柏座
柏座(かしわざ)は、埼玉県上尾市の町名。現行行政地名は柏座一丁目〜四丁目[注釈 1]。住居表示実施済み[7]。郵便番号は362-0075[3]。
柏座 | |
---|---|
上尾駅西口 | |
北緯35度58分13.65秒 東経139度34分53.41秒 / 北緯35.9704583度 東経139.5815028度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 埼玉県 |
市町村 | 上尾市 |
地区 | 上尾地区 |
面積 | |
• 合計 | 0.5789[1] km2 |
人口 (2019年(平成31年)1月1日現在)[2] | |
• 合計 | 8,248人 |
等時帯 | UTC+9 (日本標準時) |
郵便番号 |
362-0075[3] |
市外局番 | 048(浦和MA)[4][5] |
ナンバープレート | 大宮 |
座標の場所は上尾市立富士見小学校を示す。 |
市の統計などでは上尾地区で分類されている。
地理
編集埼玉県の中央地域(県央地域)で、上尾市中央部の町域の東部は大宮台地上、西部は鴨川左岸沿いの低地に位置する。 町域の東側を上町や宮本町と接し、南側を谷津や富士見と接し、西を今泉、北側を弁財や春日と接する。北部では緑丘、東部では仲町とも僅かに接する。 町域の東部を高崎線が通り、南部および南端を東西に上尾平方線(市民体育館通り)が通り、町域の西境となる今泉との境を鴨川が流れ、富士見橋が架けられている。全域が市街化区域[8]で主に第一種住居地域や第二種住居地域(四丁目は主に第一種低層住居専用地域)に指定され、上尾駅前付近は商業地域で上尾平方線沿線は近隣商業地域となっているが、全体的には住宅地が広がっている。
地内に柏座遺跡(県遺跡番号:14-212[8])や柏座三丁目遺跡(県遺跡番号:14-175)住居跡やピットなどの遺構や土器片・石器の遺物が発掘されている。
地価
編集住宅地の地価は、2018年(平成30年)の公示地価によれば、柏座四丁目7−34の地点で13万5000円/m2となっている[9]。
歴史
編集もとは江戸期より存在した武蔵国足立郡大谷領に属する柏座村であった[10]。谷津村・宮下村・川村・沖之上村・中妻村のうちに飛地を領していた[10]。中世期の屋敷である曽我殿屋敷が村内(現在のパーク上尾付近[11])に存在していたと云われている[10][12]。村高は正保年間の『武蔵田園簿』では460石余(田168石余、畑282石余、山高10石)[13]、『元禄郷帳』および『天保郷帳』によると325石余であった[10]。化政期の戸数は28軒で、村の規模はおよそ東西8町余、南北13町余であった[10][12]。 地名については「柏」の字が自然堤防などの傾斜地を意味し、鴨川流域の自然堤防に由来するものと云われている[10][14]。 1875年(明治8年)の農業産物高は『武蔵国郡村誌』によると米84.4石、陸稲7石、大麦150石、小麦55石、大豆45石、小豆4石、栗27石、稗30石、蕎麦5石であった[15]。
はじめは幕府領、1624年(寛永元年)より知行は旗本柴田氏[10]。なお、検地は1661年(寛文元年)に実施[12]。また、持添新田を領しており、その検地は1625年(寛永2年)に実施[10][12]。正保〜元禄年間頃に柏座村より谷津村、および柏座村の枝郷である春日谷津村を分村する[10][16]。1698年(元禄11年)より上知され再び幕府領(代官支配地)となり、日乗院には10石の寺領が付与されたが[14]、のちに幕府領の一部が旗本春日氏(従五位下春日河内守貞顯)[17]の知行地となる[10][14]。
- 幕末の時点では足立郡柏座村であった。知行は旗本春日邦三郎および幕府領(代官支配地)[18]であった。日乗院の寺領も存在した[注釈 2]。
- 1868年(慶応4年)6月19日 - 武蔵知県事・山田政則(忍藩士)の管轄となる。
- 1869年(明治2年)
- 1871年(明治4年)11月13日 - 第1次府県統合により埼玉県の管轄となる。
- 1872年(明治5年)
- 1879年(明治12年)3月17日 - 郡区町村編制法により成立した北足立郡に属す。郡役所は浦和宿に設置。
- 1883年(明治16年)7月28日 - 日本鉄道(現高崎線)の上野〜熊谷間が開通し、上尾停車場(現上尾駅)が開設される[23]。
- 1884年(明治17年)7月14日 - 連合戸長役場制により成立した上尾宿連合に属す。連合戸長役場は上尾宿に設置[24]。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制施行に伴い、柏座村を含む区域をもって上尾町が成立、上尾町の大字柏座となる[10]。
- 1955年(昭和30年)1月1日 - 町村合併促進法の施行に伴い、上尾町が平方町・原市町・大石村・上平村・大谷村と合併して上尾町が改めて成立する[25]。上尾町の大字となる。
- 1907年(明治40年)8月 - 芝宮社を春日社に合祀する[26]。
- 1908年(明治41年)3月 - 谷津の鎮守氷川社を春日社に合祀し、芝宮社の旧境内の場所に遷座する[26]。
- 1932年(昭和7年)8月 - 地内で現在の柏座一丁目10-3の場所に「東洋時計製作所」(後の東洋時計工業)が東京府下谷区上野元黒門町(現上野)より移転する[27]。上尾の五大工場[注釈 3]のひとつ。
- 1935年(昭和10年)7月1日 - 地内の柏座685番地に「私立東洋時計上尾青年学校」が設立される[28]。
- 1937年(昭和12年) - 地内で現在の柏座三丁目1-43の場所に「大塚伸銅所」(後の伸東洋銅所、現日立アロイ)が東京府板橋区成増より移転する[27]。上尾の五大工場のひとつ。
- 1950年(昭和25年) - 地内に「町立上尾病院」(後の上尾市立病院)が開設される[29]。
- 1955年(昭和30年)1月1日 - 町村合併促進法の施行に伴い、上尾町が平方町・原市町・大石村・上平村・大谷村と合併して新たな上尾町が成立する[25]。上尾町の大字となる。
- 1958年(昭和33年)7月15日 - 上尾町が市制施行し[25]、上尾市の大字となる。
- 1962年(昭和37年) - 地内に「上尾自動車学校」(現ファインモータースクール上尾)が創立される[30][31][注釈 4]。
- 1964年(昭和39年)
- 3月 - 地内に上尾市立富士見小学校が建設され、上尾市立上尾小学校の仮校舎から移転する[32]。また、地内の「上尾市立病院」が閉鎖される[29]。
- 12月 - 閉鎖した「上尾市立病院」を引き継ぎ、地内に上尾中央医院(現上尾中央総合病院)が創立される[33]。
- 1965年(昭和40年)7月1日 - 大字柏座の一部が上町の一部となる[34][10]。
- 1966年(昭和41年) - 住居表示に関する法律に基づき住居表示(第二次)が実施され[35]、大字柏座の一部より大字谷津および大字春日谷津の各一部と併合して柏座一〜三丁目が成立、また、大字柏座の一部が住居表示を実施して春日・谷津・富士見・弁財の一部となる[34][10]。これにより「上尾自動車学校」の住所が大字柏座から春日1丁目(旧臼田倉庫の場所)となり、立地地区から外れる。
- 1967年(昭和42年)7月1日 - 住居表示に関する法律に基づき住居表示(第三次)が実施され、大字柏座より柏座四丁目が成立[35]、また、大字柏座の一部が大字谷津および大字上尾宿および大字上尾村の各一部と併合され、住居表示を実施して緑丘(一丁目)の一部となる[35][36][10]。
- 1970年(昭和45年)4月 - 地内に市立「柏座保育所」が開所する[37]。
- 1971年(昭和46年)
- 1975年(昭和50年)
- 1978年(昭和53年)7月 - 地内に柏座ポンプ場が設置され、稼働開始する[37]。
- 1983年(昭和58年)
- 1987年(昭和62年)11月22日 - 小敷谷吉田通線の高崎線と交差するアンダーパスが完工する[37][46](供用開始は同年12月1日[47])。
- 2006年(平成18年)1月 - 地内のアリコベールプラザ館に図書館上尾駅前分館が開館する[37]。
- 2007年(平成19年)3月1日 - 「柏座の享保十三年銘庚申塔」が市の登録文化財(有形民俗文化財)に登録される[22]。
- 2009年(平成21年)12月16日 - 柏座の大山灯籠行事が市の登録文化財(無形民俗文化財)に登録される[48]。
- 2010年(平成22年)5月 - 地内のアリコベールプラザ館3階に「市民活動支援センター」が開所する[37]。
- 2020年(令和2年)10月1日 - 施設の老朽化のため上尾市コミュニティセンターが閉館され、リニューアル工事に着手する[49]。
- 2021年(令和3年)12月1日 - 上尾市コミュニティセンターのリニューアル工事が完工、上尾市コミュニティセンターが再オープンする[50]。オープンに先立ち、当館の自由見学会や物産の販売会が行なわれた。
存在していた小字
編集※ 『武蔵国郡村誌』には「新井」の記載があるが、現在の場所を特定できない。また『新編武蔵風土記稿』には「アラヒ」・「橋場」・「堀の内」・「宮カリ」・「駒形」・「的場」の記載がある[12]が未確認である[14]。
世帯数と人口
編集2019年(平成31年)1月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[2]。
大字・丁目 | 世帯数 | 人口 |
---|---|---|
柏座一丁目 | 1,149世帯 | 2,341人 |
柏座二丁目 | 669世帯 | 1,483人 |
柏座三丁目 | 1,414世帯 | 3,194人 |
柏座四丁目 | 589世帯 | 1,230人 |
計 | 3,821世帯 | 8,248人 |
小・中学校の学区
編集市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下の通りとなる[52]。高崎線東側となる柏座一丁目1〜4番地は隣接する上町などの学区に準ずる。
丁目 | 番地 | 小学校 | 中学校 |
---|---|---|---|
柏座一丁目 | 1〜4番地 | 上尾市立中央小学校 | 上尾市立上尾中学校 |
5番地以降 | 上尾市立富士見小学校 | 上尾市立西中学校 | |
柏座二丁目 | 全域 | ||
柏座三丁目 | 全域 | ||
柏座四丁目 | 全域 |
交通
編集地区内の東部から北部にかけてJR東日本高崎線が通り、上尾駅が設置されている。
道路
編集地区内に国道や主要地方道・一般県道は通っていない。都市計画道路富士見ヶ丘中妻線(浅間通り)の延伸が計画されている[8]。
- 上尾平方線[53](市民体育館通り)
- 小敷谷吉田通線(はなみずき通り) - 最北部で掠める。
- 西宮下中妻線(並木通り)
- バス通り[54] - 上尾市コミュニティセンター前の通り。文字通り東武バスの路線が設定されている。
- 柏座通り[55] - すずらん通りとも。上尾中央総合病院南側の一方通行路。商店街が形成されている。
バス
編集上尾駅西口駅前より西上尾第一・第二団地方面や川越方面への路線バスが多数運行されている。なおバス乗り場がある西口駅前広場は谷津二丁目に立地する。
- 地区内は「西柏座」・「春日神社」・「弁財入口」・「柏座下」・「富士見小学校」・「柏座郵便局前」バス停留所が設置されている。
- 大石桶川線
- 大石領家北上尾線
- 平方丸山公園線
- 平方小敷谷循環
- 地区内は「西柏座」・「上尾中央総合病院」・「柏座郵便局前」バス停留所が設置されている。
地域
編集町内会
編集祭事
編集- 柏座の大山灯籠行事 - 市登録無形民俗文化財[48]。春日神社にて催される。
寺社・史跡
編集- 日乗院[59] - 1185年(元暦2年)或いは1504年(永正元年)創建。
- 高徳寺
- 春日神社 - 戦国末期創建。平方八枝神社の兼務社[26]
- 胡桃下稲荷神社 - 柏座1丁目1−28に所在。
- 柏座遺跡[11]
- 曽我殿屋敷跡
- 柏座の享保十三年銘庚申塔[22] - 柏座2丁目6番地に所在。同禅寺の廃寺跡で墓地が残る。
施設
編集上尾駅前や主要な市道沿いに多数の商業施設が立地する。街区公園は少ない。
脚注
編集注釈
編集- ^ 統計あげお(平成29年版)の2ページ目に大字柏座の記述があるが[6]、その面積は0.0000 km2(10 a未満)と記されており、事実上の消滅と解釈される。
- ^ 「旧高旧領取調帳データベース」の検索結果によると春日邦三郎知行および日乗院領が表示され、幕府領については表示されない。
- ^ 東洋時計工業・昭和産業・伸東洋銅所・横浜ゴム・東邦レース[27]の総称。
- ^ 旧臼田産業(臼田倉庫)の場所に自動車教習所らしき施設[1]が見られる。
- ^ 『統計あげお平成23年版』の「上尾市のあゆみ」では昭和50年7月と記されている[37]。
- ^ 『武蔵国郡村誌』では
上原 と読み方が異なる。 - ^ 『武蔵国郡村誌』では
臺 とも。
出典
編集- ^ “統計あげお 平成30年版 第1章 土地・気象”. 上尾市役所. p. 2 (2019年5月30日). 2020年5月26日閲覧。
- ^ a b “町丁大字別人口表”. 上尾市 (2019年2月4日). 2019年2月16日閲覧。
- ^ a b “郵便番号”. 日本郵便. 2019年2月16日閲覧。
- ^ “市外局番の一覧”. 総務省. 2019年2月16日閲覧。
- ^ “単位料金区域別市外局番等一覧表”. NTT東日本. 2020年5月26日閲覧。
- ^ “統計あげお 平成29年版 第1章 土地・気象” (PDF). 上尾市役所. p. 2 (2018年6月1日). 2019年1月16日閲覧。
- ^ “住居表示に関する届け出”. 上尾市役所 (2017年12月28日). 2019年2月23日閲覧。
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- ^ a b c d e 新編武蔵風土記稿 柏座村.
- ^ 東京市『東京市史稿. 市街篇第六附錄』東京市、1928年、82-83頁。NDLJP:3450753/47。
- ^ a b c d e 『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』 261-271頁。
- ^ 『上尾百年史』 250-254頁。
- ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 229頁。
- ^ 『新訂 寛政重修諸家譜 第17』株式会社続群書類従完成会、昭和40-11-30、138頁。
- ^ 『上尾百年史』 23頁。
- ^ 『上尾百年史』 26-30頁。
- ^ 『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』 117-123頁。
- ^ 『上尾百年史』 610-615頁。
- ^ a b c “柏座の享保十三年銘庚申塔”. 上尾市教育委員会 (2010年11月24日). 2020年6月9日閲覧。
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参考文献
編集- 上尾市教育委員会・編『上尾市史 第五巻 資料編5、近代・現代2』上尾市、1998年3月31日。
- 上尾市教育委員会・編『上尾市史 第七巻 通史編(下)』埼玉県上尾市、2001年3月30日。
- 上尾市教育委員会・編『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』上尾市、1997年3月31日。
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日。ISBN 4040011104。
- 上尾百年史編集委員会・編『上尾百年史』上尾市役所、1972年2月10日。
- 『広報あげお 昭和62年11月15日号』第493号、上尾市役所、1987年11月15日。
- 『広報あげお 昭和62年12月15日号』第495号、上尾市役所、1987年12月15日。
- 「柏座村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ147足立郡ノ13、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763999/46。
- 旧高旧領取調帳データベース
関連項目
編集外部リンク
編集- あげおガイド アピマップ - 上尾市役所
- 地区計画ですすめる住民主体のまちづくり 柏座地区地区計画 (PDF) - 上尾市役所