交響曲第1番 (安部幸明)
安部幸明作曲の交響曲
作曲の経緯
編集作曲者によれば、初演の数年前[1]に一応完成していたが、放置していた間に色々な角度から不備不満を感じており、公開初演の機会に際して書き直し、1957年3月初めになって完成したものであるという[2]。初演後、第9回毎日音楽賞を受賞している。
初演
編集編成
編集フルート2、ピッコロ、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、トライアングル、大太鼓、小太鼓、シンバル、弦五部[3]。
構成
編集3楽章から成る。
- 第1楽章 Allegro con brio
ソナタ形式。金管のハ音をベースにしたリズムの上から弦楽が第1主題を奏でた後、第2主題がグリッサンドを交えたヴァイオリンとヴィオラに現れる。展開部では第1主題を用いたフガートが奏される。再現部は第1主題が楽器を入れ替えて繰り返され、その後金管が第2主題を反復してクライマックスを形成する。
- 第2楽章 Adagietto
序奏の後、チェロで哀愁を帯びた主題が奏され、ヴァイオリンがこれを引き継ぐ。次いで木管楽器により変形された主題が奏され高揚する。最後は序奏が再び奏されて締め括る。作曲者はこの楽章を「少年時代の追憶」と呼んでいた[4]。
- 第3楽章 Vivace assai
ソナタ形式。クラリネットが活発な第1主題を提示した後、ホルンに豪快な第2主題が奏される。第1楽章と同じくフガートを用いた展開部の後、再現部を経て、コーダでは第1楽章の主題が登場し、全体の統一を図っている。
脚注
編集参考文献
編集- クリティーク80編著「現代日本の作曲家5 安部幸明」(1997年 音楽の世界社)ISBN 4-87662-217-5
- CD解説:片山杜秀執筆(ヤブロンスキー指揮 ロシア・フィルハーモニー管弦楽団)ナクソス
- 属啓成「名曲事典」(1991年第16刷発行 音楽之友社)ISBN 427600120X