注意欠如多動症

神経発達症の一種

(ちゅういけつじょたどうしょう、: attention deficit hyperactivity disorderADHD)、あるいは注意欠如・多動症は、多動性や衝動性、不注意を症状の特徴とする神経発達症発達障害)である[1]。こうした症状は教室内で最年少だとか[2]、正常な者、他の精神障害、薬物の影響などでも一般的であるため、機能障害や苦痛を感じるなど重症で、幼い頃から症状があるなどの鑑別が必要とされる[3]発達障害者支援法に基づき、一人一人に応じた様々な支援と、社会的障壁の除去(適切な環境調整)が行われる[4]。個々の状態に合わせて、様々な支援機関の連携のもと、環境調整・心理社会的支援・薬物療法を組み合わせた包括的支援を行うことが有効とされる(「#治療」を参照)[5]。ただし「薬漬け」と形容される、この疾患の過剰診断と薬物投与には強い批判があり、薬物によらない治療法も模索されている[6]

注意欠如多動症
概要
診療科 精神医学, 児童精神医学
分類および外部参照情報
ICD-10 F90
ICD-9-CM 314.00, 314.01
OMIM 143465
DiseasesDB 6158
MedlinePlus 001551
eMedicine med/3103 ped/177
Patient UK 注意欠如多動症
MeSH D001289

名称

編集

ICD-11での診断名に対する訳語として「注意欠如多動症」とされる[7]。日本国内での統計調査や医療機関での診療記録の管理はICDに基づいており、ICD-10における名称の「多動性障害」から変更になる[8]

2013年のDSM-5の診断名(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, ADHD)に対する訳語としては、注意欠如・多動症と、注意欠如・多動性障害が2014年に日本精神神経学会精神科病名検討連絡会によって提示された[9]。「注意欠如・多動性障害」という言葉は2008年の「第3版 注意欠如・多動性障害-ADHD-の診断・治療ガイドライン」で確認できる。

「注意欠陥・多動性障害」という診断名は、1987年のDSM-Ⅲ-Rで初めて提示された「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」という診断名に対して与えられた訳語である[10][11][12]。これは、1980年のDSM-Ⅲにおける「注意欠陥障害(英語: attention-deficit disorder, ADD)」を継承し、1983年初版のICD-10における「多動性障害(英語: hyperkinetic disorder)」に相当するもので、口語的には「多動症(英語: hyperactivity)などと呼ばれてきた[要出典][誰?]

一般にアスペルガー症候群と混同されがちだが、アスペルガー症候群は自閉症の一種(自閉症スペクトラム障害)である[13]。ただし、アスペルガー症候群にはADHDの併存も少なくない[14]

診断

編集

その症状が、正常な機能と学習に影響を及ぼしている場合のみに診断する[1]。ICD-11では「正常の境界」という項目があり、幼年期の子供や青年期に多動性や衝動性が正常の発達として認められることから、診断には正常の発達と比して大きな問題があり社会的に直接のネガティブな影響を及ぼしていることが必要とされている[15]。DSM-5で成人への診断が追加された。

症状は6歳未満ごろに発症し、少なくとも6か月以上継続している必要がある[1]。DSM-5では発症年齢をそれまでの7歳から12歳に変更し、遅発性の症例を加えたが、これは誤診の可能性も増やしている[3]。また、小児発症が成人ADHDの重要な診断基準であったが、小児期ADHDと成人期ADHDは異なる経過を持つ症候群だと示唆した研究例[16]もあり、まだ明確ではない部分がある。診断は、多くの精神障害や発達障害と同じく、問診を中心に行われる。また評価尺度が診断の補助として利用できる[17]。生物学的な指標がないため、誤診も多いと考えられている。アメリカでは推定有病率を数倍上回る診断数のため過剰診断が指摘されている。医学的な定義や投薬に対する議論のため、ADHDに関する論争がある。

性別による発症率の比較では、学童期までを比較した場合は1-6%で男子の方が女子よりも高い[18]。特に男子では多動性と衝動性しかみられず、特に女子では不注意しかみられない場合がある[3]

ICD-10での多動性障害の発症率は学齢期で3-7%であり、その内30%は青年期には多動と不注意は目立たたなくなり、40%は青年期以降も支障となる行動が持続し、残りの30%は感情障害やアルコール依存症などのより重篤な精神障害が合併する[19]。ある調査では、約3割が大人になっても症状が続いていた[20]。また、別の調査では、ADHD症状の深刻度は通常加齢とともに低下するが、約90%のADHD患者はいくつかの症状を成人期まで持続し続ける[21]

症状

編集

衝動性[22]・過活動[23]・不注意[24]などの症状が確認される[25]。典型的には生まれつき症状が存在する[3]定型発達者にもみられる症状であるため、症状が合致するだけでは不十分であり、幼年から症状が継続し、発達過程において不適切に持続しており、特定の状況下以外でも見られることがある[3]

子供ではICD-10による(たどうせいしょうがい)[26]の診断名が適用されることもある。

不注意[27]には、以下の症状などがある[28][29]

  • 簡単に気をそらされる、ケアレスミスする、物事を忘れる
  • ひとつの作業に集中し続けることが難しい
  • その作業が楽しくないと、数分後にはすぐに退屈になる

過活動[23]・衝動性[22]には、以下の症状などがある[29]

  • 静かに座っていることができない
  • 絶え間なく喋り続ける
  • 無言で身体を動かさずにいることができない。
  • 無目的に喋り続ける
  • 他者の発言を遮って喋る
  • 自分の話す順番を待つことが出来ない

年齢が上がるにつれて、外見上の「多動(落ち着きがない、イライラしているように見えるなど)」は減少するため、かつては子供だけの症状であり、成人になるにしたがって改善されると考えられていたが、近年は大人になっても残る可能性があると認識されている[25]。その場合、大抵、一見して分かるような症状は弱くなっており[3]、目に見える多動よりも、感情的、精神的な衝動性(不安定な言動、順序立てた考えよりも感情が先行しがち、会話における話題の飛躍)や注意力や集中力の欠如(シャツをズボンに入れ忘れる、シャツを裏返しに着る、ズボンのファスナーを締め忘れるといったことが頻発する、など)などが目立つようになるとされる[30]

幼少期の症状として、男子では多動性と衝動性のみ、特に女子では不注意のみの症候が目立つため、それ以外の症状が見過ごされやすく、問題が発覚しにくい場合がある[3]。過活動、衝動性が顕著でないADHDであって、不注意のみが目立つ場合、幼少期には周囲、または自分がADHDであることに気付かない場合も多い。

原因

編集

2023年現在、決定的な原因は不明とされている。双子研究により、原因を遺伝要因と環境要因に分けることができるが、ADHDの遺伝要因(遺伝率)は約76%である[31][32]。ADHDの子供の兄弟姉妹は、定型発達者より3倍から4倍ADHDになりやすい[33]の神経回路の一部に定型発達者と異なる特徴があることまでは確からしいが、その部位は仮説の域を出ない[30]。遺伝以外の重要な環境要因は、胎児期の薬物、アルコールおよびタバコの暴露、周産期の問題、そして頭部外傷である[34]。2020年に発表されたADHDの環境危険因子、保護因子、バイオマーカーに関するメタ分析によると、危険因子として確実性が高いのは妊娠前の肥満皮膚炎子癇前症、妊娠期のアセトアミノフェン暴露であった[35]。危険因子の疑いが強いものは、妊娠期の喫煙小児喘息、妊娠期の体重超過、ビタミンD不足などであった[35]。それら以外にも貧困、教育様式、社会福祉、性的虐待、睡眠不足、食品添加物、携帯電話の使用など様々な要因が相互作用しているという仮説も提示されている[36]

脳の部位

編集

機能不全が疑われている脳の部位は、大きく3箇所である。ADHDの子供達は定型発達の子供に比べてこれらの部位が縮小していることがある。

  • 右前頭前皮質 - 注意をそらさずに我慢すること、自意識や時間の意識に関連している
  • 大脳基底核の尾状核と淡蒼球 - 反射的な反応を抑える、皮質領域への神経入力を調節する
  • 小脳虫部 - 動機付け

多くの研究者が、複数の遺伝子異常がこれらの部位の萎縮に関係しているのではないかと考えている[30]

2018年、福井大学の研究グループはADHDと診断された120人の男児の脳を調査したところ、7割の男児の脳に眼窩前頭皮質の厚みが増して表面積が小さくなるなど、脳の約20か所で形態の特徴をみつけた[37]

神経基盤説

編集

1990年に米国のNIMHのザメトキン (Zametkin) らのグループは、PETスキャンを用いて、ADHDの成人25人の脳の代謝活性を測定し、対象者群より低下していることを明らかにして、ADHDが神経学的な基盤を持っていることを目に見えるかたちで証明した。具体的には、前頭前野が行動を注意深く選定し、大脳基底核が衝動性を抑える働きを担うが、ADHDのケースではそれがうまく働いていない。

食事説

編集

食事とADHDとの関連性について指摘する報告があり、アメリカやイギリスでは食品添加物などを除去した食事の比較が行われている。2007年にイギリス政府は、食品添加物合成保存料の安息香酸ナトリウムと数種類の合成着色料が子供にADHDを引き起こすという研究を受け、これらを含むことが多いドリンクやお菓子に注意を促している[38]。2008年4月には、英国食品基準庁 (FSA) はADHDと関連の疑われる合成着色料のタール色素について2009年末までにメーカーが自主規制するよう勧告した[39]。大手メーカーは2008年中にそれらを除去すると報じられた[40]

2006年、5000人以上と規模の大きい研究で砂糖の多いソフトドリンクの摂取量と多動との相関関係が観察された[41]

睡眠

編集

最近の睡眠科学では、睡眠がADHDの増加に大きく関わっていると言われている[42]

有機リン系化合物の影響

編集

米国の子供を調査した結果、因果関係は不明であるものの、尿中のジアルキルリン酸塩英語版濃度、特に代謝物のジメチルアルキルホスフェート (DMAP) 濃度とADHDの診断率に関連が示された[43][44]

診断

編集

よく使われている診断基準(統計調査用)は、アメリカ精神医学協会が定めたDSM-IV (1994) とその改訂版のDSM-IV-TR (2000) のAD/HDであり、不注意優勢型と多動衝動性優勢型、それらの混合型という3つのタイプに分けられる。2013年にはDSM-5が出版されている。

1994年に改訂されたWHOの診断基準のICD-10は、「多動性障害」の診断名であり、注意の障害と多動が基本的特徴で、この両者を診断の必要条件としている。ICD-10の「多動性障害」は、細部では若干の違いがあるものの、DSM-IVのADHDの「混合型」に匹敵する。

DSM-IV-TRの診断基準

  1. 不注意(活動に集中できない、気が散りやすい、物をなくしやすい、順序立てて行動に取り組めないなど)と多動-衝動性(ジッとしていられない、静かに遊べない、待つことが苦手で、他人の邪魔をしてしまう等)が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に、強く認められること
  2. 症状のいくつかが7歳以前より認められること
  3. 2つ以上の状況において(家庭、学校など)障害となっていること
  4. 発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が著しく損なわれていること
  5. 広汎性発達障害や統合失調症など他の発達障害・精神障害を原因とした不注意・多動-衝動性ではないこと

上記すべてが満たされたときに診断される。DSM-IVではMRIや血液検査等の生物学的データを診断項目にしていない。

DSM-5(2013) の診断基準がほぼ踏襲されているが、一部に変更があった。

  • 破壊的行動障害や反抗挑戦性障害と並列された分類から神経発達障害(先天的な脳の神経発達異常)のカテゴリーに移行。先行して日本で「発達障害者支援法」(2005)が採用する分類と同等になる。
  • 子供だけの障害という印象をあらため、年齢を問わず発症する障害とする視点。
  • 7歳以前から12歳以前へと兆候が見られた年齢を引き上げた。
  • 自閉症スペクトラム障害との合併、併存を認めた。
  • 不注意優勢型と多動衝動性優勢型、混合型のタイプ分けを廃止。
  • 過去半年の症状から、混合状態、不注意優勢状態、多動性衝動性優勢状態を評価し、部分寛解もありうるとした。
  • 重症度を軽度・中度・重度の3段階に評価するようになった。

一方、フランスの児童精神科医は生物学的医学に支配された考えではなく、DSMに対抗する診断分類であるCFTMEA(: Classification Françaisedes Troubles Mentaux de L'Enfant et de L'Adolescent)を用い、症状の背景に心理社会的な原因を見る[45]

成人ADHD

編集

ADHDが報告された頃は、ADHDは子供特有の病気と考えられており、成長に従って多動が目立たなくなることから、ADHDの特徴も消失するものと考えられていた。しかしADHDの児童の追跡調査から、成人期に達しても多くの患者では不注意などの症状が残ることが明らかになった[46]。このことは医学界でも論争を呼んだが、現在では発達障害の特性はおおむね生涯に渡って持続するものであるということが受け入れられている。ただし、うつ病などでADHDに似た症状が起こることがあるので、発達障害との鑑別には注意が必要である。

評価尺度

編集

診断を補完するための評価尺度には、ADHD Rating Scale-IVやその日本語版ADHD-RSなどがある[47]

成人ADHDでは22%に症状の誇張があり、誤診を避けるために、90%以上の感度のある尺度の使用が必要である[17]

ほかの障害との併存と鑑別

編集

明確な機能障害や苦痛を引き起こしていなければ、症状が正常な範囲である可能性がある[3]。4歳では正常な未熟である[3]。DSM-5では、発症年齢を12歳と遅くしたが、典型として症状は生まれつきであるため、同様の症状を起こす他の原因とする誤認が生じる可能性があり、成人では特に慎重であるべきで、遅発性では薬物が原因の症状だということも疑える[3]。あるいは他の精神障害が原因となっていることもある[3]。特に成人では、薬の娯楽目的、転売目的で受診している場合がある[3]。マイケル・ムーアは、映画『シッコ』において、重篤な疾患を抱えた大勢の国民が治療を受けられずに放置されているなか、あなたは不安症ではないか、注意欠陥障害ではないか、とメディアが国民の不安を煽る現状にも触れている。

適応障害では、混乱した学校環境、家庭のストレスなどへの反応であるなど、特定の状況に生じている[3]。両親や教師など周囲の大人が完璧主義、あるいは子供に過剰な期待をしており、そうした破壊的な環境下ではADHDが過剰診断されやすいが、大人の期待の再構築、環境調整が必要となる[3]

ADHDをもつ児童は、他の精神障害が並存する確率が66%増加する[48]。関連障害として特異的発達障害(学習障害)や、軽症アスペルガー障害との合併を示すことがある。またその特性上周囲からの同調圧力などによりネガティブな打撃を受けやすく、二次的に情緒障害を引き起こす傾向があり、行為障害反抗挑戦性障害不登校ひきこもりを招きやすい[49]

不眠症閉塞性睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害は、ADHDに似た症状を起こすことがあり、疼痛も睡眠の問題を起こすことがある[50]。ADHDにおける睡眠障害の併存率は25 - 50%とされる[51]

他の発達障害
  • 学習障害 (LD) はADHDを持つ子供の約20-30%に見られる。学習障害は発音・言語の発達と学習スキルの障害が含まれる[52]
他の情緒障害
  • トゥレット障害は、ADHDを持つ人においてさらに一般的である[53]
  • 反抗挑戦性障害 (ODD) と 素行障害 (CD) は、ADHD患者においては、二次的にそれを併発することがある[54]。障害への無理解などによって周囲からネガティブな打撃を受けることなどに起因する。素行障害では規則違反を起こし、反抗挑戦性障害では権力に逆らう[3]
  • 夜尿症 - 一般の15歳以上で夜尿を起こす割合は1%程度とされているが、ADHDで夜尿症を発症する割合は約3割にものぼるとされる。
気分障害
  • うつ病は主に周りのネガティブな反応に対して二次障害として併発する。抑うつによる注意力散漫と鑑別する必要がある。
  • 双極性障害はうつ状態における注意力散漫、躁状態における易怒性衝動性、気分の波など表面上の症状は類似している。またADHD患者の11%は双極性障害を併発している。
  • 重篤気分調節症は主に子供に対する双極性障害の過剰診断を減らす目的でDSM-5に掲載された気分障害である。ADHD、双極性障害、反抗挑戦性障害に症状が類似している。

パーソナリティ障害

編集
境界性パーソナリティ障害
短時間に気分が急速に変化する、対人関係の障害、強い衝動性や自己破壊行動といった点で類似している。鑑別方法としてはADHDの場合は幼少期から特徴がみられる、見捨てられ不安が目立たないなどの違いがある[55]。境界性パーソナリティ障害の患者の16.1%に成人ADHDが見られたとの報告もある[56]。境界性パーソナリティ障害の患者の多くは虐待を経験しており、ADHDであることを知らずに親の抑圧的な教育を受けていることが原因の一つともいえる。一方では併存していると思われた例にADHDに対する薬物治療を開始したところ、敵意や猜疑心が消失したとの報告もあり[57]、実際には誤診断されているケースもままあるとみられる。
反社会性パーソナリティ障害
反抗挑戦性障害 (ODD) を併発したADHD患者のうち、それの改善がなされず、また適切な治療を受けなかった者の一部は、寛解せずに反社会性パーソナリティ障害に移行することがある[58]

その他の疾患

編集

過剰診断の問題

編集

製薬会社による広報活動の影響もあって診断数は年々増加している[3]

正常な人や他の原因によって症状が出ている人は、精神刺激薬による治療によって問題が悪化しかねない[61]

DSM-IVアレン・フランセス編纂委員長は、製薬会社に利用されるような診断名の追加は避けたと思っていたが、マーケティングは容易くこれを突破してしまい[61]、DSM-IV発表以降、米国で注意欠陥障害が3倍に増加したことについて「注意欠陥障害は過小評価されていると小児科医、小児精神科医、保護者、教師たちに思い込ませた製薬会社の力と、それまでは正常と考えられていた多くの子供が注意欠陥障害と診断されたことによるもの」と指摘している[62][63]

早生まれの子供の学級における落ち着かない行動が異常と判断されるなど[62][63]単なる未熟性が病気のように扱われる場合もある[2]。詳細は「相対年齢効果」を参照。

子供の15%がADHDの診断を受けているアメリカでは2010年にADHDと診断された児童450万のうち100万人が誤診である可能性が指摘されており[64][65] フランセスは「米国では、病気ではない子供たちが過剰診断されて薬物治療を受けている」と述べた[63][62]

注意障害雑誌を創刊し、またMTA研究を主導したキース・コナーズも、過剰診断と過剰処方に注意を促した[66]

児童の権利に関する条約は、注意欠陥多動性障害(ADHD)が、薬物治療によって治療されるべき疾患であるとみなされていることを懸念し、診断数の推移の監視や調査研究が製薬会社と独立して行われるようにと提言している[67]

アメリカ疾病管理予防センター (CDC) は、行動療法が優先されるが、75%が投薬を受けていることに注意を促している[68]

過度の従順を強制することへの批判

編集

アメリカでは児童に少しでも問題行動があったり、癇癪持ちだったりすると注意欠陥・多動性障害や行為障害などの精神疾患と診断され、リタリンによる薬物治療が継続して行われること(「薬漬け」と形容される)が問題になっている[6]ナラティヴ・アプローチの普及を目指す医療ソーシャルワーカーのデイヴィッド゠ナイランドは、安易に児童を精神疾患と診断することで、周囲が色眼鏡でその児童を見るようになり、児童自身も自己暗示でその精神疾患の特徴とされる行動規則から逃れられなくなり、自己肯定感も下がることを批判している[69]。それらの治療では反抗的行動と見なされる行為を抑え込むことがとりわけ強調されるが、ナイランドは一概に従順を求めることでその人物の個性を潰すことになることを憂慮している。ナイランドは、既成の社会の価値観や法律(逃亡奴隷法)に逆らって、黒人奴隷のジムと共に奴隷制を廃止した自由州へ向かうハックルベリー・フィン(『ハックルベリー・フィンの冒険』の主人公)が現代に生きていれば不適切な治療で個性を潰されることになるだろうと述べている[70]。ナイランドによれば、一昔前のアメリカ社会では児童がそれらの問題行動を起こしても、いたって「普通」だと見なされていたという[71]。ナイランドの考えは医学博士ジーン゠コムズも賛成している[72]

治療

編集

世界保健機関や日本のガイドラインでは、児童青年のADHDへの第一選択肢は心理療法心理教育ペアレント・トレーニング認知行動療法など)であり[47][60]、薬物療法は児童青年精神科医の管理下でのみ行うことができ、かつ6歳未満に対しては投与してはならない[73]。心理療法では認知行動療法ソーシャルスキルトレーニング、また親の接し方の練習であるペアレント・トレーニングといったものがある。児童における大規模なMTA研究にて1年時点で見られた投薬の優位性は、2年以上の投薬では行動療法などと差が見られず疑問が呈されており[74]、他の長期研究でも長期の投薬による利益は報告されていない[36]

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、4-5歳のADHDに対しては、薬物療法の前にまず心理療法を実施するよう勧告している[75]。一方でCDCは、6-17歳のADHDに対しては、薬物療法と心理療法の両者を実施するよう勧告している[76]

一方で英国国立医療技術評価機構(NICE)は、未就学児においては薬物療法を推奨しておらず[77]、就学児童および青年においては第一選択ではなく重症の場合の選択としている[78]

日本での2016年のADHDの治療ガイドライン4版は、薬物療法が中心となっていた以前の2008年3版と比較して、心理社会的治療が大幅に充足された[79]。子供へのソーシャルスキルトレーニング (SST)、親へのペアレント・トレーニングなど心理社会的治療や、学校との連携など環境調整が優先され、薬物療法ありきの姿勢は推奨されない[47]

アメリカ国立精神衛生研究所 (NIMH) が出資した、7歳から9歳の600人近い子供を追跡した大規模な研究であるMTA研究が実施された。それまでの研究に一般的な4か月以内の研究より長期であり、行動療法、薬物療法、またその併用を比較するための試験であった[80]。14か月時点では薬物療法と併用した場合、他の方法よりも症状が改善しており、またこの時点で薬物療法の4%に精神刺激薬の重篤な副作用による中止があり、食欲喪失、睡眠の問題、泣き叫ぶ、反復運動といったもので、さらに薬物療法では身長と体重の成長に遅れがあった[80]。3年後では、ほとんどの人々に改善が維持されていたものの、行動療法などとの治療利益には差がみられなくなっていた[74]。並存疾患の発生率も3年後では差がない[81]

8年後でも投薬した群に恩恵があったというわけではなかった[82]。8年では医薬品を用いなかった人も同様の機能水準があったため2年以上の薬物療法には疑問が持たれた[74]。医薬品を用いた人の医薬品の種類は91%が精神刺激薬(メチルフェニデートなど)を含む治療である[82]。14か月時点で投薬を受けていた人の61.5%は、8年の間に投薬を中止していた[74]。16年目では長期的な投薬は症状の重症度の低下に結びついておらず、1-2センチの身長の成長の抑制と関連していることが分かった[83]。投薬や教育サービスはむしろ不利な傾向を示しており、問題が悪化した子供ではより多くの治療が施されたのではという議論も生じている[82]。時間と共に全被験者に改善の傾向が見られた[82]。(#経過も参照)

フランスでは、心理療法や家族カウンセリングを実施し、実際に問題を解決すると真にADHDに診断される児童は少ない(0.5%)ということである[45]。フランスでの心理社会的な手法は包括的に取り組まれ、食事では合成着色料、保存料、食物アレルギーが症状を悪化させていないかといったことにも着目し、子育ての方針においても子供を管理するために薬を使うのではなく、はっきりとしたルールの中で耐えることを学ばせることが定着している[45]

心理療法

編集

家族には心理教育、ペアレント・トレーニングを行う[60]。本人の症状をコントロールすることよりも本人の特性にあった環境を整えることが重要である。ペアレント・トレーニングは、症状を持つ児童への接し方を親が学ぶということである。

児童青年のADHDには、WHOおよびNICEのガイドラインでは認知行動療法(CBT)およびソーシャルスキルトレーニング (SST) を提案している[60][84]。また成人においては、NICEは患者が薬物療法を希望しない、または薬物療法の効果が乏しい際にCBTを検討するとしている[85]

認知行動療法に関してはセルフヘルプのできるワークブックも利用できる。SSTは困っていることを、上手にこなせるように実際に練習してみるということである。

さらに、ADHDを持つ子供へは、Summer Treatment Program (STP) などの治療プログラムの実施が有効であり、参加したすべての子供に行動改善が認められ、ADHDの症状が有意に改善するとされている[86][87]。また、ADHDを持つ成人へも、薬物療法と並行して、心理教育動機付け面接技法認知行動療法(活動スケジュール表の利用・問題解決法・認知再構成法などを含む)・ソーシャルスキルトレーニング (SST) などから構成される、ヤング・ブランハム・プログラムなどの治療プログラムを実施することが、症状の改善に有効であるとされている[88]

なお、二次的な症状として、不安障害うつ病不眠症などの症状が生じる場合も多く、その場合はADHDの治療と並行してそれらの症状への治療を行い本人をサポートする(「不安障害#治療」、「うつ病#治療」、「不眠症#治療」などを参照。これらの治療も、本人が取り組みやすいようADHDの特性を踏まえて工夫して行うことが重要である)[89]

認知行動療法

編集

ADHDの認知行動療法では、下記の技法などが用いられる[88][90]。治療や支援を行う際には、本人の症状・年齢・環境・併存症の有無等に応じて、下記の技法などを統合して包括的かつ効果的な介入プログラムを立てることが重要である[90]

なお、認知行動療法の実施とセットで、ADHD児・者の特性に応じた合理的配慮や環境調整が行われることも大切である[91]

社会的方法

編集

環境上の配慮の仕方や、周りの人の関わり方によって、本人の困り事も違ってくる。したがって、問題の原因を本人の中に求めるのではなく、周囲の関わり方や環境上の配慮の仕方を改善し、支援をしていくことが大切である[92]

環境変容法

注意をそらす物を周りに置かない。

文化的配慮

医学博士ジーン゠コムズは、文化学博士・医療福祉士(医療ソーシャルワーカー)のデイヴィッド゠ナイランドによる療法を高く評価し、重要なのは「何も疑問に思わずに従順に育つこと」ではなく、「勇気文化に対する反抗心を持って育つこと」であると述べている[93]

薬物療法

編集

WHOは、正しく診断されたADHDに対してはメチルフェニデート製剤の薬物療法を用いるとするが、薬物療法は対症療法であり根治を目指すものではなく、専門医の指示の下で行うべきであり、相談なくプライマリケアでは処方してはならないとしている[73]。薬物療法は継続的な心理行動への包括的介入の一部でなければならない[73]、とくに子供の場合は6歳以上で心理行動療法に効果がなかった場合に慎重に使う、としている[1]

成人のADHDについては、NICEは薬物療法を第一選択肢とするべきだと勧告している(患者が心理療法を好んだ場合を除く)[注 1]。薬物乱用ポテンシャルのある患者についてはアトモキセチンを提案している[85]

MTA研究以外の長期的な研究も長期的な医薬品の利益を報告しておらず[36]、3-5歳の子供を6年追跡したPATS研究では、投薬の恩恵は見いだせなかった[94]

コクラン共同計画による小児ADHDにおけるメチルフェニデートの効果に関するシステマティックレビューでは、治療期間は平均75日と非常に短く、証拠の品質が低いので医薬品の影響の大きさを特定できなかった(有益なのか明らかとならなかった)[95]。死亡や致死的な副作用は増加していないが、睡眠障害が1.6倍、食欲低下が3.6倍であり、副作用の評価のためにはより堅牢な試験が必要とされることが結論されている。成人ADHDでのメチルフェニデートのシステマティックレビューは批判のため2016年に撤回されており、不明確のリスク評価に対して信頼性が高いとしたり、11研究の内2つだけが抑うつなど並存疾患のある被験者をはっきりと残していたため一般的な効果であるかの妥当性が損なわれており、試験期間は1-7週間であり小児研究で観察されているように効果は時間と共に減少してもよく証拠の格下げにつながってもよかったといった理由があり、評価のために偏りのない長期研究が必要とされる[96]

子供のためのADHD治療薬の承認のための試験では、精神病躁病は1.48%に出現し、虫、昆虫、ヘビの幻覚が一般的であった[83]。異なる条件である、うつ病、双極性障害、統合失調症の両親を持つ子供では、精神刺激薬の使用群(メチルフェニデートが83%)では62.5%が精神病症状を呈し、服用していない群では27.4%であった[97]

ADHDの治療薬の使用と骨密度の低下が報告されており[98]、この懸念から実施された動物研究ではメチルフェニデートが悪影響を与えることが観察された[99]。成長抑制以外に長期的な害がよく知られていないため、2017年に動物試験におけるシステマティックレビューを実施したところ、α2受容体作動薬のクロニジンと、メチルフェニデートで生殖機能を損なっている形跡が見られた[100]

精神医療における大麻の有効性が広く認知されるようになった最近では、医療大麻のADHDに対する有効性について現在多数の研究が行われている[101]。規制の緩和された米国やカナダ、英国等で精神科医が医療大麻や大麻の有効成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)系製剤を患者に処方する場合が増えており、中枢神経興奮薬に比べ副作用や依存の少ない有力な代替薬として使用されている[102][103][104]

北米で小児の薬物有害反応の報告が最も多かったのは、ADHDの治療薬と、にきび治療薬のイソトレチノインであり、北米でのADHD治療薬の使用量に関係している可能性がある[105]

ADHDについて光トポグラフィーで薬物治療の効果を確認できることが示された[106][107]。(途上の技術である、光トポグラフィーを参照。)

薬物療法の実施にあたっては、継続的に服薬することでどのようなメリットや効果があるのかを、本人の視点に合わせてわかりやすく伝えていく[108]。その上で、服薬支援アプリなど定期的な服薬につながる工夫についても紹介し、本人をサポートする[108]

医薬品

編集

医薬品では、覚醒水準を引き上げる薬が用いられる。

日本でADHDに適応がある薬は、2007年よりメチルフェニデート徐放剤(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)の4種類。

日本でADHDに適応のある製薬[109]
コンサータ ストラテラ インチュニブ ビバンセ
一般名 メチルフェニデート アトモキセチン グアンファシン リスデキサンフェタミン
種類 中枢神経刺激薬剤 非中枢神経刺激剤/選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 非中枢神経刺激剤/選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬 中枢神経刺激剤
形状 浸透圧を利用した放出制御徐放カプセル カプセル、液、錠剤 徐放錠 カプセル
作用 ドーパミン・ノルアドレナリン再取込阻害 ノルアドレナリン再取込阻害 アドレナリンα2A受容体刺激 ドーパミン・ノルアドレナリン再取込阻害・遊離促進
効果発現 比較的早く ゆっくり 比較的早く 比較的早く
効果持続 約12時間、効果に切れ目がある 終日 終日 約12時間、効果に切れ目がある
1日の服薬 1回朝 2回 1回 1回朝
副作用 食欲減、不眠、体重減、など 頭痛、食欲減、眠気、など 傾眠、血圧低下、頭痛、など 食欲減、不眠、頭痛、など
適応年齢 6歳から 6歳から 6歳から 6歳から17歳(2023年現在)
流通規制 あり なし なし あり
開発メーカー ヤンセンファーマ(、ジョンソン・エンド・ジョンソン イーライリリー、他社ジェネリックあり 武田薬品工業(←シャイアー[注 2][110] 武田薬品工業(←シャイアー)[注 2][110]
添付文書 添付文書pdf 添付文書pdf 添付文書pdf 添付文書pdf
備考 即放錠「リタリン」の成分を、アルザ社の買収によって得た技術で徐放カプセル化。 古い高血圧治療薬を応用。 シャイアーはアンフェタミン製剤「アデラ―ル英語版」のメーカー。

特に中枢神経刺激剤の効果が高く、多くの場合でメチルフェニデート(短時間型:リタリン/長時間型:コンサータ)が使用される。

しかしながら、日本では2014年4月~2015年3月にADHD治療薬が処方された患者のうち、メチルフェニデートが処方された患者は64%であり、これは英国(94%)、ノルウェー(94%)、韓国(94%)、トルコ(92%)、ドイツ(75~100%)と比較し著しく低くなっている。

このような要因として、日本では短時間作用型メチルフェニデート(リタリン)のADHDに対する承認が得られておらず、長時間作用型(コンサータ)のみが承認されていること、アトモキセチン(ストラテラ)に処方制限がない一方で、メチルフェニデート(コンサータ)のみ医師の登録が必要であるなど処方制限があるというアンバランスな規制となっていること、診療ガイドラインにおいてメチルフェニデート(コンサータ)とアトモキセチン(ストラテラ)の両方を第一選択薬としていることが影響していると考えられる[111][112]

同様に中枢神経刺激剤であるリスデキサンフェタミン(ビバンセ)も日本以外では第一選択薬となっている場合が多いが[113][114]、日本ではメチルフェニデートと同様の処方制限があり、さらに2023年現在6歳から17歳に対する適応のみであり、18歳以上のADHDに対する承認は得られていない。

メチルフェニデート
かつて日本でメチルフェニデート(商品名リタリン)が使用されていたが、ADHDへの使用は認可されていなかったため、二次障害のうつ病に対して処方するという形をとっていた。しかし、2007年10月乱用のため、リタリンの適応症からうつ病が削除された[115]。代わってメチルフェニデートの徐放剤(商品名コンサータ)が小児期におけるADHDの適応薬として認可され[116]、2013年に成人へと適応が拡大された[117]
メチルフェニデートは長期摂取による依存性や何らかの副作用が懸念されるが、適正に使用されている限り薬物耐性はつきにくい。特に思春期以前の児童に関しての投薬も依存の危険はないとされるが、米国ではあまりに安易に幼年児にも処方するため、2-3歳児への処方では実際にはADHDではないケースがかなり含まれているのではとの懸念がなされている[30]。メチルフェニデートは前頭前野皮質のノルアドレナリン・トランスポーター (NAT) に作用し細胞外ドーパミンの濃度が上昇、治療効果をもたらすという仮説がある[118]。リタリンは、脳内のドーパミン・トランスポーターとノルアドレナリン・トランスポーターに作用する事で、ドーパミンやノルアドレナリン量を増やす。セロトニン・トランスポーターにはほとんど作用しない[30]。コンサータ錠は12時間程度効果が持続する、すぐに効き目が現れるので数日で効果がみられるといった特徴があるが、コンサータ錠適正流通管理委員会に登録がある医師しか処方が認められていない[119]
短時間作用型のメチルフェニデート(リタリン)は2023年現在も日本ではADHDに対する承認が得られていない。かつて日本でもADHDに対して実質的に処方されていたが、過去に乱用の問題があり、うつ病への適応が削除されたため、うつ病への適応を利用したADHDへの処方ができなくなった。
リスデキサンフェタミン
リスデキサンフェタミン(商品名ビバンセ)はデキストロアンフェタミンプロドラッグであり、ノルアドレナリンおよびドーパミンの放出促進と再取り込み阻害によって、中枢神経に作用する。2019年2月に小児に対して認可された[120]
アトモキセチン
アトモキセチン(商品名ストラテラ)は、ノルアドレナリン再取り込みを阻害する作用を有する。2009年4月に認可された。本剤も小児に限定されていたが、2012年に成人へと適応が拡大された。ノルアドレナリン・トランスポーターに作用する事により、間接的にドーパミンにも作用するとされる非中枢刺激剤である[121]。メチルフェニデートと異なり乱用の可能性がない。
グアンファシン
グアンファシン徐放剤(商品名インチュニブ)が、2017年3月に子供に対して認可された。非中枢神経刺激薬で、α-2アドレナリン作動薬に分類され、機序はまだ未解明だが、患者の低下している前頭前皮質の後シナプス性アドレナリンα2受容体に作用し、多動性・衝動性を改善するとしている。延髄ではアドレナリン2A受容体の刺激によって、交感神経を抑制し血圧が下がることが知られており、この作用を持つグアンファシンやクロニジンは高血圧治療薬であったが、以前よりADHD治療にも使われることがあった。[122][123]。2019年6月より成人に対して認可された[124]


アメリカではアンフェタミン(アデロール、日本法における覚醒剤)、デキストロアンフェタミン(アンフェタミンのD体)、リスデキサンフェタミン(体内でデキストロアンフェタミンになる)も用いられる。ダソトラリン英語版の臨床試験が進行しており、これはセルトラリンの活性代謝物である。

ADHD適応外の製薬

編集

DNRIのADHD治療薬を大日本住友製薬の米子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インクが米国で治験中である[125]。DNRIは同じくノルアドレナリンドパミンに作用する中枢神経興奮薬よりも緩やかに作用し、依存性も少ないという特徴がある。

アメリカ合衆国ではメニエール病に使用されていたベタヒスチン英語版臨床試験中である[126]

漢方薬

編集

ADHDなど、発達障害には抑肝散抑肝散加陳皮半夏甘麦大棗湯黄連解毒湯香蘇散柴胡加竜骨牡蛎湯当帰芍薬散などをその人の証にあわせて使い分ける[127]。また、西洋薬の補助として併用することもある[128]抑肝散抑肝散加陳皮半夏に関しては、ADHDに効果があることが日本東洋医学会でも示されている[129][130][131]。Shanghai Journal of Acupunctureにおける研究によれば、子供592名を、鍼灸グループと漢方薬グループ、比較グループに分け、鍼灸で84.45%の効果率、漢方薬で78.77%の効果率となりどちらも、症状と脳波に改善が見られ、また患者の年齢が低いほど良好な結果が得られた[132]。」とのことである。

鍼治療

編集

ADHDには、鍼治療が有効という意見があり[133]、日本でもADHDに鍼治療を行う鍼灸治療院が存在する。また、日本小児はり学会でも発達障害をテーマとされたこともあり、「ADHDと疳の虫は同疾患である」という意見も存在する。ニューイングランド鍼灸大学院大学助教授、桑原浩榮によれば、軽度の疳虫症は肺虚肝実証、重度のADHDは七十五難型肝実証、薬剤過剰投与で脾虚肝実証となることが多いという。また、治療回数は一般的な疳虫症で4日から5日連続、軽症で2日から4日連続、重症だがADHD薬を服用していなければ7日から10日の連続、毎日の服用が10mg以下のADHDは週一回で1年から3年、毎日の服用が20mg以上のADHDになると週2日から3日で2年から4年ほどである[134][135]。米国において、ADHDへの鍼治療は認知度が高まりつつある[136][137]。一方、中国四川大学の調査ではADHDへの効果は不明とされている[138][139]

研究事例

ワーキングメモリの訓練

編集

21世紀となりワーキングメモリにおける障害は、ADHDの主要な障害または中間表現型であることが明らかにされた。神経生理学的にはADHDは脳の前頭葉とドーパミン・システムの機能変化と関係がありえる。(Castellanos and Tannock, 2002[142]; Martinussen et al., 2005[143])

スウェーデン、カロリンスカ医科大学のクリングバーグらは、コンピュータによる訓練方法を開発し、2つの研究 (Klingberg et al. 2002[144], Klingberg et al., 2005[145]) においてワーキングメモリーが訓練により改善可能であり、ADHDの症状を、精神刺激薬に匹敵する効果量にて軽減することを明らかにした。当時の同大学学長であり、世界的なエイズ研究者であるハンス・ウィグゼルは、医学を専門とする同大学ベンチャー・ファンドとしては初めて新薬以外の分野として事業化を支援し、2009年現在スウェーデンでは約1000校の小学校(約15%)において、米国では約100クリニックにて、それぞれ年間3000人以上の児童・成人のADHD改善トレーニングが行われている[146]

日本では、2007年夏より約半年間のえじそんくらぶ[147]によるワーキングメモリートレーニング評価プロジェクトとして開始された。2008年日本発達障害ネットワーク年次大会にブース出展があり、関係方面への紹介がされた。日本では2009年、コグメド・ジャパンがワーキングメモリトレーニングを提供している[148]

英ヨーク大学のギャザコール、英ノーザンブリア大学のホームズらは、コグメドのワーキングメモリ訓練を使い、訓練プログラムと、精神刺激薬による薬物療法の2種の介入にて、ADHDをもつ児童のワーキングメモリ機能への影響を評価した。薬物療法が視空間のワーキングメモリだけ改善した一方で、訓練はすべてのワーキングメモリ要素(言語も加えたワーキングメモリと短期記憶)で大幅な改善をもたらし効果は6ヶ月後も持続した。IQ成績はいずれの介入でも変化しなかった。議論のなかで、「断然に最もドラマティックなワーキングメモリの改善はワーキングメモリトレーニングで観察された。測定されたワーキングメモリのすべての構成要素で有意で大幅な改善が見られ、それぞれにおいて、グループの児童を同年代の平均以下のレベルから平均以内のレベルにもっていった」と報告し、トレーニングによる視空間・言語すべての要素のワーキングメモリへの全体的な改善が、教室の言語中心の環境における多くの学習活動でワーキングメモリへの重い負荷にしばしば耐えられない児童にとって重要で実用的な利益となろう、としている (Joni Holmes, Susan E. Gathercole 2009[149])。

食事療法

編集

ランダム化比較試験で、ビタミンミネラルは、感情調節、攻撃性、不注意を改善したが、過活動と衝動性には変化がなかった[150]

フィンランドの調査で、腸内フローラがADHDを予防する効果がある可能性が示唆されている[151][152][要非一次資料]

経過

編集

367例の小児ADHDでは、29.3%が成人期まで症状が継続した[20]

疫学

編集

ADHDの子供の大部分は正常な知能である[36]

有病率

編集

有病率は、DSM-5(2013)ではほとんどの文化圏で子供の約5%、成人の約2.5%、男:女比では子供で2:1、成人で1.6:1という記載がある[注 3]。WHOの調査では、成人では世界全体で3.4%(国によって1.2% - 7.3%と大きく異なる)。主症状のうち、多動は9歳から11歳、衝動性は12歳から14歳で診断的寛解となることが多く、不注意は成人後も継続する事が多いという報告がある[153][154][155]

米国CDCの統計では、4-17歳児童の約11%(640万人)がADHDと診断されており(2011年)、男児が13.2%、女児が5.6%と男児に多い[156]ニューヨーク・タイムズは、古典的なADHDの有病率は児童の5%であるが、しかし今の米国ではADHDは喘息に次いで二番目に多い小児疾患であり、それには過剰診断や製薬会社による病気喧伝があると述べている[157]。英国の統計では、狭義のICD-10によるhyperkinetic については児童青年の1-2%ほどであり、広義のDSM-IVによるADHDについては児童青年の3-9%ほどであった[158]。一方フランスでは症状を呈す心理社会的原因の解消を試みており真にADHDと診断される子供は0.5%である[45]

日本の有病率は、成人では浜松市の大規模調査より1.65%と推定されている[注 4][159]

双生児での研究

編集

コロラド大学のジャクリン・J・ジリス[160]らの研究では、ADHDを発症した一卵性双生児が二人とも発症するリスクは、ADHDを発症した一卵性ではない兄弟姉妹の場合の11倍 - 18倍になると報告された。ノルウェーのオスロ大学のグヨーネ[注 5]とサンデット[注 6]、英国のサウサンプトン大学のジム・スティーブンソン[注 7]らの研究では、526組の一卵性双生児と389組の二卵性双生児を調べた結果として、最大で80%までADHDを遺伝的要因で説明できると発表した[30]

生活への影響

編集

日常生活において

編集

2005年に発表された研究によると、ADHDを抱える人物は健常の人物に比べて、学歴に関わらず就業率が低く(失業率が高く)、また低収入であった[161]。日本では発達障害者支援法によって、発達障害の特性への理解と発達障害者の社会参加への協力が国民の責務とされ、ADHDを抱える人物の就学・就労のための環境整備が続けられている。

ADHDの人物はインターネット依存症になりやすい。2019年に発表された日本の研究によると、インターネットの依存度をテストするYIAT(Young's Internet Addiction Test)において、70点以上をインターネット依存症とした時、一般人口と比較してADHDのみの場合は約4.31倍で、ADHDに加えてアスペルガー症候群と診断されたものでは約6.89倍もその割合が大きかった[162]。なお、アスペルガー症候群のみの場合は、約3.72倍であった[162]。米国医師会雑誌(JAMA)に2018年7月17日掲載された2500人の10代の若者を2年間にわたって追跡した調査によると、10代の若者によるソーシャルネットワーク(SNS)サイトやビデオゲーム、ストリーミング配信サービスの利用が増えれば増えるほど、ADHDの症状を引き起こすリスクが高まることがわかった[163]。デジタルメディアを1日に複数回使うことはないと答えた約500人のティーンのうち、ADHDの症状(作業を最後まで続けられない、静止しているのが困難など)が見られる比率は4.6%だった一方で、質問した14種類のデジタルメディアの全てを毎日使うと答えた約50人では、その比率が10.5%だった[163]

アングリアラスキン大学のシャロン・モレインらは、ADHDクリニックに通う患者88人を対象に調査をした結果、ADHDの人々は一般の人と比べてため込み症の傾向をより強く示し、対照群の2%に対し、約20%が買いだめ障害の有意な症状を示したという[164]

学業など

編集
 
ADHDを抱えていたと見られるトーマス・エジソン。幼少期は学校になじむことができず、また学校側の無配慮もあって、学校を退学しホームスクーリングで育った[165]

フランスのある研究によるとADHDの子供は、一般の子供に比べて3.58倍留年しやすく、日本での高校に相当するセカンダリ・スクールでは中退が2.41倍多いという[166]。またCDCによると、ADHD児を持つ親は、一般児と比べて親子関係がトラブルとなる確率が約3倍であるという(21.1%と7.3%)[156]

学習面においては、計算などの単純作業において障害が原因で健常児と比較してミスが多くなる傾向はあるが、周囲の人間の適切なフォローや本人の意識によってミスを減らすことは可能であるとされている。ADHDだからという理由でレッテルを貼ったり、甘く評価するなどは不適切な対応であるという意見もある[18]。かといって、現在では一般教諭がADHD児に対して常に適切な対応を取ることは容易だというわけではない。

学習機能面以外の問題として、ADHD児は授業中に立ち歩く、他の生徒とずっとおしゃべりをし続けるなど、教諭や他の生徒にとって迷惑な存在になるケースも多い。またノートを取る、宿題をする、提出物を出すなどの行為をADHDの児童が苦手とする傾向がある(あるいは興味のある教科しか勉強しないなど)。そもそも、教育現場でADHDが注目されるのは、学級崩壊の原因になるような問題児が発生することへの説明としてADHDが槍玉にあがったことという構造がある。2014年には京都市立小学校で、ADHDの傾向がある男子児童に対し、女性教諭が粘着テープを示して口に貼り付けていたことが判明し、児童の保護者が「ADHD児に対する差別的な取り扱いだ」と抗議する事態となった。これについては、有識者からは「教諭一人の問題でなく、学校が児童一人一人の教育機会を十分に保障していないためだ」という意見がある[167]

教育での配慮としては、勉強をしているとき外的刺激を減らしたり、子供の注意がそれてしまった時に適切な導きを与えてやったり、頃合いを見計らって課題を与える、褒めることを中心にする、などが挙げられる。一例として「勉強しなさい」と言うよりも、机の上にその子供の注意を引きそうな学習意欲を向上させる本をさりげなく置いておく等である。

日本の公立学校には、発達障害を抱える児童が普通学級で学べるよう、それを抱える児童への「合理的配慮」をする義務が学校に課されている。しかし対人関係を苦手とする、それを抱える児童が引きこもりになり、フリースクールや特別支援学校への進学などを選択すると、(高校)卒業資格を得られず進学や就職でハンデになる[168][169]。しかし近年設置が進められている学びの多様化学校は学校教育法施行規則に基づいて設置されているので、卒業資格を得られるメリットがある[170]

犯罪行動との関係

編集

ADHDの人物と犯罪行為の相関関係は、一般の人より高確率であるという研究と、ほぼ同等であるという研究がある[171]。現在の精神医学界では、ADHDや広汎性発達障害など発達障害そのものが触法行為の原因になると考える見解よりも、その人物を巡る周囲環境との相互作用の結果として触法行為に至ったと考える見解が優位になっている[172]

ADHDの人物の犯罪率が健常者より高いと考える研究では、ADHDの人物はセルフコントロール能力が低いことが原因と分析し[173]、世界の少年鑑別所、留置所、刑務所の収容者で、ADHDの人物の占める割合が高いと指摘する[174]。日本での2022年の調査では、新規受刑者700名に対して調査を実施したところ約12%がADHDとの判定で、一般の成人集団に占めるADHDの割合よりも高い割合だった。ADHD陽性者のうち治療が必要不可欠と考えられる受刑者で、治療を希望する人物に、薬物療法(メチルフェニデートの投与)などを含めた治療を実施したところ、約7割で症状の改善が見られた。網走刑務所矯正医官の富田拓は、適切な治療を受けていたADHDの人物は、そうでないADHDの人物よりも犯罪率が低いとする海外の研究結果を例に挙げ、刑務所でのADHDを持つ受刑者の治療体制の構築と、出所後のバックアップ体制の構築が必要だと主張する[175]

町沢静夫はADHDの特徴は攻撃性であると述べている[176]。それによると注意欠陥・多動性障害の症状は攻撃性と非行であり、いろいろな小さな悪事を重ね、慢性化すると行為障害となり、18歳以上になると反社会性パーソナリティ障害になることが多いという[177]。しかし、町沢がADHDと診断した患者のうち、メチルフェニデートの効果があったのは5%[178]である。これは他の研究によって一般に60% - 80%とされる結果とかけ離れており、町沢の診断したADHDは、典型的なADHDではない可能性がある。これについて、町沢は米国人と日本人の特性の違いから薬物の効果に差があると説明している。

日本では1997年11月、朝日新聞神戸連続児童殺傷事件に関し、ADHDが犯罪に関連するかのような印象を与えたと、精神発達指導教育協会などから謝罪を求められ、紙面で謝罪した。

社会活動家で元衆議院議員の山本譲司は、自身が政治資金規正法違反で逮捕され服役していたころの体験をもとに、著書『累犯障害者』で社会福祉制度の不十分さによって精神障害者が刑務所で多数を占め、福祉の代替施設のようになっていることを報告した。山本は自著についてのインタビューで「知的障害者や発達障害のある受刑者のほとんどが、福祉や家族から見放され、挙げ句、何日も食事がとれないほどの困窮状態におちいり、窃盗や無銭飲食などに手を染めることになっている」「重い罪を犯した人の場合は、社会に蔓延する同調圧力に耐えられず、空気が読めないと虐げられ続けてきた辛さが、何らかの刺激によって犯罪に結びついている」「障害があるからといって、罪を犯しやすいというわけでは決してない」と述べた[179]。山本によれば、障害を抱えた受刑者の多くは実社会での差別から逃れるために刑務所に故意に入所したり留まったりすることを望む人物が多く[180]、裁判官も精神疾患を抱えた被告人に対する同情から、三食を提供される刑務所に入った方が本人のためだろうと考えて実刑判決を下すことが多いという[181]。山本は泉房穂らと共に精神疾患を抱えた出所者の福祉のあり方を問う研究委員会を発足させた。明石市長に就任した泉は精神疾患を抱えた出所者を支援する行政部署を設置し、また「明石市更生支援及び再犯防止等に関する条例」を制定した[182]

日本の診断・治療環境

編集

ADHDという分類が妥当であるのかということはADHDの概念を確立したアメリカでも論争が続いている状況である。日本においては、ADHDの特徴については未だ明確に定義化されていない[183]。近年は一般向け書籍の増大やテレビ番組における報道による認知度の上昇の影響で、「自分がADHDではないか」と受診してくる患者が増えた[183]

2013年に日本精神神経学会学術総会が静岡県浜松市で行った調査によれば、調査対象10000人のうち196人が結果ADHDの「疑いがある」と認定をされた[183]

文部科学省は、ADHDの特徴として、「年齢あるいは発達の度合いに不釣り合いな注意力、衝動性、多動性」と定義づけている[184]。文部科学省は、平成15年3月に行われた、「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」において、判断基準や指導方法について提示した[184]。また、同年より、高機能自閉症学習障害も含めて、支援を目的とした、「特別支援教育推進体制モデル事業」を開始した[184]

病名・概念の変遷

編集

多動で落ち着きのない子供の存在は古くから知られており、ADHDの疾患概念は最近になって現れたものではない。後に小児神経医学などの分野で注意が払われるようになる。

1775年、ドイツの医師、メルヒオール・ヴァイカルドは医学教科書にADHD的な行動を記載し、現在のADHDの「不注意」側面との一致から、おそらく医学文献上のADHD初出とされる[185]

1902年、小児科医スティルが、王立内科医協会の講演で、「道徳的統制の欠損」という概念を用いながら、攻撃的・反抗的になりやすく、注意機能に異常がある43人の児童の症例を分析し、講義録がランセット誌に掲載される。これらの中には現在のADHD「混合型」に合致する例が見られるという[186]。1908年、トレッドゴールドが、早期に発生した未検出の軽度脳損傷「脳微細損傷(MBD,minimal brain damage)」という原因仮説を発表する。加えて北米でエコノモ脳炎(1917-18年)の流行があり、その後遺症(脳炎後行動障害)との類似性が、なんらかの脳損傷を背景とした病態という推測を生む。

この流れから「脳損傷児(brain-injured child)」(1947年)の概念が提唱されたが、50-60年代は、確たる損傷の痕跡が見つからないため、ADHDを表す概念として「脳微細損傷(MBD,minimal brain damage)」から、やや表現を抑えた「脳微細機能障害(MBD,minimal brain dysfunction)」が提唱された。70年代には、MBD概念も原因となる脳機能障害が特定できず、疑問が持たれ次第に使われなくなる。

行動異常児の脳の形態的異常を見つけようとする動きの中で、1937年にチャールズ・ブラッドリー英語版は薬物療法を発見した。彼は腰椎から脳脊髄液を抜いて気体を入れ脳を撮影する手法(気脳造影)をもちいたが、子供には大変な頭痛が残った。緩和のため中枢神経刺激薬アンフェタミン)を試みたところ、頭痛には効果がなかったが、異常行動や学力に劇的な改善がみられた。さらに研究を進め、治療法としての中枢刺激薬を発見し、薬の性質とは逆に落ち着きが出る子供がいることの理由を考察した。また中枢刺激剤が有効な子供群の特徴[注 8]を指摘した。それはほぼ今日のADHDの病態であった。

これはADHDに対する薬物療法研究の先駆であったが、精神分析の影響が広まり心理療法が重視されたことなどから顧みられなかった。ようやく1950年代になって、障害の生物学的な特定はまだ出来なかったが、発症メカニズムの理解や新薬開発のために応用されはじめる。これとは別に1954年にアンフェタミンに似た中枢刺激剤、メチルフェニデート(リタリン)が発売され、当初はうつやナルコレプシーの症状に用いられたが、最も驚異的な効果を示したのはADHDの症状であり、かつ副作用はより少なかったため使われるようになった。現在のADHDの治療は主にこのような流れをもつ中枢神経刺激薬による薬物療法に依っており、メチルフェニデートは最も頻繁に処方されている[187][188]

脳損傷を原因とするMBDの流れとは別に、50-60年代、原因を問わず主症状がある障害と捉えて「多動児、過活動児」、「多動(衝動性)障害」という概念が提案された(操作的診断の先駆け)。 DSM-II(1968年)で、診断概念として「多動性」が初めて現れ「子供の過活動性反応」が記載される。この延長上でWHOもICD-9(1977年)で「多動症候群(過活動症候群)」が記載された。

1971年、ウェンダーは、MBDの症状に「短く乏しい注意集中」という、後に「注意欠如」と呼ばれる障害の特徴を見出した。DSM-III(1980年)は、ウェンダーらの成果を取り入れ、「注意欠陥障害(多動有り・無しの)」(Attention Deficit Disorder with and without Hyperactivity)と記載し、あくまで不注意を中心症状と見ていた。

DSM-III-R(1987年)では「多動を伴う」障害に限定し「注意欠陥多動性障害」に変更し、やや重点を「多動」に戻す。

DSM-IV(1994年)は、不注意、衝動性、多動性が必ずしも合致しない障害を再び認めて、下位分類で優勢、混合を診断するように変更した。成人や特に不注意面が見過ごされがちな女児などの障害理解を反映し、再び「多動」偏重を抑えた。

成人・女性のADHDを扱った洋書の翻訳で、端的な病態を邦題に使った『片づけられない女たち』(2000年)が発売されると、これを契機に成人のADHDを疑う人たちが専門医療機関に押し寄せ、日本における第1次大人のADHDブームのような状況がおこった。この邦題は強い印象を与え、片付けられるならADHDではない、ゴミ屋敷イコールADHDなどとする誤解が続いている[189]

日本の発達障害者支援法(2005年)で、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」[190]と定義し、ADHDを代表的な発達障害のひとつに挙げた。国際的には「発達障害」についての正式な医学的な定義は定まっていなかったため、ADHDは行動と衝動性の(DSM)あるいは情緒と行動の(ICD)の障害とされていた。一方、日本では、特に福祉領域ではDSM-5の分類を先取りするように、ADHDも発達障害として認知されており、法律にも反映された。

DSM-5(2013年)では用語や診断基準の骨子はDSM-IVをほぼ踏襲している。近年の脳機能研究の知見を踏まえ、DSM-III以来一貫しつづけた反抗性挑戦性障害、素行障害のグループという分類から、初めて神経発達障害のグループに位置づけられた[191][192]

2013年ごろより来院者が増え日本では第2次大人のADHDブームの状況となった。以前との違いは、コミュニケーションの不調の面から、集団の中であぶりだされ診察を求める人や企業が不調に気が付き受診を勧められる人が多いことである[189]

公表している著名人

編集

歴史上の人物

編集

ADHDらしいと考えられている歴史上の人物として、下記のような人々が知られている[225]

関連項目

編集

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 原文:For adults with ADHD, drug treatment should be the first-line treatment unless the person would prefer a psychological approach. (英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.7.1)
  2. ^ a b インチュニブとビバンセは販売開始以来、シャイアーとライセンス契約を締結した塩野義製薬の両者によるプロモーションが行われており、2019年にシャイアーが武田薬品工業に買収された後も塩野義と武田の両者によるプロモーションが継続されていたが、2023年4月以降は武田の単独プロモーションに移行。塩野義が取得していた製造販売承認についても武田へ承継されている。
  3. ^ DSM-IV-TR(2000)では学童の3% - 7%と記載していた
  4. ^ 疫学調査は静岡県浜松市の18歳から49歳の男女10000人を対象とし、うち3910人から調査協力があり、うち196人がスクリーニングにおいてADHDの疑いがある陽性群となる。2次調査でこの陽性群中で41人の診断面接を行い14人が成人期ADHDと診断された。この結果から算出される有病率の推定値は、1.65%(95%信頼区間=1.25 - 2.05)。スクリーニングでADHDの疑いがあった陽性群196人は陰性群に比べ、男性が多い、20代に多く40 代後半に少ない、未婚、一人暮らし/夫婦+親同居が多い、未婚ゆえ子なし、無職、収入200万円未満が多い、不健康、通院中、悩みやストレスが多いという特徴が見られた。
  5. ^ ノルウェー語: Helene Gjone
  6. ^ ノルウェー語: Jon M. Sundet
  7. ^ : Jim Stevenson
  8. ^ 短い集中力、計算が出来ない、気分が変わりやすい、過活動、衝動性、弱い記憶力
  9. ^ なお、木下が受けたというADHDの診断は日本精神医学会などにおいて、認められた方法では無く、木下自身も「正式な診断を受けた」と明言していないことに留意する必要がある[199]
  10. ^ 診断名と、強いこだわり・聴覚の過敏などを訴えるが今日のADHDの主症状は訴えないことに一定の注意[201]

出典

編集
  1. ^ a b c d 世界保健機関 2010, BEH.
  2. ^ a b アレン・フランセス (2016年5月23日). “ADHD Is Overdiagnosed, Here's Proof”. Psycology Today. 2018年3月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p アレン・フランセス『精神疾患診断のエッセンス-DSM-5の上手な使い方』金剛出版、2014年3月、24-29頁。ISBN 978-4772413527 
  4. ^ 「発達障害者支援法」改正、押さえておきたい7つのポイントまとめ”. LITALICO. 2021年10月25日閲覧。
  5. ^ 根來 秀樹 (2011). “注意欠如・多動性障害(ADHD)の包括的治療・支援”. 児童青年精神医学とその近接領域 52 (3): 269-274. 
  6. ^ a b ナイランド 2006, p. 33-46.
  7. ^ ICD-11(2023年1月版)の代表語の和訳案の確定について ICD-11の分類の表記に用いる用語の和訳案について(2024年7月24日ICD専門委員会資料等より)”. 2024年9月19日閲覧。
  8. ^ 性同一性障害は「性別不合」に 新疾病分類の和訳、厚労省部会が了承:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2024年9月19日). 2024年9月20日閲覧。
  9. ^ 精神科病名検討連絡会 (2014年). “DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)”. 2024年9月20日閲覧。
  10. ^ ADHD Throughout the Years”. Center For Disease Control and Prevention. 2013年8月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月19日閲覧。
  11. ^ 第1部 ADHD に関連する各種の評価法”. 独立行政法人 国立特殊教育総合研究所 (2004年). 2024年9月19日閲覧。
  12. ^ 発達障害の診断名について - 所長ブログ”. CRN 子どもは未来である. 2024年9月20日閲覧。
  13. ^ 自閉スペクトラム症を持つ方々の他者理解
  14. ^ ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について”. e-ヘルスネット. 厚生労働省 (2020年5月28日). 2022年7月22日閲覧。
  15. ^ 森野百合子, 海老島健 (2021). “ICD-11 における神経発達症群の診断について ーICD-10 との相違点から考えるー”. ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論①. https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1230040214.pdf. 
  16. ^ Caye, Arthur; Rocha, Thiago Botter-Maio; Anselmi, Luciana; et al. (2016). “Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Trajectories From Childhood to Young Adulthood”. JAMA Psychiatry 73 (7): 705. doi:10.1001/jamapsychiatry.2016.0383. ISSN 2168-622X. PMID 27192050. https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2522749. 
  17. ^ a b Marshall, Paul; Schroeder, Ryan; O’Brien, Jeffrey; et al. (2010). “Effectiveness of symptom validity measures in identifying cognitive and behavioral symptom exaggeration in adult attention deficit hyperactivity disorder”. The Clinical Neuropsychologist 24 (7): 1204-1237. doi:10.1080/13854046.2010.514290. PMID 20845231. 
  18. ^ a b 麦島 (2006)、p.54
  19. ^ 岡野高明 (2007) p. 106
  20. ^ a b Barbaresi, W. J.; Colligan, R. C.; Weaver, A. L.; et al. (2013). “Mortality, ADHD, and Psychosocial Adversity in Adults With Childhood ADHD: A Prospective Study”. PEDIATRICS 131 (4): 637-644. doi:10.1542/peds.2012-2354. PMC 3821174. PMID 23460687. https://doi.org/10.1542/peds.2012-2354. 
  21. ^ Willoughby, Michael T. (2003-1). “Developmental course of ADHD symptomatology during the transition from childhood to adolescence: a review with recommendations”. Journal of Child Psychology and Psychiatry, and Allied Disciplines 44 (1): 88-106. ISSN 0021-9630. PMID 12553414. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12553414. 
  22. ^ a b : impulsive
  23. ^ a b : hyperactive
  24. ^ : inattentive
  25. ^ a b 英国国立医療技術評価機構 2008, Information for the public.
  26. ^ : hyperkinetic disorders、F90
  27. ^ : inattention
  28. ^ National Institute of Mental Health (2008年). “Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD)”. アメリカ国立衛生研究所. 2015年11月1日閲覧。
  29. ^ a b ADHD: Symptoms and Diagnosis”. Centers for Disease Control and Prevention (2017). 2018年7月22日閲覧。
  30. ^ a b c d e f R.A.バークレー(マサチューセッツ大学医療センター)著 石浦章一訳 「集中できない子供たち 注意欠陥多動性障害」『日経サイエンス「脳から見た心の世界」』2007年12月10日発行1版1刷
  31. ^ National Collaborating Centre for Mental Health (2009). Attention Deficit Hyperactivity Disorder: Diagnosis and Management of ADHD in Children, Young People and Adults. NICE Clinical Guidelines. 72. Leicester: British Psychological Society. ISBN 978-1-85433-471-8. オリジナルの13 January 2016時点におけるアーカイブ。. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK53652/ 
  32. ^ Neale, BM; Medland, SE; Ripke, S et al. (September 2010). “Meta-analysis of genome-wide association studies of attention-deficit/hyperactivity disorder”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 49 (9): 884-897. doi:10.1016/j.jaac.2010.06.008. PMC 2928252. PMID 20732625. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2928252/. 
  33. ^ Nolen-Hoeksema S (2013). Abnormal Psychology (Sixth ed.). p. 267. ISBN 978-0-07-803538-8 
  34. ^ Durston, Sarah (2003). “A review of the biological bases of ADHD: What have we learned from imaging studies?” (英語). Mental Retardation and Developmental Disabilities Research Reviews 9 (3): 184-195. doi:10.1002/mrdd.10079. ISSN 1080-4013. http://doi.wiley.com/10.1002/mrdd.10079. 
  35. ^ a b Kim, Jae Han; Kim, Jong Yeob; Lee, Jinhee; Jeong, Gwang Hun; Lee, Eun; Lee, San; Lee, Keum Hwa; Kronbichler, Andreas et al. (2020-11-01). “Environmental risk factors, protective factors, and peripheral biomarkers for ADHD: an umbrella review” (English). The Lancet Psychiatry 7 (11): 955–970. doi:10.1016/S2215-0366(20)30312-6. ISSN 2215-0366. PMID 33069318. https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(20)30312-6/abstract. 
  36. ^ a b c d te Meerman, Sanne; Batstra, Laura; Grietens, Hans; et al. (2017). “ADHD: a critical update for educational professionals”. International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being 12 (sup1): 1298267. doi:10.1080/17482631.2017.1298267. PMC 5510202. PMID 28532329. https://doi.org/10.1080/17482631.2017.1298267. 
  37. ^ 日本放送協会. “注意欠陥・多動性障害の子 脳に共通の特徴発見 福井大学 | NHKニュース” (日本語). NHKニュース. オリジナルの2018年12月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181203122511/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181203/k10011733251000.html 2018年12月4日閲覧。 
  38. ^ Agency revises advice on certain artificial colours (英語) (Food Standards Agency, 11 September 2007)
  39. ^ Board discusses colours advice (Food Standards Agency, Friday 11 April 2008)
  40. ^ EU plans warning labels on artificial colours (The Guardian, August 11 2008)
  41. ^ Lars Lien et al. "Consumption of Soft Drinks and Hyperactivity, Mental Distress, and Conduct Problems Among Adolescents in Oslo, Norway" American Journal of Public Health Vol96, No.10 2006, pp1815-1820. PMID 17008578
  42. ^ ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン、小松淳子訳、「第2章 睡眠を削ってはいけない」『間違いだらけの子育て-子育ての常識を変える10の最新ルール』インターシフト社、2011年6月、42頁。ISBN 978-4-7726-9523-7。原題 Nurture Shock.
  43. ^ Bouchard MF, Bellinger DC, Wright RO, Weisskopf MG. (2010-6). “Attention-deficit/hyperactivity disorder and urinary metabolites of organophosphate pesticides.”. en:Pediatrics. 125 (6): e1270-7. doi:10.1542/peds.2009-3058. PMC 3706632. PMID 20478945. http://pediatrics.aappublications.org/content/125/6/e1270.long. 
  44. ^ Organophosphate Pesticides Linked to ADHD.”. en:Medscape Today. (2010年5月17日). 2016年8月10日閲覧。
  45. ^ a b c d Marilyn Wedge (2012年5月8日). “Why French Kids Don't Have ADHD”. Psycology Today. 2018年3月10日閲覧。
  46. ^ 成人期のADHD―病理と治療 ISBN 978-4788508200, 2002/11(発行年月) P.H. ウェンダー (著), Paul H. Wender (原著), 福島 章 (翻訳), 延与 和子 (翻訳)。
  47. ^ a b c 齊藤万比古『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版』(第4版)じほう;、2016年、目次, 21, 49頁頁。ISBN 978-4-8407-4881-0 
  48. ^ Walitza, S; Drechsler, R; Ball, J (August 2012). “Das schulkind mit ADHS [The school child with ADHD]” (ドイツ語). Ther Umsch 69 (8): 467-73. doi:10.1024/0040-5930/a000316. PMID 22851461. 
  49. ^ 市橋秀夫「成人における ADD, ADHD -私の治療手技」『精神科治療学』第19巻第5号、2004年5月、547-552頁。 
  50. ^ Lynne Lamberg (2014-09). “Children With ADHD Benefit From Sleep-Focused Treatment”. Gun Violence and Mental Health 49 (8): 1. https://gun-violence.psychiatryonline.org/doi/full/10.1176/appi.pn.2014.9a11. 
  51. ^ 福水道郎「注意欠如・多動症(ADHD)と睡眠障害」『脳と発達』第54巻第3号、日本小児神経学会、2022年、170-175頁、doi:10.11251/ojjscn.54.170 
  52. ^ Bailey, Eileen. “ADHD and Learning Disabilities: How can you help your child cope with ADHD and subsequent Learning Difficulties? There is a way.”. Remedy Health Media, LLC.. 2013年11月15日閲覧。
  53. ^ Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD)”. The National Institute of Mental Health (NIMH). 2013年11月15日閲覧。
  54. ^ McBurnett, K; Pfiffner, LJ (November 2009). “Treatment of aggressive ADHD in children and adolescents: Conceptualization and treatment of comorbid behavior disorders”. Postgrad Med 121 (6): 158-165. doi:10.3810/pgm.2009.11.2084. PMID 19940426. 
  55. ^ 成田善弘 (2006) p.24
  56. ^ Philipsen, A., Limberger, M.F., Lieb, K. et al., (2008). “Attention-deficit hyperactivity disorder as a potentially aggravating factor in borderline personality disorder”. The British Journal of Psychiatry 192: 118-123. http://bjp.rcpsych.org/content/192/2/118.abstract. 
  57. ^ 岡野高明、高梨靖子、宮下伯容 他「成人におけるADHD,高機能広汎性発達障害など発達障害のパーソナリティ形成への影響 - 成人パーソナリティ障害との関連 -」『精神科治療学』第19巻第4号、2004年4月、433-442頁、NAID 50000462975 
  58. ^ AD/HD - NPO日本次世代育成支援協会
  59. ^ 麦島, (2006), p56
  60. ^ a b c d e 世界保健機関 2010, BEH1.
  61. ^ a b アレン・フランセス 著、大野裕(監修) 編『〈正常〉を救え-精神医学を混乱させるDSM-5への警告』青木創(翻訳)、講談社、2013年10月、219-220,285-286頁。ISBN 978-4062185516  'Saving Normal, 2013.
  62. ^ a b c 佐藤光展「DSMの功罪 小児の障害が20倍!」『精神医療ルネサンス』、読売新聞の医療サイトyomiDr.(ヨミドクター)、2012年10月24日。 
  63. ^ a b c 「精神医学」編集室 2012, pp. 819–821
  64. ^ デイヴィッド・ヒーリー (2014年1月8日). “Drug Traffic Accidents: ADHD”. Dr. David Healy 公式サイト. 2018年3月10日閲覧。
  65. ^ Nearly 1 million children potentially misdiagnosed with ADHD”. Michigan State University (2020年8月17日). 2010年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月6日閲覧。
  66. ^ Carroll, Bernard J (2018). “Carmen Keith Conners”. Neuropsychopharmacology 43 (2): 455-455. doi:10.1038/npp.2017.240. PMID 29230032. https://doi.org/10.1038/npp.2017.240. 
  67. ^ 国連子どもの権利員会 [in 英語] (20 June 2010). Consideration of reports submitted by States parties under article 44 of the Convention - Concluding observations: Japan CRC/C/JPN/CO/3 (pdf) (Report). The United Nations Convention on the Rights of the Child (UNCRC). 2013年6月7日閲覧 邦訳:国連子どもの権利員会:総括所見:日本第3回
  68. ^ Ariana Eunjung Cha (2016年5月3日). “CDC warns that Americans may be overmedicating youngest children with ADHD”. The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/news/to-your-health/wp/2016/05/03/cdc-warns-that-americans-may-be-overmedicating-two-to-five-year-olds-with-adhd/?postshare=9221462383247926&utm_term=.624145eade46 2018年3月10日閲覧。 
  69. ^ ナイランド 2006, p. 48-49.
  70. ^ ナイランド 2006, p. 29-30.
  71. ^ ナイランド 2006, p. 8.
  72. ^ ナイランド 2006, p. 3-6.
  73. ^ a b c 世界保健機関 2010, BEH3.
  74. ^ a b c d Short-term Intensive Treatment Not Likely to Improve Long-term Outcomes for Children with ADHD”. アメリカ国立精神衛生研究所 (2009年3月26日). 2018年3月10日閲覧。
  75. ^ ADHD Treatments For Preschoolers (ages 4-5) (Report). アメリカ疾病予防管理センター. 2 April 2015.
  76. ^ ADHD Treatments For Preschoolers (ages 6-17) (Report). アメリカ疾病予防管理センター. 2 April 2015.
  77. ^ 英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.5.1.1.
  78. ^ 英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.5.2.1.
  79. ^ 田中哲「ADHDの診断・治療指針に関する研究会,齊藤 万比古(編)『注意欠如・多動症─ADHD─の診断・治療ガイドライン第4版』」『児童青年精神医学とその近接領域』第58巻第1号、2017年、200-201頁、doi:10.20615/jscap.58.1_200NAID 130005708247 
  80. ^ a b The Multimodal Treatment of Attention Deficit Hyperactivity Disorder Study (MTA):Questions and Answers”. アメリカ国立精神衛生研究所 (2009年11月). 2018年3月10日閲覧。
  81. ^ Jensen PS, Arnold LE, Swanson JM, et al. (August 2007). “3-year follow-up of the NIMH MTA study”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 46 (8): 989-1002. doi:10.1097/CHI.0b013e3180686d48. PMID 17667478. 
  82. ^ a b c d Molina BS, Hinshaw SP, Swanson JM, et al. (May 2009). “The MTA at 8 years: prospective follow-up of children treated for combined-type ADHD in a multisite study”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 48 (5): 484-500. doi:10.1097/CHI.0b013e31819c23d0. PMC 3063150. PMID 19318991. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3063150/. 
  83. ^ a b Swanson, James M.; Arnold, L. Eugene; Molina, Brooke S.G.; et al. (2017). “Young adult outcomes in the follow-up of the multimodal treatment study of attention-deficit/hyperactivity disorder: symptom persistence, source discrepancy, and height suppression”. Journal of Child Psychology and Psychiatry 58 (6): 663-678. doi:10.1111/jcpp.12684. PMID 28295312. 
  84. ^ 英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.5.2.
  85. ^ a b 英国国立医療技術評価機構 2008, Chapt.1.7.1.
  86. ^ 山下裕史朗, 向笠章子, 松石豊次郎、「ADHDのSummer Treatment Program : 日本における3年間の実践(<特集>エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端)」『行動分析学研究』 2009年 23巻 1号 p.75-81, doi:10.24456/jjba.23.1_75, 日本行動分析学会
  87. ^ 高橋恵美子、山下一也、阿川啓子、小村智子、「ADHDをもつ子供のためのSummer Treatment Programの意義 : いずもサマースクール実施に向けて」『島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要』 2010年 4巻 p.137-143, 島根県立大学
  88. ^ a b スーザン, ヤング, ジェシカ, ブランハム、田中康雄、石川ミカ. (2015). 大人の ADHD のアセスメントと治療プログラム: 当事者の生活に即した心理教育的アプローチ. 明石書店, ISBN 978-4750342450, 98, 134, 156, 164, 198頁.
  89. ^ スーザン・ヤング, ジェシカ・ブランハム 田中 康夫(監修) 石川 ミカ(訳)(2015). 大人のADHDのアセスメントと治療プログラム - 当事者の生活に即した心理教育的アプローチ 明石書店, 250・298・301頁.
  90. ^ a b 加藤美郎 (2010). 「発達障害の臨床心理学」第4章 ADHDの心理社会的介入:認知行動療法を中心に 東修吉邦、大六一志、丹野義彦(編)(pp.112-113) 東京大学出版会
  91. ^ 日本認知・行動療法学会 編『認知行動療法事典』丸善出版、2019年、478-479頁。 
  92. ^ 『子どもの発達が気になったらはじめに読む発達心理・発達相談の本』ナツメ社、2019年、83-85頁。 
  93. ^ ナイランド 2006, p. 4.
  94. ^ Riddle, Mark A.; Yershova, Kseniya; Lazzaretto, Deborah; et al. (2013). “The Preschool Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Treatment Study (PATS) 6-Year Follow-Up”. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry 52 (3): 264-278.e2. doi:10.1016/j.jaac.2012.12.007. PMC 3660093. PMID 23452683. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/21684645/. 
  95. ^ Storebø, Ole Jakob; Ramstad, Erica; Krogh, Helle B.; et al. (2015). “Methylphenidate for children and adolescents with attention deficit hyperactivity disorder (ADHD)”. Cochrane Database of Systematic Reviews (11): CD009885. doi:10.1002/14651858.CD009885.pub2. PMID 26599576. 
  96. ^ Boesen, Kim; Saiz, Luis Carlos; Erviti, Juan; et al. (2017). “The Cochrane Collaboration withdraws a review on methylphenidate for adults with attention deficit hyperactivity disorder”. Evidence Based Medicine 22 (4): 143-147. doi:10.1136/ebmed-2017-110716. PMC 5537554. PMID 28705922. https://doi.org/10.1136/ebmed-2017-110716. 
  97. ^ MacKenzie, Lynn E.; Abidi, Sabina; Fisher, Helen L.; et al. (2016). “Stimulant Medication and Psychotic Symptoms in Offspring of Parents With Mental Illness”. Pediatrics 137 (1): e20152486. doi:10.1542/peds.2015-2486. PMID 26719291. https://doi.org/10.1542/peds.2015-2486. 
  98. ^ Howard, Jeffrey T.; Walick, Kristina S.; Rivera, Jessica C.; et al. (2017). “Preliminary Evidence of an Association Between ADHD Medications and Diminished Bone Health in Children and Adolescents”. Journal of Pediatric Orthopaedics 37 (5): 348-354. doi:10.1097/BPO.0000000000000651. PMID 26398435. 
  99. ^ Uddin, Sardar M. Z.; Robison, Lisa S.; Fricke, Dennis; et al. (2018). “Methylphenidate regulation of osteoclasts in a dose- and sex-dependent manner adversely affects skeletal mechanical integrity”. Scientific Reports 8 (1): 1515. doi:10.1038/s41598-018-19894-x. PMC 5784171. PMID 29367750. https://doi.org/10.1038/s41598-018-19894-x. 
  100. ^ Danborg, Pia Brandt; Simonsen, Anders Lykkemark; Gøtzsche, Peter C.; et al. (2017). “Impaired reproduction after exposure to ADHD drugs: Systematic review of animal studies”. International Journal of Risk & Safety in Medicine 29 (1-2): 107-124. doi:10.3233/JRS-170743. PMC 5611805. PMID 28885224. https://doi.org/10.3233/JRS-170743. 
  101. ^ ADHD, cannabis and cannabinoids Scientific References ... in evolution 論文が複数紹介されているサイト
  102. ^ Research Showcase (School of Child & Youth Care University of Victoria)
  103. ^ Kort E Patterson, Marijuana and ADD, 2000. 論文が紹介されている。
  104. ^ Peter Strohbeck-Kuehner, Gisela Skopp, Rainer Mattern (2008). “Case report:Cannabis improves symptoms of ADHD” (pdf). Cannabinoids (1): 1-3. http://www.cannabis-med.org/english/journal/en_2008_01_1.pdf. 
  105. ^ Cliff-Eribo KO, Sammons H, Choonara I. (2016-10). “Systematic review of paediatric studies of adverse drug reactions from pharmacovigilance databases.”. en:Expert Opinion on Drug Safety. 15 (10): 1321-8. doi:10.1080/14740338.2016.1221921. PMID 27501085. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14740338.2016.1221921?journalCode=ieds20. 
  106. ^ ADHD治療薬の効果を光トポグラフィ脳機能検査で可視化
  107. ^ 東大、注意欠如多動性障害の薬物治療効果を予測する客観的な指標を開発
  108. ^ a b 『不登校の理解と支援のためのハンドブック』ミネルヴァ書房、2022年、159-160頁。 
  109. ^ ビバンセとはどんな薬?ADHDのある子どもに処方される薬ビバンセの効果や副作用などを詳しく解説!
  110. ^ a b 注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ® 錠 1mg・3 mg」・「ビバンセ®カプセル20mg・30mg」 に関するオプション権の行使と共同開発・商業化に関するライセンス契約終了について”. 武田薬品工業、塩野義製薬 (2022年10月31日). 2022年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月23日閲覧。
  111. ^ 奥村泰之 (2018-08-03), 処方箋データとNDBを用いた処方動向調査, https://www.slideshare.net/okumurayasuyuki/ndb 
  112. ^ 日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方率に関する研究, CareNet, (2018-06-18), https://www.carenet.com/news/general/carenet/46199 
  113. ^ ダイヤモンド編集部 (2023-03-04), 「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題, https://diamond.jp/articles/-/317899 
  114. ^ 塩野義製薬株式会社, [https://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190315001/340018000_23100AMX00296_G100_1.pdf ビバンセカプセル20mg, 同30mg 第2部(モジュール2):CTDの概要(サマリー) 2.5 臨床に関する総括評価], https://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190315001/340018000_23100AMX00296_G100_1.pdf 
  115. ^ 平成19年10月26日付厚生労働省医薬食品局総務課長、審査管理課長、安全対策課長、監視指導・麻薬対策課長通知 薬食総発第1026001号、薬食審査発第1026002号、薬食安発第1026001号、薬食監麻発第1026003号通知 PDF
  116. ^ ヤンセン・ファーマ「コンサータ錠添付文書」 (1 ed.), 医薬品医療機器総合機構, (2007年12月作成), http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800155_1179009G1022_1_02.pdf 2009年6月1日閲覧。 
  117. ^ 公式プレスリリース ヤンセン・ファーマ(2014年4月30日閲覧)
  118. ^ 曽良一郎『脳の発達障害ADHDはどこまでわかったか?』p5
  119. ^ コンサータ、ストラテラの効果と副作用は?注意欠如多動性障害(ADHD)の薬物治療とは? MEDLEY
  120. ^ 薬食審・第一部会 塩野義の小児AD/HD治療薬など9製品審議、承認了承 ミクスOnline 2019年2月22日
  121. ^ "注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療剤「ストラテラ」、日本で初めて、成人期のAD/HDへの適応承認"(日本イーライリリー)
  122. ^ 『注意・欠如多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』ISBN 4840748810
  123. ^ 塩野義製薬 インチュニブ添付文書
  124. ^ 注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ錠 成人患者に対する適応追加による一部変更の承認について - 塩野義製薬
  125. ^ 新規DNRI製剤による症状への改善効果を確認
  126. ^ 臨床試験番号 NCT00829881 研究名 "Effects of Using Betahistine to Treat Adults With Attention Deficit Hyperactivity Disorder" - ClinicalTrials.gov
  127. ^ 『精神障害・発達障害に効く漢方薬』 内海聡 事例 発達障害 P42-P50
  128. ^ 伝統医学臨床セミナー 「抑肝散の応用」
  129. ^ 『日本東洋医学雑誌』第62巻第3号、2011年、479-508頁、doi:10.3937/kampomed.62.479NAID 40018899757 
  130. ^ 「注意欠陥多動性障害(ADHD)に対する漢方処方の効果(小児科疾患,一般演題,伝統医学のあるべきかたちとは-世界の潮流と日本の役割-,第59回日本東洋医学会学術総会」『日本東洋醫學雜誌』59(別冊)第201号、2008年5月、NAID 110006839461 
  131. ^ 伝統医学臨床セミナー 「抑肝散の応用」 2 小児の精神発達障害、心身症における抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の使用経験
  132. ^ Acupuncture Improves Outcomes For Children With ADHD
  133. ^ 頭針+捏脊 治小兒多動症
  134. ^ 月刊『ナラティブメディカ』5月号(VOL.19) P45-48 発達障害での小児はり効果を検討 ADHDの薬剤投与で個性抹殺の懸念も日本小児はり学会特別講演会
  135. ^ 「米国における自閉症、注意欠陥・多動症等の発達障害児のはり治療」 日本小児はり学会 特別講習会2015
  136. ^ Treating ADHD with Acupuncture | Pacific College
  137. ^ Parents say acupuncture has alleviated boy's ADHD
  138. ^ 子どもの鍼治療「おねしょ」に効果、チック障害を含めた5つの問題に有望 Medエッジ
  139. ^ Efficacy and safety of acupuncture in children: an overview of systematic reviews.
  140. ^ Logan Ellis, H.; Zaman, R. (2013). “1671 - Use of transcranial magnetic stimuaiation (TMS and RTMS) in ADHD”. European Psychiatry 28: 1. doi:10.1016/S0924-9338(13)76660-4. ISSN 09249338. 
  141. ^ 注意缺陷多动障碍的中医治疗研究进展
  142. ^ Castellanos FX, Tannock R (2002). “Neuroscience of attention-deficit/hyperactivity disorder: the search for endophenotypes”. Nat. Rev. Neurosci. 3 (8): 617-28. doi:10.1038/nrn896. PMID 12154363. 
  143. ^ Martinussen R, Hayden J, Hogg-Johnson S, Tannock R (2005). “A meta-analysis of working memory impairments in children with attention-deficit/hyperactivity disorder”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 44 (4): 377-84. doi:10.1097/01.chi.0000153228.72591.73. PMID 15782085. 
  144. ^ Klingberg T, Forssberg H, Westerberg H (2002). “Training of working memory in children with ADHD”. J Clin Exp Neuropsychol 24 (6): 781-91. doi:10.1076/jcen.24.6.781.8395. PMID 12424652. 
  145. ^ Klingberg T, Fernell E, Olesen PJ, Johnson M, Gustafsson P, Dahlström K, Gillberg CG, Forssberg H, Westerberg H (2005). “Computerized training of working memory in children with ADHD--a randomized, controlled trial”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 44 (2): 177-86. doi:10.1097/00004583-200502000-00010. PMID 15689731. 
  146. ^ 品川裕香.【見つけた!みんなが輝く教育】トレーニングでワーキングメモリ向上. 産経新聞コラム, 2008.10.7/
  147. ^ NPO法人えじそんくらぶ
  148. ^ ADHD、注意障害や多動はワーキングメモリトレーニングによって持続的な改善が可能です、コグメド・ジャパン公式webページ(2009年9月30日閲覧)。
  149. ^ Holmes, Joni; Gathercole, Susan E.; Place, Maurice; Dunning, Darren L.; Hilton, Kerry A.; Elliott, Julian G. (2010). “Working memory deficits can be overcome: Impacts of training and medication on working memory in children with ADHD”. Applied Cognitive Psychology 24 (6): 827 - 836. doi:10.1002/acp.1589. ISSN 08884080. 
  150. ^ Rucklidge, Julia J.; Eggleston, Matthew J.F.; Johnstone, Jeanette M.; et al. (2018). “Vitamin-mineral treatment improves aggression and emotional regulation in children with ADHD: a fully blinded, randomized, placebo-controlled trial”. Journal of Child Psychology and Psychiatry 59 (3): 232-246. doi:10.1111/jcpp.12817. PMID 28967099. 
  151. ^ “プロバイオティクスが子どものADHDを予防するかもしれない、13年間の追跡調査”. Medエッジ. (2015年5月31日). オリジナルの2015年11月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151122100200/https://www.mededge.jp/a/pedi/13667 2018年10月1日閲覧。 
  152. ^ Pärtty A et al. A possible link between early probiotic intervention and the risk of neuropsychiatric disorders later in childhood: a randomized trial. Pediatr Res. 2015 Jun;77:823-8.
  153. ^ 樋口輝彦、斉藤万比古『成人期ADHD診断ガイドブック』じほう、2013年。ISBN 978-4840744706 
  154. ^ J. Fayyad, et al. (2007-04). “Cross~national prevalence and correlates of adult attention~deficit hyperactivity disorder”. The British Journal of Psychiatry 190 (5). doi:10.1192/bjp.bp.106.034389. 
  155. ^ J. Biederman, et al. (2000-05). “Age-Dependent Decline of Symptoms of Attention Deficit Hyperactivity Disorder : Impact of Remission Definition and Symptom Type”. The American Journal of Psychiatry 157 (5). doi:10.1176/appi.ajp.157.5.816. 
  156. ^ a b Data & Statistics - Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder (ADHD)”. アメリカ疾病予防管理センター. 2015年6月1日閲覧。
  157. ^ “The Selling of Attention Deficit Disorder”. NYTimes. (2013年12月14日). http://www.nytimes.com/2013/12/15/health/the-selling-of-attention-deficit-disorder.html?_r=2& 
  158. ^ 英国国立医療技術評価機構 2008, Introduction.
  159. ^ 中村和彦、大西将史「成人期のADHDの疫学調査」(PDF)『精神神経学雑誌』第115巻、精神神経学会、2013年、2015年8月2日閲覧 
  160. ^ : Jacquelyn J. Gillis
  161. ^ Biederman, J; Faraone, SV (2005-04-15). The economic impact of adult ADHD. pp. 42S-42S. https://www.researchgate.net/publication/296302620_The_economic_impact_of_adult_ADHD. 
  162. ^ a b 宋龍平, 牧野和紀, 藤原雅樹, 廣田智也, 大重耕三, 池田伸, 壺内昌子, 稲垣正俊: 自閉症スペクトラム障害に併存するインターネット依存症のスクリーニング,および介入の必要性. 精神経誌 121(7): 556-561, 2019
  163. ^ a b Ra, Chaelin K.; Cho, Junhan; Stone, Matthew D.; Cerda, Julianne De La; Goldenson, Nicholas I.; Moroney, Elizabeth; Tung, Irene; Lee, Steve S. et al. (2018-07-17). “Association of Digital Media Use With Subsequent Symptoms of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Among Adolescents” (英語). JAMA 320 (3): 255-263. doi:10.1001/jama.2018.8931. ISSN 0098-7484. https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2687861. 
  164. ^ Morein-Zamir, Sharon; Kasese, Michael; Chamberlain, Samuel R.; Trachtenberg, Estherina (2022-01-01). “Elevated levels of hoarding in ADHD: A special link with inattention” (英語). Journal of Psychiatric Research 145: 167–174. doi:10.1016/j.jpsychires.2021.12.024. ISSN 0022-3956. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395621007263. 
  165. ^ ナイランド 2006, p. 194-195.
  166. ^ Galéra, C.; Melchior, M.; Chastang, J.-F.; Bouvard, M.-P.; Fombonne, E. (2009-11). “Childhood and adolescent hyperactivity-inattention symptoms and academic achievement 8 years later: the GAZEL Youth study” (英語). Psychological Medicine 39 (11): 1895-1906. doi:10.1017/S0033291709005510. ISSN 0033-2917. PMC 2797029. PMID 19335935. https://www.cambridge.org/core/product/identifier/S0033291709005510/type/journal_article. 
  167. ^ 粘着テープ:多動傾向の児童に 京都・市立小の教諭 毎日新聞 2014年6月5日
  168. ^ 発達障害の子どもを排除する厳格な「学校ルール」「普通に成長した子」しかいられない通常学級に”. 東洋経済オンライン (2022年4月8日). 2024年3月20日閲覧。
  169. ^ 学びの新たな選択肢「学びの多様化学校」とは?”. NHK (2024年1月26日). 2024年3月20日閲覧。
  170. ^ 学びの新たな選択肢「学びの多様化学校」とは?”. NHK (2024年1月26日). 2024年3月20日閲覧。
  171. ^ 岩波 2017, p. 197.
  172. ^ 守谷賢二「発達障がいがある子どもの触法行為と教育心理学」2018年。 
  173. ^ Unnever, James D.; Cullen, Francis T.; Pratt, Travis C. (2003-9). “Parental management, ADHD, and delinquent involvement: Reassessing Gottfredson and Hirschi's general theory” (英語). Justice Quarterly 20 (3): 471-500. doi:10.1080/07418820300095591. ISSN 0741-8825. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/07418820300095591. 
  174. ^ Rösler, Michael; Retz, Wolfgang; Retz-Junginger, Petra; Hengesch, Georges; Schneider, Marc; Supprian, Tilman; Schwitzgebel, Petra; Pinhard, Katrin et al. (2004-12). “Prevalence of attention deficit-/hyperactivity disorder (ADHD) and comorbid disorders in young male prison inmates”. European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience 254 (6): 365-371. doi:10.1007/s00406-004-0516-z. ISSN 0940-1334. PMID 15538605. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15538605. 
  175. ^ 富田, 拓 (2023-12). 再犯予防のための刑務所受刑者に対する注意欠如多動症のスクリーニングと加療の試み. https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22H04406. 
  176. ^ 町沢 (2000)
  177. ^ 町沢 (2000)、pp.20-21
  178. ^ 『「子供がいちばん」はやめなさい』海竜社、p.168
  179. ^ 服役して初めて知った、刑務所の「現実」『刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』”. ダ・ヴィンチニュース (2018年6月20日). 2024年3月20日閲覧。
  180. ^ 「受刑者の20%は知的障害者」 日本では刑務所が福祉施設化というリアル”. デイリー新潮 (2018年7月20日). 2024年3月20日閲覧。
  181. ^ 服役して初めて知った、刑務所の「現実」『刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』”. ダ・ヴィンチニュース (2018年6月20日). 2024年3月20日閲覧。
  182. ^ 山本譲司さんに聞いた:「罪を犯した障害者」を、社会はどう受け入れるか”. マガジン9 (2019年1月9日). 2024年3月20日閲覧。
  183. ^ a b c 中村和彦、大西将史、内山敏ほか「日本精神神経学会学術総会:成人期のADHDの疫学調査」(pdf)『精神神経雑誌』2013年。 
  184. ^ a b c 第1部 概論(導入):文部科学省”. 文部科学省ホームページ (2010年10月15日). 2018年10月1日閲覧。
  185. ^ Barkley, RA; Peters, H (November 2012). “The earliest reference to ADHD in the medical literature? Melchior Adam Weikard's description in 1775 of attention deficit (Mangel der Aufmerksamkeit, Attentio Volubilis)”. J Atten Disord 16 (8): 623-30. doi:10.1177/1087054711432309. PMID 22323122. 
  186. ^ Still, George F (1902-04-12). “The Goulstonian Lectures: On Some Abnormal Psychical Conditions in Children”. Lancet 159 (4102): 1008-1013. doi:10.1016/S0140-6736(01)74984-7. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673601749847.  ( 要購読契約)
  187. ^ Lange KW, Reichl S, Lange KM, Tucha L, Tucha O (2010). “The history of attention deficit hyperactivity disorder”. Atten Defic Hyperact Disord 2 (4): 241-55. doi:10.1007/s12402-010-0045-8. PMC 3000907. PMID 21258430. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3000907/. 
  188. ^ Strohl MP (2011). “Bradley's Benzedrine studies on children with behavioral disorders”. Yale J Biol Med 84 (1): 27-33. PMC 3064242. PMID 21451781. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3064242/. 
  189. ^ a b 「明日からできる大人のADHD診療」- ISBN 978-4-7911-0858-9
  190. ^ 発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2016年6月3日). 2020年1月25日閲覧。 “2016年8月1日施行分”
  191. ^ 齊藤 万比古 (監)、樋口 輝彦『成人期ADHD診療ガイドブック』じほう、2013年8月。ISBN 484074470X 
  192. ^ 神尾陽子 (編集)『DSM-5を読み解く─伝統的精神病理, DSM-IV, ICD-10をふまえた新時代の精神科診断』中山書店、2014年9月25日。ISBN 4521739733 
  193. ^ 人気ユーチューバー・ヴァンビがADHDをサラッと告白「1個のカバンしか使わない」”. 東京スポーツ (2024年11月28日). 2024年11月29日閲覧。
  194. ^ 慢性疾患や病気と共存するセレブ15人「この病気は私の一部…」Esquire 2018年11月28日
  195. ^ エハラ家チャンネル (2024-02-24), ADHDと自閉スペクトラム症でした, https://www.youtube.com/watch?si=t5a8LeuKXtM0ZJx_&v=-YZoPDNdOIo&feature=youtu.be 2024年10月10日閲覧。 
  196. ^ 「発達障害」医師と患者の対話 #1--岩波明×勝間和代”. 文春オンライン. 文藝春秋 (2017年10月14日). 2018年9月29日閲覧。
  197. ^ かの/カノックスター (2022-09-04), 兄弟で発達障害と診断されたからじゃが豚を食べたら悲しすぎました。, https://www.youtube.com/watch?si=-vFX9DfK7XHY6uuK&v=8WhFAuKb09I&feature=youtu.be 2024年10月10日閲覧。 
  198. ^ 『ゲーム・オブ・スローンズ』ジョン・スノウ役俳優が「ADHD」と診断されたことを明かす”. フロントロウ (2024年1月15日). 2024年1月16日閲覧。
  199. ^ 川口穣 (2022年8月11日). “木下優樹菜さん「脳波でADHDが分かった」発言で物議 医師らは全否定”. AERA dot. (アエラドット). 2022年8月12日閲覧。
  200. ^ 木下優樹菜「ADHD、発達障害」と公表 元夫フジモンは「イライラ」したことも/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online. 2022年7月26日閲覧。
  201. ^ “栗原類さん、発達障害を告白 「子供の頃、先生が逆ギレして...」”. ハフィントンポスト日本. (2015年5月26日). https://www.huffingtonpost.jp/2015/05/25/kurihara-rui-developmental-disability_n_7439134.html 2016年7月12日閲覧。 
  202. ^ 栗原類が語る「発達障害の僕が直面した現実」「空気が読めない」のは本人もつらい”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2017年1月11日). 2019年3月15日閲覧。
  203. ^ 小島慶子 40過ぎてADHDと診断され自分知った”. 小島慶子のDUALな本音. 日経BP (2018年7月2日). 2023年3月11日閲覧。
  204. ^ ニューズウィーク』2012年12月26日号
  205. ^ 豊崎由美 (2024年7月11日). “睡眠障害が悪化した「小説家」が診断を受けたらADHDだった…丁寧に綴られた経験から伝わるもの”. Book Bang. 新潮社. 2024年7月16日閲覧。
  206. ^ 「私はADHD。だけど、隠さない」体操女子金メダリスト、ドーピング疑惑に毅然と告白”. ハフポスト (2016年9月14日). 2021年8月4日閲覧。
  207. ^ Oba, Mina (2023年3月3日). “『エブエブ』監督ダニエル・クワン、映画制作がきっかけでADHDと診断”. Vogue Japan. 2023年3月14日閲覧。
  208. ^ 斎藤雄介 (2022年12月11日). “[書道家 武田双雲さん](上)ADHDとわかって気が楽になった…会社員時代、電話のメモを毛筆で書いて起こったこと”. ヨミドクター. 読売新聞. p. 1. 2024年8月18日閲覧。
  209. ^ 橋本宗洋 (2024年5月24日). “発達障害を公表したちゃんよたの本音「気持ちが少し楽になった」 セクシー女優レスラーが向き合った“個性”「(警察時代は)仕事ができなくて…」”. Number Web. p. 1. 2024年5月24日閲覧。
  210. ^ 「遅刻に怒る人は、能力値が低い」ひろゆきが“勤勉さにはあまり意味がない”と語る理由|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。”. 新R25. 2023年12月16日閲覧。
  211. ^ 発達障害が強み ニトリ会長の「お、ねだん以上。」な話”. 朝日新聞 (2021年7月5日). 2021年7月19日閲覧。
  212. ^ aespaニンニン、ADHDを初公表”. モデルプレス (2023年11月25日). 2023年11月26日閲覧。
  213. ^ パリス・ヒルトン、約20年ぶりニューアルバムで“自省的な旅””. ORICON NEWS (2024年9月6日). 2024年9月8日閲覧。
  214. ^ パリス・ヒルトン、ADHDでなければ成功していなかった”. FRONTROW (2024年9月7日). 2024年9月8日閲覧。
  215. ^ fukase(SEKAINOOWARI)2020年4月14日13:40の発言
  216. ^ fukase(SEKAINOOWARI)2020年4月14日13:43の発言
  217. ^ ADHDでコンビ解散、東大卒芸人・藤本淳史さんが告白した苦しみの日々 「自分はなんてダメ人間なんだ」Yahoo! JAPAN2022年2月28日7:00配信”. 2022年2月28日閲覧。
  218. ^ ホリエモン「『ADHD』と言われるより『多動力あるよね』って言われたら物事に前向きになれる」 (2019年8月11日)”. エキサイトニュース (2019年8月11日). 2023年12月16日閲覧。
  219. ^ Michael Phelps’ Parents: 5 Fast Facts You Need to KnowHeavy, August 5, 2016
  220. ^ “眞鍋かをり 大人になり ADHD傾向目立たなくなった”. 日経WOMAN. (2018年11月27日). https://woman.nikkei.com/atcl/dual/column/17/1111157/110500013/ 2021年12月4日閲覧。 
  221. ^ “別の居場所に救われた眞鍋かをりさん「自分の価値観からはみ出して」…STOP自殺 #しんどい君へ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2021年8月19日). https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/stop01/interview/20210816-OYT1T50195/ 2021年12月4日閲覧。 
  222. ^ 社会を変える発達障害 :インタビュー「起業家生む発達障害の特性が過労やうつ病リスクにも」岩波明・昭和大学付属烏山病院病院長”. 週刊エコノミスト Online. 2023年12月16日閲覧。
  223. ^ “発達障害ある女子プロボクサー「悩んでいる人勇気づけたい」 来月以降に「発達女子会」”. 東京新聞. (2020年3月28日). オリジナルの2020年3月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200328195520/https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/202003/CK2020032802000132.html 2022年1月17日閲覧。 
  224. ^ 共演者の体がプレッシャー? 摂食障害を克服したセレブたち”. サイゾー (2012年4月2日). 2012年6月1日閲覧。
  225. ^ 早川智 (2016年5月30日). “坂本龍馬は注意欠陥・多動性障害(ADHD)だった!? 現代の医師が診断”. AERA dot.. 朝日新聞出版. 2023年5月21日閲覧。
  226. ^ 家庭内で怒りが爆発してしまうのはなぜ?:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年10月27日閲覧。
  227. ^ 「衝動性の神経心理学」加藤隆、加藤元一郎、p311-315、2009年
  228. ^ 今村明先生に「ADHD」を訊く|公益社団法人 日本精神神経学会”. www.jspn.or.jp. 2019年10月27日閲覧。

参考文献

編集
診療ガイドライン
その他

外部リンク

編集