世界の終わりの魔法使い
『世界の終わりの魔法使い』(せかいのおわりのまほうつかい)は、西島大介による日本の漫画作品。略称は「せかまほ」[1]。キャッチコピーは「魔法なんて信じない。でも、君は信じる。」。
世界の終わりの魔法使い | |
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漫画 | |
作者 | 西島大介 |
出版社 | 河出書房新社(第一部 - 第三部) 講談社(第四部) 自費出版(私家版) 駒草出版(完全版) |
掲載誌 | 描き下ろし(第一部 - 第三部) モーニング・ツー(第四部) 同人誌発表(私家版第五部第一話) pixivFANBOX(私家版第五部第二話 - 第六部第四話) |
レーベル | 九龍コミックス(第一部 - 第三部) |
発表期間 |
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巻数 | 全6巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
概要
編集2005年に河出書房新社より描き下ろしで発行された[2]第一部『世界の終わりの魔法使い』は、元々一巻完結の読みきり作品だったが、シリーズ化が決まり、1000年前のアンとムギの出会いを描いた『世界の終わりの魔法使いII 恋におちた悪魔』が2006年に刊行された。
シリーズ第三作『世界の終わりの魔法使いIII 影の子どもたち』を入稿後、原稿の一部67ページが出版社によって紛失という出来事が発生。これらの経緯は太田出版の雑誌『本人(hon-nin)』に掲載された後、評論家の大谷能生による論考を加えて『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』として2009年に単行本にまとめられた。2020年4月15日には『魔法なんて信じない。でも君は信じる。完全版』が電子書籍として配信された[3]。
第三作は原稿紛失により描き直しが行われており、紛失前の原稿は2009年11月に刊行された単行本とは内容が異なっている[4]。2010年4月29日から5月9日にかけて、渋谷のアパレルショップ「galaxxxy in Hi-Fi」で開催された西島の展示会「世界の終わりのgalaxxxy」では、改変前の貴重なコピー原稿が展示された[4]。
この三部作でアンとムギの物語は完結となっているが、新シリーズ『世界の終わりの魔法使いIV 小さな王子さま』(以下第四部)が『モーニング・ツー』(講談社)で2007年5号から2008年9号まで連載[5][6][7]され、2012年に単行本が発売された[8][7]。幼いノロ王子ことテオドールを主人公とした物語で、これまで出た作品の中では最も過去の話となっている。
未定ではあるが、シリーズとしては九部作の構想があり、第一部から第三部はシリーズの真ん中に位置するという。第四部から第六部はノロ王子の三部作、そして第七部から第九部はアンの娘の三部作になる予定だという[9]。
2013年11月に発売されたグラフィックデザイン誌・『月刊MdN』12月号の表紙を本作の描き下ろしイラストが飾った[10]。
2014年5月3日より、ヴィレッジヴァンガードの一部店舗やWEBサイトにて、本作のグッズが販売された[11]。
文化庁による「令和元年度 国内クリエイター創作支援プログラム」の一環として、新作『世界の終わりの魔法使い 5 呪われし者たち(仮)』の制作が決定[12]。
2019年11月24日に私家版『世界の終わりの魔法使い5』第一話を同人誌にて発表[13]した後、2019年12月11日[14]から2021年5月16日[15]まで残りの回と私家版『世界の終わりの魔法使い6』がpixivFANBOXにて連載。2020年3月に行われたイベントでは、私家版『世界の終わり魔法使い5』が販売された[16]。
2020年3月6日には完全版の第一部から第三部までが作者の個人出版レーベル・島島から電子書籍で販売された[17]。2020年11月から、駒草出版より完全版の刊行を開始[18]。
2021年12月、10年ぶりの新作として第五部『巨神と星への旅』が発売[19]。同作は第四部から開始された「新3部作」の真ん中に位置するストーリーとなっている[19]。
2022年3月24日に第六部『孤独なたたかい』が発売され、シリーズが完結している[20]。
あらすじ
編集1000年前の『魔法大戦』の影響で人々が魔法を使えるようになった世界。
唯一魔法を使えない少年ムギはある日、科学の力で飛ぼうとするも失敗し、魔王のお城に激突し、周辺の森に落ちてしまう。
そこで怪物トロルに襲われるが、そこでムギを救ったのは、謎の魔法使いの少女サン・フェアリー・アンだった。
登場人物
編集声優はオーディオドラマ版に出演のキャスト。
主要人物
編集- サン・フェアリー・アン
- 声 - 金元寿子[1]
- シリーズを通しての主人公[19]。謎の魔法使いの少女。口癖は「プー」[注 1]。魔王のお城に封印されていた悪魔の血を引く大魔法使い。
- 顔の左半分を包帯で覆い、帽子をかぶった頭には長く尖り、先端が折れ曲がった角が生えている。
- ムギ
- 声 - 平田真菜[1]
- 第一部から第三部の主人公。村でただ一人魔法を使えない少年。科学の力を使い、エアボードで飛ぼうとする。
- 両親を連れ去った魔法使いと魔法が嫌い。
- その正体は1000年前に第二部でのムギをオリジナルとした、アンが作り出した影。
- シッポ猫
- 声 - 野中藍[1]
- ムギの飼い猫。アンの作り出した影。
魔法星団
編集- テオドール・ノロ
- 第二部から登場。第四部の主人公で第二王子。旧王族の血を引く魔法使い。禁じられた魔法『影』を使い、王国を再建しようとする。
- アンに思いを寄せるが振られる。
- ネズ
- 第二部から登場。トガリミミ族の孤児。テオドールの義理の妹でアンのライバル。
- 1000年後に魔法星団の将軍になる。
- クリム
- 第二部から登場。アンの友達。1000年後に大魔導士になる。泣き虫な性格。
- クリスパン・ノロ
- IVに登場。テオドールの兄で第一王子。
- ノロ国王
- 魔法星団を統べるトガリミミ族の王。テオドールとクリスパンの父親。
- 大魔道士さま
- 第二部から登場。魔法星団を率いるおじいさん。
- 未来視
- 予言者の一族。老いた姿で生まれ、成長するにつれ若返っていく。
発達した科学団
編集- ア゛ーくん
- 科学団のエースパイロット。第一部に登場したムギの同級生3人組のうちの一人の影のオリジナルと思われる。
時のない世界
編集魔物たち
編集書誌情報
編集単行本
編集- 西島大介、河出書房新社→講談社〈九龍コミックス→KCピース〉[注 2]、全4巻
- 『世界の終わりの魔法使い』2005年2月28日発行、ISBN 4-309-72846-4
- 『世界の終わりの魔法使いII 恋におちた悪魔』2006年9月30日発行、ISBN 4-309-72848-0
- 『世界の終わりの魔法使いIII 影の子どもたち』2009年11月30日発行(11月20日発売[21])、ISBN 978-4-309-72849-0
- 『世界の終わりの魔法使いIV 小さな王子さま』2012年1月23日発売[8][7]、ISBN 978-4-06-376118-4
完全版
編集- 西島大介 『世界の終わりの魔法使い 完全版』 駒草出版、全6巻
- 「すべての始まり」2020年11月30日発売[18]、ISBN 978-4-909646-34-7
- 「恋におちた悪魔」2021年3月1日発売[22]、ISBN 978-4-909646-36-1
- 「影の子どもたち」2021年6月2日発売[23]、ISBN 978-4-909646-40-8
- 「小さな王子さま」2021年9月3日発売[24]、ISBN 978-4-909646-45-3
- 「巨神と星への旅」2021年12月6日発売[19]、ISBN 978-4-909646-48-4
- 「孤独なたたかい」2022年3月24日発売[20]、ISBN 978-4-909646-51-4
ラジオドラマ
編集2013年7月22日から26日にNHK-FMの『青春アドベンチャー』内で放送[1][25]。
2018年2月26日から3月2日に本作のラジオドラマが再放送されることを記念して、西島が記念イラストを描き下ろした[26]。
スタッフ
編集出演
編集影の魔法と魔物たち
編集2020年3月には本作をボードゲーム化した『影の魔法と魔物たち』が発表され[27]、10月9日に通信販売にて正式に発売された[28]。
オーディオブック
編集2021年3月18日には第一部の完全版『すべての始まり』がオーディオブック化され、Audibleとaudiobook.jpにて配信された[29]。
原画展
編集2022年4月13日より、東京都の青山ブックセンター本店内のギャラリースペースにて、本作の展覧会「世界の終わりの原画展 2005-2022」を開催[30]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k “西島大介が「せかまほ」ラジオドラマ化記念イラストを執筆”. コミックナタリー (ナターシャ). (2013年7月5日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介”. コミックナタリー (ナターシャ) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “「ディエンビエンフー」コンビニ版登場、西島選曲のSpotifyプレイリストも公開”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年4月15日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ a b “西島大介×galaxxxy展示会には幻の「せかまほIII」も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2010年4月28日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “新シリーズ! 小さな王子さま”. 世界の終わりの魔法使い 公式サイト「せかいまほうBLOG」. 河出書房新社 (2007年8月10日). 2023年1月21日閲覧。
- ^ “「小さな王子さま」最終回。”. 世界の終わりの魔法使い 公式サイト「せかいまほうBLOG」. 河出書房新社 (2008年5月1日). 2023年1月21日閲覧。
- ^ a b c “『小さな王子さま~世界の終わりの魔法使い(4)』(西島 大介)”. 講談社コミックプラス. 2023年1月21日閲覧。
- ^ a b “西島大介「アイケア」「せかまほ」同時発売でサイン会”. コミックナタリー (ナターシャ). (2012年1月3日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ 「第4話」『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』太田出版、2009年。ISBN 978-4-7783-2094-2。
- ^ “「俺物語!!」ほかデザイナーが語るマンガのカバー制作レポ”. コミックナタリー (ナターシャ). (2013年11月6日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「せかまほ」グッズが発売!トーク&サイン会も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2014年5月1日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「世界の終わりの魔法使い」新作を制作、文化庁の支援プログラムとして”. コミックナタリー (ナターシャ). (2019年11月8日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “長い間のご愛顧ありがとうございました”. 世界の終わりの魔法使い 公式サイト「せかいまほうBLOG」. 河出書房新社 (2019年11月8日). 2021年6月2日閲覧。
- ^ 西 島 大 介 ● 島 島(コムニスムス【第二部】隔週連載中) [@DBP65] (2019年12月11日). "そんな時こそpixivFANBOXということで、昨日仕上がったばかり『世界の終わりの魔法使い5(私家版)第2話 暗黒のひみつ』30ページを先行公開しました 頒布価格よりだいぶお安い「300円コース以上」で全編お読みいただけます。 冊子版が間に合わないお詫びに代えて。プー!pixiv.net/fanbox/creator/43814856/post/704106?utm_campaign=post_page&utm_medium=share&utm_source=twitter". X(旧Twitter)より2023年1月21日閲覧。
- ^ 西 島 大 介 ● 島 島(コムニスムス【第二部】隔週連載中) [@DBP65] (2021年5月16日). "島島FANBOXでも公開。300円のご支援でラフな未発表『せかまほ5・6』合計9話(270P以上)が最速でお読みいただけます。エッセイ150話+趣味で描いたアオザイ通信18話も #文学フリマ #せかまほ pixivFANBOXで世界の終わりの魔法使い[私家版]6-4を公開しました!". X(旧Twitter)より2023年1月21日閲覧。
- ^ “西島大介「無理ない範囲の勉強会」第3・4回の開催決定、ゲストに師走の翁ら”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年2月19日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「せかまほ完全版」1〜3巻が電子で発売“影の魔法のライセンス”を実装”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年3月6日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ a b “「世界の終わりの魔法使い」完全版、西島がんばる!初回分は全冊直筆カード付き”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年11月30日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ a b c d “西島大介「世界の終わりの魔法使い」描き下ろしの5巻が発売、10年ぶりの新作”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年12月6日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b “執筆17年、西島大介「世界の終わりの魔法使い」ついに完結!最終6巻が発売”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年3月24日) 2022年3月24日閲覧。
- ^ “西島大介「せかまほ」3部作がとうとう完結。11月20日発売”. コミックナタリー (ナターシャ). (2009年11月15日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “これで打ち切りのすべてがわかる!?西島大介「DBPプレス完全版」電子発売”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年3月1日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “【6月2日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年6月2日) 2021年9月3日閲覧。
- ^ “【9月3日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年9月3日) 2021年9月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g “西島大介「世界の終わりの魔法使い」がラジオドラマ化”. コミックナタリー (ナターシャ). (2013年6月27日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “ラジオドラマ「世界の終わりの魔法使い」再放送、西島大介が告知絵を描き下ろし”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年2月7日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「世界の終わりの魔法使い」ボードゲーム化、試遊イベントが開催”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年3月13日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「世界の終わりの魔法使い」のボードゲームが通販開始、特典PDF付き”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年10月9日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「世界の終わりの魔法使い」がオーディオブック化”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年3月18日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “西島大介「世界の終わりの魔法使い」展を青山ブックセンター本店で、サイン会も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年4月13日) 2022年4月13日閲覧。