機能不全家族
機能不全家族(きのうふぜんかぞく、英: Dysfunctional family)は、家庭内に対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等が恒常的に存在する家族を指す。機能不全家庭(きのうふぜんかてい)とも称され、その状態は家庭崩壊(かていほうかい)、もしくは家族崩壊(かぞくほうかい)といわれている。
概要
編集機能不全家族は「子育て」「団欒」「地域との関わり」といった、一般的に家庭に存在すべきとされる機能が、健全に機能していない家庭の問題を指す。
この機能不全家族において最も被害者となるのは、自らに生活力が無いため、その家庭から脱出することができない子供である。子供は、周囲に適合しにくかったり、様々な問題を引き起こす場合がある。
主要原因
編集機能不全家族となる要因としては、家族構成員のアルコール依存、虐待(子供への暴言や威圧的態度も含まれる)、共依存などが挙げられる。更に、このような機能不全的な家庭となっている場合は、その家庭を構成する親、または祖父母などが、機能不全家族で育った可能性もある。
アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、親の自殺、親の死亡、親の不倫、両親の離婚、親の再婚、親から見捨てられる行為(ネグレクト)、精神的な児童虐待、肉体的な児童虐待、性的な児童虐待(児童性的虐待)、兄弟姉妹間での処遇格差、家庭不和、家庭内の暴力、多重債務などがある[1][信頼性要検証]。
家庭内の特徴
編集機能不全家族で育った者は、その家庭内での経験のため、一定の傾向、行動パターンが見受けられる。
スティーブン・ファーマーによると、機能不全家庭は家庭内にいくつかの兆候が見られる[2] 。
- 拒絶
- 矛盾
- 家族への無共感
- 家族間の境界線の欠如
- 親子逆転
- 社会からの孤立
- 曖昧なメッセージ
- 極端な論争・対立
またDan Neuharthは、機能不全の要因として、健全でない親の8つの兆候を示している[3]。
- 条件付きの愛情
- 非尊重
- 発言の抑圧
- 感情の強制
- 嘲笑
- 過大なしつけ
- 内面の否定
- 社会に対する機能不全、または社会からの孤立
彼はさらに、機能不全家庭を引き起こす8つの親のパターンについても説明している[4]。
- 窒息(子のアイデンティティーの侵害)
- 利用
- 虐待
- 混乱
- 完全主義
- カルト信仰
- 剥奪(子の欲するものを奪う)
- 精神的な幼稚(虐待を排除しない)
昨今では、「毒になる親」(スーザン・フォワード著)を語源として、こういった親を「毒親」と呼ぶことも多い。
出典
編集- ^ 大越崇 『アダルトチャイルド物語』 星和書店 1996年
- ^ Farmer, S.: "Adult Children of Abusive Parents", pgs. 19-34. Ballantine Books, 1989,
- ^ Neuharth, D.: "If You Had Controlling Parents: How to Make Peace With Your Past and Take Your Place In the World", pgs. 4-5 Quill Books, 2002
- ^ Neuharth, D.: "If You Had Controlling Parents: Making Peace With Your Past and Taking Your Place In the World", pgs. 14-15, Quill Books, 2002
関連項目
編集- 親ガチャ
- アダルトチルドレン
- モンスターペアレント - モンスターチルドレン
- 毒親
- 過干渉
- ネグレクト
- 家庭内暴力 - ドメスティック・バイオレンス
- 児童虐待 - 兄弟姉妹間の虐待
- 高齢者虐待
- 被虐待児症候群
- 共依存
- ヤングケアラー
- 要保護児童
- アルコール依存症
- 対策