尖端出版
尖端出版(せんたんしゅっぱん、Sharp Point Publishing)は、台湾桃園市に本社を置く出版社である城邦文化(Cite Publishing Ltd.、所在地:台湾台北市、代表取締役社長:何飛鵬)に所属するブランドの一つである[1][2][3]。1982年、尖端出版有限公司として黄鎮隆が創業。2021年12月現在、代表者(CEO)は黄鎮隆[4]。略称はSPP[5]、2023年現在の正式名称は「尖端媒體集團(Sharp Point Media Group)」[6]。
尖端出版 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 尖端出版 |
簡体字: | 尖端出版 |
拼音: | Jiānduān Chūbǎn |
英文: | Sharp Point Publishing |
名称の「尖端」は中国語で、日本語の「先端」「先進的」の意味。
概要
編集1982年7月、尖端出版有限公司として黄鎮隆(Michael Huang)が台北県新店市で創業。創業時は模型を中心とするホビー系・ミリタリー系の情報誌を刊行。1987年に台湾初のゲーム雑誌『電視遊楽雑誌』を創刊。1991年、台湾が世界貿易機関(WTO)加盟の条件を整えるために著作権法を抜本改正したことを受けて小学館より「うる星やつら」(高橋留美子)のライセンスを取得し、繁体字中文版を刊行する。
また、日本で刊行されているコンピュータゲームの攻略本のローカライズだけでなく、独自の編集部を持つゲーム雑誌も刊行。ポケモンカードゲームやガンダムウォーなどのトレーディングカードゲームのローカライズも行っている。
ライトノベルは「浮文字」レーベルでさまざまなのタイトルを刊行している他、講談社『ファウスト』の繁体字中文版を刊行している。また、2007年に入りソフトバンククリエイティブと優先契約を締結し、GA文庫のタイトルがラインナップに追加されている。
1996年から2005年まで台湾におけるマジック:ザ・ギャザリング(台湾では魔法風雲會あるいは万智牌)の正式代理店だった[6](2005年以降は米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト直営となっている)。
2001年、香港企業のTom.com(TOM集団)によって買収され、子会社となる[7][8][9]。
2005年、城邦媒體控股集團(2001年にTOM集團により買収[10])への合併により、尖端出版股份有限公司としては解散[11]、傘下の一ブランドとなる。
出版物
編集雑誌
編集- 漫画雑誌
小説
編集浮文字レーベル
編集「浮文字」(Fúwénzì) は尖端出版が2006年1月に刊行を開始したライトノベルレーベル。日本の新人小説家の「爆発力」と「想像力」を備えた新文体を台湾に紹介することを掲げてスタートした[12]。同年2月には、日本の文芸雑誌『ファウスト』(台湾では「浮士德」(Fúshìdé)と書かれる)の翻訳版である『浮文誌』(Fúwénzhì)の刊行も開始された。
最初こそ日本のいわゆるファウスト系作家の作品の翻訳出版が多かったが、当初から冲方丁など『ファウスト』とは関連のない作家の作品も刊行されており[13]、後にはさまざまな日本のライトノベル作品を刊行するようになった。創刊当初の2ヶ月で刊行されたのは、冲方丁、清涼院流水、西尾維新、佐藤友哉、森岡浩之の作品である。
戯言シリーズ、鏡家サーガシリーズ、“文学少女”シリーズ、狂乱家族日記シリーズなどが刊行されている。
- 作家リスト
- ファウスト系作家:佐藤友哉、清涼院流水、西尾維新、舞城王太郎
- SF作家:冲方丁、小川一水、桜坂洋、照下土竜、片理誠、森岡浩之
- ライトノベル作家:赤城毅、日日日、天羽沙夜、市川環、井上堅二、越後屋鉄舟、大迫純一、大野木寛、大場惑、沖田雅、乙一、織田兄弟、甲斐透、柿沼秀樹、上遠野浩平、加納新太、神代創、神野オキナ(神野奥那)、木村航、木本雅彦、熊谷雅人、小林正親、斎藤ゆうすけ(Yusuke Saito)、榊一郎、沢上水也、篠崎砂美、霜島ケイ(霜島桂)、将吉、白瀬修、末永外徒、鯛津裕太(鯛津YUTA)、高殿円、築地俊彦、飛田甲、中里融司、夏緑、西野かつみ(西野勝海)、野村美月、はすなみ透也(蓮波透也)、ハセガワケイスケ(長谷川啓介)、林トモアキ(林智明)、早見裕司、日向まさみち(日向正道)、深見真、蕪木統文、ヤマグチノボル(山口昇)、山本一郎、友谷蒼、渡辺仙州、和智正喜
- ビジュアルノベルライター:涼元悠一、田中ロミオ(田中羅密歐)
- ガンダムノベライズ:隅沢克之、富野由悠季、皆川ゆか(皆川由佳)、山口宏
- その他:えとう乱星(衛藤乱星)、江良至、神永学、神山修一、菊池勇生、渡辺浩弐
その他の小説レーベル
編集- 逆思流(Mystery & Crime)
- 奇炫館(Science Fiction & Fantasy)
- 嬉文化(Fiction & Literature)
- MoonBleu小説
- BL小説
脚注
編集- ^ 野村総合研究所 台北支店: “中華民国 台湾投資通信 Vol. 212” (pdf). 日本企業台湾進出支援 JAPANDESK. 中華民国 経済部投資業務処 (2013年4月). 2023年4月4日閲覧。 ※日本語。
- ^ “子集團簡介 : 尖端出版集團” (中国語). 城邦媒體控股集團 (2010年). 2010年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月2日閲覧。
- ^ “出版社介紹 : 先端出版” (中国語). 城邦讀書花園. 城邦媒體控股集團. 2023年4月2日閲覧。
- ^ 黃鎮隆 (2021年12月25日). “尖端出版集團|首席執行長 黃鎮隆” (中国語). 角川国際動漫教育. 台灣角川國際動漫股份有限公司. 2023年4月10日閲覧。
- ^ a b “尖端媒體集團|子集團簡介” (中国語). 城邦媒體控股集團. 2023年4月4日閲覧。
- ^ a b c “品牌故事” (中国語). 尖端網路書店. 尖端媒體集團. 2023年4月4日閲覧。
- ^ TOM.COM LIMITED (2001年11月21日). “Press Releases : TOM acquires 100% of Sharp Point Publishing : Attains Category Leadership in Taiwan's Teenager Magazine Sector” (英語). CK Hutchison Holdings Limited. 2023年4月4日閲覧。 “Hong Kong, November 21, 2001 - TOM.COM LIMITED ("TOM", stock code: 8001) announced today that it has entered an agreement for the acquisition of 100% of Sharp Point Publishing Co., Ltd, (Sharp Point), Taiwan's largest Chinese-language youth magazine and book publisher.”
- ^ 陳卓君 (2001年12月12日). “王兟:商周的品牌、現金、經常性收益值16.5億元” (中国語). iThome. 2023年4月4日閲覧。 “王兟表示,在今年〔2001年〕5月以13億元代價與PC home電腦出版集團及城邦出版社合資成立了Home Media Group後,上個月又以3.5億元併購台灣的尖端出版社,這次又收購商周集團,代表Tom.com在出版平台的建構上已經逐步達成。”
- ^ 王政(人民网(人民日报)) (2001年11月27日). “TOM收购台湾尖端出版集团100%权益” (中国語). 新浪科技_新浪网. 2023年4月4日閲覧。
- ^ “Tom.com整併台灣資產「城邦」要成為全球華文” (中国語). 動腦新聞 (2009年6月29日). 2023年4月10日閲覧。 “去年〔2001年〕陸續購併台灣城邦文化集團﹑PC home電腦家庭文化事業集團﹑尖端出版集團及商周出版集團的Tom.com﹐終於在〔2002年〕10月22日正式宣佈將上述集團統稱為城邦出版集團﹐並以控股公司模式運作﹐由詹宏志擔任首席執行長。” ※初出は『動腦雜誌』第319期(2002年11月)。
- ^ “尖端出版股份有限公司的統編、統一編號: 15918129” (中国語). 諸彼特樂趣地圖 | 網路工商黃頁分類地圖 (2005年7月15日). 2023年4月4日閲覧。
- ^ “文字小說 novel & fiction” (中国語). 先端出版. 先端出版 (2006年). 2018年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月2日閲覧。 “建構青少年閱讀版圖 觸發新文學創作基因/打造無國界閱讀空間 創造無限制出版思維「魔幻城堡」” ※中国語、英語、日本語表記あり。
- ^ 『浮文誌 Vol.1』裏表紙では、清涼院流水・佐藤友哉・西尾維新といった『ファウスト』に関連する作家とともに冲方丁の作品が紹介されている。それぞれのキャッチコピーは「密室殺人強打者 清涼院流水」「科幻写手 冲方丁」「強力電波男 佐藤友哉」「最佳新人王 西尾維新」。
関連文献
編集- 雷 碧秀「泛IP經營加速出版產業的轉型:以尖端出版集團為例」『臺灣出版與閱讀』第2巻、國家圖書館、臺北市、2018年6月、30-37頁。
- 廖 育珮 (2005年). “組織動態能耐發展之研究 ─ 以城邦出版控股集團為例 (A Research on Dynamic Capability Development of Organization ─ A case study of Cite Publishing Holding Group)” (中国語). 國立交通大學 傳播研究所. 2023年4月4日閲覧。 ※修士論文
- 賴 淑娟 (2009年). “台灣雜誌出版集團經營關鍵成功因素 (A Study of the Key elements of Successful Factor for Taiwan Magazine Publishing Group)” (中国語). 南華大學 出版與文化事業管理研究所. 2023年4月10日閲覧。 ※修士論文
関連項目
編集- ファウスト - 台湾版『浮文誌』について記述あり。
外部リンク
編集- 尖端出版SPP公式サイト
- 尖端出版 浮文字 刊行リスト ※現在はリンク切れ
- 尖端出版 逆思流 刊行リスト ※現在はリンク切れ
- 尖端出版 奇炫館 刊行リスト ※現在はリンク切れ
- 尖端出版 嬉文化 刊行リスト ※現在はリンク切れ
- 尖端出版の公式紹介