石田多朗
石田多朗(いしだたろう、1979年11月8日 - )は日本の作曲家、音楽プロデューサー[1]。東京藝術大学大学院卒。株式会社Drifterの代表取締役。2024年にエミー賞最多受賞作品『SHOGUN』で日本の伝統音楽を取り入れた編曲を担当し、作曲賞およびメインテーマ賞にノミネート。続いて2025年にはグラミー賞にもノミネートされ、雅楽を含む日本の伝統音楽を国際的に発信する第一人者としても評価を受けた。[2][3]
石田 多朗 | |
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生誕 | 1979年11月8日(45歳) |
出身地 | アメリカ合衆国・マサチューセッツ州ボストン |
学歴 | 東京藝術大学音楽学部大学院卒業 |
職業 | ミュージシャン、作曲家 |
レーベル | |
公式サイト | [1] |
来歴
編集アメリカ合衆国ボストン生まれ。幼少期をカリフォルニアで過ごした後、日本に移住し大阪、東京で育つ[1]。
上智大学では漢文学を専攻。その後23歳で音楽を始め、翌年東京藝術大学音楽学部に一発合格。電子音響、作曲、雅楽、民族音楽学など幅広い分野を学び、在学中から職業作曲家として活動を開始。大学院卒業後も作曲家としての道を歩み続け、展覧会や映像作品を中心に活躍する。[1]。
東京藝術大学在学中、東京都庭園美術館、ポンピドゥーセンター、森美術館、日本科学未来館、上海当代芸術博物館など美術館における音楽やNHK、UNIQLO、HONDA、など企業コンテンツにおける音楽を制作する。[4]
2014年、東京藝術大学陳列館『法隆寺別品の祈り』展で空間音楽の制作を依頼され、ここで未知であった雅楽に挑戦。1ヶ月半で雅楽を学び、2週間で作曲したオリジナル楽曲『骨歌』は坂本龍一に高く評価された。これを契機に伶楽舎との協力が始まり、以後雅楽作曲家としてのキャリアを築く。[5]
2016年より福島復興のプロジェクションマッピングイベント「はるか」の音楽監督に就任。坂本龍一、大友良英に続き、指揮をとる。
2018年、株式会社DRIFTERを設立[1]し、社会における音楽の新たな役割を追求するとともに、雅楽の楽曲制作などを通し、これまでにない日本の音楽のあり方を日々研究・制作し、発表する。
2021年、オオルタイチ、伶楽舎メンバーらとともに雅楽プロジェクト『どんぶらこ』を開始。
2024年、ディズニー制作・真田広之プロデュースのハリウッドドラマ『SHOGUN 将軍』に総合音楽アレンジャーとして参加。ナイン・インチ・ネイルズのアッティカス・ロスらと共同で、雅楽を含む日本の伝統音楽を活かした編曲を手掛け、エミー賞およびグラミー賞へのノミネートを果たす。この作品は、雅楽を含む日本の伝統音楽が国際的に注目されるきっかけを作ったと評価された。[7]
[8]
同年、SHOGUNサウンドトラック完成後、さらに新しい雅楽・日本の伝統音楽の世界を追求し、雅楽の魅力を世界に広げる活動を開始。クラシックと雅楽を融合した『陵王乱序/太食調音取』などのリリース、コンサート活動を行う。[9][10]
作風
編集クラシック、テクノ、自然音、雅楽などさまざまな音・音楽を融合させた独自のスタイルを追求する。音楽の常識を疑い、一から考え直す哲学的アプローチに基づき、従来の枠組みに囚われない新しい音楽の可能性を模索。雅楽と現代音楽の融合や物理音を用いた空間音楽など、前例のない作品を発表。[11] また、作曲にとどまらず、音楽監督として舞台や施設、イベント空間全体の音響設計や音作りのコンセプトを構築し、プロジェクトの初期段階から音楽表現を総合的に担う。[12]
ディスコグラフィー
編集アルバム
編集発売日 | タイトル | 収録曲 | 備考 | |
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2009年6月10日 | Grandfinale |
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東京藝術大学での卒業制作作品 | |
2021年12月22日 | NIGHT FLOWER
オリジナル・サウンドトラック |
1.はじまり
2.夢(『Night Flower』OPテーマ) 3.西表島 4.波の音、神、タイムラプス 5.夜について 6.星めぐりの歌 feat.角銅真実(作詞・作曲:宮沢賢治 編曲:石田多朗) 7.星のいのり 8.旅 9.いつか 10.ぼくらの世界(『Night Flower』 EDテーマ)feat.角銅真実 11.夢 feat.角銅真実 |
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2024年2月23日 | SHOGUN 将軍
オリジナル・サウンドトラック |
1.Erasmus
2.Main Title (Shōgun) 3.Osaka Castle 4.The Council Will Answer to Me 5.Tanto 6.Crimson Sky 7.Three Hearts 8.The Pull of Death 9.Willow World 10.This Is War 11.A Dream Within a Dream 12.Land of Tears 13.All Men Can Be Broken 14.Shinobi 15.Why Tell a Dead Man the Future 16.The Bureaucrat 17.Two Hearts |
アレンジャーとして参加 | |
2024年8月16日 | SHOGUN 将軍
オリジナル・サウンドトラックVol.2 |
1. Duty Endures
2. Earthquake 3. This Is the Man 4. Look Harder 5. Falling Leaves 6. Dead Man Walking 7. Confession 8. The Moment of Death 9. Last Stand 10. Make Yourself Seen 11. The Scent of Plums Detached from the Blossoms and Leaves Off Into the Distance 12. Nothing Left to Be 13. The Abyss of Life 14. Stories Legends and the Truth |
アレンジャーとして参加 |
ミニアルバム
編集発売日 | タイトル | 収録曲 | 備考 | |
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1st | 2019年5月24日 | あそび |
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2014年、東京芸術大学陳列館「法隆寺金堂壁画展」の為に書き下ろされた「骨歌」「万象歌」。 2018年、東京都庭園美術館にて開催された「ブラジル先住民族の椅子展」の空間のために書き下ろされた楽琵琶独奏曲「あそび」を収録。 |
シングル
編集発売日 | タイトル |
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2018年4月1日 | 豊原駅の歌 |
2021年5月 | ドリフターズ |
2024年1月 | あなたがいたから feat.角銅真実 |
2024年11月 | 陵王乱序 (Ranjo)/太食調音取(Netori) |
参加作品
編集- オオルタイチスペシャルバンド『hotokeno』(2020年1月)
- 全曲:Key、Syn、Gongで参加。「愛しいものたちへ」にてアレンジを担当[13]。
主な経歴
編集- ポンピドゥーセンター/勅使河原一雅「Is Anyone There?」(2011年)[14]
- 伊東豊雄建築ミュージアム「日本一美しい島・大三島」(2014年)[15]
- 東京藝術大学陳列館 「法隆寺別品の祈り展」(2014年)
- 日本科学未来館『9次元からきた男』(2016年)[16]
- 国立新美術館『佐藤可士和展 Unlimited Space』[17]
- 星野リゾート青森屋「みちのく祭りや」(2022年)[18]
- 「『SHOGUN将軍』サウンドトラック」(2024年)[19]
脚注
編集出典
編集- ^ a b c d “日経新聞”. 2024年8月13日閲覧。
- ^ “エミー賞席巻「SHOGUN 将軍」劇中曲、那須の作曲家・石田多朗さんが全て編曲…「自信深まった」”. 2024年9月21日閲覧。
- ^ “「SHOGUN」サントラ、世界最高峰グラミー賞ノミネート!!石田多朗の「雅楽」が大貢献!”. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “ミニコンサート「Music Garden −音楽の庭−」”. 東京都庭園美術館 | TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM. 2024年8月13日閲覧。
- ^ “「雅楽の良さが世界に広まって嬉しい」『SHOGUN 将軍』総合音楽アレンジャー、石田多朗独占インタビュー”. 2024年12月3日閲覧。
- ^ 読売新聞オンライン
- ^ Variety‘Shogun’ Composers Spent More Than Two Years Composing Four Hours of Music
- ^ “『SHOGUN 将軍』作曲家、石田多朗とのコラボについて語る”. NANO association co.,ltd.. 2024=08=04閲覧。
- ^ “雅楽の魅力世界に、作曲家の石田多朗さん”. 2024年11月18日閲覧。
- ^ “雅楽とクラシックの協奏、1月に那須でコンサート”. 2025年1月2日閲覧。
- ^ “人気ドラマ「SHOGUN 将軍」劇中曲制作で注目 那須在住の作曲家・石田さん「雅楽の概念覆す音楽」|下野新聞 SOON”. 下野新聞 SOON. 2024年8月13日閲覧。
- ^ “星野リゾート 青森屋 みちのく祭りや”. 2024年12月18日閲覧。
- ^ “オオルタイチ、特別バンド編成での新作リリース&ウリチパン郡『ジャイアント・クラブ』も再発”. spincoaster. 2021年1月5日閲覧。
- ^ “石田多朗 | HAGISO Inc.”. 石田多朗 | HAGISO Inc.. 2024年8月13日閲覧。
- ^ “日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト2014”. tima-imabari. 2021年1月5日閲覧。
- ^ “9次元からきた男”. 日本科学未来館. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “心を射止めるアイコニックな空間体験―「佐藤可士和展」開催記念トークセッションレポート”. JDN. 2024年7月3日閲覧。
- ^ “星野リゾート 青森屋 みちのく祭りや”. LIL. 2024年8月1日閲覧。
- ^ “3人の作曲家たちに聞く、戦国スペクタル『SHOGUN 将軍』の音楽的アプローチ”. ユニバーサル ミュージック. 2024年8月1日閲覧。
外部リンク
編集- Drifter Inc.
- 石田多朗 (@taro_ishida_) - Instagram
- 石田多朗 - Youtube