牧阿佐美
牧 阿佐美(まき あさみ、1934年5月12日[1] - 2021年10月20日)は、日本のバレリーナ、振付家[2]。位階は従三位。文化功労者。文化勲章受章者。本名は福田 阿佐美(ふくだ あさみ)[3]。別名義として橘 秋帆(たちばな あきほ)を用いた。
まき あさみ 牧 阿佐美 | |
---|---|
文化勲章受章に際して 公表された肖像写真 | |
生誕 |
1934年5月12日[1] 東京府東京市 |
死没 |
2021年10月20日(87歳没) 東京都 |
国籍 | 日本 |
職業 |
バレリーナ 振付家 |
配偶者 | 三谷恭三(夫) |
親 |
牧幹夫(父) 橘秋子(母) |
来歴
編集生い立ち
編集東京府東京市(現在の東京都杉並区阿佐谷[4])生まれ。バレエダンサー、インド文化研究家の牧幹夫を父に、バレリーナ、振付家、バレエ指導者の橘秋子を母に持つ[2]。
1933年5月12日に誕生[4]。両親は牧の出生届を翌年まで提出せずにいたため、そのことを知った祖母が秋子の従姉妹の子として手続きを行った。戸籍には「昭和9年生まれ」「福田サクの養女」と記されている。牧のプロフィールに「昭和9年生まれ(1934年)」となっているのはこのためである[4]。母の秋子はバレエダンサーとして身を立てたばかりであり、また当時はバレリーナが結婚・出産することは舞踏家として不利になることが多かったため、生後18日から小学5年生まで他家に預けられ育つ[5][4]。父母の結婚は双方の家族から宗教の違いなどを理由に反対を受けていたこともあり、正式なものではなかったという[6]。
母の秋子は、バレエの早期教育を提唱していたため、牧も4歳の頃より文京区小石川から杉並区宮前にあった母が主宰する橘バレエ学校に通ってレッスンを受けた[7][4]。同年、父がインドに渡航する。
バレリーナとして
編集1954年アメリカに留学、アレクサンドラ・ダニロワ、イゴール・シュヴェッツォフに師事した[2]。
1970年に父の幹夫がインドで客死し、1971年に母の秋子も死去した[8]。1971年に現役を引退し、橘バレヱ学校校長として後進の育成、指導にあたった[2]。1999年から新国立劇場舞踊芸術監督に就任し、新国立劇場バレエ団を率いた[2]。
2010年、新国立劇場舞踊芸術監督を退任。後任にはイギリスバーミンガム・ロイヤル・バレエ団芸術監督のデヴィッド・ビントレーが就任した[9]。
振付師として古典バレエの改訂演出の他、『牧阿佐美の椿姫』、『ア・ビアント』(三谷、D・ウォルシュとの共作)などを発表した。
2021年10月20日11時35分、大腸ガンのため東京都内の自宅で死去した[7]。87歳没。牧の没後の10月26日、日本政府より牧に文化勲章が授けられることが発表されたが、叙勲内定の伝達は死没日の前日の19日であったとのことである[10]。日本国政府は牧の死没日を以て従三位に叙した[11][12]。2022年1月18日に牧のお別れの会が予定されたものの、新型コロナなどの影響で延期となった[13]。
家族・親族
編集賞歴
編集栄典
編集著書
編集- 『バレエに育てられて 牧阿佐美自伝』(2009年、新書館) ISBN 978-4-403-23112-4
テレビ出演
編集脚注
編集- ^ a b “牧阿佐美よりご挨拶”. 牧阿佐美バレヱ団. 2021年10月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『オックスフォード バレエダンス辞典』516頁
- ^ “牧阿佐美さん死去 87歳、日本バレエ界けん引”. 時事ドットコム 2021年10月22日閲覧。
- ^ a b c d e 「バレエに育てられて」(牧阿佐美著)第二章“二人の母”
- ^ a b c “生涯バレエ一筋で生きてきた「バレエの申し子」”. Wendy-Net 2021年10月22日閲覧。
- ^ 「日本バレエ史」P.138-140
- ^ a b “日本を代表するバレエ指導者の牧阿佐美さん死去、87歳…草刈民代さんら育成”. 読売新聞. (2021年10月21日) 2021年10月22日閲覧。
- ^ 『ダンスマガジン 2022年1月号』、pp.70-71.
- ^ 新国立劇場芸術監督・牧阿佐美が退任 バレエの心、伝導11年(朝日新聞社、2010年8月16日)
- ^ "文化勲章の報、ベッドの妻は小さく「うん」牧阿佐美さん最後の言葉". 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 26 October 2021. 2021年10月27日閲覧。
- ^ 『官報』第623号10頁 令和3年11月25日号
- ^ 故牧阿佐美氏に従三位 - 日経電子版 2021年11月16日
- ^ “牧さんのお別れ会延期”. 産経ニュース (2022年1月8日). 2022年1月8日閲覧。
- ^ “長嶋茂雄さんら9人文化勲章 功労者に加山雄三さんら”. 時事ドットコム (2021年10月26日). 2021年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
参考文献
編集- ダンスマガジン 2022年1月号(第32巻第1号)、新書館、2022年。
- デブラ・クレイン、ジュディス・マックレル 『オックスフォード バレエダンス事典』 鈴木晶監訳、赤尾雄人・海野敏・長野由紀訳、平凡社、2010年。ISBN 978-4-582-12522-1