王銘琬
王 銘琬(おう めいえん、ワン ミンワン)は、台湾の囲碁棋士。日本棋院所属、九段、瓊韻社の富田忠夫名誉九段門下。プロ棋士鄭銘瑝、鄭銘琦は実弟。台湾プロ棋士の周俊勲は義弟(妹の夫)。
王銘琬 九段 | |
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名前 | 王銘琬 |
生年月日 | 1961年11月22日(62歳) |
プロ入り年 | 1977年 |
出身地 | 中華民国 台湾省台北市 |
所属 | 日本棋院東京本院 |
師匠 | 富田忠夫 |
段位 | 九段 |
概要 | |
タイトル獲得合計 | 7 |
七大タイトル | |
本因坊 | 2期 (2000-01) |
王座 | 1期 (2002) |
王銘琬 | |
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プロフィール | |
出生: | 1961年11月22日 |
出身地: | 台湾台北市 |
職業: | 棋士 |
各種表記 | |
繁体字: | 王銘琬 |
簡体字: | 王铭琬 |
拼音: | Wáng Míngwǎn |
台湾語: |
Lim Giong リム ギオン |
和名表記: | おう めいえん |
発音転記: | ワン ミンワン |
第34回棋道賞優秀棋士賞受賞。獲得タイトルに本因坊2期、王座1期など。
厚み重視の棋風で、「ゾーンプレス」と名付けた序・中盤理論に基づく中央重視の戦法など独特な感覚を見せ、「銘琬ワールド」とも呼ばれる。またTV番組での解説や著書などで見せるユーモアあふれる語り口も人気が高い。
経歴
編集台北市生まれ。1975年11月来日、日本棋院院生となる。1977年入段。林海峰の研究会などに参加。1984年六段。
1985年に名人、本因坊両リーグ入りして注目を集めるが、いずれも1期で陥落。1987年に新人王戦準優勝。1989年にNEC俊英囲碁トーナメント戦で棋戦初優勝。1991年の俊英囲碁トーナメント戦では、鄭銘瑝との兄弟対決を制した。1992年九段。 1998年の本因坊リーグ5勝2敗で王立誠と同率となるが、プレーオフで敗れる。
2000年の本因坊リーグで5勝2敗で挑戦者となり、趙善津に4-2で本因坊位奪取。応昌期杯ではベスト4に進出するが、常昊に敗れる。
2001年は張栩を4-3で退けて防衛。賞金ランキングで自己最高の4位につける。
2002年に加藤正夫に2-4で本因坊位を奪われる。同年趙治勲より3-2で王座位奪取。賞金ランキングで2年連続の4位。
2012年7月、第2回マスターズカップ決勝で二十五世本因坊治勲に勝利し優勝[1]。賞金ランキング9位にランクイン。
2015年06月04日、通算1000勝達成(571敗2持碁2無勝負)。日本棋院史上16人目。53歳6ヶ月・入段から38年2ヶ月・達成時勝率.637[2]。
2016年、第6回マスターズカップベスト4[3]。
人物
編集「趣味は女房孝行」と公言した愛妻家でもある。妻の劉黎児は、2004年まで台湾有力紙中国時報の東京特派員を務め、その後フリーのエッセイスト。2005年夏、初の小説「棋神物語」(台湾から来日して囲碁棋士になった少年の物語)を出版。夫婦そろって台北で記者会見し各紙で大きく取り上げられた。
タイトル歴
編集- 本因坊 2000-01年
- 王座 2002年
- 大和証券杯ネット囲碁オープン 優勝 2007年(決勝で依田紀基に2-0)
- エステー&フマキラー囲碁マスターズカップ 2012年
- NEC俊英囲碁トーナメント戦 1989、91年
その他の棋歴
編集国際棋戦
- 応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 ベスト4 2000年(○梁宰豪、○曺薫鉉、○馬暁春、1-2 常昊)、ベスト8 2004年
- 世界囲碁選手権富士通杯 第3位 2002年、ベスト8 1989、1996、2005年
- トヨタ&デンソー杯囲碁世界王座戦 ベスト8 2002年
- 中環杯 ベスト8 2004年、2005年
- CSK杯囲碁アジア対抗戦(台湾チームで出場)
- 農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦(日本チームで出場)
- 2000年 0-1(×崔哲瀚)
- 2005年 0-1(×李昌鎬)
国内棋戦
- 留園杯争奪戦 優勝 1979年
- NEC俊英囲碁トーナメント戦 準優勝 1986、87年
- 新人王戦 準優勝 1987年(決勝で依田紀基に1-2)
- NHK杯 準優勝 1991年(決勝で依田紀基に敗れる)
- 竜星戦 準優勝 2002年(決勝で小林光一に敗れる)
- 棋聖戦 各段戦優勝
- 三段戦 1980、81年
- 六段戦 1986年
- 七段戦 1987年
- 八段戦 1991年
- 九段戦 1993年
- 棋聖戦リーグ3期
- 名人戦リーグ10期、本因坊戦リーグ10期
受賞等
編集- 棋道賞 新人賞 1984年、殊勲賞 1985年、勝率1位 1993年、優秀棋士賞 2000年
- テレビ囲碁番組制作者会賞受賞 2003年
ゾーンプレス戦略
編集「ゾーンプレス」呼ばれる戦法は『棋道』誌1998年7-12月号の連載「新おすすめ正統思考法」で公表され、その後NHK囲碁講座、単行本等で紹介され、独特の理論が人気を集めた。従来の布石理論の、広いところから打つという基本原則をベースに、サッカーのゾーンプレス戦術のイメージを取り入れてさらに理論的な幅を持たせたものと考えられ、模様の幅(ゾーン)、相手の石への圧力(プレス)といった概念の有機的な結びつきによって「盤上のすべての石が働く」状態を目指したものである。実戦においては実利よりもゾーンを重視した場合に、斬新な着手として現れることがあり、実験的な手法と見られる場合もある。
得意手法
編集目ハズシから黒1への珍しいシマリ(あるいは構え)をよく用いる。白がaやbに入ってくれば厳しく攻め立て、何も打たなければ黒cあるいはdで大きな地を確保できる。
小目から黒1への二間ジマリは人工知能が頻繁に採用している手だが、元々a、b、cのシマリに比べるとプロの碁でこの構えが打たれることは非常に少なかった。そんな中、王は人工知能登場以前からこのシマリを多用していた数少ない棋士であり、井山裕太はあるテレビ対局で解説を務めた際「時代が王先生に追いついた」と冗談を交えて話した。
メイエンワールド
編集- 王銘エン(黒)―趙治勲
黒3の大高目から二間ジマリ、黒7のヒラキなど独特な手法、そして黒15まで「メイエンワールド」の独特なスタイルが表れた一局。
エピソード
編集GoTrend
編集GoTrend(ゴトレンド)は王銘琬の呼びかけにより、トレンドマイクロと台湾の国立東華大学教授の顔士浄などと共に2014年から開発された囲碁AI[4]。 2017年9月4日からインターネット囲碁の対局サイト「幽玄の間」で対局可能になっている[5][6]。
GoTrend成績
編集- 2015年 - 6位 - 第8回UEC杯コンピュータ囲碁大会[7]
著作
編集- 『銘琬流 石の動き「広い方から押し込む」』日本放送出版協会 2002年
- 『ゾーンプレスパーク』日本棋院 2003年
- 『ヨセ・絶対計算—あなたは「一目」を理解していますか? (王銘琬これを伝えたい 1)』毎日コミュニケーションズ 2004年
- 『我間違える ゆえに我あり (王銘琬これを伝えたい 2)』高見亮子脚本、毎日コミュニケーションズ 2005年
- 『読みの地平線—最小限の読みで強くなる (王銘琬これを伝えたい 3)』毎日コミュニケーションズ 2005年
- 『王銘琬の囲碁ミステリーツアー』毎日コミュニケーションズ 2007年
- 『碁は殴るか 構えるか』毎日コミュニケーションズ 2011年
- 『ヨセ・絶対計算 完全版 ~あなたは「一目」を理解していますか?~ 』マイナビ出版 2013年
- 『囲碁AI新時代』マイナビ出版 2017年
- 『棋士とAI――アルファ碁から始まった未来』岩波書店 (岩波新書) 2018年
- 『こんなに面白い 世界の囲碁ルール』日本棋院、2019年
脚注
編集- ^ 第2回 エステー&フマキラー囲碁マスターズカップ
- ^ 王銘琬九段が通算1000勝達成!
- ^ 第6回 フマキラー 囲碁マスターズカップ
- ^ Igo eai shinjidai.. Meien O, 銘琬 王. Mainabishuppan. (2017.3). ISBN 978-4-8399-6254-8. OCLC 983197526
- ^ “お知らせ”. お知らせ. 2021年5月31日閲覧。
- ^ “幽玄の間 | インターネット囲碁・無料対局”. u-gen.nihonkiin.or.jp. 2021年5月31日閲覧。
- ^ “第8回UEC杯コンピュータ囲碁大会2日目大会結果”. jsb.cs.uec.ac.jp. 2021年6月5日閲覧。