浜町駅
浜町駅(はまちょうえき)は、東京都中央区日本橋浜町二丁目にある、東京都交通局(都営地下鉄)新宿線の駅である。中央区最東端の駅。駅番号はS 10。
浜町駅 | |
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A2番出入口(2020年1月5日撮影) | |
はまちょう Hamacho (明治座前) | |
◄S 09 馬喰横山 (0.6 km) (0.8 km) 森下 S 11► | |
所在地 | 東京都中央区日本橋浜町二丁目59-3 |
駅番号 | S10[1] |
所属事業者 | 東京都交通局(都営地下鉄) |
所属路線 | ●[1]新宿線 |
キロ程 | 8.7 km(新宿起点) |
電報略号 | 浜(駅名略称) |
駅構造 | 地下駅 |
ホーム | 1面2線 |
乗降人員 -統計年度- |
[都交 1]18,635人/日 -2022年- |
開業年月日 | 1978年(昭和53年)12月21日 |
備考 | 業務委託駅 |
歴史
編集新宿駅寄りの一部は、並行する単線シールドトンネル間をパイプルーフ(水平鋼管圧入)工法による特殊な切り拡げ工法を使用した(後述、めがね形シールド駅)ほかは、すべて開削工法で建設した[2]。建設中の1976年、当駅付近でナウマンゾウの化石が発見され、「浜町標本」と名づけられた。
年表
編集駅構造
編集島式ホーム1面2線の地下駅。改札口は地下1階、ホームは地下3階にある。駅ホームは半径510 mの曲線上にある[4]。
建設概要
編集当駅部は「浜町工区」にあたり、清洲橋通り橘町交差点から浜町公園を横切った隅田川手前付近まで、延長552.5 mの工区である[2][5]。都営浅草線との交差部を含む馬喰横山駅寄り117.0 mは開削工法、それ以外は単線シールドトンネル2本で278.0 mを施工したが、浜町公園の地下に開削工法で構築する当駅停留場部は延長157.5 mのみで、10両編成に対応した210.0 mの有効長が確保できない[2][5]。このため、本線シールドトンネル間(トンネル外径 7.5 m・ホーム幅員約10 m)を延長62.5 mにわたって切り拡げることで島式ホームとしたものである[2][5](めがね形シールド駅)。
ただし、当工区は軟弱な地盤地帯であり、さらに施工場所は多数の建物の直下に位置し、注意を払わないと地上建物に大きな影響を及ぼす厳しい条件下となった[2]。建設にあたっては、地上建物20棟に薬液注入による地盤改良またはアンダーピニング(基礎受け替え)など防護工の施工が行われた[5]。
切り拡げ部は、シールドトンネル掘削後に切り拡げ部の地山(トンネル上部)に鋼管を圧入し、支保工(鋼管支持壁)で支持しながらシールドトンネル間の掘削を行う「パイプルーフ工法(水平鋼管圧入工法)」を採用した[2][5][4]。太さ約1.2 m(厚さ19 mm)の鋼管14本を、切り拡げ区間上部の水平方向に、施工区間62.5 mに余裕を持たせた延長75.0 m(8 m長の鋼管を9本繋げる)にわたって油圧ジャッキで圧入する[2][5]。強度を高めるため、14本中10本の鋼管内に中詰めコンクリートを打設(残り4本は上床版コンクリート打設後に実施)[2]、シールドトンネル底面にインバートコンクリートの打設とシールドトンネル間に掘削用の切り梁を圧入する[4]。
シールドトンネル内は切り拡げ部のセグメントを取り外す必要から、内部に支保工を架設した[2][5]。並行するシールドトンネル間に、水平鋼管を支える支持壁を5基構築し、切り拡げ区間を5ブロックに分けて、ブロック間を1つ置きに掘削した[5]。掘削完了後、下床版コンクリート(プラットホーム基礎)打設、駅の柱となる鋼管柱建て込み、水平鋼管と駅構築上部間に上床版コンクリートを打設する[2][4]。すべてのブロック掘削完了後、トンネル内の支保工と支持壁を解体、プラットホームコンクリート打設、駅内装工事を施工した[5][4]。
当工区で使用したシールドマシンは手掘り式(作業員が人力で掘削する)の開放形で、軟弱地盤に対応できるブラインドシールド対応型である[5]。この切り拡げ区間のセグメントブロックは、駅構築として使用する箇所は鋳鉄(ダクタイル)セグメントを、切り拡げ時に撤去する箇所は軽量な鋼製セグメント(混成リングセグメント)を使用した[2]。
のりば
編集番線 | 路線 | 行先[6] |
---|---|---|
1 | 都営新宿線 | 新宿・ 京王線方面 |
2 | 本八幡方面 |
(出典:都営地下鉄:駅構内図)
-
改札口(2022年11月)
-
ホーム(2022年11月)
利用状況
編集2022年(令和4年)度の1日平均乗降人員は18,635人(乗車人員:9,266人、降車人員:9,369人)である[都交 1]。都営新宿線では最も少なく、急行停車駅である両隣駅の馬喰横山駅・森下駅と比較すると半分未満の数値である。
各年度の1日平均乗降・乗車人員数の推移は下表の通り。
年度 | 1日平均 乗降人員[8] |
1日平均 乗車人員[9] |
出典 |
---|---|---|---|
1990年(平成 | 2年)8,945 | [* 1] | |
1991年(平成 | 3年)8,653 | [* 2] | |
1992年(平成 | 4年)8,688 | [* 3] | |
1993年(平成 | 5年)9,726 | [* 4] | |
1994年(平成 | 6年)9,773 | [* 5] | |
1995年(平成 | 7年)9,784 | [* 6] | |
1996年(平成 | 8年)9,266 | [* 7] | |
1997年(平成 | 9年)9,326 | [* 8] | |
1998年(平成10年) | 9,759 | [* 9] | |
1999年(平成11年) | [10]19,992 | 9,656 | [* 10] |
2000年(平成12年) | 9,649 | [* 11] | |
2001年(平成13年) | 9,715 | [* 12] | |
2002年(平成14年) | 9,751 | [* 13] | |
2003年(平成15年) | 20,197 | 9,716 | [* 14] |
2004年(平成16年) | 19,690 | 9,556 | [* 15] |
2005年(平成17年) | 19,960 | 9,663 | [* 16] |
2006年(平成18年) | 20,534 | 9,885 | [* 17] |
2007年(平成19年) | 21,204 | 10,280 | [* 18] |
2008年(平成20年) | 21,413 | 10,514 | [* 19] |
2009年(平成21年) | 20,863 | 10,278 | [* 20] |
2010年(平成22年) | 21,187 | 10,460 | [* 21] |
2011年(平成23年) | 21,427 | 10,619 | [* 22] |
2012年(平成24年) | 21,193 | 10,456 | [* 23] |
2013年(平成25年) | 21,074 | 10,447 | [* 24] |
2014年(平成26年) | 21,381 | 10,794 | [* 25] |
2015年(平成27年) | 21,395 | 10,577 | [* 26] |
2016年(平成28年) | 21,938 | 10,866 | [* 27] |
2017年(平成29年) | 22,335 | 11,060 | [* 28] |
2018年(平成30年) | 23,189 | 11,481 | [* 29] |
2019年(令和元年) | 23,188 | 11,507 | [* 30] |
2020年(令和 | 2年)16,408 | 8,180 | |
2020年(令和 | 2年)[都交 2]16,408 | [都交 2]8,180 | |
2021年(令和 | 3年)[都交 3]16,602 | [都交 3]8,263 | |
2022年(令和 | 4年)[都交 1]18,635 | [都交 1]9,266 |
駅周辺
編集駅は浜町公園内にある。周囲は、日本橋浜町(一丁目 - 三丁目)[11] である。駅周辺にある施設は、各町の記事を参照されたい。
なお、駅出入口はA1・A2の2か所ある[12]。
至近距離に人形町駅もある。
バス路線
編集最寄りのバス停留所は、清洲橋通り上にある久松町と浜町駅(明治座前)、浜町二丁目明治座前であり、共に同じ位置に設置されている。以下の路線バスが乗り入れ、東京都交通局、日立自動車交通、日の丸自動車興業により運行されている。
- 久松町[13]
- 浜町駅(明治座前)
- 浜町二丁目明治座前
- 日の丸自動車興業
- メトロリンク日本橋Eライン(無料巡回バス):地下鉄水天宮前駅・東京駅八重洲口方面[15]
備考
編集隣の駅
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 発車標設置以前は駅構内でもアナウンスが流れていた。
出典
編集- ^ a b 東京地下鉄 公式サイトから抽出(2019年5月26日閲覧)
- ^ a b c d e f g h i j k 日本トンネル技術協会『トンネルと地下』1976年5月号施工「軟弱地盤の切り広げ 地下鉄10号線浜町駅のシールド工事」pp.25 - 31。
- ^ 『PASMOは3月18日(日)サービスを開始します ー鉄道23事業者、バス31事業者が導入し、順次拡大してまいりますー』(PDF)(プレスリリース)PASMO協議会/パスモ、2006年12月21日。オリジナルの2020年5月1日時点におけるアーカイブ 。2020年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e 山海堂『土木施工』1977年11月号解説「パイプルーフによるシールド駅の切広げ - 都営地下鉄10号線浜町工区建設工事 - 」pp.81 - 87。
- ^ a b c d e f g h i j 日本建設機械化協会『建設の機械化』1977年11月号「都営地下鉄10号線浜町工区の建設概要」pp.23 - 27。
- ^ “浜町 時刻表”. 東京都交通局. 2023年6月4日閲覧。
- ^ 中央区ポケット案内 - 中央区
- ^ レポート - 関東交通広告協議会
- ^ 東京都統計年鑑 - 東京都
- ^ 篠澤政一(東京都交通局電車部運転課)「輸送と運転」『鉄道ピクトリアル』第51巻第7号(通巻704号)、電気車研究会、2001年7月10日、26頁、ISSN 0040-4047。
- ^ 浜町駅、東京都交通局、2010年10月12日閲覧
- ^ 浜町駅構内図、東京都交通局、2010年10月12日閲覧
- ^ 都バス 久松町、東京都交通局、2010年10月12日閲覧。なお、東京都交通局公式ページ上は乗り換えできる停留所となっていない。
- ^ 中央区コミュニティバス 江戸バスマップ (PDF) 、中央区、2010年10月12日閲覧
- ^ 『東京駅-浜町・人形町・兜町エリアの移動をもっと便利に 無料巡回バス「メトロリンク日本橋Eライン」運行』(PDF)(プレスリリース)メトロリンク日本橋Eライン協賛者会、2016年9月吉日。オリジナルの2021年6月28日時点におけるアーカイブ 。2021年8月7日閲覧。
- 東京都統計年鑑
- ^ 東京都統計年鑑(平成2年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成3年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成4年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成5年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成6年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成7年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成8年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成9年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成10年) (PDF)
- ^ 東京都統計年鑑(平成11年) (PDF)
- ^ 東京都統計年鑑(平成12年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成13年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成14年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成15年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成16年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成17年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成18年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成19年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成20年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成21年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成22年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成23年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成24年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成25年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成26年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成27年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成28年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成29年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成30年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成31年・令和元年)
- 東京都交通局 各駅乗降人員
- ^ a b c d 令和4年度 運輸統計年報 (PDF) (Report). 東京都交通局. 2023年11月3日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ。2023年11月3日閲覧。
- ^ a b “各駅乗降人員一覧|東京都交通局”. 東京都交通局. 2021年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月13日閲覧。
- ^ a b “各駅乗降人員一覧|東京都交通局”. 東京都交通局. 2022年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月13日閲覧。
参考文献
編集- 日本トンネル技術協会『トンネルと地下』1976年5月号施工「軟弱地盤の切り広げ 地下鉄10号線浜町駅のシールド工事」pp.25 - 31(宮崎 恒・中山 朝温・山口克己・東京都交通局高速電車建設本部第2建設事務所)
- 日本建設機械化協会『建設の機械化』1977年11月号「都営地下鉄10号線浜町工区の建設概要」pp.23 - 27(宮崎 恒・新井 敏男・東京都交通局高速電車建設本部第二建設事務所)
- 山海堂『土木施工』1977年11月号解説「パイプルーフによるシールド駅の切広げ - 都営地下鉄10号線浜町工区建設工事 - 」(宮崎 恒・柴山 貞夫・新井 敏男・新治 均・東京都交通局高速電車建設本部第2建設事務所)