米沢唯
米沢 唯(よねざわ ゆい、1987年[1]3月31日 - )は、東京生まれ[2]・名古屋育ちのバレリーナ[注釈 1]。2010年秋から東京の新国立劇場バレエ団に所属する。現在の階級はプリンシパル[3]。
よねざわ ゆい 米沢 唯 | |
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USA国際バレエコンクールの授賞式にて (2006年) | |
生誕 |
1987年3月31日(37歳) 日本・東京都 |
出身校 | 塚本洋子バレエスタジオ |
職業 | バレエダンサー |
経歴
編集演出家竹内敏晴の娘として東京に生まれる[4]。両親はともに再婚で、「米沢」は母親の姓だった。3歳のころ名古屋市に移り住み[4]、まもなく塚本洋子バレエスタジオで習い始めた[5]。
2003年2月、愛知淑徳高校1年生のとき、ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝に進出した。入賞は逃したものの、このとき 『ジゼル』 のヴァリエーションを指導したモニク・ルディエール[6]は米沢の踊りについて、「日本人には難しい箇所を自由な表現で、演目に忠実にジゼルを解釈している」と評した[7]。
翌2004年3月、第61回東京新聞全国舞踊コンクールジュニア1部1位[8]。この時の2位は小野絢子であった。
同年7月、ヴァルナ国際バレエコンクールのジュニア部門で女性第1位となる[9]。帰国後は地元名古屋で愛知芸術文化センター企画のダンス公演に出演した。
2006年6月末、4年に1度開催されるUSA国際バレエコンクールのシニア部門で女性銅メダルを受賞[10]。これをきっかけに米国のサンノゼ・バレエ団と契約した[11]。サンノゼには2010年夏まで4年間在籍し、『くるみ割り人形』 やコンテンポラリー作品の 『September』 などで主役を踊った。
2010年秋、デヴィッド・ビントレー監督下の新国立劇場バレエ団に移籍しソリストとして入団。その理由について、「一挙手一頭足の表現を研ぎすませる厳しさに身を置きた」かったため[1]と述べている。
2011年11月、ビントレーによる新制作 『パゴダの王子』 で主役さくら姫に抜擢される[12]。翌2012年5月には 『白鳥の湖』 で初役オデット/オディールを踊った。2012年秋からファースト・ソリスト。2013年2月に 『ジゼル』、同年6月に 『ドン・キホーテ』で主役を踊り、シーズン終了後にプリンシパルに昇格した[13]。
2017年3月、『ロメオとジュリエット』等での成果が評価され、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
2020年3月、『ロメオとジュリエット』等での成果が評価され、第70回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞[14]。
2023年5月、第76回中日文化賞を受賞。
人物・芸風
編集竹内の方針で実家にはテレビがなく、小学校に上がった頃は本の虫だった。朝食時には茶碗を抱えながら本を読んでいたという[15]。小学6年生のときにはバレエのほか、ピアノと長唄も習っていた[16]。
高校1年夏の時点でバレエの練習時間は週に16時間[17]。バレエ一筋となったのは2003年にローザンヌに出場した後で、当時は正月も休まず365日練習していたという[5]。
踊りはしばしば「伸びやか」と形容される[18]。自身の目標については「技術で終わるのではなく、中から生きているダンサーになりたい」と話していた[19]。
主な出演歴
編集年 | 演目 | 役 | 相方 | 振付 | バレエ団/主催 |
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2004 | 戸外にて[20] ★ | - | - | A・シルヴェストリン | 愛知芸術文化センター |
2005 | ウズメ ★ | - | - | 笠井 叡 | |
2006 | くるみ割り人形 | マリア | ? | D・ナハト | サンノゼ・バレエ団 |
2007 | September | (恋人) | M・カリファノ | ベン飯田 | |
2009 | 9シナトラ・ソングズ | (第2曲 「夜のストレンジャー」) | T・サープ | ||
2010 | シンフォニー・イン・C | (第1楽章プリンシパル) | 菅野 英男 | バランシン | 新国立劇場 |
2013 | コンチェルト・バロッコ | (第1女性プリンシパル) | 厚地 康雄 | ||
アポロ | カリオペ | C・ウォルシュ | |||
2014 | シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ | (プリンシパル) | 菅野 英男 | ||
2015 | テーマとヴァリエーション | (プリンシパル) | |||
2011 | アラジン | サファイア | - | ビントレー | |
シルバー | 清水 裕三郎 | ||||
パゴダの王子 ☆ | さくら姫 | 菅野 英男 | |||
2012 | シルヴィア | シルヴィア | |||
2013 | テイク・ファイブ | (テイク・ファイブ) | - | ||
E=mc² | エネルギー | - | |||
ペンギン・カフェ | ユタのオオツノヒツジ | 江本 拓 | |||
2014 | カルミナ・ブラーナ | フォルトゥナ | 福岡 雄大 〔神学生3〕 | ||
2011 | くるみ割り人形 | 金平糖の精 | 厚地 康雄 | 牧改訂 | |
2013 | 福岡 雄大 | ||||
2012 | 白鳥の湖 | オデット/オディール | 菅野 英男 | ||
2015 | V・ムンタギロフ | ||||
ラ・バヤデール | ガムザッティ | ||||
ニキヤ | 福岡 雄大 | ||||
2012 | こうもり | チャルダッシュ | - | プティ | |
2015 | ベラ | 菅野 英男 | |||
2012 | シンデレラ | シンデレラ | 厚地 康雄 | アシュトン | |
2014 | 菅野 英男 | ||||
2013 | ジゼル | ジゼル | 厚地 康雄 | セルゲーエフ改訂 | |
solo for 2 | (パルティータ第2番 アルマンド、サラバンド) | 福岡 雄大 | 金森 穣 | ||
ドン・キホーテ | キトリ | ファジェーチェフ改訂 | |||
火の鳥 | 火の鳥 | 菅野 英男 | フォーキン | ||
2014 | 暗闇から解き放たれて ★ | - | 貝川 鐵夫 ほか | J・ラング | |
大フーガ | (4人の女性) | 輪島 拓也 | H・ファン・マネン | ||
眠れる森の美女 | オーロラ姫 | V・ムンタギロフ | イーグリング改訂 | ||
フロリナ王女 | 井澤 駿 〔青い鳥〕 | ||||
2015 | はなわらう ★ | - | 福岡 雄大 | 宝満 直也 | |
ドゥエンデ | (パストラル) | 輪島 拓也 | ドゥアト |
※紫は演目の主役を表す。★は当該作品の初演・初日への出演、☆は初日ではないものの、一連の初演の中で出演したことを表す[注釈 2]。同じ役・相方での同一演目の出演は最初の年のみ記した。
注釈
編集出典
編集- ^ a b 吉田純子 「存在の深さ 踊りたい」 朝日新聞2011年3月9日夕刊
- ^ "Yui Yonezawa", Ballet San Jose, Oct. 2010
- ^ 「シーズン契約ダンサー」、新国立劇場バレエ団
- ^ a b 「竹内敏晴 略年譜」 (竹内敏晴 『レッスンする人』、pp.291-292)
- ^ a b 「ニュースな人に会いたい 米沢唯」 (『クララ』 2012年6月号 〔通巻第15巻第6号〕、新書館)、p.6
- ^ アンジェラ加瀬 「第31回ローザンヌ国際バレエコンクール」(『バレリーナへの道』 No.48、文園社、2003年5月、ISBN 4-89336-185-6、p.76)
- ^ Prix de Lausanne 2003, 1時間15分30秒~。なお米沢のクラシックVa.は10分56秒~で、フリーVa.は43分13秒~で見られる。
- ^ http://www.tokyo-np.co.jp/event/buyocon/result/61.html
- ^ 飯島岱 「第21回ヴァルナ国際バレエコンクール」 (『バレリーナへの道』 No.56、文園社、2004年11月、ISBN 4-89336-198-8、p.55)。米沢は非競技者のI・コルネーエフと組んで出場。なお、この年のジュニア男性第1位はダニール・シムキンだった。
- ^ Jennifer Dunning, "USA International Ballet Competition Awards Go to 13 Medalists From 8 Nations", The New York Times, 4 Jul. 2006
- ^ Press Release, 21 July 2006, Ballet San Jose
- ^ 関口紘一 「制作発表 『パゴダの王子』にビントレーがチャレンジ」、Dance Cube、2011年9月11日
- ^ 「2013/2014シーズン 新国立劇場バレエ団ダンサーの昇格についてのお知らせ」、新国立劇場、2013年6月30日
- ^ “令和元年度(第70回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について”. 文化庁 (2020年3月4日). 2020年6月6日閲覧。
- ^ 竹内敏晴 『老いのイニシエーション』、1995年、岩波書店、ISBN 4-00-003817-6、p.172。竹内はこの本の中で米沢のことを「ゆり」という名前で書いている。
- ^ 「青少年のためのバレエ・コンクール ジュニアB部門 第1位 米沢唯」(『クララ』 1998年11月号 〔通巻第1巻第6号〕、新書館)、p.57
- ^ 阿部由美 「6th バレエコンペティション21」(『バレリーナへの道』 No.45、文園社、2002年11月、ISBN 4-89336-178-3、p.77)
- ^ D・ナハト版 『白鳥の湖』 で4人の王妃の一人を踊った米沢について、“自信に満ちたアラベスクへの伸びと清々しい回転…”、Rachel Howard, "Review: San Jose troupe excels in 'Swan Lake'", San Francisco Chronicle, 19 Feb 2008 。また、“米沢は癖のない伸びやかな踊りで、健康的な家族愛を表した。” 森本ゆふ 「新国立劇場バレエ団『パゴダの王子』」(ダンス・タイムズ 2011年11月13日)など。
- ^ 守山美花 「未来のエトワール 米沢唯」(Danza 第30号 2010年10・11月号、p.52)
- ^ Outdoors, alessiosilvestrin.com
参考文献
編集- 竹内敏晴 『レッスンする人』、2010年、藤原書店、ISBN 978-4-89434-760-1
公式サイト
編集- 米沢 唯 - 新国立劇場