祝祭の広場
祝祭の広場(しゅくさいのひろば)は、大分県大分市府内町にある都市型公園である[1]。命名権導入による通称はお部屋ラボ 祝祭の広場[2]。
概要
編集大分市中心部の大分パルコ跡地に整備された公園である。面積約4,310m2で、可動式大型屋根、ステージ、芝生広場、移動式植栽コンテナ、トイレ、駐輪場(約100台分)、シェアサイクルの貸し出しポート等を備える[1]。可動式大型屋根は大小の2基があり、それぞれ高さ11m、幅18mと高さ8m、幅16m。東西方向に最大67m動かすことができ、2枚を並べると長さは最長36mとなって約1,000人を収容することができる[3]。移動には屋根に設置したソーラーパネルで発電した電力が用いられる[4]。
経緯
編集前史
編集祝祭の広場の所在地にはかつて大分パルコがあったが、売り上げの落ち込みや賃貸借契約満了のため、2011年(平成23年)1月31日に閉店[5][6][7]。大分パルコに代わる商業施設を誘致する動きもあったものの、跡地のビル及び土地は、2012年(平成24年)9月6日に医療法人恵愛会に売却されることとなった。恵愛会は、ビルを解体・新築して、大分市大手町にある大分中村病院を移転する予定としていたが[8]、2017年(平成29年)5月23日に移転を断念し、土地を売却する方針を発表した[9]。
大分市による取得と広場の建設
編集同年6月27日、大分市長佐藤樹一郎は、大分パルコ跡地を取得し、2019年(令和元年)に開催されるラグビーワールドカップ2019の関連イベントのスペースとしての活用も視野に、暫定的に広場として整備することを検討する意向を表明[10]。大分市は跡地の入札に参加して優先交渉権を獲得し[11][12]、11月20日に23億2,000万円で跡地を購入する契約を締結した[13]。
広場の整備事業の設計者はプロポーザル方式で選考され、選考委員会には大分市出身の建築家、磯崎新が特別選考委員として加わった[14][15]。2018年(平成30年)3月24日に行われた二次選考の結果、建設コンサルタントサニー・ヒュマス・ヨコミゾマコト建築設計事務所・都市企画工房共同提案体が最適任者に選定された[16][17][18][19]。この案は、キャスター付きの植栽コンテナを移動させたり、大型の橋形クレーン2基に仮設の屋根を架けるなどして、目的に合わせて空間を自由に変化させることを目玉としていた[20]。
設計変更
編集しかし、大型クレーンを仮設屋根の架設に利用することはクレーンの本来の用途とは異なり、労働安全衛生法に基づく規則違反にあたるのではないかとの指摘があり[21]、大分市が大分労働局に問い合わせた結果、法令上は問題ないとの回答が得られたものの[22]、2018年(平成30年)7月に発生した西日本豪雨を踏まえ、同年8月に自然災害への対応を考慮して、大型クレーンの設置は取りやめ、代わりに移動式大型屋根を設置することとなった[23][24]。
完成後
編集祝祭の広場は2019年(令和元年)8月31日に竣工。9月7日に完成式典が挙行されて供用が始まった[3][25]。9月28日から10月23日まではラグビーワールドカップ2019関連のイベントが行われ、11月1日から一般の利用が可能になった[26]。
2020年(令和2年)10月1日に命名権が導入されて通称が「お部屋ラボ 祝祭の広場」となり[2]、10月3日には幅約4.8m、高さ約2.8m(243型)の大型LEDビジョンの運用が開始された[27][28]。また、10月1日にはグッドデザイン賞を受賞している[29]。
2021年(令和3年)4月24日には、2020年東京オリンピックの聖火リレーのセレブレーション会場となった[30]。
名称
編集仮称からの名称変更
編集大分市では2017年(平成29年)2月頃から、広場の仮称を「祝祭広場」として広報していたが、2018年(平成30年)3月に「祝祭広場」を商標登録している阪急阪神百貨店から使用中止の申し入れを受けた[31]。阪急阪神百貨店は「祝祭広場」を2013年(平成25年)3月に特許庁に商標登録しており、阪急百貨店うめだ本店9階の催事場の名称として用いていた[32]。そのため、大分市は広場の名称に「の」を入れて「祝祭の広場」とすることになった[33]。
命名権
編集大分市では、「祝祭の広場」に命名権を設定することとし、2019年(令和元年)7月17日から8月15日まで売却先を公募した。期間は2019年(令和元年)9月から2023年(令和5年)3月までで、最低制限金額を4,300万円(月額100万円)としたが、複数の問い合わせはあったものの期限までに応募はなく、ラグビーワールドカップ2019の終了後に改めて募集を行うこととなった[34] [35]。そして、再募集の結果、不動産会社豊後企画集団が命名権者となり、2020年(令和2年)10月1日から「お部屋ラボ 祝祭の広場」となった。契約期間は3年6ヶ月で、金額は3,360万円[2][36]。
脚注
編集- ^ a b “大分市の「祝祭の広場」完成 交流の場“新顔”に”. 大分合同新聞. (2019年9月7日). オリジナルの2019年9月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c “「お部屋ラボ 祝祭の広場」に 命名権者決定”. 読売新聞. (2020年10月2日). オリジナルの2021年4月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “交流拠点「祝祭の広場」完成 JR大分駅前ラグビーW杯などで催し計画 市長「市民と育てる場に」”. 西日本新聞. (2019年9月8日). オリジナルの2019年9月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分)大型屋根移動は太陽光で 「祝祭の広場」で試運転”. 朝日新聞. (2019年7月25日). オリジナルの2019年7月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分パルコ閉店へ 来年の2月末で”. 大分合同新聞. (2010年2月25日). オリジナルの2010年2月28日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分パルコ来年閉店 業績低迷 福岡開店で戦略転換”. 西日本新聞. (2010年2月25日). オリジナルの2010年2月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分パルコ閉店前倒し テナント各社に通告”. 大分合同新聞. (2010年9月28日). オリジナルの2010年10月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ “15年度中に開業 パルコ跡に大分中村病院”. 大分合同新聞. (2012年9月7日). オリジナルの2012年9月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分中村病院 移転断念 資金不足影響、所有のパルコ跡地売却へ 新病院建設方針は堅持/大分”. 毎日新聞. (2017年5月24日). オリジナルの2019年9月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「憩いの広場に」 パルコ跡地、大分市が取得検討”. 大分合同新聞. (2017年6月28日). オリジナルの2017年6月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市に売却の公算 優先交渉へ調整 パルコ跡地”. 大分合同新聞. (2017年10月20日). オリジナルの2017年11月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分駅前パルコ跡地、市に優先交渉権”. 日本経済新聞. (2017年10月23日). オリジナルの2017年10月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “パルコ跡地 売買契約締結 ラグビーW杯前に広場整備 12月議会に提案へ 大分市/大分”. 毎日新聞. (2017年11月21日). オリジナルの2017年12月1日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分パルコ跡の広場整備 助言役に建築家・磯崎氏”. 日本経済新聞. (2017年12月21日). オリジナルの2017年12月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市中心市街地祝祭広場整備事業設計候補者選考に係る公募型プロポーザルを実施します”. 大分市. 2018年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月31日閲覧。
- ^ “大分市/祝祭広場設計/建設コンサルタントサニーら4社共同提案体に”. 日刊建設工業新聞. (2018年3月27日). オリジナルの2018年5月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市中心市街地祝祭広場整備事業設計候補者選考に係る最適任者および次席者が決定しましたのでお知らせします”. 大分市 (2018年3月29日). 2018年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月12日閲覧。
- ^ “大分市中心市街地祝祭広場整備事業設計業務委託について最適任者と契約を締結しましたのでお知らせします”. 大分市 (2018年4月5日). 2018年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月12日閲覧。
- ^ “祝祭広場”. aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所. 2018年5月12日閲覧。
- ^ “大分パルコ跡地、「常に変わる」広場に 移動する樹木”. 日本経済新聞. (2018年4月6日). オリジナルの2018年4月6日時点におけるアーカイブ。
- ^ “パルコ跡地:大分市、「祝祭広場」素案発表 大型クレーンは一部違反? 厚労省回答待ち 23日に市民と意見交換会/大分 -”. 毎日新聞. (2018年6月21日). オリジナルの2019年8月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ “パルコ跡地:大分駅北側 祝祭広場、大型クレーンで仮設屋根OK 大分労働局が回答/大分”. 毎日新聞. (2018年6月26日). オリジナルの2019年8月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分)クレーン2基はとりやめ 「祝祭広場」最終設計案”. 朝日新聞. (2018年8月24日). オリジナルの2018年8月24日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分駅前、橋形クレーン取りやめ 豪雨など懸念”. 日本経済新聞. (2018年8月28日). オリジナルの2019年8月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分)大分市中心部に祝祭の広場完成 今後効果検証へ”. 朝日新聞. (2019年9月10日). オリジナルの2019年9月10日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市の「祝祭の広場」で完成記念式典 「集い、憩い、祝う」新スポットに”. 大分経済新聞. (2019年9月7日). オリジナルの2019年11月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大型ビジョン完成 「祝祭の広場」でPVなど実施 大分”. 毎日新聞. (2020年10月4日). オリジナルの2021年4月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分駅前広場に大型ビジョン、試合観戦などに活用”. 日本経済新聞. (2020年10月5日). オリジナルの2021年4月24日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「お部屋ラボ 祝祭の広場がグッドデザイン賞を受賞しました」『大分市』2020年10月2日。オリジナルの2021年4月24日時点におけるアーカイブ 。
- ^ “大分県 東京2020オリンピック聖火リレー”. NHK. 2021年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月24日閲覧。
- ^ “大分:整備中「祝祭広場」に待った 阪急阪神が商標登録”. 毎日新聞. (2018年11月22日). オリジナルの2018年11月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市が整備「祝祭広場」は商標権侵害? 阪急の登録を知りませんでした”. 毎日新聞. (2019年5月23日). オリジナルの2019年5月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分駅前広場「祝祭の広場」へ”. NHK. (2019年5月22日). オリジナルの2019年5月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大分市が「祝祭の広場」命名権を募集”. 大分合同新聞. (2019年7月19日). オリジナルの2019年7月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「祝祭の広場」命名権、応募ゼロ 大分市、W杯後に再公募へ”. 西日本新聞. (2019年8月31日). オリジナルの2019年8月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「祝祭の広場のネーミングライツ・パートナーが決定しました!」『大分市』2020年10月1日。オリジナルの2021年4月23日時点におけるアーカイブ 。
座標: 北緯33度14分07.0秒 東経131度36分28.6秒 / 北緯33.235278度 東経131.607944度