伊勢神トンネル
概要
編集延長1,245m、幅員6.5mのトンネルで[1]、1960年(昭和35年)5月に開通し[2]、同年7月1日から日本道路公団による有料道路として供用された[3]。
過疎対策として愛知県が建設費を肩代わりすることで1971年(昭和46年)4月1日に無料開放された[2][4]。トンネル前のドライブイン伊勢神付近(名古屋側)には道路が広くなった場所があるが、これは料金所の名残である。トンネルは上下一車線ずつの対面通行でありトンネル内に歩道は無い。
現行の道路構造令に対してトンネルの車道幅員が狭いことから[5]、2007年(平成19年)3月30日より大型対向車の接近を知らせるための「大型車接近表示システム」の運用を開始している[6]。2010年(平成22年)の名古屋国道事務所の調査によれば、平日の交通量は1日あたり4,241台で、その28%が大型車だという[7]。
通行制限
編集高さ3.5mの車高制限があり、基本的には大型トラックのうちバン(箱)タイプのほとんどとエアロキングやアストロメガなどの2階建てバス全車、スーパーハイデッカーの観光バス車両の大半[注釈 1]、一部のハイデッカーの観光バス車両[注釈 2]は当トンネルを通過出来ない。ただし先述の通り大型トラックも多く通過する幹線国道のトンネルであり、大型トラックどうしがトンネル内ですれ違う場面も見られる。この場合壁面ギリギリまで寄せるため、バン(箱)タイプの場合トンネルの壁面で荷台の角を擦ってしまうことがある[8]。
改良事業
編集トンネル断面不足および前後の線形の悪さ(最小半径R=30m、最大勾配8.71%)を解消するため、2012年度(平成24年度)より伊勢神改良事業が行われている。
現トンネルの北側に2.4kmのバイパスを通す計画で、うち1.9kmがトンネルである。これにより上下線を合わせた車線の幅は5.3mから6.5mへと拡大される。事業規模は80億円、事業期間は10年を見込んでいる[8][9]。
2022年(令和4年)5月28日、伊勢神トンネルに代わる新伊勢神トンネル(仮称)の着工式が行われた。工期は坑口外側も含め2027年(令和9年)3月31日まで。総事業費は約91億円となった[10]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 現行型の日野・セレガ、いすゞ・ガーラ(全高3.75m)、三菱ふそう・エアロクイーン(全高3.53m)など
- ^ ヒュンダイ・ユニバースの最新型(全高3.53m)など。なお日野・セレガやいすゞ・ガーラも、仕様によっては全高3.5mを超過する。
出典
編集- ^ “近代化遺産調査報告 伊世賀美隧道と大正時代の鉄筋コンクリート(RC)アーチ橋”. 豊田市近代の産業とくらし発見館 (2011年12月9日). 2012年2月24日閲覧。
- ^ a b 愛知の歴史街道、P.244
- ^ 日本道路公団 1986, p. 838.
- ^ 日本道路公団 1986, p. 852.
- ^ “視認しづらいトンネル内の対向車情報を提供”. 国土交通省中部地方整備局道路部 (2010年12月27日). 2012年2月24日閲覧。
- ^ “お知らせ ~愛知県内初 伊勢神トンネル大型車接近表示システム運用開始~”. 国土交通省中部地方整備局 名古屋国道事務所 (2007年5月22日). 2012年2月24日閲覧。
- ^ “豊田市 交通まちづくり行動計画(2011~2015) 45ページ”. 豊田市 都市整備部 交通政策課. 2014年3月2日閲覧。
- ^ a b “伊勢神改良パンフレット”. 国土交通省中部地方整備局 名古屋国道事務所. 2021年8月5日閲覧。
- ^ “平成24年度当初予算に関する事業計画通知(愛知県)”. 国土交通省中部地方整備局. 2014年3月2日閲覧。
- ^ 中川, 史「新伊勢神トンネル着工式 要望から10年、愛知・豊田で関係者ら祝う」『朝日新聞デジタル』2022年5月29日。2022年5月31日閲覧。
参考文献
編集- 日本道路公団『日本道路公団三十年史』1986年。
- 愛知古道研究会『愛知の歴史街道』、1997年
- 豊田市都市整備部交通政策課『豊田市交通まちづくり行動計画(2011~2015)(案) 4.交通まちづくり行動計画(2011~2015)』、2011年
外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、伊勢神トンネルに関するカテゴリがあります。