK交響楽団とソリストのピアノに仲道郁代を迎え、こけら落し公演が行われグランドオープンした[10][11]。
新会館は文教施設に隣接するため、周辺景観・歴史的建造物との調和、周囲の山々への眺望保全に配慮したデザインとし、音響設備では、近隣においても山形テルサ(山形市)や希望ホール(酒田市)、響ホール(庄内町)といったホールの設計を手掛けた永田音響設計の設計を反映している[2]。また、大ホールの緞帳は日本画家千住博の滝をモチーフにした作品「水神」のデザインをもとに、山辺町に本社を置く宮内庁御用達のじゅうたんメーカーであるオリエンタルカーペットが制作にあたった[12]。
沿革
編集設備
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脚注
編集出典
編集- ^ a b c “荘銀タクト鶴岡の魅力を紹介します(リーフレット)”. 鶴岡市 (2017年10月4日). 2017年10月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 「鶴岡市文化会館改築整備事業特集号」『広報つるおか』、鶴岡市総務部総務課、2014年11月、2017年10月1日閲覧。
- ^ “文化会館 現在地で改築”. 荘内日報. (2011年6月1日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ 「リポートやまがた デザイン複雑、応札なし 鶴岡市新文化会館」『朝日新聞』山形版 2014年4月6日
- ^ “鶴岡市 文化会館事業費96億円 当初計画の2倍超え 市長、理解求める /山形”. 毎日新聞. (2017年2月22日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “鶴岡文化施設、膨らむ事業費 与党会派不満あらわ”. 河北新報. (2017年3月26日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “新文化会館「荘銀タクト鶴岡」 市民向け完成内覧会”. 荘内日報. (2017年9月1日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “新文化会館、荘銀が命名権者に 鶴岡市が整備、ロゴマークも発表”. 山形新聞. (2017年9月1日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “芸術文化新たな拠点 「荘銀タクト鶴岡」竣工祝う”. 荘内日報. (2017年10月1日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “「荘銀タクト鶴岡」グランドオープン N響が新会館の誕生を華やかに飾る”. 荘内日報. (2018年3月20日) 2018年3月31日閲覧。
- ^ “「荘銀タクト鶴岡」こけら落とし 来年3月18日 N響公演決定”. 荘内日報. (2017年9月23日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “巨大緞帳、仕上げ作業を公開 オリエンタルカーペット、鶴岡の新文化会館用に”. 山形新聞. (2017年8月25日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “新文化会館の愛称が決まりました”. 鶴岡市 (2017年2月8日). 2017年10月22日閲覧。
参考文献
編集- 鶴岡市 著、鶴岡市教育委員会社会教育課 編『鶴岡市文化会館整備基本計画』(PDF)(レポート)2012年3月 。2016年3月20日閲覧。