志村五郎
日本の数学者
志村 五郎(しむら ごろう、1930年〈昭和5年〉2月23日[1] - 2019年〈令和元年〉5月3日[2])は、日本出身の数学者[1]。プリンストン大学名誉教授[2]。専門は整数論。静岡県浜松市出身[5]。
志村 五郎 (しむら ごろう) | |
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生誕 |
1930年2月23日[1] 静岡県(出身地)[1] |
死没 |
2019年5月3日(89歳没)[2] アメリカ合衆国 ニュージャージー州プリンストン |
国籍 | 日本 |
研究分野 | 数論 |
研究機関 |
東京大学 CNRS 大阪大学 プリンストン大学 |
出身校 | 東京大学理学部数学科[3] |
博士課程 指導学生 |
ドン・ブァシウス ポール・ギャレット メルビン・ホッシュター ロバート・ルメリー |
主な業績 |
アーベル多様体の虚数乗法論 志村多様体 谷山–志村予想 |
影響を 受けた人物 |
岩澤健吉 クロード・シュヴァレー アンドレ・ヴェイユ[4] アンリ・カルタン |
影響を 与えた人物 | 谷山豊 |
主な受賞歴 |
グッゲンハイム・フェロー(1970年) コール賞(1977年) 朝日賞(1991年) 藤原賞(1995年) スティール賞(1996年) |
プロジェクト:人物伝 |
業績
編集谷山–志村予想によるフェルマー予想解決への貢献[6][7][8]、アーベル多様体の虚数乗法論の高次元化、志村多様体論の展開[9]などで知られる。国際数学者会議に招待講演者として4回招聘されているほか[注釈 1]、スティール賞、コール賞を受賞した日本を代表する数学者の一人。
また、趣味で中国説話文学を収集しており、中国文学に関しての著作も複数存在する[11][12]。
2019年5月3日死去、89歳没[2]。
略歴
編集受賞・講演歴
編集著作
編集単著
編集数学
- 『数学をいかに使うか』筑摩書房〈ちくま学芸文庫 シ20-2 Math & Science〉、2010年12月8日。ISBN 978-4-480-09325-7 。 - 文庫オリジナル書き下ろし第1弾。
- 『数学の好きな人のために 続・数学をいかに使うか』筑摩書房〈ちくま学芸文庫 シ20-3 Math & Science〉、2012年2月8日。ISBN 978-4-480-09439-1 。 - 文庫オリジナル書き下ろし第2弾。
- 『数学で何が重要か』筑摩書房〈ちくま学芸文庫 シ20-4 Math & Science〉、2013年5月8日。ISBN 978-4-480-09534-3 。 - 文庫オリジナル書き下ろし第3弾。
- 『数学をいかに教えるか』筑摩書房〈ちくま学芸文庫 シ-20-5 Math & Science〉、2014年8月6日。ISBN 978-4-480-09630-2 。 - 文庫オリジナル書き下ろし第4弾。
文学、その他
- 「論文の書き方を恭しくしよう : 志村五郎氏のお話より」、東京大学、1966年。
- 「熊楠の漢文読解力--英文論文翻訳を読んで」『熊楠研究』第4号、南方熊楠顕彰会、田辺、2002年3月、228-232頁。-『熊楠研究』寄稿
- 『中国説話文学とその背景』筑摩書房〈ちくま学芸文庫 シ-20-1〉、2006年9月6日。ISBN 4-480-09007-X 。
- 『記憶の切繪図』筑摩書房、2008年6月25日。ISBN 978-4-480-86069-9 。ちくま学芸文庫、2021年9月。自伝。志村の関心を反映する「切り絵図」(花、動物、絵、料理、歌など) 数点を掲載。
- 『中国古典文学私選 凡人と非凡人の物語』明徳出版社、2008年10月。ISBN 978-4-89619-191-2 。
- 『鳥のように』筑摩書房、2010年3月9日。ISBN 978-4-480-86071-2 。- 自伝『記憶の切繪図』の続編
共著
編集- Serre, Jean Pierre; Weil, André (1983). Geometry and number theory : a volume in honor of André Weil. Johns Hopkins University Press . アンドレ・ヴェイユ追悼
専門書
編集- Automorphic Functions and Number Theory. Lecture Notes in Mathematics. 54 (Paperback ed.). Springer. (1968). ISBN 978-3-540-04224-2
- Shimura, Goro (1971-03-31). INTRODUCTION TO THE ARITHMETIC THEORY OF AUTOMORPHIC FUNCTIONS. Iwanami syoten. ISBN 4-00-009759-8 - 保型関数の整数論的理論。プリンストン大学出版局からも出版された。
- Introduction to the Arithmetic Theory of Automorphic Functions (Paperback ed.). Princeton University Press. (1971-08-01). ISBN 978-0-691-08092-5 - 保型関数の整数論的理論。岩波書店からも出版された。
- Euler Products and Eisenstein Series. CBMS Regional Conference Series in Mathematics (Paperback ed.). American Mathematical Society. (1997-07-01). ISBN 978-0-8218-0574-9
- Abelian Varieties with Complex Multiplication and Modular Functions (Hardcover ed.). Princeton University Press. (1997-12-08). ISBN 978-0-691-01656-6
- Arithmeticity in the Theory of Automorphic Forms. Mathematical Surveys and Monographs (Paperback ed.). American Mathematical Society. (2000-08-22). ISBN 978-0-8218-2671-3
- Arithmetic and Analytic Theories of Quadratic Forms and Clifford Groups. Mathematical Surveys and Monographs (Hardcover ed.). American Mathematical Society. (2004-03-01). ISBN 978-0-8218-3573-9
- Elementary Dirichlet Series and Modular Forms. Springer Monographs in Mathematics (Hardcover ed.). Springer. (2007). ISBN 978-0-387-72473-7
- Elementary Dirichlet Series and Modular Forms. Springer Monographs in Mathematics (Paperback ed.). Springer New York. (2009-12-28). ISBN 978-1-4419-2478-0
- Arithmetic of Quadratic Forms. Springer Monographs in Mathematics (Hardcover ed.). Springer. (2010-07-15). ISBN 978-1-4419-1731-7
英語版
編集- The Story of Imari: The Symbols and Mysteries of Antique Japanese Porcelain (Hardcover ed.). Ten Speed Press. (2008-06-01). ISBN 978-1-58008-896-1
- The Map of My Life (Hardcover ed.). Springer. (2008-09-05). ISBN 978-0-387-79714-4 - 『記憶の切繪図』の英語版。
- The Map of My Life (Paperback ed.). Springer New York. (2009-12-28). ISBN 978-1-4419-2724-8
論文集
編集- Collected Papers. I: 1954-1965 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95406-6
- Collected Papers. II: 1967-1977 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95416-5
- Collected Papers. III: 1978-1988 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95417-2
- Collected Papers. IV: 1989-2001 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95418-9
- Collected Papers. V: 2002–2012 (Hardcover ed.). Springer. (2016). ISBN 978-3-319-32547-7
脚注
編集注釈
編集- ^ a b 国際数学者会議は4年目ごとに開催され、1958年8月14日、戦後第3回目の会議に東京大学の一松信と佐武一郎、志村、北海道大学の河口商次、お茶の水女子大学の松阪輝久、京都大学の永田雅宜ほかが出席[10]。
- ^ コール賞数論部門受賞 (1977年) は、“Class fields over real quadratic fields and Heche operators”. Annals of Mathematics. 2 95. (1972).; “On modular forms of half integral weight”. Annals of Mathematics,. 2 97. (1973).に対して。
出典
編集- ^ a b c d “志村五郎”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus(コトバンク). 2019年5月6日閲覧。
- ^ a b c d “Professor Emeritus Goro Shimura 1930—2019 : Math”. プリンストン大学. 2019年5月6日閲覧。
- ^ 「楕円モヂユラー函数体のゼーター函数」、東京大学、1958年5月2日。 博士論文
- ^ セール, ヴェイユ & 志村 1983.
- ^ 「志村五郎氏死去=米プリンストン大名誉教授・数学」『時事ドットコム』時事通信社、2019年5月6日。オリジナルの2019年5月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「300年来の超難問証明に貢献、志村五郎氏死去」『読売新聞』読売新聞東京本社、2019年5月5日。オリジナルの2019年5月6日時点におけるアーカイブ。 本紙には2019年5月6日28面掲載。
- ^ 中村 & 木戸 2009, p. 12-15.
- ^ 辻井 & 笠原 2008, p. 6.
- ^ 岩波数学辞典 2007, pp. 17, 490, 1403.
- ^ 矢野健太郎『一幾何学者の回想』 2巻、日本評論社、1982年。
- ^ 志村 2006.
- ^ 志村 2008b.
- ^ 博士論文 1958.
- ^ a b c d ICM Plenary and Invited Speakers 国際数学者連合公式サイト(英文)
- ^ “朝日賞:過去の受賞者”. 朝日新聞. 2009年11月4日閲覧。
参考文献
編集- 辻井重男、笠原正雄「1章 数学と暗号—その交流の軌跡」『暗号理論と楕円曲線: 数学的土壌の上に花開く暗号技術』森北出版、2008年。
- 中村亨、木戸実験『フェルマーの最終定理: 萌えて愉しむ数学最大の難問』PHP研究所、2009年、12-15頁。
関連資料
編集外部リンク
編集- デジタル版 日本人名大辞典+Plus『志村五郎』 - コトバンク
- O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “Goro Shimura”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews.
- Goro Shimura - Mathematics Genealogy Project
- 志村五郎さん死去 フェルマーの最終定理の証明に貢献(朝日新聞デジタル記事、2019年5月6日)