第58回ベルリン国際映画祭
概要
編集コンペティション部門には長編21本が出品された。オープニングは2006年に行われたローリング・ストーンズのチャリティコンサートを追ったマーティン・スコセッシのドキュメンタリー映画『シャイン・ア・ライト』。また、マドンナが監督デビュー作となる『Filth and Wisdom』をパノラマ部門に出品した。他にもパティ・スミス等のドキュメンタリー作品が上映され、音楽色の濃い映画祭となった。
金熊賞は、麻薬組織と戦う警察特殊部隊を描いたブラジル映画『エリート・スクワッド』が受賞した。また、審査員グランプリを受賞したエロール・モリスの『Standard Operating Procedure』はアブグレイブ刑務所で起きた虐待事件を追ったドキュメンタリー映画で、ドキュメンタリー作品の受賞は稀であるため話題となった。
日本映画
編集日本映画では、コンペティション部門に山田洋次の『母べえ』がノミネートされたが、受賞はならなかった。
また、フォーラム部門では熊坂出の『パーク アンド ラブホテル』、廣末哲万の『ひぐらし』、高橋泉の『すんでひらいて』、若松孝二の『ゆけゆけ二度目の処女』、『天使の恍惚』、『壁の中の秘事』、『実録・連合赤軍』が、パノラマ部門では今泉浩一の『初戀 Hatsu-Koi』、荻上直子の『めがね』などが上映された。熊坂出は最優秀新人作品賞を、若松孝二は『実録・連合赤軍』で最優秀アジア映画賞ならびに国際芸術映画評論連盟賞を、荻上直子はザルツゲーバー賞を受賞した。
受賞
編集- 金熊賞:『エリート・スクワッド』:ジョゼ・パジーリャ
- 銀熊賞
- 審査員グランプリ:『Standard Operating Procedure』:エロール・モリス
- 監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン(『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
- 男優賞:レザ・ナジエ(『Avaze gonjeshk-ha』)
- 女優賞:サリー・ホーキンス(『ハッピー・ゴー・ラッキー』)
- 脚本賞:ワン・シャオシュアイ(『我らが愛にゆれる時』)
- 芸術貢献賞:ジョニー・グリーンウッド(『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
上映作品
編集コンペティション部門
編集長編映画のみ記載。アルファベット順。邦題がついていない場合は原題の下に英題。
題名 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|
すずめの唄 Avaze gonjeshk-ha ( w:The Song of Sparrows) |
マジッド・マシディ | イラン |
Ballast | ランス・ハマー | アメリカ合衆国 |
アバンチュールはパリで 밤과 낮 |
ホン・サンス | 韓国 |
Caos calmo (Quiet Chaos) |
アントニオ・ルイージ・グリマルディ | イタリア イギリス |
エレジー Elegy |
イザベル・コイシェ | アメリカ合衆国 |
Feuerherz (Heart of Fire) |
ルイジ・ファロルニ | ドイツ イタリア オーストリア フランス |
w:Gardens of the Night | ダミアン・ハリス | アメリカ合衆国 |
ハッピー・ゴー・ラッキー Happy-Go-Lucky |
マイク・リー | イギリス |
ずっとあなたを愛してる Il y a longtemps que je t'aime |
フィリップ・クローデル | フランス ドイツ |
Julia | エリック・ゾンカ | フランス アメリカ合衆国 メキシコ ベルギー |
母べえ | 山田洋次 | 日本 |
HANAMI Kirschblüten - Hanami |
ドーリス・デリエ | ドイツ |
Lady Jane | ロベール・ゲディギャン | フランス |
レイク・タホ Lake Tahoe |
フェルナンド・エインビッケ | メキシコ 日本 アメリカ合衆国 |
スリ 文雀 Man jeuk |
ジョニー・トー | 香港 |
Musta jää (Black Ice) |
ペトリ・コトヴィカ | フィンランド ドイツ |
Restless | アモス・コレック | イスラエル フランス ドイツ 他 |
Standard Operating Procedure | エロール・モリス | アメリカ合衆国 |
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will be Blood |
ポール・トーマス・アンダーソン | アメリカ合衆国 |
エリート・スクワッド Tropa de Elite |
ジョゼ・パジーリャ | ブラジル オランダ アメリカ合衆国 |
我らが愛にゆれる時 左右 (w:In Love We Trust) |
ワン・シャオシュアイ | 中国 |
コンペティション外
編集- 『僕らのミライへ逆回転』:ミシェル・ゴンドリー ( アメリカ合衆国)
- 『しあわせの帰る場所』:デニス・リー( アメリカ合衆国)
- 『カティンの森』:アンジェイ・ワイダ( ポーランド)
- 『ブーリン家の姉妹』:ジャスティン・チャドウィック( アメリカ合衆国 イギリス)
- 『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』:マーティン・スコセッシ ( アメリカ合衆国)
審査員
編集- コスタ=ガヴラス ( フランス/監督)
- ウーリー・ハニッシュ ( ドイツ/プロダクションデザイナー)
- ダイアン・クルーガー ( ドイツ/女優)
- ウォルター・マーチ ( アメリカ合衆国/映画編集・音響技術)
- アレクサンデル・ロジニャンスキー ( ウクライナ/プロデューサー)
- スー・チー ( 台湾/女優)
- サンドリーヌ・ボネールとスザンネ・ビアは直前に辞退[1]。