正軸体 (せいじくたい、cross-polytope)は、2次元 の正方形 、3次元 の正八面体 、4次元 の正十六胞体 を各次元に一般化した正多胞体 。
2次元正軸体(正方形)
3次元正軸体(正八面体)
4次元正軸体(正十六胞体)の投影図
なお、定義によっては形式的に0次元正軸体は点 、1次元正軸体は線分 となるが、正軸体一般の性質の一部が成り立たないため、0次元・1次元に正軸体は存在しないとすることが多い。
β
{\displaystyle \beta }
体 (ベータたい)ともいい、n 次元正軸体を
β
n
{\displaystyle \beta _{n}}
と書く。
正単体 、超立方体 (正測体)と並んで、5次元以上での3種類の正多胞体の1つである。
正軸体を作図するには、座標
(
±
1
,
0
,
0
,
⋯
,
0
)
{\displaystyle (\pm 1,0,0,\cdots ,0)}
の巡回
(
±
1
,
0
,
0
,
⋯
,
0
)
,
(
0
,
±
1
,
0
,
⋯
,
0
)
,
⋯
,
(
0
,
0
,
⋯
,
0
,
±
1
)
{\displaystyle (\pm 1,0,0,\cdots ,0),(0,\pm 1,0,\cdots ,0),\cdots ,(0,0,\cdots ,0,\pm 1)}
を頂点 とし、最も近い(距離
2
{\displaystyle {\sqrt {2}}}
の)2点ずつを辺 で結ぶ。最も近い3点ずつが面を構成し、m + 1 (0 ≤ m ≤ n - 1) 点ずつが m 次元面を構成する。
なおこの作図は、超立方体
(
±
1
,
±
1
,
⋯
,
±
1
)
{\displaystyle (\pm 1,\pm 1,\cdots ,\pm 1)}
の双対の作図と等価である。
またこうして作図された正軸体は、n 次元ユークリッド空間 を
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
で表して
{
x
∈
R
n
:
‖
x
‖
1
≤
1
}
{\displaystyle \{x\in \mathbb {R} ^{n}:\|x\|_{1}\leq 1\}}
でも定義できる。
特にことわらない限り、辺の長さが a の n (≥ 2) 次元正軸体について述べる。
超体積は
2
n
n
!
a
n
{\displaystyle {\frac {{\sqrt {2}}^{n}}{n!}}a^{n}}
超表面積は
2
n
n
(
n
−
1
)
!
2
n
−
1
a
n
−
1
{\displaystyle {\frac {2^{n}{\sqrt {n}}}{(n-1)!{\sqrt {2^{n-1}}}}}a^{n-1}}
である。
ファセット (n - 1 次元面)は n - 1 次元正単体 である。したがって一般に、 m (0 ≤ m ≤ n - 1) 次元面は m 次元正単体である。例えば正十六胞体(4次元正軸体)の面(2次元面)は正三角形(2次元正単体)、胞(3次元面)は正四面体(3次元正単体)である。また m 次元面の超体積は、正単体の超体積の公式より、
m
+
1
m
!
2
m
a
m
{\displaystyle {\frac {\sqrt {m+1}}{m!{\sqrt {2^{m}}}}}a^{m}}
である。
対角線 の長さは、作図法より
2
a
{\displaystyle {\sqrt {2}}a\,}
で、全て直交 する。
m (0 ≤ m ≤ n - 1) 次元面の個数は
2
m
+
1
n
C
m
+
1
{\displaystyle 2^{m+1}{}_{n}\operatorname {C} _{m+1}}
である。これはパスカルのピラミッド (英語版 ) の第 n + 1 段の三角形の第 m + 2 段の数字の総和に等しい。反対側のファセットの中心同士を結ぶ線に沿って見た場合、次元面たちは数字通りのグループに分割される。これは、
3
n
=
(
1
+
2
)
n
{\displaystyle 3^{n}=(1+2)^{n}}
を二項展開し、
3
n
=
(
1
+
1
+
1
)
n
{\displaystyle 3^{n}=(1+1+1)^{n}}
を三項展開することで示すことができる。特に、頂点(0次元面)は
2
n
{\displaystyle 2n}
個、ファセットは
2
n
{\displaystyle 2^{n}}
個である。
n
C
m
+
1
{\displaystyle {}_{n}\operatorname {C} _{m+1}}
はパスカルの三角形 の第 n + 1 段の m + 2 番目の数字であり、n - 1 次元単体 の m 次元面の個数である。
m (0 ≤ m ≤ n - 2) 次元面に集まるl (m + 1 ≤ l ≤ n - 1) 次元面の個数は
2
l
−
m
n
−
m
−
1
C
l
−
m
{\displaystyle 2^{l-m}{}_{n-m-1}\operatorname {C} _{l-m}}
である。これはパスカルのピラミッドの第 n - m 段の三角形の第 l - m + 1 段の数字の総和に等しく、 n - m - 1 次元正軸体の l - m - 1 次元面の個数である。
双対は超立方体(正測体)である。