多和田葉子

日本の小説家 (1960-)

多和田 葉子(たわだ ようこ、英語: Yoko Tawada1960年昭和35年〉3月23日[1] - )は、日本小説家詩人

多和田 葉子
(たわだ ようこ)
多和田 葉子(2022)
誕生 (1960-03-23) 1960年3月23日(64歳)
日本の旗 日本
東京都中野区
職業 小説家
詩人
言語 日本語ドイツ語
国籍 日本の旗 日本
教育 博士文学
最終学歴 チューリヒ大学大学院博士課程修了
活動期間 1991年 -
ジャンル 小説
代表作 『犬婿入り』(1993年)
『ヒナギクのお茶の場合』(2000年)
球形時間』(2002年)
容疑者の夜行列車』(2002年)
雪の練習生』(2011年)
雲をつかむ話』(2012年)
献灯使』(2014年)
『地球にちりばめられて』(2018年)
主な受賞歴 群像新人文学賞(1991年)
芥川龍之介賞(1993年)
シャミッソー賞(1996年)
泉鏡花文学賞(2000年)
ドゥマゴ文学賞(2002年)
伊藤整文学賞(2003年)
谷崎潤一郎賞(2003年)
ゲーテ・メダル(2005年)
早稲田大学坪内逍遙大賞(2009年)
紫式部文学賞(2011年)
野間文芸賞(2011年)
読売文学賞(2013年)
芸術選奨(2013年)
クライスト賞(2016年)
国際交流基金賞(2018年)
全米図書賞(2018年)
朝日賞(2020年)
紫綬褒章(2020年)
毎日出版文化賞(2023年)
日本芸術院賞恩賜賞(2024年)
デビュー作 『かかとを失くして』(1991年)
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ドイツに住み、日本語・独語で小説を執筆。日本語作品では『かかとを失くして』で群像新人文学賞、『犬婿入り』(1993年)で芥川賞を受賞。ほかに『球形時間』(2002年)、『雲をつかむ話』(2012年)、『献灯使』(2014年)など。

略歴

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2016年

東京都中野区生まれ[2]。父は東京・神保町のエルベ洋書店を経営する多和田栄治[3]国立市で育つ[4]東京都立立川高等学校[5]早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒業[6]西ドイツハンブルクの書籍取次会社に入社し、ハンブルク大学大学院の修士課程を修了[1]1982年から2006年までハンブルク、2006年よりベルリン在住[7]1987年ドイツにて2か国語の詩集を出版してデビュー[8]2001年、ドイツの永住権を取得。チューリッヒ大学大学院博士課程修了。博士号(ドイツ文学)を取得[9]。著作はドイツ語でも20冊以上出版されており、フランス語英語イタリア語スペイン語中国語韓国語ロシア語スウェーデン語ノルウェー語デンマーク語オランダ語などの翻訳も出ている[10]ドイツ作曲家イザベル・ムンドリー[11]オーストリア作曲家ペーター・アブリンガー[12]とのコラボレーションでも知られる。ごく近年では村上春樹に次いでノーベル文学賞候補の一人としてヨーロッパのブックメーカーで名前が挙げられる作家である。2023年のドイツの日めくりカレンダーにも登場している[13]

受賞歴

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著作

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詩集

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  • 『あなたのいるところだけ何もない』Verlag Claudia Gehrke、1987年
  • 『傘の死体とわたしの妻』思潮社、2006年
  • 『シュタイネ』青土社、2017年
  • 『まだ未来』ゆめある舎、2019年

小説

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  • 『三人関係』講談社、1992年、のち講談社文芸文庫(『かかとを失くして 三人関係 文字移植』)
  • 『犬婿入り』講談社、1993年、のち講談社文庫
  • 『アルファベットの傷口』河出書房新社、1993年、のち改題「文字移植」河出文庫講談社文芸文庫(『かかとを失くして 三人関係 文字移植』)
  • 『聖女伝説』太田出版、1996年、のちちくま文庫
  • 『ゴットハルト鉄道』講談社、1996年、のち講談社文芸文庫
  • 『きつね月』新書館、1998年
  • 『飛魂』講談社、1998年、のち講談社文芸文庫
  • 『ふたくちおとこ』河出書房新社、1998年
  • 『光とゼラチンのライプチッヒ』講談社、2000年
  • 『ヒナギクのお茶の場合』新潮社、2000年 のち講談社文芸文庫(『ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前』)
  • 『変身のためのオピウム』講談社、2001年 のち講談社文芸文庫(『変身のためのオピウム/球形時間』)
  • 球形時間新潮社、2002年 のち講談社文芸文庫(『変身のためのオピウム/球形時間』)
  • 容疑者の夜行列車青土社、2002年
  • 『旅をする裸の眼』講談社、2004年、のち文庫
  • 『海に落とした名前』新潮社、2006年 のち講談社文芸文庫(『ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前』)
  • 『アメリカ 非道の大陸』青土社、2006年
  • ボルドーの義兄』講談社、2009年 のち文芸文庫(『雲をつかむ話/ボルドーの義兄』)
  • 尼僧とキューピッドの弓』講談社、2010年、のち文庫
  • 雪の練習生』新潮社、2011年 のち新潮文庫
  • 雲をつかむ話』講談社、2012年 のち文芸文庫(『雲をつかむ話/ボルドーの義兄』)
  • 献灯使』講談社、2014年、のち文庫
  • 『百年の散歩』新潮社、2017年、のち文庫
  • 『地球にちりばめられて』講談社、2018年、のち文庫
  • 『穴あきエフの初恋祭り』文藝春秋、2018年、のち文庫
  • 『星に仄めかされて』講談社、2020年
  • 『太陽諸島』講談社、2022年

随筆

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外国語版

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  • Das Bad, 1989
  • Wo Europa anfängt, 1991
  • Die Kranichmaske, die bei Nacht strahlt, 1993
  • Ein Gast, 1993
  • Talisman, 1996
  • Ein Gedicht für ein Buch,Fotos Stephan Köhler. Hamburg : Edition Clement-Tobias Lange, 1996
  • Verwandlungen, 1999
  • Spielzeug und Sprachmagie in der europäischen Literatur : eine ethnologische Poetologie, 2000
  • Das nackte Auge, 2004.
  • Was ändert der Regen an unserem Leben?, 2005
  • Sprachpolizei und Spielpolyglotte, 2007.
  • Schwager in Bordeaux, 2008
  • Abenteuer der deutschen Grammatik, 2010
  • Fremde Wasser. Hamburger Poetikvorlesungen, 2012
  • Mein kleiner Zeh war ein Wort, 2013
  • Etüden im Schnee, 2014
  • akzentfrei, 2016
  • Ein Balkonplatz für flüchtige Abende, 2016
  • Paul Celan und der chinesische Engel, 2020(邦訳:『パウル・ツェランと中国の天使』関口裕昭 訳(注釈付き翻訳)文藝春秋、2023年)

作品・作家論

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  • 『ユリイカ 詩と批評 総特集多和田葉子』2004年12月臨時増刊号、青土社
  • 『多和田葉子 現代女性作家読本7』高根沢紀子編、鼎書房、2006年
  • 室井光広『多和田葉子ノート』双子のライオン堂出版部、2020年
  • 『多和田葉子/ハイナー・ミュラー演劇表象の現場』谷川道子・山口裕之・小松原由理編、東京外国語大学出版会、2020年
  • 『多和田葉子の〈演劇〉を読む 切り拓かれる未踏の地平』谷川道子・谷口幸代編、論創社、2021年
  • 『言語を逍遥する詩人-多和田葉子の文学をめぐって-』[Zur Literatur der Sprach-Wandlerin Yoko Tawada] 土屋勝彦編 (執筆者: 土屋勝彦,齋藤由美子,谷本知沙,越川瑛理,谷口幸代, 松永美穂) 日本独文学会研究叢書 Nr. 145 日本独文学会ウェブサイト電子版、発行日: 2021. 10. 2

ディスコグラフィー

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  • 『diagonal』 Konkursbuchverlag、2002年。高瀬アキのピアノ即興演奏と多和田葉子のドイツ語朗読の競演CD

脚注

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  1. ^ a b 多和田葉子(タワダヨウコ)とは - コトバンク
  2. ^ 静岡大学人文社会科学部
  3. ^ 榎本正樹, 近藤裕子, 与那覇恵子『大江からばななまで: 現代文学研究案内』(日外アソシエーツ, 1997)148ページ
  4. ^ 多和田葉子さん(作家)の朗読と講演の会が開催されます | 中央大学
  5. ^ 早稲田ウィークリー
  6. ^ 受賞作品 | Bunkamuraドゥマゴ文学賞 | Bunkamura
  7. ^ 多和田葉子|新潮社
  8. ^ 特別講演会「作家・多和田葉子さんを迎えて 母語の外に出る旅 進化する翻訳」
  9. ^ お茶の水女子大学「ジェンダー研究のフロンティア」 Archived 2011年9月27日, at the Wayback Machine.
  10. ^ Yoko Tawada official homepage
  11. ^ Heft 191/192 YOKO TAWADA Juli 2011”. corinacaduff.ch. 2018年10月25日閲覧。
  12. ^ Peter Ablinger - Opera/Works”. ablinger.mur.at. 2018年10月25日閲覧。
  13. ^ Duden — Auf gut Deutsch! 2023 , 5.Juli
  14. ^ 群像新人文学賞当選作・優秀作一覧 - 講談社
  15. ^ 犬婿入り(イヌムコイリ)とは - コトバンク
  16. ^ 献灯使 多和田葉子 - 講談社BOOK倶楽部
  17. ^ “泉鏡花文学賞に多和田氏 「ヒナギクのお茶の場合」 独特のユーモア、清新さ 来月21日授賞式”. 北國新聞. (2000年10月12日) 
  18. ^ Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作一覧1-33回 - 文学賞の世界
  19. ^ 伊藤整文学賞受賞作・候補作一覧1-25回 - 文学賞の世界
  20. ^ 各賞紹介 - 中央公論新社
  21. ^ 多和田葉子(たわだ ようこ) | 作家紹介 | 翻訳作品紹介 - JLPP 現代日本文学の翻訳
  22. ^ 早稲田大学坪内逍遙大賞受賞者 多和田葉子さん・伊藤比呂美さんが早稲田大学へやってくる(8/1(火)・8/3(木))”. 早稲田文化. 早稲田大学文化推進部 (2017年7月20日). 2022年10月5日閲覧。
  23. ^ 第21回「紫式部文学賞」決定”. WEB本の雑誌. 新文化 (2011年8月11日). 2022年10月5日閲覧。
  24. ^ “野間文芸賞に多和田さん”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2011年11月7日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0703B_X01C11A1CR8000/ 2022年10月5日閲覧。 
  25. ^ “読売文学賞、多和田葉子氏らに決定”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2013年2月1日). https://www.nikkei.com/article/DGXNZO51222390R00C13A2CR8000/ 2022年10月5日閲覧。 
  26. ^ 特集「平成24年度(第63回)芸術選奨」”. 文化庁月報. 文化庁 (2013年5月). 2022年10月5日閲覧。
  27. ^ “多和田葉子さんに独文学賞 ドイツ語での創作評価”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2016年11月19日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H1T_Z11C16A1CR0000/ 2022年10月5日閲覧。 
  28. ^ 2018年度 「国際交流基金賞」 受賞者決定 多和田葉子氏、細川俊夫氏、サラマンカ大学スペイン日本文化センター”. 国際交流基金 (2018年8月30日). 2022年10月5日閲覧。
  29. ^ 米最高権威の文学賞 芥川賞作家の多和田葉子さんが受賞”. NHKニュース (2018年11月15日). 2018年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月15日閲覧。
  30. ^ “多和田葉子さんら4氏に朝日賞 特別賞は田沼武能さんに”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2020年1月1日). https://www.asahi.com/articles/ASMDT62SKMDTULPI003.html 2022年10月5日閲覧。 
  31. ^ 「秋の褒章 775人27団体」『読売新聞』2020年11月2日朝刊
  32. ^ 『官報』号外第230号、令和2年11月4日
  33. ^ 秋の褒章775人・27団体 俳優の中井貴一さんら”. 日本経済新聞 (2020年11月2日). 2023年5月7日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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