マユミ
マユミ(檀[7]・真弓[7]、学名: Euonymus sieboldianus var. sieboldianus)とは、ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木ないし落葉小高木。日本と中国の野山に自生する。淡紅色の果実は熟すと4つに裂けて、中から赤い種子が現れる。秋に果実と種子、紅葉を楽しむ庭木としても親しまれ、盆栽に仕立てられることもある。果実は有毒であるが、春の新芽は山菜として利用される。
マユミ | |||||||||||||||||||||
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マユミ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Euonymus sieboldianus Blume var. sieboldianus (1826)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
マユミ |
名称
編集和名「マユミ」の由来は、昔この木から弓が作られたことに因む[8][9]。別名ヤマニシキギ(山錦木)、カンサイマユミ[1]、オオバマユミ[1]、エゾオオバマユミ[1]、ユミノキ[10]ともよばれる。地方により、マキ[9]、マヨメ[9]、キノメ[9]、アカイベベ[9]ともよばれる。
分布
編集日本の北海道・本州・四国・九州の屋久島まで、および日本国外では南千島、サハリン、朝鮮半島南部、中国に分布する[8]。丘陵地や山地、低地などの尾根・山野・明るい低木林に自生する[8][11][7]。各地の野山に生えるほか、庭にも植えられる[9]。
形態・生態
編集落葉広葉樹の低木から小高木[8][7]。樹高は3 - 10メートル (m) [11]。よく枝分かれをしてこんもりと茂った樹形を見せる[9]。樹皮は灰白色で[8]、幹には縦の裂け目が入り、老木になると割れ目が深くなって目立ち、剥がれるようになる[7]。1年目の枝は、しなやかで稜があり、暗緑色をしているが、日光の当たる方向は暗紅色を帯びる[7]。
葉は対生で、葉身は楕円形で、幅の広いものや狭いものなど変化に富み[9]、葉縁に細かい鋸歯があり[8]、葉脈がはっきりしている。芽は丸々としているが、近縁種のツリバナは新芽が鋭く尖っている。秋には紅葉し、真っ赤になるものもあるが、クリーム色や橙色、ピンク色など淡めの色に紅葉することがある[11][10]。紅葉は単純な赤色になることは少なく、くすんだ朱色やサーモンピンク色が多いことが特徴で、しばしば葉脈部分やそれ以外に、緑色や紫褐色、黄褐色を帯びて独特の模様をつくる[11][10]。紅葉期は葉が枝から力なく垂れ下がり、早々に落葉する[11]。
開花時期は晩春から初夏(5 - 6月)[8]。雌雄異株[8][9]。花色は薄い緑色で目立たず、新しい梢の根本近くに4弁の小花がいくつもつく[9]。
果期は秋で、雌株には夏に果実が枝にぶら下がるようにしてつき、小さく角ばった4裂の姿で、秋に熟すとふつう淡紅色に色づく[9]。果実の色は品種により白、薄紅、濃紅と異なるが、どれも熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れる[8]。市販のマユミは雌木しか出回っていないが、雌木1本で果実がなる。冬は鮮やかだった色が抜けたような果実が枝に残る[7]。実がかなり遅くまで残るので、秋と冬にはヒヨドリやメジロが食べに来る。
冬芽は枝に対生し、卵形で枝と同色で縁に毛の生えた芽鱗8 - 12枚に包まれている[7]。葉痕は半円形で、白くて目立ち、弧状の維管束痕が1個つく[7]。
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花
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未熟果を付けたマユミの枝先
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熟した果実
栽培
編集剪定をする場合は落葉中に行う。成長は早い。若木のうちに樹形の骨格を作り、分枝させたら、その後の強い剪定は避ける。切り詰めすぎると花と果実がつかない。根が浅く、根元が乾燥しすぎると弱り、果実が落ちる。水分条件さえ良ければ剛健で、病害虫はあまり発生しない。
利用方法
編集材質が強い上によくしなるため、古来より弓の材料として知られ、名前の由来になった[13][10]。この木で作られた弓のことや、単なる弓の美称も真弓という。和紙の材料にもなったが、楮にとって代わられた。材は狂いが少なく、細工物に使われ[8]、現在では印鑑や櫛の材料になっている。
新芽は山菜として利用される。採取時期は暖地は3 - 4月、寒冷地は4 - 5月が適期で、生長した葉は灰汁が強いため、芽吹いたばかりの若芽や若葉が摘み取られる[9]。生のまま天麩羅や、茹でておひたし、和え物、油炒め、葉飯、汁の実、細かく刻んで佃煮などにする[9]。
ただし、果実は有毒である[9]。種子に含まれる脂肪油には薬理作用の激しい成分が含まれており、少量でも吐き気や下痢、大量に摂取すれば筋肉の麻痺を引き起こすため、種子は食べてはならない。また、成葉を食べると下痢をするといわれている[9]。
脚注
編集- ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. sieboldianus”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. megaphyllus H.Hara”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. yedoensis (Koehne) H.Hara”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume f. calocarpus (Koehne) Sugim.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus hamiltonianus auct. non Wall.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Euonymus hamiltonianus Wall. subsp. sieboldianus (Blume) H.Hara”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 211.
- ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 137.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 金田初代 2010, p. 94.
- ^ a b c d 亀田龍吉 2014, p. 58.
- ^ a b c d e 林将之 2008, p. 60.
- ^ 舘の大マユミ - 郡山市観光協会
- ^ 中村 享『万葉鉢づくり』立風書房、1990年6月30日、p.68, 69頁。ISBN 4-651-86010-9。
参考文献
編集- 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、94頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
- 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、211頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、137頁。ISBN 4-522-21557-6。