この項目では、ファイバーバンドルの接続概念について説明しています。微分幾何学における接続全般に関する説明については「接続 (微分幾何学) 」を、カルタン接続については「カルタン幾何学 」を、その他の用法については「接続 」をご覧ください。
ファイバーバンドル の接続 (せつぞく、英 : connection )とは、ベクトルバンドルの接続概念(Koszul接続) を任意のファイバーバンドルに拡張したものである。
これにより、原理的には任意のファイバーバンドル上で接続の概念を考えられるようになるが、実際に研究が進んでいるのはベクトルバンドルの場合とそれに対応する主バンドルの場合、具体的に
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
、
G
L
n
(
C
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {C} )}
、回転群
S
O
(
n
)
{\displaystyle SO(n)}
、ユニタリ群
U
(
n
)
{\displaystyle U(n)}
、シンプレクティック群
S
p
(
n
)
{\displaystyle \mathrm {Sp} (n)}
、スピン群
S
p
i
n
(
n
)
{\displaystyle \mathrm {Spin} (n)}
等、一般線形群 やその閉部分リー群に対する主バンドルの場合である。
なお、これらはそれぞれ実ベクトルバンドル、実計量ベクトルバンドル、複素ベクトルバンドル、複素計量ベクトルバンドル、シンプレクティックバンドル、クリフォードバンドル (英語版 ) に対応する。
こうした群の場合、主バンドルの接続からベクトルバンドルの接続が定義でき、逆にベクトルバンドルの接続から主バンドルの接続が定義できる事を本章で見る。ファイバーバンドルの接続、特に主バンドルの接続を考える主目的はベクトルバンドルの接続を別の角度から捉え直す事にある。
チャーン・ヴェイユ理論 では、特性類 という主バンドル を使って特徴づけられる概念を用いるので、上記のように主バンドルに対して接続を定義することで、理論の記述が可能になる。
以下、本項では特に断りがない限り、多様体、関数、バンドル等は全てC∞ 級の場合を考える。よって紛れがなければ「C∞ 級」を省略して単に多様体、関数、バンドル等という。
ファイバーバンドルの接続のことをエーレスマン接続[ 1] (英 : Ehresmann conection )と呼ぶ場合があるが[ 2] 、主バンドルに対する接続 の事を「エーレスマン接続」と読んでいる書籍[ 3] もあるので注意が必要である[ 4] 。なお主バンドル 上においても両者の概念は同値ではなく 、ファイバーバンドルの接続のうち構造群の作用に関して不変なものを主バンドルの接続と呼ぶ。
両者の区別のため、一般のファイバーバンドルの接続を一般の接続 (英 : general connection [ 5] )、主バンドルの接続を主接続 (英 : principal connection [ 6] )と呼ぶ場合がある。
またファイバーバンドルの接続のうち、完備 なもののみを「エーレスマン接続」と呼ぶ場合もある[ 7] 。なおエーレスマン自身による定義では完備性を仮定していた[ 8] 。
本節では、ファイバーバンドルの接続、中でも特に主バンドルの接続を定義する動機を説明する。
リーマン多様体 の接バンドル 上のレヴィ・チヴィタ接続 、あるいはより一般に任意の多様体 のベクトルバンドル の接続 はベクトルバンドル
E
→
M
{\displaystyle E\to M}
上の微分演算子∇ によって定義されている。
M 上のベクトル場X に対し行列
ω
(
X
)
{\displaystyle \omega (X)}
を
(
∇
X
e
1
,
…
,
∇
X
e
m
)
=
(
e
1
,
…
,
e
m
)
ω
(
X
)
{\displaystyle (\nabla _{X}e_{1},\ldots ,\nabla _{X}e_{m})=(e_{1},\ldots ,e_{m})\omega (X)}
により定義し、X に
ω
(
X
)
{\displaystyle \omega (X)}
を対応させる行列値の1-形式
ω
=
(
ω
i
j
)
i
j
{\displaystyle \omega =(\omega ^{i}{}_{j})_{ij}}
を局所的な基底
(
e
1
,
…
,
e
m
)
{\displaystyle (e_{1},\ldots ,e_{m})}
に関する接続∇ の接続形式 (英 : connection form )という[ 9] 。
∇ が定義する共変微分はライプニッツ則 により、
∇
X
s
=
X
(
s
j
)
e
j
+
s
i
ω
i
j
(
X
)
e
j
{\displaystyle \nabla _{X}s=X(s^{j})e_{j}+s^{i}\omega _{i}{}^{j}(X)e_{j}}
とかけるので、接続形式ω が分かれば接続∇ が再現でき、ω と∇ は1対1対応する。ここで
s
=
s
j
e
j
{\displaystyle s=s^{j}e_{j}}
はE の切断である。
実はむしろω から接続概念を定義したほうが、数学的に有利である事が示唆され、このアイデアを結実したのが主バンドルの接続概念である。
接続形式ω から接続概念を定義したほうが有利な理由は2つある。第一に、リーマン多様体であれば∇ から定義される曲率テンソルを使って記述できた恒等式、例えば(第二)構造方程式や(第二)ビアンキ恒等式は、一般のベクトルバンドルではω を使わないと記述できない(接続 (ベクトル束)#曲率 を参照)。
第二に、接続概念において重要な役割を果たす平行移動の概念は接続形式ω と強く関係しており、底空間M の曲線
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
に沿って定義された局所的な基底
(
e
1
(
t
)
,
…
,
e
m
(
t
)
)
{\displaystyle (e_{1}(t),\ldots ,e_{m}(t))}
をt で微分したものが接続形式
ω
(
d
c
d
t
(
0
)
)
{\displaystyle \omega ({\tfrac {dc}{dt}}(0))}
に一致する。
よって特に(レヴィ・チヴィタ接続などの)∇ がE の計量と両立する接続の場合、∇ による平行移動は回転変換、すなわち
S
O
(
n
)
{\displaystyle SO(n)}
の元なので、その微分である接続形式ω は
S
O
(
n
)
{\displaystyle SO(n)}
のリー代数
s
o
(
n
)
{\displaystyle {\mathfrak {so}}(n)}
の元、すなわち歪対称行列 である[ 注 1] 。
このように接続形式を用いるとベクトルバンドルの構造群(上の例では
S
O
(
n
)
{\displaystyle SO(n)}
)が接続形式の構造をリー群・リー代数対応により支配している事が見えやすくなる。
上では回転群
S
O
(
m
)
{\displaystyle \mathrm {SO} (m)}
の場合を説明したが、
G
L
n
(
C
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {C} )}
(を自然に
G
L
2
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{2n}(\mathbb {R} )}
の部分群とみなしたもの)や
U
n
(
C
)
{\displaystyle \mathrm {U} _{n}(\mathbb {C} )}
、物理学 で重要なシンプレクティック群 やスピン群 に対しても同種の性質が証明でき、接続形式がリー群・リー代数対応により支配されている事がわかる。
こうした事実は接続概念を直接リー群と接続形式とで記述する方が数学的に自然である事を示唆する。後で説明 する、リー群の主バンドルに対する接続はこのアイデアを定式化したもので、主バンドルの接続は接続形式に相当するものを使って定義される。
そこで本項では、まずベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の両方を包括する概念であるファイバーバンドルの接続概念を導入 する。この概念は「そもそも平行移動とは何か」を直接的に定式化したもので、この概念それ自身が接続形式の言葉で記述されるわけではない。
そして次にファイバーバンドルの接続概念を用いて主バンドルの接続概念を定義 すると同時に、主バンドルの接続を接続形式の言葉で再定式化する。そして構造群を持つファイバーバンドルにその主バンドルから接続を誘導する方法を説明 する。そして最後にベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の接続形式の言葉で記述 する。
本節では、上記の接続の概念に基づいて、一般のファイバーバンドルに対して平行移動、共変微分、および曲率形式の概念を定義していく。
ベクトルバンドルの場合にこれらの概念がこれまで議論してきた平行移動、共変微分、および曲率形式の概念に一致する事は後述する。
平行移動の概念を以下のように定義する:
接続の定義から、
π
∗
|
H
e
:
|
H
e
→
T
π
(
e
)
M
{\displaystyle \pi _{*}|_{{\mathcal {H}}_{e}}:|~{\mathcal {H}}_{e}\to T_{\pi (e)}M}
はベクトル空間としての同型であるので、この逆写像
L
i
f
t
e
:
T
π
(
e
)
M
→
H
e
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}~:~T_{\pi (e)}M\to {\mathcal {H}}_{e}}
を考える事ができる。
L
i
f
t
e
(
v
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}(v)}
を
v
∈
T
π
(
e
)
M
{\displaystyle v\in T_{\pi (e)}M}
のe への水平リフト (英 : horizontal lift [ 13] )といい、v に水平リフトを対応させる写像
L
i
f
t
e
:
T
π
(
e
)
M
→
H
e
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}~:~T_{\pi (e)}M\to {\mathcal {H}}_{e}}
をクリストッフェル写像 (英 : Christoffel map [ 16] )という事もある。この写像とクリストッフェル記号 の関係は後述 する。
水平リフトの定義から明らかなように、切断
s
(
t
)
{\displaystyle s(t)}
が平行である必要十分条件は
d
d
t
s
(
t
)
=
L
i
f
t
s
(
t
)
(
d
d
t
c
(
t
)
)
{\displaystyle {\tfrac {d}{dt}}s(t)=\mathrm {Lift} _{s(t)}\left({\tfrac {d}{dt}}c(t)\right)}
を満たす事である。
常微分方程式
d
d
t
s
(
t
)
=
L
i
f
t
s
(
t
)
(
d
d
t
c
(
t
)
)
{\displaystyle {\tfrac {d}{dt}}s(t)=\mathrm {Lift} _{s(t)}\left({\tfrac {d}{dt}}c(t)\right)}
の解の局所的な存在一意性から、平行移動は局所的に存在し、かつ一意である。
すなわちs を曲線
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
の時刻t0 のファイバー
E
c
(
t
0
)
{\displaystyle E_{c(t_{0})}}
の元とするとき、(t0 とs に依存した)t0 の近傍
(
−
ε
,
ε
)
{\displaystyle (-\varepsilon ,\varepsilon )}
が存在し、
(
−
ε
,
ε
)
{\displaystyle (-\varepsilon ,\varepsilon )}
上ではs の平行移動が一意に存在する。
前節で平行移動が局所的には必ず存在する事を見たが、平行移動の大域的な存在性は必ずしも保証されない。平行移動が大域的に存在するときに接続は完備であるという:
任意のファイバーバンドルに完備な接続が少なくとも1つ入る事が知られている[ 17] 。
なお、接バンドルにおいては「完備」という言葉は
にも使われるが、上述した接続の完備性はこれらの完備性概念とは別概念 である。実際、(アフィン接続に限らず)Koszul接続の場合には、平行移動は常に定義可能である[ 20] ので、Koszul接続は上述の意味で常に完備である。
ファイバーがコンパクトの場合も完備性が成り立つ:
本節では完備ではない接続の例をあげる。
M
=
R
{\displaystyle M=\mathbb {R} }
とし、M 上のファイバーバンドル
π
:
(
x
,
y
)
∈
M
×
R
↦
x
∈
M
{\displaystyle \pi ~:~(x,y)\in M\times \mathbb {R} \mapsto x\in M}
を考え、このファイバーバンドル上に下記のような接続を考える:
点
(
x
,
y
)
∈
M
×
R
{\displaystyle (x,y)\in M\times \mathbb {R} }
における水平部分空間は、
T
(
x
,
y
)
(
M
×
R
)
{\displaystyle T_{(x,y)}(M\times \mathbb {R} )}
内の傾き
y
2
{\displaystyle y{}^{2}}
の直線である[ 注 7]
ここで直線の「傾き」は
T
(
x
,
y
)
(
M
×
R
)
{\displaystyle T_{(x,y)}(M\times \mathbb {R} )}
を自然に
M
×
R
=
R
×
R
{\displaystyle M\times \mathbb {R} =\mathbb {R} \times \mathbb {R} }
と同一視したときの傾きである。
このようにすると、
M
=
R
{\displaystyle M=\mathbb {R} }
上の直線
c
(
t
)
=
t
{\displaystyle c(t)=t}
に沿って点
0
∈
M
=
R
{\displaystyle 0\in M=\mathbb {R} }
のファイバー上の点
(
0
,
y
0
)
∈
M
×
R
=
R
×
R
{\displaystyle (0,y_{0})\in M\times \mathbb {R} =\mathbb {R} \times \mathbb {R} }
を平行移動した結果できる曲線は
(
x
,
y
)
=
(
t
,
1
y
0
−
1
−
t
)
{\displaystyle (x,y)=\left(t,{1 \over y_{0}{}^{-1}-t}\right)}
である事を容易に示す事ができる。この平行移動は
t
<
1
y
0
{\displaystyle t<{1 \over y_{0}}}
の範囲でしか延長できず、完備でない事が言えた。
上記の例でも分かるように、水平移動の局所的存在性において、水平移動が存在する範囲
(
−
ε
,
ε
)
{\displaystyle (-\varepsilon ,\varepsilon )}
がファイバーの元(上記の例ではy0 )に依存しており、上記の例であれば
ε
<
1
y
0
{\displaystyle \varepsilon <{\tfrac {1}{y_{0}}}}
でなくてはならない。この事が水平移動の大域的存在性を保証できない原因となっている。
本節ではまず共変微分を天下り的に定義し、次に平行移動の概念を用いて共変微分の概念の意味付けを行う。
M 上のベクトル場X に対し、E の各点e に
L
i
f
t
e
(
X
e
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}(X_{e})}
を対応させるベクトル場を
L
i
f
t
(
X
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} (X)}
と書くことにすると、以下が成立する事が知られている[ 14] :
定理 (共変微分とリフトの関係 ) ― s をM の開集合上で定義された切断とするとき、
∇
X
s
=
s
∗
(
X
)
−
L
i
f
t
(
X
)
{\displaystyle \nabla _{X}s=s_{*}(X)-\mathrm {Lift} (X)}
よって特に次が成立する:
定理 ―
s
(
t
)
{\displaystyle s(t)}
を曲線
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
上の切断とするとき、
∇
d
t
s
(
t
)
=
d
d
t
s
(
t
)
−
L
i
f
t
s
(
t
)
(
d
d
t
c
(
t
)
)
{\displaystyle {\frac {\nabla }{dt}}s(t)={\frac {d}{dt}}s(t)-\mathrm {Lift} _{s(t)}({\frac {d}{dt}}c(t))}
が成立する。
平行移動の定義より、
s
(
t
)
{\displaystyle s(t)}
が平行であれば、
d
d
t
s
(
t
)
=
L
i
f
t
s
(
t
)
(
d
d
t
c
(
t
)
)
{\displaystyle {\tfrac {d}{dt}}s(t)=\mathrm {Lift} _{s(t)}\left({\tfrac {d}{dt}}c(t)\right)}
であった。この事からすなわち、共変微分
∇
d
t
s
(
t
)
{\displaystyle {\tfrac {\nabla }{dt}}s(t)}
とは、平行移動からのズレを表す量である 事がわかる。
本節では共変微分を成分表示で表し、これにより水平リフトがなぜクリストッフェル写像 と呼ばれるのかを見る。このためにファイバーバンドル
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
の点
e
0
∈
E
{\displaystyle e_{0}\in E}
に対し、
π
(
e
0
)
∈
M
{\displaystyle \pi (e_{0})\in M}
の近傍U における局所座標
(
x
1
,
…
,
x
m
)
{\displaystyle (x^{1},\ldots ,x^{m})}
を選び、さらに
e
0
∈
E
{\displaystyle e_{0}\in E}
の局所座標
(
(
x
1
,
…
,
x
m
)
,
(
y
1
,
…
,
y
n
)
)
∈
U
×
V
⊂
E
{\displaystyle ((x^{1},\ldots ,x^{m}),(y^{1},\ldots ,y^{n}))\in U\times V\subset E}
として、局所座標が
(
(
x
1
,
…
,
x
m
)
,
(
y
1
,
…
,
y
n
)
)
{\displaystyle ((x^{1},\ldots ,x^{m}),(y^{1},\ldots ,y^{n}))}
の元を
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
で写像するしたものの局所座標が
(
x
1
,
…
,
x
m
)
{\displaystyle (x^{1},\ldots ,x^{m})}
となるものを取る。
水平リフトは
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
の右逆写像であった事から、
X
=
X
k
∂
∂
x
k
{\displaystyle X=X^{k}{\tfrac {\partial }{\partial x^{k}}}}
をU 上のベクトル場とすると、
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
における水平リフトは何らかの実数の組
(
Γ
i
k
(
e
)
)
i
,
k
{\displaystyle (\Gamma ^{i}{}_{k}(e))_{i,k}}
を用いて
L
i
f
t
e
(
X
)
=
X
k
∂
∂
x
k
−
X
k
Γ
i
k
(
e
)
∂
∂
y
i
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}(X)=X^{k}{\partial \over \partial x^{k}}-X^{k}\Gamma ^{i}{}_{k}(e){\partial \over \partial y^{i}}}
という形に成分表示できる[ 22] [ 注 8] 。共変微分とリフトの関係性 から、簡単な計算により、以下の定理を示すことができる:
定理 (共変微分の成分表示 ) ― 記号を上述のように取り、さらにs をU 上定義されたE の切断とし、s を成分表示で
s
(
x
)
=
(
(
x
1
,
…
,
x
m
)
,
(
s
1
(
x
)
,
…
,
s
n
(
x
)
)
)
{\displaystyle s(x)=((x^{1},\ldots ,x^{m}),(s^{1}(x),\ldots ,s^{n}(x)))}
と書く、このとき以下が成立する:
∇
X
s
|
x
=
(
X
k
(
x
)
∂
s
j
∂
x
k
(
x
)
+
X
k
(
x
)
Γ
i
k
(
s
(
x
)
)
)
∂
∂
y
i
|
s
(
x
)
{\displaystyle \nabla _{X}s|_{x}=\left(X^{k}(x){\partial s^{j} \over \partial x^{k}}(x)+X^{k}(x)\Gamma ^{i}{}_{k}(s(x))\right){\partial \over \partial y^{i}}{\Bigg |}_{s(x)}}
上記の定理をKoszul接続に関する共変微分の成分表示と比較する事で、
Γ
k
i
(
s
(
x
)
)
{\displaystyle \Gamma _{k}{}^{i}(s(x))}
がクリストッフェル記号 に対応している事が分かる。事実Koszul接続では
Γ
k
i
(
s
(
x
)
)
{\displaystyle \Gamma _{k}{}^{i}(s(x))}
がs に関して線形であり、成分表示がクリストッフェル記号と一致する(後述 )。
水平リフトの事をクリストッフェル写像と呼んだのは以上の理由による。
接続概念の定義において垂直方向への射影
V
e
:
T
e
E
→
V
e
{\displaystyle V_{e}~:~T_{e}E\to {\mathcal {V}}_{e}}
を導入したが、同様にして水平方向への射影
H
e
:
T
e
E
→
H
e
{\displaystyle H_{e}~:~T_{e}E\to {\mathcal {H}}_{e}}
も定義できる。
曲率概念はこのVe 、He を使って定義できる:
なお、Frölicher–Nijenhuis bracket
[
⋅
,
⋅
]
F
N
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]_{FN}}
を用いると、曲率形式は
Ω
=
−
1
2
[
V
,
V
]
F
N
=
−
1
2
[
H
,
H
]
F
N
{\displaystyle \Omega =-{1 \over 2}[V,V]_{FN}=-{1 \over 2}[H,H]_{FN}}
とも書き表せる[ 27] [ 注 10] 。
さらに曲率形式に対する下記の(第二)ビアンキ恒等式 が成立する事も示せる[ 27]
[
V
,
Ω
]
F
N
=
0
{\displaystyle [V,\Omega ]_{FN}=0}
.
曲率概念の意味付けをみるため、いくつかの概念を定義する。
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
を接続
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
が定義されたファイバーバンドルとし、∇ をこの接続が定める共変微分とする。
s をM の開集合U 上で定義されたE の切断がU の任意の点u とu におけるU の任意の接ベクトルv に対し、
∇
v
s
=
0
{\displaystyle \nabla _{v}s=0}
を満たすとき、s は平坦 (英 : flat )であるという[ 28] 。
定義から明らかなようにs が平坦であるとは、s をU からE への写像とみなしたとき、s が誘導する写像
s
∗
:
T
U
→
T
E
{\displaystyle s_{*}~:~TU\to TE}
によるTU の像が常に水平部分空間に属する事と同値である。
E の任意の点e に対し、e を通るE の平坦な切断が存在するとき、接続
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
は平坦 であるという[ 29] 。
定義から明らかなように、接続
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
が平坦であるという事は、超平面の族
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
が可積分 である事と同値である[ 30] 。
フロベニウスの定理 を用いると、次が成立する事を証明できる:
したがって曲率形式は水平部分空間
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
が可積分ではない度合いを表す量である 。
これまで通り
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
を接続
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
が定義されたファイバーバンドルとする。さらに
U
∈
R
2
{\displaystyle U\in \mathbb {R} ^{2}}
を
R
2
{\displaystyle \mathbb {R} ^{2}}
の原点O の開近傍 とし、U の元を成分で
(
x
1
,
x
2
)
{\displaystyle (x^{1},x^{2})}
と表し、
φ
:
U
→
M
{\displaystyle \varphi ~:~U\to M}
を埋め込みとし、
i
=
1
,
2
{\displaystyle i=1,2}
に対し、
∂
^
i
:=
φ
∗
(
∂
i
)
{\displaystyle {\hat {\partial }}_{i}:=\varphi _{*}(\partial _{i})}
、
∂
i
∗
:=
L
i
f
t
(
∂
^
i
)
{\displaystyle \partial _{i}^{*}:=\mathrm {Lift} ({\hat {\partial }}_{i})}
とする。
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
を
R
2
{\displaystyle \mathbb {R} ^{2}}
上の以下のような閉曲線とする:
O
∈
R
2
{\displaystyle O\in \mathbb {R} ^{2}}
から
t
{\displaystyle t}
だけ右に動き、
t
{\displaystyle t}
だけ上に動き、
t
{\displaystyle t}
だけ左に動き、
t
{\displaystyle t}
だけ下に動く。
このとき
φ
∘
c
(
t
)
{\displaystyle \varphi \circ c(t)}
に沿って、
φ
(
O
)
{\displaystyle \varphi (O)}
のファイバー
E
φ
(
O
)
{\displaystyle E_{\varphi (O)}}
の点e を平行移動したものは、
e
t
=
Φ
2
−
t
∘
Φ
1
−
t
∘
Φ
2
t
∘
Φ
1
t
(
e
)
{\displaystyle e_{t}=\Phi _{2}^{-t}\circ \Phi _{1}^{-t}\circ \Phi _{2}^{t}\circ \Phi _{1}^{t}(e)}
where
Φ
i
t
:=
exp
(
t
∂
i
∗
)
{\displaystyle \Phi _{i}^{t}:=\exp(t\partial _{i}^{*})}
に等しい。この
e
t
{\displaystyle e_{t}}
を使って曲率形式を特徴づける事ができる:
定理 ― 記号を上のように取る。このとき、
E
φ
(
O
)
{\displaystyle E_{\varphi (O)}}
を局所座標で表すと、その局所座標で定義される足し算に関して、
e
t
=
e
−
Ω
(
∂
1
∗
,
∂
2
∗
)
t
2
+
O
(
t
2
)
{\displaystyle e_{t}=e-\Omega (\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*})t^{2}+O(t^{2})}
が成立する。
証明
一般に、多様体N 上の2つのベクトル場X1 、X2 とN 上の関数f に対し、
Ψ
i
t
:=
exp
(
t
X
i
)
{\displaystyle \Psi _{i}^{t}:=\exp(tX_{i})}
とすると、点
a
∈
N
{\displaystyle a\in N}
の局所座標
(
y
1
,
…
,
y
n
)
{\displaystyle (y^{1},\ldots ,y^{n})}
で
f
(
Ψ
2
−
t
∘
Ψ
1
−
t
∘
Ψ
2
t
∘
Ψ
1
t
(
a
)
)
=
f
(
a
)
+
t
2
[
X
1
,
X
2
]
|
a
f
(
a
)
+
o
(
t
2
)
{\displaystyle f(\Psi _{2}^{-t}\circ \Psi _{1}^{-t}\circ \Psi _{2}^{t}\circ \Psi _{1}^{t}(a))=f(a)+t^{2}[X_{1},X_{2}]|_{a}f(a)+o(t^{2})}
が成立する事が知られている[ 32] 。上記の定理をN がP 、a がe 、Xi が
∂
i
∗
{\displaystyle \partial _{i}^{*}}
、f が点y にその第i 座標yi を対応させる関数である場合に適用する事で、
Ψ
2
−
t
∘
Ψ
1
−
t
∘
Ψ
2
t
∘
Ψ
1
t
(
e
)
=
e
+
t
2
[
∂
1
∗
,
∂
2
∗
]
|
e
+
o
(
t
2
)
{\displaystyle \Psi _{2}^{-t}\circ \Psi _{1}^{-t}\circ \Psi _{2}^{t}\circ \Psi _{1}^{t}(e)=e+t^{2}[\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*}]|_{e}+o(t^{2})}
が成立する。一般にM 上のベクトル場X 、Y に対し、
L
i
f
t
(
[
X
,
Y
]
)
=
H
(
[
L
i
f
t
(
X
)
,
L
i
f
t
(
X
)
]
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} ([X,Y])=H([\mathrm {Lift} (X),\mathrm {Lift} (X)])}
である事が知られているので[ 33] 、
H
(
[
∂
1
∗
,
∂
2
∗
]
)
=
H
(
L
i
f
t
(
∂
1
)
,
L
i
f
t
(
∂
2
)
)
=
L
i
f
t
(
[
∂
1
,
∂
2
]
)
=
0
{\displaystyle H([\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*}])=H(\mathrm {Lift} (\partial _{1}),\mathrm {Lift} (\partial _{2}))=\mathrm {Lift} ([\partial _{1},\partial _{2}])=0}
であり、したがって、
[
∂
1
∗
,
∂
2
∗
]
=
V
(
[
∂
1
∗
,
∂
2
∗
]
)
=
V
(
[
H
(
∂
1
∗
)
,
H
(
∂
2
∗
)
]
)
=
−
Ω
(
∂
1
∗
,
∂
2
∗
)
{\displaystyle [\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*}]=V([\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*}])=V([H(\partial _{1}^{*}),H(\partial _{2}^{*})])=-\Omega (\partial _{1}^{*},\partial _{2}^{*})}
であるので定理が証明された。
クリストッフェル写像の節 と同様に、E の元がM の局所座標
(
x
1
,
…
,
x
m
)
{\displaystyle (x^{1},\ldots ,x^{m})}
およびE の垂直方向の局所座標
(
y
1
,
…
,
y
n
)
{\displaystyle (y^{1},\ldots ,y^{n})}
の組
(
(
x
1
,
…
,
x
m
)
,
(
y
1
,
…
,
y
n
)
)
{\displaystyle ((x^{1},\ldots ,x^{m}),(y^{1},\ldots ,y^{n}))}
で書き表されているとし、
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
に対し、
曲率を
Ω
e
(
∂
∂
x
k
,
∂
∂
x
ℓ
)
=
Ω
i
k
ℓ
(
e
)
∂
∂
y
i
{\displaystyle \Omega _{e}\left({\partial \over \partial x^{k}},{\partial \over \partial x^{\ell }}\right)=\Omega ^{i}{}_{k\ell }(e){\partial \over \partial y^{i}}}
と成分表示する。さらにクリストッフェル写像の節 と同様、
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
における水平リフトを
L
i
f
t
e
(
∂
∂
x
k
)
=
∂
∂
x
k
−
Γ
i
k
(
e
)
∂
∂
y
i
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}\left({\partial \over \partial x^{k}}\right)={\partial \over \partial x^{k}}-\Gamma ^{i}{}_{k}(e){\partial \over \partial y^{i}}}
と書く。
定理 ― 記号を上述のように取る。このとき曲率は
Ω
i
k
ℓ
=
∂
Γ
ℓ
i
∂
x
k
−
∂
Γ
i
k
∂
x
ℓ
+
∂
Γ
i
k
∂
y
s
Γ
s
ℓ
−
∂
Γ
i
ℓ
∂
y
s
Γ
s
k
{\displaystyle \Omega ^{i}{}_{k\ell }={\partial \Gamma _{\ell }{}^{i} \over \partial x^{k}}-{\partial \Gamma ^{i}{}_{k} \over \partial x^{\ell }}+{\partial \Gamma ^{i}{}_{k} \over \partial y^{s}}\Gamma ^{s}{}_{\ell }-{\partial \Gamma ^{i}{}_{\ell } \over \partial y^{s}}\Gamma ^{s}{}_{k}}
と成分表示できる[ 34] 。
本節では特に断りのない限り、
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
を完備な 接続
H
=
{
H
e
}
e
∈
E
{\displaystyle {\mathcal {H}}=\{{\mathcal {H}}_{e}\}_{e\in E}}
が定義されたファイバーバンドルでM が連結 なものとする。
x
0
∈
M
{\displaystyle x_{0}\in M}
をM の点とし、
c
(
t
)
∈
M
{\displaystyle c(t)\in M}
をx0 からx0 自身への区分的になめらかな閉曲線とすると、接続が完備なのでx0 のファイバー
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
の任意の元e に対し、e を
c
(
t
)
∈
M
{\displaystyle c(t)\in M}
に沿って一周平行移動してできた元を
φ
c
(
e
)
∈
E
x
0
{\displaystyle \varphi _{c}(e)\in E_{x_{0}}}
とする事で、
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
上の可微分同相写像
φ
c
:
E
x
0
→
E
x
0
{\displaystyle \varphi _{c}~:~E_{x_{0}}\to E_{x_{0}}}
を定義できる。
定理・定義 (ホロノミー群) ―
H
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
:=
{
φ
c
∣
c
{\displaystyle \mathrm {Hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0}):=\{\varphi _{c}\mid c}
はx0 から出てP 自身への区分的になめらかな閉曲線
}
{\displaystyle \}}
は閉曲線の連結に関して自然に群構造をなす。この群をE の
H
{\displaystyle {\mathcal {H}}}
に関するx0 におけるホロノミー群 (英 : holonomy group )という[ 35] 。
さらに以下を定義する:
定理・定義 (制約ホロノミー群) ―
H
o
l
0
(
E
,
H
,
x
0
)
:=
{
φ
c
∣
c
{\displaystyle \mathrm {Hol} _{0}(E,{\mathcal {H}},x_{0}):=\{\varphi _{c}\mid c}
はx0 から出てx0 自身へと戻る区分的になめらかな閉曲線でM 上0-ホモトープなもの
}
{\displaystyle \}}
とすると、
H
o
l
0
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} _{0}(E,{\mathcal {H}},x_{0})}
は
H
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
の部分群をなす。
H
o
l
0
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} _{0}(E,{\mathcal {H}},x_{0})}
をP におけるE の
H
{\displaystyle {\mathcal {H}}}
に関する制約ホロノミー群 (英 : restricted holonomy group )という[ 35] 。
M が連結である事から(制約)ホロノミー群の群構造はx0 によらないので、紛れがなければ
H
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
、
H
o
l
0
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} _{0}(E,{\mathcal {H}},x_{0})}
を単に
H
o
l
(
E
,
H
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} (E,{\mathcal {H}})}
、
H
o
l
0
(
E
,
H
)
{\displaystyle \mathrm {Hol} _{0}(E,{\mathcal {H}})}
と書く。
u
∈
M
{\displaystyle u\in M}
における接ベクトル
v
∈
T
u
M
{\displaystyle v\in T_{u}M}
に対し、
e
∈
E
u
{\displaystyle e\in E_{u}}
に
v
{\displaystyle v}
のe での水平リフトを対応させる
e
∈
E
u
↦
L
i
f
t
e
(
v
)
∈
H
e
⊂
T
e
E
{\displaystyle e\in E_{u}\mapsto \mathrm {Lift} _{e}(v)\in {\mathcal {H}}_{e}\subset T_{e}E}
をファイバー
E
u
{\displaystyle E_{u}}
上の切断とみなしたものを
L
i
f
t
(
v
u
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} (v_{u})}
と書く。
2つのベクトル
v
u
,
w
u
∈
T
u
M
{\displaystyle v_{u},w_{u}\in T_{u}M}
に対し、
L
i
f
t
(
v
u
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} (v_{u})}
、
L
i
f
t
(
w
u
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} (w_{u})}
はいずれも
E
u
{\displaystyle E_{u}}
上のベクトル場なので、曲率形式Ω に対して、
Ω
(
L
i
f
t
(
v
u
)
,
L
i
f
t
(
w
u
)
)
∈
V
E
=
T
E
u
{\displaystyle \Omega (\mathrm {Lift} (v_{u}),\mathrm {Lift} (w_{u}))\in VE=TE_{u}}
を定義でき、これは
E
u
{\displaystyle E_{u}}
上のベクトル場とみなせる。さらに
u
0
∈
M
{\displaystyle u_{0}\in M}
をfixし、u から
u
0
{\displaystyle u_{0}}
までつなぐ曲線
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
に沿って
Ω
(
L
i
f
t
(
v
u
)
,
L
i
f
t
(
w
u
)
)
{\displaystyle \Omega (\mathrm {Lift} (v_{u}),\mathrm {Lift} (w_{u}))}
を平行移動したものを
Ω
c
(
L
i
f
t
(
v
u
)
,
L
i
f
t
(
w
u
)
)
{\displaystyle \Omega _{c}(\mathrm {Lift} (v_{u}),\mathrm {Lift} (w_{u}))}
と書く。
定理・定義 ―
E
u
0
{\displaystyle E_{u_{0}}}
上のベクトル場全体の集合
X
(
E
u
0
)
{\displaystyle {\mathfrak {X}}(E_{u_{0}})}
をリー括弧 (英語版 ) に関する「無限次元リー代数」とみなしたとき、
{
Ω
c
(
L
i
f
t
(
v
u
)
,
L
i
f
t
(
w
u
)
)
|
x
∈
M
,
v
,
w
∈
T
u
M
,
c
{\displaystyle \{\Omega _{c}(\mathrm {Lift} (v_{u}),\mathrm {Lift} (w_{u}))|x\in M,v,w\in T_{u}M,c}
はx からx0 までつなぐM 上の曲線
}
{\displaystyle \}}
を含む最小の(C∞ -位相に関する)閉部分線形空間
を
h
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
と書くとき、
h
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
は
X
(
E
x
0
)
{\displaystyle {\mathfrak {X}}(E_{x_{0}})}
の部分リー代数になっている。
h
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
をホロノミーリー代数 (英 : holonomy Lie algebra )という[ 35] 。
実は以下の定理が成立する。なお、以下の定理は主バンドルに対するAmbrose–Singerの定理 を任意のファイバーバンドルに一般化したものである:
定理 (Ambrose-Singerの定理の一般化 ) ― ホロノミーリー代数
h
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
が有限次元であれば、以下が成立する:
ホロノミー群
G
:=
H
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle G:=\mathrm {Hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
は
h
o
l
(
E
,
H
,
x
0
)
{\displaystyle \mathrm {hol} (E,{\mathcal {H}},x_{0})}
をリー代数として持つリー群である[ 35] 。
あるG -主バンドル
π
′
:
P
→
M
{\displaystyle \pi '~:~P\to M}
、およびG のファイバー
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
への作用が一意に存在し、
π
′
:
P
→
M
{\displaystyle \pi '~:~P\to M}
と
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
へのG 作用を使って作った
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
バンドルは
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
と同型である[ 35] 。
主バンドル
π
′
:
P
→
M
{\displaystyle \pi '~:~P\to M}
には主バンドルとしての接続(詳細次章 )が一意に存在し、この接続が上述の
E
x
0
{\displaystyle E_{x_{0}}}
バンドルに誘導する接続 は
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
との接続と同一である[ 35] 。
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
をファイバー空間F を持つファイバーバンドル、
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
をその上の接続とし、M の点x0 とx0 の近傍V に対し、
π
−
1
(
V
)
{\displaystyle \pi ^{-1}(V)}
の局所座標を
π
−
1
(
V
)
→
∼
U
×
F
{\displaystyle \pi ^{-1}(V){\overset {\sim }{\to }}U\times F}
とする。ここでU は
R
m
{\displaystyle \mathbb {R} ^{m}}
の開集合である。以下、紛れがなければ
π
−
1
(
V
)
{\displaystyle \pi ^{-1}(V)}
とその局所座標
U
×
F
{\displaystyle U\times F}
を同一視する。
定理・定義 ― 記号を上述のように取るとき、
(
x
,
a
)
∈
U
×
F
{\displaystyle (x,a)\in U\times F}
における接空間
T
x
,
a
(
U
×
F
)
≈
T
x
U
×
T
a
F
{\displaystyle T_{x,a}(U\times F)\approx T_{x}U\times T_{a}F}
の元
(
ξ
x
,
η
a
)
∈
T
x
U
×
T
a
F
{\displaystyle (\xi _{x},\eta _{a})\in T_{x}U\times T_{a}F}
に対し、
V
(
x
,
a
)
(
ξ
x
,
η
a
)
=
(
0
,
Γ
a
(
ξ
x
)
+
η
a
)
∈
T
x
U
×
T
a
F
{\displaystyle V_{(x,a)}(\xi _{x},\eta _{a})=(0,\Gamma _{a}(\xi _{x})+\eta _{a})\in T_{x}U\times T_{a}F}
と書ける
Γ
a
(
ξ
x
)
∈
T
a
F
{\displaystyle \Gamma _{a}(\xi _{x})\in T_{a}F}
が存在する。
F の点a に
Γ
a
(
ξ
x
)
∈
T
a
F
{\displaystyle \Gamma _{a}(\xi _{x})\in T_{a}F}
を対応させるF 上のベクトル場を
Γ
(
ξ
x
)
{\displaystyle \Gamma (\xi _{x})}
と書く。
Γ
{\displaystyle \Gamma }
はξx にF 上のベクトル場の集合
X
(
F
)
{\displaystyle {\mathfrak {X}}(F)}
の元を対応させる
X
(
F
)
{\displaystyle {\mathfrak {X}}(F)}
値1-形式とみなせるので、
Γ
{\displaystyle \Gamma }
を接続
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
の座標近傍
U
×
F
{\displaystyle U\times F}
に関するクリストッフェル形式 (英 : Christoffel form )という[ 36] [ 注 11] 。
クリストッフェル形式を使うと曲率が以下のように書ける:
定理 ― 上述の記号の元、曲率Ω は局所座標
π
−
1
(
V
)
→
∼
U
×
F
{\displaystyle \pi ^{-1}(V){\overset {\sim }{\to }}U\times F}
において以下を満たす[ 36] [ 注 13] :
Ω
=
d
Γ
+
1
2
[
Γ
,
Γ
]
{\displaystyle \Omega =d\Gamma +{1 \over 2}[\Gamma ,\Gamma ]}
ここで
[
Γ
,
Γ
]
(
ξ
,
ζ
)
:=
[
Γ
(
ξ
)
,
Γ
(
ζ
)
]
{\displaystyle [\Gamma ,\Gamma ](\xi ,\zeta ):=[\Gamma (\xi ),\Gamma (\zeta )]}
であり、
[
⋅
,
⋅
]
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]}
はリー括弧である。
上述の定理はあくまで局所座標で成立するものに過ぎないが、後述する主バンドルの接続の場合は局所座標ではなく手バンドル自身の上で同種の定理が成り立つことを後で示す。
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
を接続
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
が定義されたファイバーバンドルとし、
f
:
N
→
M
{\displaystyle f~:~N\to M}
を多様体N からM へのなめらかな写像とすると、ファイバーバンドルの引き戻し
f
∗
E
→
f
~
E
↓
π
′
↻
↓
π
N
→
f
M
{\displaystyle {\begin{array}{ccc}f^{*}E&{\overset {\tilde {f}}{\to }}&E\\\downarrow \pi '&\circlearrowright &\downarrow \pi \\N&{\overset {f}{\to }}&M\end{array}}}
が定義できる。
曲率は引き戻しに対して自然に振る舞う:
一方、接続に関する他の諸概念、例えば水平リフトは引き戻しに関して自然に振る舞うとは限らない 。実際
f
:
N
→
M
{\displaystyle f~:~N\to M}
がN を一点に潰す写像であれば、TN の像は全て0 ベクトルであるので、
f
∗
{\displaystyle f_{*}}
で写像してから水平リフトするのと水平リフトしてから
f
~
∗
{\displaystyle {\tilde {f}}_{*}}
で写像したのでは結果が異なる。
水平リフトは引き戻しに関して自然に振る舞う条件は微分がfull rankになる事で、
f
∗
{\displaystyle f_{*}}
が点
x
∈
N
{\displaystyle x\in N}
においてfull rankであれば、Tx N の元を
f
∗
{\displaystyle f_{*}}
で写像してから水平リフトするのと水平リフトしてから
f
~
∗
{\displaystyle {\tilde {f}}_{*}}
で写像したのは結果が等しくなる。
本節では主バンドルの接続を定義する。
主バンドルの接続は、ファイバーバンドルの接続で群作用 に対して不変になるものである:
ここで
V
p
{\displaystyle {\mathcal {V}}_{p}}
は垂直部分空間
V
p
:=
π
∗
−
1
(
T
π
(
p
)
M
)
⊂
T
p
P
{\displaystyle {\mathcal {V}}_{p}:=\pi _{*}{}^{-1}(T_{\pi (p)}M)\subset T_{p}P}
であり、
(
R
g
)
∗
{\displaystyle (R_{g})_{*}}
は
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
のP への右からの作用
R
g
:
p
∈
P
→
p
g
∈
P
{\displaystyle R_{g}~:~p\in P\to pg\in P}
がTP に誘導する写像である。
H
p
{\displaystyle {\mathcal {H}}_{p}}
をp における水平部分空間 という。
一般のファイバーバンドルの接続の場合と同様、垂直射影
{
V
p
}
p
∈
P
{\displaystyle \{V_{p}\}_{p\in P}}
を用いて接続概念を定義することも可能で、
任意の
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
に対し、
V
p
|
V
p
=
i
d
{\displaystyle V_{p}|_{{\mathcal {V}}_{p}}=\mathrm {id} }
任意の
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
、
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
に対し、
(
R
g
)
∗
∘
V
p
=
V
p
g
∘
(
R
g
)
∗
{\displaystyle (R_{g})_{*}\circ V_{p}=V_{pg}\circ (R_{g})_{*}}
により接続概念を定義づけられる。
しかし次節に見るようにリー群・リー代数対応に着目する事で、リー代数の言葉を使った定式化も可能である。
本節では、前節で定義した主バンドルの接続概念をリー代数を使って特徴づける。
そのためにまず、定義のために必要な概念を導入する。
G をリー群とし、
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
をそのリー代数とし、さらにN をG が右から作用する多様体(例えばG -主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
の全空間P )とする。
なお、N がG -主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
の全空間P の場合には
A
_
p
{\displaystyle {\underline {A}}_{p}}
は垂直部分空間
V
p
{\displaystyle {\mathcal {V}}_{p}}
の元である事が容易に示せる。
定義 (リー群の随伴表現) ― G をリー群とし
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
をそのリー代数とする。このとき、G の線形表現
A
d
:
G
→
G
L
(
g
)
{\displaystyle \mathrm {Ad} ~:~G\to \mathrm {GL} ({\mathfrak {g}})}
を
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
に対し、
A
d
(
g
)
:
d
h
d
t
(
0
)
∈
g
↦
d
d
t
g
h
(
t
)
g
−
1
|
t
=
0
∈
g
{\displaystyle \mathrm {Ad} (g)~:~{\tfrac {dh}{dt}}(0)\in {\mathfrak {g}}\mapsto \left.{\tfrac {d}{dt}}gh(t)g^{-1}\right|_{t=0}\in {\mathfrak {g}}}
により定義し、Ad をG の随伴表現 (英 : adjoint representation )という[ 40] 。
ここで
G
L
(
g
)
{\displaystyle \mathrm {GL} ({\mathfrak {g}})}
は
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
上の線形同型全体のなすリー群である。随伴表現の定義は
h
(
t
)
{\displaystyle h(t)}
の取り方によらずwell-defninedである。
基本ベクトル場の定義より明らかに各
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
に対し、写像
ζ
p
:
A
∈
g
↦
A
_
p
∈
V
p
{\displaystyle \zeta _{p}~:~A\in {\mathfrak {g}}\mapsto {\underline {A}}_{p}\in {\mathcal {V}}_{p}}
は全単射であるので、ζp の写像の逆写像を垂直射影と合成する事で、
T
p
P
→
V
p
V
p
→
∼
ζ
p
−
1
g
{\displaystyle T_{p}P{\underset {V_{p}}{\to }}{\mathcal {V}}_{p}{\underset {\zeta _{p}{}^{-1}}{\overset {\sim }{\to }}}{\mathfrak {g}}}
作る事ができる。この写像を
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
に値を取る1-形式とみなしたものを
ω
p
∈
A
p
1
(
P
;
g
)
{\displaystyle \omega _{p}\in {\mathcal {A}}_{p}^{1}(P;{\mathfrak {g}})}
とし、各点p にωp を対応させるP 上の
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
値1-形式の場ω を接続形式 (英 : connection form )という[ 41] 。ここで
A
p
1
(
P
;
g
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{p}^{1}(P;{\mathfrak {g}})}
はP 上の
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
値1-形式全体の集合である。
以上の議論から明らかに垂直射影からω が定まり、逆にω から垂直射影が定まるのでω によって接続概念を定式化できる:
主バンドルとしての接続から前述の方法でP の接続形式が定まり、逆に接続形式ω が0 になる方向を水平方向とすることでP に主バンドルとしての接続が再現できるので、両者の定義は同値である。
本節では主バンドルの接続に関する諸概念を接続形式を使って表現する。
接続が定義された主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
において、切断s の共変微分は
∇
X
s
|
u
:=
V
s
(
u
)
(
s
∗
(
X
u
)
)
{\displaystyle \nabla _{X}s|_{u}:=V_{s(u)}(s_{*}(X_{u}))}
により定義されていた。一方主接続 の接続形式ω は垂直射影
V
s
(
x
)
{\displaystyle V_{s(x)}}
を基本ベクトル場を考えてリー代数と対応付ける事で定義されていた。よって次が成立する:
定理 (共変微分の具体的表記 ) ―
ζ
s
(
u
)
−
1
(
∇
X
s
|
u
)
=
ω
s
u
(
s
∗
(
X
u
)
)
{\displaystyle \zeta _{s(u)}{}^{-1}(\nabla _{X}s|_{u})=\omega _{s_{u}}(s_{*}(X_{u}))}
ここで
ζ
p
:
A
∈
g
↦
A
_
p
∈
V
p
{\displaystyle \zeta _{p}~:~A\in {\mathfrak {g}}\mapsto {\underline {A}}_{p}\in {\mathcal {V}}_{p}}
for
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
である。
本節では、上記で定義したリー代数による接続の記述を使って曲率形式をリー代数の言葉で書き換える。
そのために
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
-値1-形式α 、β に対し、
[
α
,
β
]
g
(
X
,
Y
)
:=
[
α
(
X
)
,
β
(
Y
)
]
g
−
[
α
(
Y
)
,
β
(
X
)
]
g
{\displaystyle [\alpha ,\beta ]_{\mathfrak {g}}(X,Y):=[\alpha (X),\beta (Y)]_{\mathfrak {g}}-[\alpha (Y),\beta (X)]_{\mathfrak {g}}}
と定義する。ここで
[
⋅
,
⋅
]
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]}
は
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
上のリー括弧である。さらに前節同様
ζ
p
:
g
→
∼
V
p
{\displaystyle \zeta _{p}~:~{\mathfrak {g}}{\overset {\sim }{\to }}{\mathcal {V}}_{p}}
を考える。紛れがなければ添字p を省略し単にζ と書く。
曲率形式は次を満たす:
ここでHp は水平部分空間への射影である。
接続形式の意味を見るため、リー群のモーレー・カルタン形式を定義する。
モーレー・カルタン形式は以下を満たす[ 49] :
定理 ―
(
R
g
)
∗
μ
=
A
d
(
g
−
1
)
μ
{\displaystyle (R_{g})^{*}\mu =\mathrm {Ad} (g^{-1})\mu }
d
μ
+
1
2
[
μ
,
μ
]
g
=
0
{\displaystyle d\mu +{1 \over 2}[\mu ,\mu ]_{\mathfrak {g}}=0}
上記の2式のうち下のものをモーレー・カルタンの方程式 [ 50] (英 : Maurer-Cartan equation )、もしくはリー群G の構造方程式 [ 51] (英 : structure equation )という。
一点集合
{
x
0
}
{\displaystyle \{x_{0}\}}
を0 次元多様体とみなし、G を
{
x
0
}
{\displaystyle \{x_{0}\}}
上のG -主バンドル
G
→
{
x
0
}
{\displaystyle G\to \{x_{0}\}}
とみなすと、上記の定理から明らかにモーレー・カルタン形式はこのバンドル上の接続となる。
構造方程式から以下が明らかに従う:
定理 ―
モーレー・カルタン形式をG -主バンドル
G
→
{
x
0
}
{\displaystyle G\to \{x_{0}\}}
の接続とみなしたとき、この接続の曲率は0 である。
曲率が0 である事は水平部分空間が可積分である事と同値 であったので、水平部分空間が自明になる一点上のバンドルでは曲率が0 になるのは自明である。
実は以下が成立する:
定理 ―
モーレー・カルタン形式は一点集合上のG -主バンドル
G
→
{
x
0
}
{\displaystyle G\to \{x_{0}\}}
の唯一の 接続である[ 52] 。
実際、底空間が一点である事から
T
g
G
{\displaystyle T_{g}G}
と
V
g
{\displaystyle {\mathcal {V}}_{g}}
は同次元なので垂直射影は恒等写像しか存在せず、しかも基本ベクトル場の定義から
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
と
A
∈
g
{\displaystyle A\in {\mathfrak {g}}}
に対し、
A
_
g
:=
d
d
t
(
g
⋅
e
x
p
(
t
A
)
)
|
t
=
0
=
(
L
g
)
∗
(
A
)
=
μ
g
−
1
(
A
)
{\displaystyle {\underline {A}}_{g}:=\left.{\frac {d}{dt}}(g\cdot \mathrm {exp} (tA))\right|_{t=0}=(L_{g})_{*}(A)=\mu _{g}{}^{-1}(A)}
であるので、
G
→
{
x
0
}
{\displaystyle G\to \{x_{0}\}}
上の接続は
T
g
G
=
V
g
→
μ
g
g
{\displaystyle T_{g}G={\mathcal {V}}_{g}{\overset {\mu _{g}}{\to }}{\mathfrak {g}}}
のみになる。
以上のことから接続形式ω が定義されたG -主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
に対し、ω をM 上の一点x0 のファイバー
P
x
0
=
π
−
1
(
x
0
)
{\displaystyle P_{x_{0}}=\pi ^{-1}(x_{0})}
(すなわちこの接続の垂直方向)に制限したものは必ずモーレー・カルタン形式μ に一致する。
実は次が成立する:
以上のことから、接続形式とは、各ファイバー上ではモーレー・カルタン形式に一致し、しかもG の作用との両立性
(
R
g
)
∗
ω
p
=
(
A
d
g
−
1
)
ω
p
{\displaystyle (R_{g})^{*}\omega _{p}=(\mathrm {Ad} g^{-1})\omega _{p}}
をみたすものとして特徴づけられる。
主バンドルの接続の場合、平行移動は以下を満たす:
よって特に以下が成立する:
実際、
h
φ
=
φ
(
e
)
{\displaystyle h_{\varphi }=\varphi (e)}
とすれば上の系が成立する。ここでe はG の単位元である。
本節では主バンドルP の微分形式のうち性質の良いものがP に対応するベクトルバンドルの微分形式と1対1に対応する事を見る。次節でこの同型を曲率形式がリー代数のバンドルの元とみなせる事を示すのに利用し、更に後の章でベクトルバンドルの共変外微分を定義 するのに利用する。
V をベクトル空間とし、
ρ
:
G
→
G
L
(
V
)
{\displaystyle \rho ~:~G\to \mathrm {GL} (V)}
をリー群G からV 上の一般線形群
G
L
(
V
)
{\displaystyle \mathrm {GL} (V)}
へのなめらかな準同型(すなわちなめらかな線形表現 )とし[ 注 15] 、
P
→
M
{\displaystyle P\to M}
を接続形式ω が定義されたG -主バンドルとする。
定義 (テンソル形式 ) ―
k を非負整数とし、P 上のk 次のV 値微分形式η で
(
R
g
)
∗
(
η
)
p
(
v
1
,
…
,
v
k
)
=
ρ
(
g
−
1
)
η
p
(
v
1
,
…
,
v
k
)
{\displaystyle (R_{g})^{*}(\eta )_{p}(v_{1},\ldots ,v_{k})=\rho (g^{-1})\eta _{p}(v_{1},\ldots ,v_{k})}
(水平性 )あるvi が垂直であれば、
η
p
(
v
1
,
…
,
v
k
)
=
0
{\displaystyle \eta _{p}(v_{1},\ldots ,v_{k})=0}
を任意の
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
と任意の
v
1
,
…
,
v
k
∈
T
p
P
{\displaystyle v_{1},\ldots ,v_{k}\in T_{p}P}
に対して満たすものをタイプρ のテンソル形式 [訳語疑問点 ] (英 : tensorial form of type ρ [ 55] [ 56] )であるといい[ 55] [ 注 16] 、P 上のk 次のV 値微分形式でタイプρ のテンソル形式であるもの全体を
A
ρ
k
(
P
;
V
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V)}
と書く。
ベクトルバンドル
E
=
P
×
ρ
V
→
M
{\displaystyle E=P\times _{\rho }V\to M}
を考え、
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
に対し、
φ
p
:
v
∈
V
↦
[
(
p
,
v
)
]
∈
E
π
(
p
)
⊂
P
×
ρ
V
=
E
{\displaystyle \varphi _{p}~:~v\in V\mapsto [(p,v)]\in E_{\pi (p)}\subset P\times _{\rho }V=E}
を商写像とすると、
A
ρ
k
(
P
,
V
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P,V)}
の元は
φ
p
{\displaystyle \varphi _{p}}
により
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
の元と自然に対応する。ここで
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
はE に値を取るk 次微分形式全体の集合である:
上記の写像の逆写像は以下のように書ける:
本節ではリー群の随伴バンドルを定義し、曲率形式は随伴バンドル上の微分形式とみなせる事を見る。まず随伴バンドルを定義する:
前述した主接続の曲率の性質 から、P に接続形式ω が定義されているとき、
Ω
∈
A
A
d
2
(
P
;
g
)
≈
A
2
(
M
;
P
×
A
d
g
)
{\displaystyle \Omega \in {\mathcal {A}}_{\mathrm {Ad} }^{2}(P;{\mathfrak {g}})\approx {\mathcal {A}}^{2}(M;P\times _{\mathrm {Ad} }{\mathfrak {g}})}
が成立する。すなわち曲率形式は随伴バンドルの元と見なすことができる[ 59] 。
一方、接続形式は(恒等的に0 でない限り)テンソル形式の定義における水平性を満たさないので、
ω
∉
A
A
d
1
(
P
;
g
)
{\displaystyle \omega \notin {\mathcal {A}}_{\mathrm {Ad} }^{1}(P;{\mathfrak {g}})}
である[ 60] 。
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
を接続形式ω が定義されたG -主バンドルとし、
H
p
:
T
p
P
→
H
p
{\displaystyle H_{p}~:~T_{p}P\to {\mathcal {H}}_{p}}
を接続ω に関するP の点p における水平射影とし、さらにV をベクトル空間とする。
A
k
(
P
;
V
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}^{k}(P;V)}
を
V
{\displaystyle V}
値k -形式全体の集合とすると、
η
∈
A
k
+
1
(
P
;
V
)
{\displaystyle \eta \in {\mathcal {A}}^{k+1}(P;V)}
に対し、
H
∗
(
η
)
(
X
1
,
…
,
X
k
+
1
)
:=
η
(
H
(
X
1
)
,
…
,
H
(
X
k
+
1
)
)
{\displaystyle H^{*}(\eta )(X_{1},\ldots ,X_{k+1}):=\eta (H(X_{1}),\ldots ,H(X_{k+1}))}
を定義できる。
定義 (主バンドルの共変外微分 ) ―
外微分
d
:
A
k
(
P
;
V
)
→
A
k
+
1
(
P
;
V
)
{\displaystyle d~:~{\mathcal {A}}^{k}(P;V)\to {\mathcal {A}}^{k+1}(P;V)}
とH* との合成
d
ω
:=
H
∗
∘
d
:
A
k
(
P
;
V
)
→
A
k
+
1
(
P
;
V
)
{\displaystyle d_{\omega }:=H^{*}\circ d~:~{\mathcal {A}}^{k}(P;V)\to {\mathcal {A}}^{k+1}(P;V)}
を接続ω に関する次数k の共変外微分 (英 : covariant exterior derivative )という[ 61] [ 62] 。
共変外微分は通常の外微分と違い、
d
ω
d
ω
{\displaystyle d_{\omega }d_{\omega }}
は0 になるとはかぎらないが、
V
{\displaystyle V}
が構造群G のリー代数
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
である場合には、以下の関係式を示すことができる。以下でΩ は接続形式ω に関する曲率である:
本節では主バンドルの接続からそれに同伴するバンドルに接続を誘導する方法を述べる。
まず同伴バンドルの定義を復習する。
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
をG -主バンドルとし、F を左からのG の作用
G
↷
F
{\displaystyle G{\overset {\curvearrowright }{}}F}
を持つ多様体とするとき、P ×F を
(
p
,
g
a
)
∼
(
p
g
,
a
)
{\displaystyle (p,ga)\sim (pg,a)}
for
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
という同値関係で割った空間を
P
×
G
F
{\displaystyle P\times _{G}F}
とすると、
[
(
p
,
a
)
]
∈
P
×
G
F
→
π
(
p
)
∈
M
{\displaystyle [(p,a)]\in P\times _{G}F\to \pi (p)\in M}
は構造群G を持つファイバーF のファイバーバンドルになる。
P
×
G
F
{\displaystyle P\times _{G}F}
をP の
G
↷
F
{\displaystyle G{\overset {\curvearrowright }{}}F}
に関する同伴バンドル (英語版 ) という。
本節では主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
上定義された接続
{
H
p
}
p
∈
P
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{p}\}_{p\in P}}
を用いて同伴バンドル
P
×
G
F
→
M
{\displaystyle P\times _{G}F\to M}
に接続を定義する方法を説明する。
a
∈
F
{\displaystyle a\in F}
に対し、写像
φ
a
:
p
∈
P
→
[
(
p
,
a
)
]
∈
P
×
G
F
{\displaystyle \varphi _{a}~:~p\in P\to [(p,a)]\in P\times _{G}F}
を考える。
定義 (接続の誘導 ) ―
P
×
G
F
{\displaystyle P\times _{G}F}
の
[
(
p
,
a
)
]
{\displaystyle [(p,a)]}
における水平部分空間
H
[
(
p
,
a
)
]
′
{\displaystyle {\mathcal {H}}'_{[(p,a)]}}
を
H
[
(
p
,
a
)
]
′
:=
(
φ
a
)
∗
(
H
p
)
{\displaystyle {\mathcal {H}}'_{[(p,a)]}:=(\varphi _{a})_{*}({\mathcal {H}}_{p})}
により定義し、
{
H
[
(
p
,
a
)
]
′
}
[
(
p
,
a
)
]
∈
P
×
G
F
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}'_{[(p,a)]}\}_{[(p,a)]\in P\times _{G}F}}
を
{
H
p
}
p
∈
P
{\displaystyle \{{\mathcal {H}}_{p}\}_{p\in P}}
により
P
×
G
F
→
M
{\displaystyle P\times _{G}F\to M}
に誘導された接続 (英 : induced connection [ 63] )、もしくは同伴接続 (英 : accociated connection [ 64] )という。
上記の定義において
H
[
(
p
,
a
)
]
′
{\displaystyle {\mathcal {H}}'_{[(p,a)]}}
は代表元
(
p
,
a
)
{\displaystyle (p,a)}
の取り方によらずwell-definedである。
本節では、前節で定義した同伴バンドルに誘導された接続を別の方法で特徴づける。
そのためにG 上の積を取る写像と逆元を取る写像
μ
:
(
g
,
h
)
∈
G
×
G
↦
g
h
∈
G
{\displaystyle \mu ~:~(g,h)\in G\times G\mapsto gh\in G}
ν
:
g
∈
G
↦
g
−
1
∈
G
{\displaystyle \nu ~:~g\in G\mapsto g^{-1}\in G}
を考え、これらが接バンドルTG に誘導する写像
μ
∗
:
T
G
×
T
G
→
T
G
{\displaystyle \mu _{*}~:~TG\times TG\to TG}
ν
∗
:
T
G
→
T
G
{\displaystyle \nu _{*}~:~TG\to TG}
をそれぞれTG 上で積を取る演算、逆元を取る演算とみなすと、TG がこの積に対して群になる事を示す事ができる[ 65] [ 注 18] 。この群をリー群G の接群 [訳語疑問点 ] (英 : tangent group )という[ 65] 。
TG を上記の方法で群とみなすと、G -主バンドル
π
:
P
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\to M}
が誘導する
π
∗
:
T
P
→
T
M
{\displaystyle \pi _{*}~:~TP\to TM}
はTG 主バンドルとみなせ、
G
↷
F
{\displaystyle G{\overset {\curvearrowright }{}}F}
が誘導する
T
G
↷
T
F
{\displaystyle TG{\overset {\curvearrowright }{}}TF}
は群TG のTF への群作用とみなせる。
このため同伴バンドル
T
P
×
T
G
T
F
→
M
{\displaystyle TP\times _{TG}TF\to M}
を考える事ができる。しかも
T
(
P
×
F
)
≈
T
P
×
T
F
→
T
P
×
T
G
T
F
{\displaystyle T(P\times F)\approx TP\times TF\to TP\times _{TG}TF}
が同型
T
(
P
×
G
F
)
≈
T
P
×
T
G
T
F
{\displaystyle T(P\times _{G}F)\approx TP\times _{TG}TF}
を誘導することも示す事ができる。
本節で定義された「誘導された接続」が前節で定義されたものと同一であることを用意に示す事ができる。
本節では同伴接続の共変微分が主接続 の接続形式を用いて表現できる事を見る。まず記号を定義する。
π
:
P
×
G
F
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\times _{G}F\to M}
を主バンドル
P
→
M
{\displaystyle P\to M}
と作用
G
↷
F
{\displaystyle G{\overset {\curvearrowright }{}}F}
から定義されたF バンドルとする。
さらに
P
→
M
{\displaystyle P\to M}
に接続形式がω の接続形式が定義されているとし、この接続が
π
:
P
×
G
F
→
M
{\displaystyle \pi ~:~P\times _{G}F\to M}
に誘導する接続の共変微分を∇ とする。
そして
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
に対し、
ψ
p
:
a
∈
F
→
[
(
p
,
a
)
]
∈
P
×
G
F
{\displaystyle \psi _{p}~:~a\in F\to [(p,a)]\in P\times _{G}F}
とする。
主接続 の曲率とそこから誘導された接続の曲率は以下の関係を満たす。
本節ではファイバーバンドル上の(一般の)接続が主バンドルの接続から誘導された接続である条件をクリストッフェル形式を用いて記述する。
なお上では「あるバンドルアトラスが存在して」としたがあるバンドルアトラスに対して上記の性質が成立すれば任意のバンドルアトラスに対して上記の性質が成立する事が知られている[ 69] 。
本節ではベクトルバンドルとしての接続(すなわちKoszul接続)と、一般の接続概念 や主接続の概念 との関係をみる。
まずKoszul接続の定義を復習する:
ここでX 、Y はM 上の任意のベクトル場であり、s 、s' はE の任意の接続とし、f 、g はM 上定義された任意の実数値可微分関数であり、a 、b は任意の実数であり、
f
Y
{\displaystyle fY}
は点P において
f
(
P
)
Y
P
{\displaystyle f(P)Y_{P}}
となるベクトル場であり、
X
(
f
)
{\displaystyle X(f)}
はf のX 方向微分であり、
[
X
,
Y
]
{\displaystyle [X,Y]}
はリー括弧 (英語版 ) である。
ベクトルバンドル
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
においては垂直部分空間と接空間が自然に同一視できるので、その同一視の写像を
ϕ
:
V
e
→
~
T
π
(
e
)
E
{\displaystyle \phi ~:~{\mathcal {V}}_{e}{\tilde {\to }}T_{\pi (e)}E}
と書く。
本節では一般の接続概念から定義される共変微分を∇ とするとき、
ϕ
∘
∇
{\displaystyle \phi \circ \nabla }
がKoszul接続になる条件を述べる。なお、逆にKoszul接続から一般の接続概念を誘導する方法はすでに述べた 。
Koszul接続から一般の接続概念を誘導する方法と(上記の定理の条件を満たす)一般の接続概念からKoszul接続を誘導する方法は「逆写像」の関係にあり、上記の定理の条件を満たす一般の接続概念とKoszul接続は1:1に対応する[ 76] 。
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
をベクトルバンドルとし、
(
x
1
,
…
,
x
m
)
{\displaystyle (x^{1},\ldots ,x^{m})}
をM の局所座標とし、
e
1
,
…
,
e
n
{\displaystyle e_{1},\ldots ,e_{n}}
をE の局所的な基底とし、E の元v を
v
=
v
j
e
j
{\displaystyle v=v^{j}e_{j}}
と表すと、クリストッフェル写像の節 で述べたように、
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
における水平リフトを
L
i
f
t
e
(
∂
∂
x
i
)
=
∂
∂
x
k
−
Γ
i
k
(
v
)
∂
∂
v
i
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{e}\left({\partial \over \partial x^{i}}\right)={\partial \over \partial x^{k}}-\Gamma ^{i}{}_{k}(v){\partial \over \partial v^{i}}}
と書ける。一方、Koszul接続のクリストッフェル記号 を
∇
∂
∂
x
k
e
k
=
Γ
k
j
i
e
i
{\displaystyle \nabla _{\tfrac {\partial }{\partial x^{k}}}e_{k}=\Gamma _{kj}^{i}e_{i}}
と定義すると、上述の定理 から以下が従う:
定理 ― 以下が成立する[ 77] :
Γ
i
k
(
v
)
=
Γ
k
j
i
v
j
{\displaystyle \Gamma ^{i}{}_{k}(v)=\Gamma _{kj}^{i}v^{j}}
次に我々は主バンドルの接続とベクトルバンドルの接続の関係を見る。そのための準備として本節では「G -フレーム」、および「G -フレームバンドル (英語版 ) 」の概念を導入する。
「G -フレーム」とは正規直交基底 の概念を一般化したもので、G が
S
O
(
n
)
{\displaystyle \mathrm {SO} (n)}
の場合、G -フレームが正規直交基底に相当する。
定義 ― G を
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
の部分リー群とし、
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
を構造群G を持つベクトルバンドルとし、u をM の点とし、
e
1
,
…
,
e
n
{\displaystyle e_{1},\ldots ,e_{n}}
をEu の基底とする。
e
1
,
…
,
e
n
{\displaystyle e_{1},\ldots ,e_{n}}
がE のu におけるG -フレーム (英 : G -flame )であるとは、E のu におけるバンドルチャート
U
×
R
n
{\displaystyle U\times \mathbb {R} ^{n}}
と
g
∈
G
{\displaystyle g\in G}
が存在し、このバンドルチャート上で
(
e
1
,
…
,
e
n
)
=
(
g
e
1
′
,
…
,
g
e
n
′
)
{\displaystyle (e_{1},\ldots ,e_{n})=(ge'_{1},\ldots ,ge'_{n})}
が成立する事を言う。
ここで
e
1
′
,
…
,
e
n
′
{\displaystyle e'_{1},\ldots ,e'_{n}}
は
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
の標準的な基底であり、
g
e
i
{\displaystyle ge_{i}}
は線形変換
g
∈
G
⊂
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle g\in G\subset \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
をei に作用させたものである。
構造群G を持つベクトルバンドルの定義から、G -フレームの定義はバンドルチャートの取り方によらずwell-definedである。
F
G
(
E
)
u
{\displaystyle F^{G}(E)_{u}}
を
u
∈
M
{\displaystyle u\in M}
上のG -フレーム全体の集合とすると、
F
G
(
E
)
:=
⋃
u
∈
M
F
G
(
E
)
u
{\displaystyle F^{G}(E):=\bigcup _{u\in M}F^{G}(E)_{u}}
は自然にM 上のG -主バンドル をなし、
F
G
(
E
)
{\displaystyle F^{G}(E)}
を構造群G に関するフレームバンドル という[ 78] [ 注 22] 。
P
→
M
{\displaystyle P\to M}
を
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
に対応するG -主バンドルとすると、P はG -フレームバンドルと自然に同一視できる:
よって以後、
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
に対応するG -主バンドルと
F
G
(
E
)
{\displaystyle F^{G}(E)}
を自然に同一視する。
フレームバンドルの利点は、主バンドルからベクトルバンドルへの商写像に直観的な意味を与えられることにある。以下で
P
→
M
{\displaystyle P\to M}
は前節同様
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
に対応するG -主バンドルである。
定理 (フレームバンドルによる成分表示 ) ― 写像の合成
F
G
(
E
)
×
R
n
≈
P
×
R
n
→
q
P
×
G
R
n
≈
E
{\displaystyle F_{G}(E)\times \mathbb {R} ^{n}\approx P\times \mathbb {R} ^{n}{\overset {q}{\to }}P\times _{G}\mathbb {R} ^{n}\approx E}
による
(
e
,
a
)
∈
F
G
(
E
)
×
R
n
{\displaystyle (e,a)\in F_{G}(E)\times \mathbb {R} ^{n}}
の像は
a
i
e
i
{\displaystyle a^{i}e_{i}}
に一致する(アインシュタインの縮約 で記載)。
ここでq は商写像であり、
a
=
(
a
1
,
…
,
a
n
)
{\displaystyle a=(a^{1},\ldots ,a^{n})}
であり、
e
=
(
e
1
,
…
,
e
n
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{n})}
である。
本節ではG -主バンドルの接続形式の関係とこの接続がベクトルバンドルE に誘導する接続の関係を述べる。これまで同様G を
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
の閉部分リー群とする。また前節で主バンドルがフレームバンドルと自然に同一視できる事を見たので、以下主バンドルとフレームバンドルを区別せずに用いる。
本節では以下特に断りがない限り、G を
G
L
n
(
R
)
{\displaystyle \mathrm {GL} _{n}(\mathbb {R} )}
の部分リー群とし、
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
をG のリー代数とし、
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
をG を構造群を持つベクトルバンドルとし、
F
G
(
E
)
{\displaystyle F_{G}(E)}
をそのフレームバンドルとする。
主接続とKoszul接続の関係を見るための準備として、以下の概念を導入する:
定義 (接続形式) ― ∇ をE のKoszul接続とする。さらに
e
=
(
e
1
,
…
,
e
n
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{n})}
をE の局所的な基底とする。
このときM 上のベクトル場
X に行列
ω
^
e
(
X
)
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}(X)}
を対応させる行列値の1-形式
ω
^
e
=
(
ω
^
i
j
)
i
j
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}=({\hat {\omega }}^{i}{}_{j})_{ij}}
を
(
∇
X
e
1
,
…
,
∇
X
e
m
)
=
(
e
1
,
…
,
e
m
)
ω
^
e
(
X
)
{\displaystyle (\nabla _{X}e_{1},\ldots ,\nabla _{X}e_{m})=(e_{1},\ldots ,e_{m}){\hat {\omega }}_{e}(X)}
により定義する。
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
を局所的な基底
e
=
(
e
1
,
…
,
e
m
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{m})}
に関するレヴィ-チヴィタ接続の接続形式 (英 : connection form )という[ 79] [ 80] 。
上で定義したKoszul接続の接続形式
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
を使って
F
G
(
E
)
{\displaystyle F_{G}(E)}
の接続形式ω を定義するのだが、
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
は一般には行列値の1-形式、すなわち
g
l
n
(
R
)
{\displaystyle {\mathfrak {gl}}_{n}(\mathbb {R} )}
に値を取る1-形式であるが、
F
G
(
E
)
{\displaystyle F_{G}(E)}
の接続形式は必ずG のリー代数
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
に値を取る必要がある。そこで
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
が
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
に値を取る場合に話を限定する。
定義 (G と両立するKoszul接続 ) ― ∇ をE 上定義されたKoszul接続とし、
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
をその接続形式とする。∇ がG と両立する とは、任意の局所的な基底
e
=
(
e
1
,
…
,
e
n
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{n})}
に対し、
ω
^
e
∈
g
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}\in {\mathfrak {g}}}
が成立する事を言う。
このとき、以下が従う:
上の定理で、
F
G
(
M
)
{\displaystyle F_{G}(M)}
上の主接続に対応するのは、この接続がE に誘導するが定義する共変微分∇ である。接続の誘導の定義 から共変微分がKoszul接続に一致する条件 を満たすのを容易に確認できる。
逆にG と両立する接続が与えられたとき、
e
∈
F
G
(
E
)
{\displaystyle e\in F_{G}(E)}
に対し、
H
e
:=
{
d
e
d
t
(
0
)
|
e
(
t
)
=
(
e
1
(
t
)
,
…
,
e
n
(
t
)
)
{\displaystyle {\mathcal {H}}_{e}:=\{{\tfrac {de}{dt}}(0)|e(t)=(e_{1}(t),\ldots ,e_{n}(t))}
は時刻0にe を通り、しかも
∇
e
d
t
(
0
)
=
0
{\displaystyle {\tfrac {\nabla e}{dt}}(0)=0}
となる切断
}
{\displaystyle \}}
を水平部分空間とする
F
G
(
E
)
{\displaystyle F_{G}(E)}
の主接続が与えられる[ 82] 。なお、この主接続の接続形式ω は
F
G
(
E
)
{\displaystyle F_{G}(E)}
の局所自明化
π
−
1
(
U
)
≈
U
×
G
{\displaystyle \pi ^{-1}(U)\approx U\times G}
、∇ の接続形式
ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\omega }}_{e}}
、G のモーレー・カルタン形式μ を用いて
ω
(
u
,
g
)
=
A
d
(
g
−
1
)
ω
^
(
u
,
i
d
)
+
μ
g
{\displaystyle \omega _{(u,g)}=\mathrm {Ad} (g^{-1}){\hat {\omega }}_{(u,\mathrm {id} )}+\mu _{g}}
と書ける[ 83] 。ここでid はG の単位元である。
ベクトルバンドル
E
→
M
{\displaystyle E\to M}
の切断s が与えられたとき、
F
G
(
M
)
{\displaystyle F_{G}(M)}
上の関数
ψ
s
:
(
e
1
,
…
,
e
n
)
∈
F
G
(
M
)
↦
(
s
1
,
…
,
s
n
)
∈
R
n
{\displaystyle \psi _{s}~:~(e_{1},\ldots ,e_{n})\in F_{G}(M)\mapsto (s^{1},\ldots ,s^{n})\in \mathbb {R} ^{n}}
, where
s
=
s
i
e
i
{\displaystyle s=s^{i}e_{i}}
を定義できる。このとき次が成立する:
定理 ― M 上の任意のベクトル場X に対し、以下が成立する[ 84] :
ψ
∇
X
s
=
L
i
f
t
(
X
)
ψ
s
{\displaystyle \psi _{\nabla _{X}s}=\mathrm {Lift} (X)\psi _{s}}
ここで
L
i
f
t
(
X
)
ψ
s
{\displaystyle \mathrm {Lift} (X)\psi _{s}}
は
F
G
(
M
)
{\displaystyle F_{G}(M)}
上のベクトル場
Y
:=
L
i
f
t
(
X
)
{\displaystyle Y:=\mathrm {Lift} (X)}
により
F
G
(
M
)
{\displaystyle F_{G}(M)}
上の
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
値関数
ψ
s
{\displaystyle \psi _{s}}
の各成分を微分した
Y
(
ψ
s
)
{\displaystyle Y(\psi _{s})}
の事である。
ホロノミーによるKoszul接続が導出される条件
編集
前節ではフレームバンドルF G (E ) に接続が定義されている状況下でその接続がE に誘導するKoszul接続を考察してきたが、本節ではこの逆、すなわちE のKoszul接続∇ がどのような条件を満たせば∇ がフレームバンドルF G (E ) に接続から誘導されたものと一致するかを調べる。このために以下の定義をする:
前述のAmbrose-Singerの定理の一般化 から以下の定理が従う:
定理 ― 記号を上の定義 と同様に取る。
G を構造群として持つベクトルバンドル
E
→
M
{\displaystyle E\to M}
のKoszul接続∇ がG と両立するとき、フレームバンドルF G (E ) のある接続形式ω が存在し、∇ はω からE に誘導される接続の共変微分と一致する。
Koszul接続∇ が「G と両立する」事の定義は上で挙げたもの の他に前の節で挙げたもの があるが、この2つは同値である。実際、これら2つのいずれか言えれば∇ は主接続から誘導される事を前節の定理 と上記の定理 から言え、主接続から誘導される接続はこれら2つの「G と両立する」事の定義を両方満たすので、この2つは同値である。
Koszul接続が定義されたベクトルバンドルの曲率を以下のように定義する:
Koszul接続の曲率形式を以下のように定義する:
すでに述べたように ベクトルバンドル
π
:
E
→
M
{\displaystyle \pi ~:~E\to M}
上のKoszul接続∇ には、それと対応するファイバーバンドルとしての接続
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
が定義可能であるが、上述したKoszul接続の曲率は前述した 一般のファイバーバンドルの曲率形式
Ω
(
ξ
,
η
)
=
−
V
(
[
H
(
ξ
)
,
H
(
η
)
]
)
{\displaystyle \Omega (\xi ,\eta )=-V([H(\xi ),H(\eta )])}
と以下の関係を満たす。ここでH は水平部分空間への射影である。
よって特にKoszul接続の曲率形式
Ω
^
e
{\displaystyle {\hat {\Omega }}_{e}}
とは以下の関係を満たす:
Ω
^
i
j
(
X
,
Y
)
=
−
⟨
e
i
,
V
(
L
i
f
t
e
j
(
X
)
,
L
i
f
t
e
j
(
Y
)
)
⟩
{\displaystyle {\hat {\Omega }}^{i}{}_{j}(X,Y)=-\langle e^{i},V(\mathrm {Lift} _{e_{j}}(X),\mathrm {Lift} _{e_{j}}(Y))\rangle }
ここで
e
=
(
e
1
,
…
,
e
n
)
{\displaystyle e=(e_{1},\ldots ,e_{n})}
であり、
(
e
1
,
…
,
e
n
)
{\displaystyle (e^{1},\ldots ,e^{n})}
はその双対基底である。
E
→
M
{\displaystyle E\to M}
のフレームバンドル
F
G
(
M
)
{\displaystyle F_{G}(M)}
の曲率形式とKoszul接続の曲率形式は以下の関係を満たす:
本節ではベクトルバンドルの共変外微分を定義する。
そのために主バンドル上の共変外微分がタイプρ のテンソル形式 をタイプρ のテンソル形式に写す事を見る:
定理 ―
V をベクトル空間とし、
ρ
:
G
→
G
L
(
V
)
{\displaystyle \rho ~:~G\to \mathrm {GL} (V)}
を構造群G の(なめらかな)線形表現とする。このとき任意のk に対し以下が成立する[ 90] :
d
ω
(
A
ρ
k
(
P
;
V
)
)
⊂
A
ρ
k
+
1
(
P
;
V
)
{\displaystyle d_{\omega }({\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V))\subset {\mathcal {A}}_{\rho }^{k+1}(P;V)}
E
:=
P
×
ρ
V
{\displaystyle E:=P\times _{\rho }V}
とすると前に述べたように
A
ρ
k
(
P
;
V
)
≈
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V)\approx {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
が成立するので、上記の定理から、主バンドルの共変外微分 dω を使ってベクトルバンドルの共変外微分を以下のように定義できる:
定理 (ベクトルバンドルの共変外微分 ) ―
合成関数
d
∇
:
A
k
(
M
;
E
)
≈
A
ρ
k
(
P
;
V
)
→
d
ω
A
ρ
k
+
1
(
P
;
V
)
≈
A
k
+
1
(
M
;
E
)
{\displaystyle d_{\nabla }~:~{\mathcal {A}}^{k}(M;E)\approx {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V){\overset {d_{\omega }}{\to }}{\mathcal {A}}_{\rho }^{k+1}(P;V)\approx {\mathcal {A}}^{k+1}(M;E)}
をベクトルバンドル
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
の共変外微分 (英語版 ) という[ 91] [ 92] 。
本節ではベクトルバンドルの共変外微分を具体的に表記する。V をベクトル空間とし、
ρ
:
G
→
G
L
(
V
)
{\displaystyle \rho ~:~G\to \mathrm {GL} (V)}
を構造群G の(なめらかな)線形表現とするとき、ρ はG のリー代数
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
から
G
L
(
V
)
{\displaystyle \mathrm {GL} (V)}
のリー代数
g
l
(
V
)
{\displaystyle {\mathfrak {gl}}(V)}
への写像
ρ
∗
:
g
→
g
l
(
V
)
{\displaystyle \rho _{*}~:~{\mathfrak {g}}\to {\mathfrak {gl}}(V)}
を誘導する。
g
l
(
V
)
{\displaystyle {\mathfrak {gl}}(V)}
はV 上の線形写像全体と自然に同一視できるので、
u
∈
g
{\displaystyle u\in {\mathfrak {g}}}
と
v
∈
V
{\displaystyle v\in V}
に対し、
ρ
∗
(
u
)
{\displaystyle \rho _{*}(u)}
をv に作用させた
ρ
∗
(
u
)
v
{\displaystyle \rho _{*}(u)v}
を定義できる。
定義 ―
τ
∈
A
k
(
P
;
g
)
{\displaystyle \tau \in {\mathcal {A}}^{k}(P;{\mathfrak {g}})}
、
η
∈
A
ℓ
(
P
;
V
)
{\displaystyle \eta \in {\mathcal {A}}^{\ell }(P;V)}
に対し、τ とη の積
τ
⋅
η
∈
A
k
+
ℓ
(
P
;
V
)
{\displaystyle \tau \cdot \eta \in {\mathcal {A}}^{k+\ell }(P;V)}
を以下のように定義する[ 93] :
(
τ
⋅
η
)
p
(
X
1
,
…
,
X
k
+
ℓ
)
:=
1
k
!
ℓ
!
∑
σ
∈
S
k
+
ℓ
s
g
n
(
σ
)
ρ
∗
(
τ
p
(
X
σ
(
1
)
,
…
,
τ
(
X
σ
(
k
)
)
)
η
p
(
X
σ
(
k
+
1
)
,
…
,
X
σ
(
ℓ
)
)
{\displaystyle (\tau \cdot \eta )_{p}(X_{1},\ldots ,X_{k+\ell }):={1 \over k!\ell !}\sum _{\sigma \in {\mathfrak {S}}_{k+\ell }}\mathrm {sgn} (\sigma )\rho _{*}(\tau _{p}(X_{\sigma (1)},\ldots ,\tau (X_{\sigma (k)}))\eta _{p}(X_{\sigma (k+1)},\ldots ,X_{\sigma (\ell )})}
ここで
p
∈
P
{\displaystyle p\in P}
、
X
1
,
…
,
X
k
+
ℓ
∈
T
p
P
{\displaystyle X_{1},\ldots ,X_{k+\ell }\in T_{p}P}
であり、
S
k
+
ℓ
{\displaystyle {\mathfrak {S}}_{k+\ell }}
は
k
+
ℓ
{\displaystyle k+\ell }
次の対称群 である。
特に
V
=
g
{\displaystyle V={\mathfrak {g}}}
である場合は、
u
,
v
∈
g
{\displaystyle u,v\in {\mathfrak {g}}}
に対し、
ρ
∗
(
u
)
v
=
[
u
,
v
]
g
{\displaystyle \rho _{*}(u)v=[u,v]_{\mathfrak {g}}}
と
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
上のリー括弧
[
⋅
,
⋅
]
g
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]_{\mathfrak {g}}}
で書けるので[ 93] 、上記の定義の
ρ
∗
(
τ
(
⋯
)
)
η
(
⋯
)
{\displaystyle \rho _{*}(\tau (\cdots ))\eta (\cdots )}
の部分を
[
τ
(
⋯
)
,
η
(
⋯
)
]
g
{\displaystyle [\tau (\cdots ),\eta (\cdots )]_{\mathfrak {g}}}
に置き換えられる[ 93] 。
上記の定義を使うと共変外微分を以下のように具体的に表記できる:
定理 ―
η
∈
A
ρ
ℓ
(
P
;
V
)
{\displaystyle \eta \in {\mathcal {A}}_{\rho }^{\ell }(P;V)}
であれば、以下が成立する[ 94] :
d
ω
η
=
d
η
+
ω
⋅
η
{\displaystyle d_{\omega }\eta =d\eta +\omega \cdot \eta }
E
:=
P
×
ρ
V
{\displaystyle E:=P\times _{\rho }V}
とすると前述の 同型
A
ρ
k
(
P
;
V
)
≈
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V)\approx {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
を使って上記の定理を
A
k
(
M
;
E
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}^{k}(M;E)}
上の定理に書き換える事ができる:
定理 ―
ξ
∈
A
ℓ
(
M
;
V
)
{\displaystyle \xi \in {\mathcal {A}}^{\ell }(M;V)}
は以下を満たす[ 95] :
(
d
∇
ξ
)
♯
=
d
ω
(
ξ
♯
)
{\displaystyle (d_{\nabla }\xi )^{\sharp }=d_{\omega }(\xi ^{\sharp })}
ここで「
♯
{\displaystyle \sharp }
」はテンソル形式と底空間上の切断の同型写像 である。
^ 厳密には以下の通りである。M の曲線
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
に沿って定義された局所的な基底
e
(
t
)
=
(
e
1
(
t
)
,
…
,
e
n
(
t
)
)
{\displaystyle e(t)=(e_{1}(t),\ldots ,e_{n}(t))}
を考え、
e
(
0
)
{\displaystyle e(0)}
を
c
(
t
)
{\displaystyle c(t)}
に沿って平行移動したものを
e
¯
(
t
)
=
(
e
¯
1
(
t
)
,
…
,
e
¯
n
(
t
)
)
{\displaystyle {\bar {e}}(t)=({\bar {e}}_{1}(t),\ldots ,{\bar {e}}_{n}(t))}
として行列
A
(
t
)
{\displaystyle A(t)}
を
e
(
t
)
=
e
¯
(
t
)
A
(
t
)
{\displaystyle e(t)={\bar {e}}(t)A(t)}
により定義すると、接続形式の定義より、
e
(
0
)
ω
(
d
c
d
t
(
0
)
)
{\displaystyle e(0)\omega \left({dc \over dt}(0)\right)}
=
∇
d
t
e
(
t
)
|
t
=
0
{\displaystyle =\left.{\nabla \over dt}e(t)\right|_{t=0}}
=
∇
d
t
e
¯
(
t
)
A
(
t
)
|
t
=
0
{\displaystyle =\left.{\nabla \over dt}{\bar {e}}(t)A(t)\right|_{t=0}}
=
e
¯
(
0
)
d
A
d
t
(
0
)
{\displaystyle ={\bar {e}}(0){dA \over dt}(0)}
=
e
(
0
)
d
A
d
t
(
0
)
{\displaystyle =e(0){dA \over dt}(0)}
が成立する。ここで
∇
d
t
e
(
t
)
{\displaystyle {\nabla \over dt}e(t)}
は成分ごとの微分
(
∇
d
t
e
1
(
t
)
,
…
,
∇
d
t
e
n
(
t
)
)
{\displaystyle \left({\nabla \over dt}e_{1}(t),\ldots ,{\nabla \over dt}e_{n}(t)\right)}
の事である。
∇ が計量と両立すれば、
e
¯
(
t
)
{\displaystyle {\bar {e}}(t)}
は正規直交基底である。よって
e
(
t
)
{\displaystyle e(t)}
が正規直交基底であれば、
e
(
t
)
=
e
¯
(
t
)
A
(
t
)
{\displaystyle e(t)={\bar {e}}(t)A(t)}
より
A
(
t
)
{\displaystyle A(t)}
は回転変換であり、
A
(
t
)
{\displaystyle A(t)}
の微分は歪対称行列である。
^ ここで
T
e
(
E
π
(
e
)
)
{\displaystyle T_{e}(E_{\pi (e)})}
はπ (e ) のファイバー
E
π
(
e
)
{\displaystyle E_{\pi (e)}}
の点e における接空間であり、包含写像
E
π
(
e
)
⊂
E
{\displaystyle E_{\pi (e)}\subset E}
が誘導する写像
T
e
E
π
(
e
)
↪
T
e
E
{\displaystyle T_{e}E_{\pi (e)}\hookrightarrow T_{e}E}
により
T
e
E
π
(
e
)
{\displaystyle T_{e}E_{\pi (e)}}
をTe E の部分空間とみなしている。
^ a b この「
H
e
{\displaystyle {\mathcal {H}}_{e}}
はe に関してC∞ 級である」というのを厳密に定式化する方法は(同値な方法が)いくつかあるが、一つの方法は
H
=
∪
e
∈
E
H
e
{\displaystyle {\mathcal {H}}=\cup _{e\in E}{\mathcal {H}}_{e}}
を
H
e
{\displaystyle {\mathcal {H}}_{e}}
を
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
上のファイバーとするTE の部分ベクトルバンドルとみなし、
H
{\displaystyle {\mathcal {H}}}
がTE のC∞ 級の部分ベクトルバンドルである事を要請するというものである。
^ Ve は
T
e
∗
E
⊗
V
e
{\displaystyle T_{e}^{*}E\otimes {\mathcal {V}}_{e}}
の元とみなせるので、テンソル場
V
=
{
h
e
}
e
∈
T
∗
E
⊗
V
{\displaystyle V=\{h_{e}\}_{e}\in T^{*}E\otimes {\mathcal {V}}}
がC∞ 級な事をもって
{
V
e
}
e
∈
E
{\displaystyle \{V_{e}\}_{e\in E}}
がe に関してC∞ 級だとみなす。
^ 0階および1階微分が等しいことを持って同値を定義しているので、「1次の」ジェットという。同様にしてk 次のジェットも定義可能である。
^ M をアフィン接続∇ が定義された多様体とするとき、M 上の任意の(∇ に関する)測地線分が任意の長さに延長できるとき、M は∇ に関して測地線完備であるという。
^ Koszul接続の場合は、定数倍との両立性 が成立しなければならないので、傾きを
y
2
{\displaystyle y{}^{2}}
にできず、これがKoszul接続の場合に完備性が保証される理由である。
^
X
=
X
k
∂
∂
x
k
{\displaystyle X=X^{k}{\tfrac {\partial }{\partial x^{k}}}}
というふうにX の添字をk にしたのは後述する接続形式と添字を揃えるため。この結果としてベクトルバンドルではクリストッフェル写像とクリストッフェル記号は
Γ
i
k
(
e
j
)
=
Γ
i
k
j
{\displaystyle \Gamma ^{i}{}_{k}(e_{j})=\Gamma ^{i}{}_{kj}}
という関係性を満たす(k とj の順番に注意)。後述の定理 を参照。
^ a b c ここで
Ω
(
ξ
,
η
)
{\displaystyle \Omega (\xi ,\eta )}
が
C
∞
(
E
)
{\displaystyle C^{\infty }(E)}
-線形であるとは、通常の線形性を満たすのみならず関数f に対して
f
⋅
Ω
(
ξ
,
η
)
{\displaystyle f\cdot \Omega (\xi ,\eta )}
=
Ω
(
f
⋅
ξ
,
η
)
{\displaystyle =\Omega (f\cdot \xi ,\eta )}
=
Ω
(
ξ
,
f
⋅
η
)
{\displaystyle =\Omega (\xi ,f\cdot \eta )}
を満たす事を指す[ 25] 。
C
∞
(
E
)
{\displaystyle C^{\infty }(E)}
-線形である事は、
Ω
(
ξ
,
η
)
{\displaystyle \Omega (\xi ,\eta )}
の各点
e
∈
E
{\displaystyle e\in E}
における値がξ 、η の点e における値ξe 、ηe のみで決まること、すなわちΩ が各点における双線形写像のテンソル場とみなせる事と同値である事が知られている[ 26] 。
^ a b c #Kolar における曲率の定義はここに書いたものと符号が反対だが、#Kolar p.73.にあるように#Kolar の定義だと「通常の曲率と符号が反対」になるので、#Wendl5 p.121の方の符号を採用した。
^ ここに述べたものは#Kolar p.79.とクリストッフェル形式の符号が反対になっているが、これは前述[ 注 10] のように#Kolar とは曲率の符号の規約が反対である為である。
^ a b #Kolar p.100-101.のみ右辺第二項は
1
2
[
ω
,
ω
]
∧
=
[
ω
,
ω
]
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}[\omega ,\omega ]_{\wedge }=[\omega ,\omega ]}
となっているが、これは#Kolar の間違いであると判断した。実際#Kolar p.100の一番下にある
[
⋅
,
⋅
]
∧
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]_{\wedge }}
の定義式に
p
=
q
=
1
{\displaystyle p=q=1}
を代入すると
[
ω
,
ω
]
∧
=
[
ω
,
ω
]
{\displaystyle [\omega ,\omega ]_{\wedge }=[\omega ,\omega ]}
となり、
1
2
[
ω
,
ω
]
∧
=
[
ω
,
ω
]
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}[\omega ,\omega ]_{\wedge }=[\omega ,\omega ]}
とはならない。またこの#Kolar p.100の一番下の係数
1
p
!
q
!
{\displaystyle {\tfrac {1}{p!q!}}}
は#森田 の1巻のp.95.では
1
(
p
+
q
)
!
{\displaystyle {\tfrac {1}{(p+q)!}}}
になっているため、#Kolar が
[
⋅
,
⋅
]
∧
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]_{\wedge }}
の定義式を間違えた可能性が高い。#Tu p.285も参照。
^ #Kolar では下式右辺第二項の
1
2
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}}
はついていないが#Kolar の誤りと判断して
1
2
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}}
をつけた。誤りだと判断したのは前述[ 注 12] のように、#Kolar は曲率形式の式でも
1
2
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}}
をつけ忘れており、曲率形式の式の局所座標版に相当するこの式でも同じく
1
2
{\displaystyle {\tfrac {1}{2}}}
が必要だと思われるためである。
^ この定義では
g
=
T
e
G
{\displaystyle {\mathfrak {g}}=T_{e}G}
という同一視を用いている。ここでe はG の単位元である。
^ これまでとは違い、G が
G
L
(
V
)
{\displaystyle \mathrm {GL} (V)}
の部分群である事を仮定しないのは、ρ が単射ではない場合にこの節の結果を後の節で使うためである。
^ なお、1番目の性質のみを満たすものはタイプρ の疑テンソル形式 [訳語疑問点 ] (英 : pseudo-tensorial form of type ρ [ 55] [ 56] )であるという。
^ #Tu p.278.では
L
i
f
t
π
(
p
)
∗
(
η
p
)
(
X
1
,
…
,
X
k
)
=
η
p
(
L
i
f
t
p
∗
(
X
1
)
,
…
,
L
i
f
t
π
(
p
)
∗
(
X
k
)
)
{\displaystyle \mathrm {Lift} _{\pi (p)}{}^{*}(\eta _{p})(X_{1},\ldots ,X_{k})=\eta _{p}(\mathrm {Lift} _{p}{}_{*}(X_{1}),\ldots ,\mathrm {Lift} _{\pi (p)}{}_{*}(X_{k}))}
のかわりに
π
∗
(
Y
i
)
=
X
i
{\displaystyle \pi _{*}(Y_{i})=X_{i}}
となるYi を任意に選んで
η
p
(
Y
1
,
…
,
Y
k
)
{\displaystyle \eta _{p}(Y_{1},\ldots ,Y_{k})}
を考えている。しかし
A
ρ
k
(
P
;
V
)
{\displaystyle {\mathcal {A}}_{\rho }^{k}(P;V)}
の元は垂直方向のベクトルに対しては0 になるので、両者の定義は同値である。
^ 具体的には
v
g
∈
T
g
G
{\displaystyle v_{g}\in T_{g}G}
、
w
h
∈
T
h
G
{\displaystyle w_{h}\in T_{h}G}
に対し、
μ
∗
(
v
g
,
w
h
)
=
(
L
h
)
∗
(
v
g
)
+
(
R
g
)
∗
(
w
h
)
{\displaystyle \mu _{*}(v_{g},w_{h})=(L_{h})_{*}(v_{g})+(R_{g})_{*}(w_{h})}
ν
∗
(
v
g
)
=
−
A
d
(
g
−
1
)
∗
(
v
g
)
{\displaystyle \nu _{*}(v_{g})=-\mathrm {Ad} (g^{-1})_{*}(v_{g})}
である。全単射
(
g
,
v
)
∈
G
×
g
→
(
L
g
)
∗
(
v
)
∈
T
G
{\displaystyle (g,v)\in G\times {\mathfrak {g}}\to (L_{g})_{*}(v)\in TG}
によりTG を集合として
G
×
g
{\displaystyle G\times {\mathfrak {g}}}
と同一視すると、接群はG と
g
{\displaystyle {\mathfrak {g}}}
(を加法に関して群とみなしたもの)の半直積になる[ 65] 。
^ a b 前述した基本ベクトル場の定義はG の右からの作用に関するものであったが、左からの作用に関しても同様にして基本ベクトル場を定義できる。右からの作用の場合と区別するため、下ではなく上に線を書いた。
^
(
U
α
,
φ
α
)
α
{\displaystyle (U_{\alpha },\varphi _{\alpha })_{\alpha }}
が
π
E
:
E
→
M
{\displaystyle \pi _{E}~:~E\to M}
のバンドルアトラスであるとは、各Uα がM の開集合であり、
∪
α
U
α
=
M
{\displaystyle \cup _{\alpha }U_{\alpha }=M}
を満たし、しかも
φ
α
:
π
−
1
(
U
α
)
→
R
m
×
F
{\displaystyle \varphi _{\alpha }~:~\pi ^{-1}(U_{\alpha })\to \mathbb {R} ^{m}\times F}
が中への微分位相同型写像である事を指す。
^ 垂直部分空間の定義より
V
e
=
T
e
E
π
(
e
)
{\displaystyle {\mathcal {V}}_{e}=T_{e}E_{\pi (e)}}
であるが、
E
π
(
e
)
{\displaystyle E_{\pi (e)}}
はベクトル空間なので、
E
π
(
e
)
{\displaystyle E_{\pi (e)}}
と接空間
T
e
E
π
(
e
)
{\displaystyle T_{e}E_{\pi (e)}}
と
E
π
(
e
)
{\displaystyle E_{\pi (e)}}
は自然に同一視できる。
^ なお 、#Salamon では
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
の(標準的とは限らない)基底
(
f
1
,
…
,
f
n
)
{\displaystyle (f_{1},\ldots ,f_{n})}
を
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
から
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}}
への線形写像f と自然に同一視し、各
u
∈
M
{\displaystyle u\in M}
に対し、
R
n
→
f
E
x
→
φ
α
{
u
}
×
R
n
≈
R
n
{\displaystyle \mathbb {R} ^{n}{\overset {f}{\to }}E_{x}{\overset {\varphi _{\alpha }}{\to }}\{u\}\times \mathbb {R} ^{n}\approx \mathbb {R} ^{n}}
がG に属する事を持ってG -フレームを定義しているが、この定義は本項で述べたものと同値である。
^ #Wendl3 の定義は若干曖昧で単に「十分短い曲線」(sufficiently short path)に沿った平行移動がG と両立する自明化(G -compatible connection)
v
→
g
(
t
)
v
{\displaystyle v\to g(t)v}
for
g
(
t
)
∈
G
{\displaystyle g(t)\in G}
を持つとしか言っていないが、局所自明化可能な領域内の曲線がこのように書ければ十分なので、ここではそのように定義した。
^ a b
C
∞
(
M
)
{\displaystyle C^{\infty }(M)}
-線形については[ 注 9] を参照