標葉郡
日本の福島県(陸奥国・磐城国)にあった郡
郡域
編集歴史
編集- 古代
- 標葉氏による統治
- 相馬氏による統治
- 戦国時代後期から明治維新までは、標葉郡は相馬氏の領土に入れられた。
- 浜街道が「岩城相馬街道」と呼ばれたのは、この戦国時代後半である。そして、標葉郡(相馬氏の領土)と楢葉郡(岩城氏の領土)の境が、夜ノ森である。戦国時代後半の標葉郡は、相馬氏が岩城氏と田村氏を牽制する為の前線地帯となっていた。
- 江戸時代も、引き続き相馬氏が治める中村藩の領土となり、二宮尊徳の農政指導によって越中国(現在の富山県)から標葉郡に移住する人々が多く現れた。
- 江戸時代になると、江戸以南の東海道と同じく、江戸以北の浜街道にも宿場町が整備された。
- 戊辰戦争と廃藩置県
- 戊辰戦争では、中村藩は両隣の仙台藩や磐城平藩と共に奥羽越列藩同盟に加わり、標葉郡も戦乱の巷に巻き込まれたが、中村藩は明治政府軍に敗北した。
- 標葉郡は、明治4年旧暦7月14日(1871年8月29日)の廃藩置県当初は中村県の一部だったが、少し後の1872年1月9日には磐前県の一部になった。しかし、明治9年(1876年)8月21日には磐前県は福島県1876年以前や若松県と合併され、これ以後は福島県に属している。
- 明治29年(1896年)には、旧相馬領(夜ノ森以北)の標葉郡と旧岩城領(夜ノ森以南)の楢葉郡が合併され、双葉郡となって現在に至っている。
- 戦後社会
- 高度経済成長期になると、旧標葉郡も旧岩城領と同じように東京の電力供給源となった。これを象徴する出来事が、旧標葉郡の一角だった大熊に、東京電力の福島第一原子力発電所が建設されたことである。
- 平成以後の旧標葉郡では、旧岩城領と同じく、発電所を背景にした地域振興(大熊の「原子力もなか」など)や、話題作りによる地域振興(浪江の「DASH村」や「なみえ焼きそば」など)といった多様で独自性の濃い地域振興策が実施された。
- 福島第一原子力発電所事故
- 平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災に誘発された福島第一原子力発電所事故により、旧標葉郡は、ほぼ全域が警戒区域となり、住民は退去を強制されているたが、徐々に警戒区域も解除され住民の帰還も始まっている。
近代以降の沿革
編集- 小野田村、井手村、室原村、幾世橋村、北幾世橋村、高瀬村、牛渡村、酒井村、谷津田村、苅宿村、酒田村、権現堂村、樋渡村、藤橋村、立野村、請戸村、舛倉村、棚塩村、末森村、大堀村、西台村、小丸村、川添村、加倉村、田尻村、熊川村、前田村、山田村、熊村、佐山村、上羽鳥村、新山村、下羽鳥村、渋川村、松倉村、目迫村、水沢村、郡山村、細谷村、小入野村、鴻草村、野上村、下野上村、長塚村、両竹村、中野村、中田村、寺沢村、松迫村、夫沢村、小良浜村、中浜村、大川原村、石熊村、野川村、上野川村、津島村(現・浪江町津島)、下津島村、赤宇木村、昼曽根村、落合村、羽付村、水境村、芹沢村
- 明治元年
- 明治4年
- 明治8年(1875年) - 田村郡葛尾村、津島村(現・浪江町南津島)の所属郡が本郡に変更。(66村)
- 明治9年(1876年)8月21日 - 第2次府県統合により福島県の管轄となる。
- 明治12年(1879年)
- 明治13年(1880年)(62村)
- 佐山村が熊村に合併。
- 水境村・芹沢村が津島村(現・浪江町津島)に合併。
町村制以降の沿革
編集- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の各村が発足。(11村)
- 浪江村 ← 権現堂村、川添村、牛渡村、樋渡村、高瀬村(現・浪江町)
- 熊町村 ← 熊村、熊川村、夫沢村、小良浜村、小入野村(現・大熊町)
- 大野村 ← 大川原村、野上村、下野上村(現・大熊町)
- 新山村 ← 新山村、前田村、水沢村、目迫村、山田村、石熊村、郡山村、細谷村、松迫村(現・双葉町)
- 長塚村 ← 長塚村、上羽鳥村、下羽鳥村、寺沢村、松倉村、鴻草村、渋川村、中田村(現・双葉町)
- 請戸村 ← 請戸村(現・浪江町)、両竹村、中浜村(現・浪江町、双葉町)、中野村(現・双葉町)
- 幾世橋村 ← 幾世橋村、北幾世橋村、棚塩村(現・浪江町)
- 大堀村 ← 小野田村、大堀村、小丸村、田尻村、末森村、井手村、谷津田村、酒井村(現・浪江町)
- 苅野村 ← 苅宿村、加倉村、室原村、立野村、酒田村、藤橋村、西台村(現・浪江町)
- 津島村 ← 下津島村、津島村、羽付村、南津島村、赤宇木村、昼曽根村、行方郡川房村[大柿](現・浪江町)
- 葛尾村 ← 上野川村、野川村、落合村、葛尾村(現存)
- 明治29年(1896年)4月1日 - 標葉郡および楢葉郡の一部(川前村を除く)の区域をもって双葉郡が発足。同日標葉郡廃止。
変遷表
編集自治体の変遷
藩政期 | 明治22年以前 | 明治22年4月1日 | 明治22年 - 明治28年 | 明治29年4月1日 | 現在 |
---|---|---|---|---|---|
津島村 | 津島村 | 津島村 | 津島村 | 双葉郡 津島村 |
双葉郡 浪江町 |
芹沢村 | |||||
水境村 | |||||
下津島村 | 下津島村 | ||||
赤宇木村 | 赤宇木村 | ||||
羽附村 | 羽附村 | ||||
昼曽根村 | 昼曽根村 | ||||
〔田〕津島村 | 南津島村 | ||||
苅宿村 | 苅宿村 | 苅野村 | 苅野村 | 双葉郡 苅野村 | |
加倉村 | 加倉村 | ||||
酒田村 | 酒田村 | ||||
立野村 | 立野村 | ||||
西台村 | 西台村 | ||||
藤橋村 | 藤橋村 | ||||
室原村 | 室原村 | ||||
権現堂村 | 権現堂村 | 浪江村 | 浪江村 | 双葉郡 浪江村 | |
牛渡村 | 牛渡村 | ||||
川添村 | 川添村 | ||||
高瀬村 | 高瀬村 | ||||
樋渡村 | 樋渡村 | ||||
大堀村 | 大堀村 | 大堀村 | 大堀村 | 双葉郡 大堀村 | |
井手村 | 井手村 | ||||
小野田村 | 小野田村 | ||||
小丸村 | 小丸村 | ||||
酒井村 | 酒井村 | ||||
末森村 | 末森村 | ||||
田尻村 | 田尻村 | ||||
谷津田村 | 谷津田村 | ||||
幾世橋村 | 幾世橋村 | 幾世橋村 | 幾世橋村 | 双葉郡 幾世橋村 | |
北幾世橋村 | 北幾世橋村 | ||||
棚塩村 | 棚塩村 | ||||
請戸村 | 請戸村 | 請戸村 | 請戸村 | 双葉郡 請戸村 | |
中浜村 | 中浜村 | ||||
両竹村 | 両竹村 | ||||
中野村 | 中野村 | 双葉郡 双葉町 | |||
新山村 | 新山村 | 新山村 | 新山村 | 双葉郡 新山村 | |
石熊村 | 石熊村 | ||||
郡山村 | 郡山村 | ||||
細谷村 | 細谷村 | ||||
前田村 | 前田村 | ||||
松迫村 | 松迫村 | ||||
水沢村 | 水沢村 | ||||
目迫村 | 目迫村 | ||||
山田村 | 山田村 | ||||
長塚村 | 長塚村 | 長塚村 | 長塚村 | 双葉郡 長塚村 | |
鴻草村 | 鴻草村 | ||||
渋川村 | 渋川村 | ||||
寺沢村 | 寺沢村 | ||||
中田村 | 中田村 | ||||
上羽鳥村 | 上羽鳥村 | ||||
下羽鳥村 | 下羽鳥村 | ||||
松倉村 | 松倉村 | ||||
大川原村 | 大川原村 | 大野村 | 大野村 | 双葉郡 大野村 |
双葉郡 大熊町 |
野上村 | 野上村 | ||||
下野上村 | 下野上村 | ||||
熊村 | 熊村 | 熊町村 | 熊町村 | 双葉郡 熊町村 | |
佐山村 | |||||
熊川村 | 熊川村 | ||||
夫沢村 | 夫沢村 | ||||
小良浜村 | 小良浜村 | ||||
小入野村 | 小入野村 | ||||
〔田〕葛尾村 | 葛尾村 | 葛尾村 | 葛尾村 | 双葉郡 葛尾村 |
双葉郡 葛尾村 |
落合村 | 落合村 | ||||
野川村 | 野川村 | ||||
上野川村 | 上野川村 |
- 〔田〕-田村郡所属
行政
編集- 楢葉・標葉郡長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
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1 | 荒至重 | 明治12年(1879年)1月27日 | 明治15年(1882年)5月17日 | |
2 | 長久保猷 | 明治15年(1882年)5月17日 | 明治16年(1883年)1月29日 | |
3 | 宮川正治 | 明治16年(1883年)2月1日 | 明治16年(1883年)7月14日 | |
4 | 沼沢七郎 | 明治16年(1883年)11月22日 | 明治17年(1884年)7月14日 | |
5 | 三淵隆衡 | 明治17年(1884年)7月14日 | 明治18年(1885年)8月15日 | |
6 | 荒賀直哉 | 明治18年(1885年)9月4日 | 明治19年(1886年)月日不詳 | |
7 | 岡貞一 | 明治19年(1886年)5月3日 | 明治19年(1886年)6月3日 | |
8 | 遠藤常師 | 明治19年(1886年)6月3日 | 明治19年(1886年)7月 | |
9 | 長井高明 | 明治19年(1886年)10月4日 | 明治24年(1891年)10月9日 | |
10 | 坂口実行 | 明治24年(1891年)10月9日 | 明治26年(1893年)12月5日 | |
11 | 高山喜英 | 明治26年(1893年)12月5日 | 明治28年(1895年)11月26日 | |
12 | 三田勝俊 | 明治28年(1895年)11月26日 | 明治29年(1896年)3月31日 | 標葉郡との合併により楢葉郡廃止 |
参考文献
編集- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 7 福島県、角川書店、1981年3月1日。ISBN 4040010701。
- 旧高旧領取調帳データベース
関連項目
編集先代 ----- |
行政区の変遷 - 1896年 |
次代 双葉郡 |