臭化バリウム
臭化バリウム(しゅうかバリウム、英: Barium bromideはバリウムの臭化物で、化学式BaBr2で表される無機化合物。性質は塩化バリウムに似ており、水溶液は毒性を有する。
臭化バリウム | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 10553-31-8, (無水物) 7791-28-8 (二水和物) |
特性 | |
化学式 | BaBr2 (無水物) BaBr2·2H2O (二水和物) |
モル質量 | 297.14 g/mol |
外観 | 白色の個体 |
密度 | 4.78 g/cm3 (無水物) 3.58 g/cm3 (二水和物) |
融点 |
857 ℃ |
沸点 |
1835 ℃ |
水への溶解度 | 92.2 g/100 mL (0℃) |
その他の溶媒への溶解度 | メタノールに易溶、アセトンに微溶(無水物) |
構造 | |
結晶構造 | 斜方晶系, oP12, SpaceGroup = Pnma, No. 62 |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−181.1 kcal/mol |
危険性 | |
EU分類 | 有害性 (Xn) |
Rフレーズ | R20, R22 |
Sフレーズ | S28[1] |
引火点 | 不燃性 |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | フッ化バリウム 塩化バリウム ヨウ化バリウム |
その他の陽イオン | 臭化カルシウム 臭化ストロンチウム 臭化鉛 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
構造及び性質
編集結晶構造は塩化鉛に似た白色の斜方晶系、潮解性がある[2]。硫酸を加えると、硫酸バリウムの沈殿を生じる。
生成
編集硫化バリウムまたは炭酸バリウムと臭化水素酸との反応により生じる。
用途
編集写真現像に使用される臭素化合物の合成原料として使用される。かつてはキュリー夫妻により、ラジウムの精製に使われた。臭化バリウム溶液中ではラジウムは優先的に沈殿し、沈殿物中のラジウムの濃度は溶液中の濃度より高くなった[4]。
安全性
編集他の水溶性バリウム化合物と同様に、摂取すると消化器系などにバリウム中毒の症状が生じる[5]。
法規制
編集日本では毒物及び劇物取締法及び毒物及び劇物指定令によりバリウム化合物として劇物に指定されている。他に、バリウム化合物として大気汚染防止法の、バリウムの水溶性化合物として労働安全衛生法、PRTR法の規制を受ける。
脚注
編集- ^ https://fscimage.fishersci.com/msds/10358.htm
- ^ Brackett, Elizabeth B.; Breackett, Thomas E.; Sass, Ronald L. (December), “The Crystal Structures of Barium Chloride, Barium Bromide, and Barium Iodide.”, The Journal of Physical Chemistry, 67 (1963発行), pp. 2132 2007年12月3日閲覧。
- ^ Patnaik, Pradyot (2003), Handbook of Inorganic Chemical Compounds, McGraw-Hill Professional, pp. 81–82, ISBN 0070494398 2007年12月3日閲覧。
- ^ Sime, Ruth Lewin (1996), Lise Meitner: A Life in Physics, University of California Press, pp. 233, ISBN 0520208609 2007年12月3日閲覧。
- ^ 製品安全データシート(純正化学)