沖縄音楽
沖縄音楽(おきなわおんがく)とは、琉球王国ひいては沖縄県で生まれ、育まれてきた音楽文化の便宜的な総称である。伝統的な楽曲の他、近年は音楽ジャンルの一形態として、ポップスに採り入れられることが多い。
概要
編集沖縄音楽とは「沖縄県で確立された音楽の総称」であり、その中にはいくつかのジャンルが存在する。特に、沖縄県は19世紀まで独立した琉球王国であったことと、第二次世界大戦後はアメリカ合衆国に統治され、本土とは隔離された状況にあったことから、琉球民謡を土台にしたポピュラー音楽やアメリカの影響の強いロック音楽など、本土の音楽とは異なった流れの下にあり、その独自性と幅を広げる元になっている。王宮の伝統音楽(御座楽)から古典音楽、芝居・琉球舞踊にかかわるものから、神歌、お笑いに関するもの、大衆の民謡・労働歌、お座敷歌謡、流行歌、童謡、子守唄まで様々なジャンルがある。
祭りの代表的な舞踊に「エイサー」が知られているが、宴会の最後を締める「カチャーシー」、「クイチャー」などがあり、伴奏を伴う。
また、民謡と歌謡曲との境目が明確ではなく、民謡と称する新作が日々新たに作られる状況が現在も続いている。このことも、沖縄の民謡の大きな特徴である。たとえば「ハイサイおじさん」は当初「民謡ではない」という意見も多かったが、今では新作の民謡(新民謡)と認知されている。沖縄の民謡は、しばしば「島唄」と呼ばれることがあるが、本来この言葉は奄美民謡を指す呼称である。
音階
編集沖縄音楽の最大の特徴は、沖縄音階(琉球音階)である。鍵盤で「ドレミファソラシド」と弾いたときの「レ」と「ラ」を抜く(つまり「ドミファソシド」と弾く)のが西洋音階との最大の違い。この音階はインドネシアなど東南アジアの音楽にも一部存在する(ガムランなど)。また、鹿児島県の与論島、沖永良部島の民謡でも多用されている。
琉球楽器/沖縄音楽を成り立たせるもの
編集- 三線(サンシン)
- 箏(クトゥ)(本土では「琉球箏」または「沖縄箏」と呼ばれることもある)。金属弦のものは「琉琴」という。
- 胡弓(くーちょー)
- 笛 - 「ファンソウ」ともいう。縦笛ではなく、横笛。「明笛」の一番上の穴(響孔)をテープで塞いで使うことが多いが、最近は元から響孔の開いていない六穴のものも売られ「琉笛」と呼ばれることもある。
- 拍子木
- 三板(サンバ) - 三枚の板を紐で括った楽器。カスタネット、タンバリン的に使う。
- 四つ竹 - 長方形に切った竹を二枚ずつ両手に持ち鳴らす。古典舞踊の「踊りこはでさ」(四つ竹を持って踊ることから四つ竹とも)に使うのが代表的だが、最近ではエイサーに使われることもある。
- パーランク - エイサーで使う小型の片面太鼓。片手で持ち、叩いたら手首を返し、音を反響させる。
- 平太鼓 - 締太鼓と一組にして、伴奏に使う
- 締太鼓 - エイサーに良く用いられる太鼓。平太鼓と併せて伴奏に使う締太鼓は胴が厚くて重く、形は同じでもエイサーで使われる締太鼓とは異なる。
- 指笛 - 合の手的に使う。
- 銅鑼 - 八重山諸島において、締太鼓とともに儀礼の唄の伴奏に用いられる。
このうちの箏、胡弓は主に古典音楽で用いられ、民謡に用いられることは少ない。
歌詞
編集古典作品はほぼ全てが「沖縄口(ウチナーグチ:沖縄方言)」で歌われる。ただし、宮古民謡、八重山民謡、与那国民謡は、それぞれ宮古方言、八重山方言、与那国方言で歌われ[1][2][3][4]、互いに聞いて理解できないほどの差があり、八八八六の琉歌形式を伴わなかったり、曲調、演奏スタイルにも差異がある。最近の作品でもウチナーグチを使うのが一般的ではある。ただし、沖縄県出身のJ-POPアーティストによる楽曲はこの限りでなく、トラックは沖縄音階を踏襲しつつも、歌詞は「大和口(ヤマトグチ:本土の言葉、標準語とほぼ同義)」を使う曲も増えている。
代表的なアーティスト
編集琉球民謡、琉球歌謡
編集- 糸数カメ
- 伊波はづき
- 上間綾乃
- 大城美佐子
- 嘉手苅林昌
- 嘉手苅林次
- 神谷千尋
- 我如古より子
- 兼村憲孝
- 山内昌永
- 喜納昌永
- 喜納昌吉&チャンプルーズ
- 金城安紀
- 金城睦松
- 金城実
- 国吉真勇
- 古謝美佐子
- 島袋正雄
- 平良りん子
- 多嘉良朝成
- 知名定繁
- 知名定男
- 照喜名朝一
- 照屋政雄
- 照屋林助
- 仲宗根創
- 登川誠仁
- 普久原朝喜・普久原京子
- 普久原恒勇
- 前川守賢
- 山川まゆみ
- 山里ユキ
- よなは徹