濁川カルデラ
濁川カルデラ(にごりがわカルデラ)は、北海道森町にある直径およそ2kmのカルデラである。カルデラの中で最小の部類の濁川型カルデラに分類され、濁川型の名前の由来にもなっている。
特徴
編集カルデラ壁は傾斜60度から70度、海抜-1000m(地下約1100m)での傾斜は約80度のじょうご型(ラッパを上に向けたトランペットとも呼ばれる)[1]で標高は最高で376.7m。カルデラ底の標高はおよそ110m。地質は安山岩、デイサイトからなる。噴出物は、紫蘇輝石角閃石安山岩質の軽石・火山灰[2]。
カルデラ内の地表は河川堆積物で埋められているが旧火道内部は、火山砕屑物や火山砕屑流堆積物で充填されている。濁川盆地内部には住宅のほか農地が存在し生活が営まれている。また、かつては硫黄鉱山が存在したほか随所から小規模な温泉が湧き出し濁川温泉がある。この豊富な地熱を利用した総出力 25,000kWの地熱発電所(森発電所[3])が昭和57年から運転中である。
噴火活動
編集活動時期は放射性炭素年代測定法により1万2千年前と推定される[4]。
水分の多い水蒸気爆発で始まり、プリニー式噴火から火砕サージを噴出する爆発的噴火に移行しカルデラが形成された。カルデラ形成後は、外部由来の水分との接触による爆発的噴火が繰り返され、マグマ水蒸気爆発が起きた[5]。噴出量は 10.9km3[4]。
出典
編集- ^ 黒墨秀行、土井宣夫:濁川カルデラ形成史の 1 考察 日本火山学会講演予稿集 1994(2), 192, 1994-10-20, NAID 110003000602, doi:10.18940/vsj.1994.2.0_192
- ^ 北海道駒ヶ岳火山地質図 産業技術総合研究所 火山地質図集
- ^ 森発電所 北海道電力
- ^ a b 柳井清治,鴈澤好博,古森康晴、「最終氷期末期に噴出した濁川テフラの層序と分布」 地質学雑誌 Vol.98 (1992) No.2 P125-136_2, doi:10.5575/geosoc.98.125
- ^ 名越幸生:濁川カルデラの火砕堆積物 日本火山学会講演予稿集 1994(2), 137, 1994-10-20
- ^ 一柳昌義、笠原稔、高橋浩晃 ほか、2012年に発生した渡島地方森町濁川カルデラでの群発地震活動 北海道大学地球物理学研究報告(2014), 77, p.5-13, doi:10.14943/gbhu.77.5
- 黒墨秀行、土井宣夫:濁川カルデラの内部構造 日本火山学会誌 火山 48(3), 259-274, 2003-07-10, NAID 110003041334
関連項目
編集外部リンク
編集- 日本の火山 濁川カルデラ - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:濁川(南東)
- 濁川(1996) - 産業技術総合研究所 水垣桂子
座標: 北緯42度7分0秒 東経140度26分0秒 / 北緯42.11667度 東経140.43333度