北朝鮮によるマレーシア人拉致
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北朝鮮によるマレーシア人拉致(きたちょうせんによるマレーシアじんらち)とは、1978年にマレーシア国籍の一般市民が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)特殊機関の工作員などにより拉致・誘拐された事件および状態[1][2]。深刻な人権侵害であり、マレーシアに対する重大な主権侵害行為である。
概要
編集1978年8月20日、シンガポールで5人の女性が北朝鮮工作員によって拉致された[2]。「日本人」を名乗る2人組の男性が、シンガポールのエスコートガール会社に船上パーティーへ女性の派遣を依頼し、派遣された19歳から24歳の女性たち5人が船ごと失踪したのである[2]。5人の女性のなかで、Yeng Yoke Fun(22歳)、Yap Me Leng(22歳)、Seetoh Tai Thim(19歳)、Margaret Ong Guat Choo(19歳)の4人はマレーシア人であった[2][注釈 1]。
2005年、米国人脱走兵で長期にわたり北朝鮮に抑留されたチャールズ・ジェンキンス(拉致被害者曽我ひとみの夫)は、5人の写真を見て、そのうちの1人Yeng Yoke Funについて「1980年から1981年にかけて目撃した平壌の遊園地の売店で働いていた女性に似ている」と証言した[2]。
同じ年(1978年)の7月にポルトガル領マカオで起こったタイ人拉致(アノーチャ・パンジョイ)・中国人拉致(孔令譻)についても、拉致犯罪の実行犯たちは「日本人」を名乗ったが、犯人の似顔絵をシンガポール警察がエスコート会社の経営者に見せたところ、「5人を拉致した犯人とそっくり」との証言を得た[2]。Yengの兄は2005年12月16日、クアラルンプールのマレーシア華人協会(MCA)の会館で記者会見をひらき、妹の救出を公式に訴えた[2]。
なお、本事件との関係は必ずしも明白ではないものの、1978年1月に北朝鮮によって拉致された韓国の著名な女優、崔銀姫は北朝鮮抑留時に招待所の世話係の女性から「マレーシア人の夫婦が別の招待所にいる」という話を聞いている[2][3]。
外国人拉致は、相手国に対する主権侵害行為である。したがって、北朝鮮当局は国際法にのっとり、原状回復すなわち拉致被害者の速やかな解放、犯人の相手国への引き渡し、公式な謝罪、被害者本人・家族に対する補償を行なわなければならない。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “04_世界に広がる拉致被害者”. <基礎知識-めぐみさんたちは生きている!「8人死亡」という嘘>. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2006年6月5日). 2022年4月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “世界に広がる拉致問題”. 国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2006年12月14日). 2022年4月20日閲覧。
- ^ 崔・申『闇からの谺(下)』(1989)p.32
参考文献
編集- 崔銀姫、申相玉『闇からの谺 - 北朝鮮の内幕(上)』文藝春秋〈文春文庫〉、1989年3月(原著1988年)。ISBN 4-16-716202-4。
- 崔銀姫・申相玉『闇からの谺 - 北朝鮮の内幕(下)』文藝春秋〈文春文庫〉、1989年3月(原著1988年)。ISBN 4-16-716203-2。