烏帽子岳 (飛騨高地)
烏帽子岳(えぼしだけ)は、岐阜県高山市と郡上市[注釈 1][2] にまたがる飛騨高地の標高1,625.2 mの山[3][4]。
烏帽子岳 (飛騨高地) | |
---|---|
西側の鷲ヶ岳から望む烏帽子岳(2008年3月) | |
標高 | 1,625.20[1] m |
所在地 |
日本 岐阜県高山市、郡上市 |
位置 | 北緯35度56分2.41秒 東経136度59分52.69秒 / 北緯35.9340028度 東経136.9979694度座標: 北緯35度56分2.41秒 東経136度59分52.69秒 / 北緯35.9340028度 東経136.9979694度[1] |
山系 | 飛騨高地 |
烏帽子岳の位置
| |
プロジェクト 山 |
概要
編集約160万-110万年前のカラブリアン(前期更新世後半)に活動していた複成火山(火山名「烏帽子・鷲ヶ岳」)で、安山岩溶岩,降下火砕物などからなる[5].当火山は火山活動を休止して久しく,周辺河川の侵食により火口などの火山地形はほとんど残されていない[6]。山名の由来は,南麓の郡上市の気良や二間手などからの山容が烏帽子のように見えることとされる[4][7]。1586年(天正13年)1月18日に発生した天正地震により、帰雲山西斜面の崩壊および帰雲城の埋没と同時に当火山東麓の水沢上(現:郡上市明宝奥住水沢上)でも大規模[8] な地すべりが発生した[9]。これは水沢上地すべりと呼ばれ、西俣川に崩落した土砂が河道を閉塞し天然ダムを形成し集落が水没している[4]。宇治川の戦いに登場する名馬磨墨は、南麓の産といわれている[4]。山頂には二等三角点(点名「奥住」、標高1,625.20 m)が設置されている[1]。山頂の北東1.2 kmの稜線上のピークに四等三角点(点名「床辺山」、標高1,552.48 m)が設置されている[1]。北麓は一般的にめいほう高原と呼ばれ、めいほうスキー場,めいほう高原キャンプフィールド,牧場などの施設がある[10]。ぎふ百山の一つに選定されている[11]。
-
烏帽子岳の南側の稜線上の標高1,595mのピーク(気良烏帽子岳)、南麓からの山容が烏帽子のように見えることが山名の由来とみられている
登山
編集一般的に登山が盛んな山岳ではないため登山道は開設されておらず[7]、無雪期にはヤブをこいでの登頂となる[4]。積雪期にめいほうスキー場のリフトを利用し、山スキーや雪山登山されることがある[7]。
地理
編集飛騨高地の南部に位置する[3]。山頂の南0.6 kmにある標高点1,595 mのピークは気良烏帽子岳と呼ばれている。
周辺の山
編集周辺の主な山を下表に示す[3]。一色川を隔てて鷲ヶ岳と対峙し[4]、鷲ヶ岳の東2.5 kmに位置する[3]。
山容 | 山名 | 標高(m) [注釈 2][1] |
三角点等級 基準点名[1] |
烏帽子岳からの 方角と距離(km) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
大日ヶ岳 | 1,709.00 | 一等 「大日ヶ岳」 |
西北西 16.3 | 日本二百名山 ぎふ百山 | |
川上岳 | 1,625.49 | 一等 「兎馬場」 |
東北東 15.9 | 日本三百名山 ぎふ百山 | |
オサンババ | 1,631.31 | 三等 「寺河戸」 |
北北東 2.6 | 別名「山中山」 | |
鷲ヶ岳 | 1,671.49 | 三等 「鷲ヶ岳」 |
西 2.5 | 日本三百名山 ぎふ百山 | |
烏帽子岳 | 1,625.20 | 二等 「奥住」 |
0 | ぎふ百山 | |
白尾山 | 1,612.36 | 二等 「白尾」 |
西南西 3.2 |
-
南東の納古山から望む周辺の飛騨高地の山並み
左から母袋烏帽子岳、白尾山、鷲ヶ岳、気良烏帽子、烏帽子岳、オサンババ(山中山)
周辺の峠
編集- 山中峠 - 北側の火山へと延びる稜線上の鞍部、標高約1,300 m[12]、山頂の北東3.8 kmに位置する。
- 大洞峠 - 南側母袋烏帽子岳へと延びる稜線上の鞍部、標高約1,140 m、山頂の南南西5.3 kmに位置する。
源流の河川
編集以下の庄川と長良川の支流の源流となる山で、それぞれ日本海側の富山湾と太平洋側の伊勢湾へ流れる[3]。木曽川水系高山市側の日本海側と郡上市側の太平洋側の分水嶺となる山である[3]。吉田川(木曽川水系の長良川の支流)の源流となる山である[3]。
- 一色川 - 庄川の支流
- 西俣川、気良川 - 吉田川の支流
交通・アクセス
編集山域の東側に国道472号が通り、北側に岐阜県道452号惣則高鷲線が通り、西側に東海北陸自動車道が通る[3]。
- 東海旅客鉄道(JR東海)高山本線飛騨宮田駅の西21 kmに位置し[2]、長良川鉄道越美南線の美濃白鳥駅の東北東13.5 kmに位置する[3]。
- 東海北陸自動車道の高鷲インターチェンジの東10.7 kmに位置する[3]。
周辺の主な施設
編集山麓や周辺の主な施設を以下に示す[3]。
烏帽子岳の風景
編集-
西側の鷲ヶ岳から望む烏帽子岳
-
北側の稜線から望む烏帽子岳
-
東側の白草山から望む烏帽子岳
烏帽子岳からの眺望
編集残雪期の山頂部から、北アルプス、御嶽山、中央アルプス、白山などを望むことができる[7]。 ウィキメディア・コモンズには、烏帽子岳から眺望に関するカテゴリがあります。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2018年9月8日閲覧。
- ^ a b 徳久 (1992)、69頁
- ^ a b c d e f g h i j k l “地理院地図(電子国土Web)・「烏帽子岳」”. 国土地理院. 2018年9月8日閲覧。
- ^ a b c d e f 日本山岳会 (2005)、1117頁
- ^ “烏帽子・鷲ヶ岳”. 産総研地質調査総合センター. 2018年9月8日閲覧。
- ^ “烏帽子・鷲ヶ岳火山”. ジオランドぎふ. 2018年9月8日閲覧。
- ^ a b c d 飛騨山岳会 (2010)、146-147頁
- ^ 享宥, 栗本、愛彦, 苅谷、邦康, 目代「岐阜県郡上市明宝の水沢上地すべりと1586年天正地震 2019年度日本地理学会春季学術大会 セッションID: P040」『日本地理学会発表要旨集』2019s、2019年、69頁、doi:10.14866/ajg.2019s.0_69。
- ^ 天正大地震誌. 名古屋大学出版会. (1987)
- ^ a b “めいほう高原”. 明宝観光協会. 2018年9月8日閲覧。
- ^ 岐阜県山岳連盟 (1987)
- ^ “地勢”. 郡上市. 2018年9月8日閲覧。
参考文献
編集- 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
- 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年11月。ISBN 9784398757838。
関連項目
編集- 烏帽子岳(同名の山)
- 日本の山一覧 (高さ順)
- めいほうスキー場
- 吉田川 (郡上市)