ローレンス・ウォン

シンガポールの政治家

ローレンス・ウォン英語: Lawrence Wong、漢字表記:黄 循財、読み:こう じゅんざい、繁体字: 黃循財簡体字: 黄循财1972年12月18日 - )は、シンガポール共和国政治家エコノミスト。2023年の人民行動党党大会でリー・シェンロンから同国首相の座を禅譲されることを約束され、翌年5月15日に首相へ就任した[1]。2005年から2008年まで、リーシェンロンの個人秘書を務めていた。首相就任前は経済開発庁長官、シンガポール金融管理局長官を歴任していた。2021年の経済開発長長官就任時は新型コロナウイルスの流行時であったため、物品サービス税の増税を行った[2]

ローレンス・ウォン
2024年
シンガポールの旗 第4代シンガポール共和国首相
就任
2024年5月15日
大統領ターマン・シャンムガラトナム
代理官ヘン・スウィーキート英語版
ガン・キム・ヨン
前任者リー・シェンロン
シンガポールの旗 第11代財務大臣
就任
2021年5月15日
前任者ヘン・スウィーキート英語版
シンガポールの旗 副首相英語版
任期
2022年6月13日 – 2024年5月15日
首相リー・シェンロン
前任者ターマン・シャンムガラトナム
後任者ガン・キム・ヨン
シンガポールの旗 教育大臣
任期
2020年7月27日 – 2021年5月14日
首相リー・シェンロン
前任者オン・イェ・クン英語版
後任者チャン・チュンシン英語版
シンガポールの旗 国家開発大臣
任期
2015年10月1日 – 2021年5月14日
前任者カウ・ブーン・ワン英語版
後任者デスモンド・リー英語版
シンガポールの旗 文化・地域・青年大臣英語版
任期
2012年11月1日 – 2015年9月30日
前任者(創設)
後任者グレース・フー英語版
シンガポール国会議員
北西選挙区選出
就任
2015年9月11日
シンガポール国会議員
西海岸選挙区選出
任期
2011年5月7日 – 2015年8月24日
個人情報
生誕 (1972-12-18) 1972年12月18日(51歳)
シンガポールの旗 シンガポール
マリンパレード英語版
政党人民行動党
配偶者ルー・ツェ・ルイ
出身校ウィスコンシン大学マディソン校
ミシガン大学
ハーバード大学
署名
ローレンス・ウォン
繁体字 黃循財
簡体字 黄循财
発音記号
標準中国語
漢語拼音Huáng Xúncái
粤語
イェール粤拼Wòhng Chèuhnchòih
IPA[wɔ̏ːŋ tsʰɵ̏n.tsʰɔ̏ːy]
粤拼Wong⁴ Ceon⁴-coi⁴

経歴

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シンガポール東部のマリンパレードの集合住宅で、海南省からの移民家庭の長男として生まれ育つ[3]父は建築関係の営業マンで母は教師として働いていた[4]。幼少期は父の影響でギターの演奏に慣れ親しんでいる[5]。米国に留学する前はタンジョンカトン中等学校英語版ビクトリアジュニアカレッジ英語版に通っていた[6][7]。1994年に公共サービス委員会の奨学金の下でウィスコンシン大学マディソン校で経済学を専攻して理学士号を取得した[8]。1995年にミシガン大学で応用経済学の修士号を取得し、2004年にハーバード大学で行政学の修士号を取得[9][10]

ウォンは1997年8月に通商産業省(MTI)専属のエコノミストとして働き始めた[11]。1997年のアジア金融危機の始まりであり、通商産業省に在職中は地域経済とシンガポールへの影響に関する報告書の作成に携わった[12]。2002年1月に財務省に配属され、2004年7月から2008年9月まで保健省下の医療財務部長に就任。2008年9月にエネルギー市場局英語版の副CEOに就任し、2009年1月1日に同局のCEOとなった。

2011年のシンガポール総選挙で人民行動党所属の国会議員候補として出馬し、当選。2011年5月21日、ウォンは国防大臣と教育大臣に任命されたことで本格的に政界進出を果たした。2011年6月10日にシンガポール金融管理局の取締役会員に選出される[13]。2012年8月1日にはウォンが情報・通信・芸術担当国務大臣と教育担当上級国務大臣に就任。2012年11月1日、ウォンは文化・コミュニティ・青少年大臣代理、通信・情報担当国務大臣に任命された。2013年、ウォンは青少年コミュニティを促進するために、100万シンガポールドルの全国青少年基金の設立を発表した[14]。ウォンは2015年にシンガポール植物園がシンガポール初のユネスコ世界遺産に認定されるように推薦。2016年8月、国立芸術評議会は衛生センターに支払われる高い相談料について批判を集めた。シンガポールの芸術と遺産の慈善団体や公共人格機関への現金寄付を行えるように、文化マッキング基金を導入した[15]

シンガポールでのCOVID-19パンデミックの間、ウォンとガン・キム・ヨンは、状況を管理するために2020年1月に政府によって形成された多省庁委員会の共同議長に任命される。2020年3月26日、シンガポールのコロナウイルス治療に対応する医師を集めた講演で感情的になり、涙を流した[16]。2021年5月15日に行われた内閣改造の後、ウォンは教育大臣の職を辞し、財務大臣になった[17]。2022年6月後半、ウォンは低所得者や障害者や高齢者への救済を提供するために、さらに15億ドルの支援プランを発表[18]。2023年9月、ウォンは、シンガポールの世帯、特に低中所得世帯にさらなる救済を提供するために、さらに11億ドルの生活費の支援プランを発表[19]

2022年6月6日に内閣改造が発表され、ウォンは副首相に昇進し、リー・シェンロン首相(当時)の後継者としての地位を固めた[20]。2024年4月15日、首相官邸はローレンス・ウォンがリー・シェンロンの後任として首相に就任すると公式声明を出した[21]。ウォンは5月15日現地時間20時にイスタナで正式に首相就任宣誓を行った。1965年のシンガポール独立後に生まれた最初の首相となった[22]

脚注

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  1. ^ “シンガポール 20年ぶり首相交代へ リー・シェンロン氏退任表明”. NHK NEWSWEB. NHK. (2023年11月6日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231106/k10014248161000.html 2023年11月6日閲覧。 
  2. ^ Finance Minister Lawrence Wong endorsed as leader of 4G team: PM Lee” (英語). CNA. 14 April 2022時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  3. ^ MCCY – Ministry of Culture, Community and Youth, Speeches by Mr Lawrence Wong (6 November 2013). “Speech by Mr Lawrence Wong at the Hainan Culture and Heritage Centre's anniversary dinner cum book launch”. MCCY – Ministry of Culture, Community and Youth. オリジナルの1 September 2017時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170901115049/https://www.mccy.gov.sg/news/speeches/2013/Sept/New_Book_to_Honour_Nine_Hainanese_Who_Have_Contributed_Significantly_to_the_Society.aspx 1 September 2017閲覧。 
  4. ^ シンガポール初の“庶民派”首相誕生?いったいなぜ?”. NHK NEWS WEB (2024年5月20日). 2024年5月26日閲覧。
  5. ^ Correspondent, Goh Yan HanPolitical (15 April 2024). “7 things to know about Singapore's next prime minister Lawrence Wong” (英語). The Straits Times. ISSN 0585-3923. オリジナルの3 May 2024時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240503135625/https://www.straitstimes.com/singapore/politics/7-things-to-know-about-singapore-s-next-prime-minister-lawrence-wong 3 May 2024閲覧。 
  6. ^ VJC News”. 26 March 2018時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  7. ^ "I ran my first marathon in 1997. I have done two" – an interview with Lawrence Wong (Part 8)”. 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  8. ^ "Inspiring Excellence, Celebrating Distinction, Raising Competencies in the Financial Sector" – Speech by Mr Lawrence Wong, Acting Minister for Culture, Community and Youth; Board Member, Monetary Authority of Singapore at the FICS Distinction Evening on 28 May 2013” (英語). www.mas.gov.sg. 5 February 2023時点のオリジナルよりアーカイブ19 January 2021閲覧。
  9. ^ Lawrence Wong”. Prime Minister's Office Singapore. 20 August 2015時点のオリジナルよりアーカイブ18 August 2015閲覧。
  10. ^ Prime Minister Lee Hsien Loong announces Singapore's new Cabinet”. Channel NewsAsia (28 September 2015). 28 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ28 September 2015閲覧。
  11. ^ New chief executive at Energy Market Authority”. National Archives of Singapore. Ministry of Trade and Industry (28 March 2011). 27 March 2023時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  12. ^ Teng, Amelia (29 July 2020). “Big difference between textbook learning and the real world, says Education Minister Lawrence Wong”. The Straits Times. オリジナルの5 February 2023時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230205142139/https://www.straitstimes.com/singapore/education/big-difference-between-textbook-learning-and-the-real-world-says-education 17 August 2022閲覧。 
  13. ^ “Changes to MAS board of directors: Lawrence Wong steps down, Ong Ye Kung appointed”. The Straits Times. (29 August 2016). オリジナルの7 November 2016時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161107080327/http://www.straitstimes.com/business/economy/changes-to-mas-board-of-directors-lawrence-wong-steps-down-ong-ye-kung-appointed 2024年5月26日閲覧。 
  14. ^ New National Youth Fund to be set up: Lawrence Wong”. Channel News Asia. MediaCorp Pte Ltd. 24 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ20 August 2015閲覧。
  15. ^ Yong, Charissa (15 August 2016). “Consultant's study on bin centre part of extensive feasibility study”. The Straits Times. オリジナルの16 August 2017時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170816152840/http://www.straitstimes.com/politics/parliament-victoria-bin-centre-delivered-satisfactorily-and-at-acceptable-cost-says 16 August 2017閲覧。 
  16. ^ “Parliament: Teary-eyed Lawrence Wong pays tribute to front-line workers and other unsung heroes in coronavirus fight”. The Straits Times. (25 March 2020). オリジナルの27 March 2020時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200327042457/http://www.straitstimes.com/politics/singapore-coronavirus-task-force-chief-lawrence-wong-weeps-in-parliament 2024年5月26日閲覧。 
  17. ^ Changes to Cabinet and Other Appointments (April 2021)”. Prime Minister's Office (23 April 2021). 23 April 2021時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  18. ^ $1.5 billion Support Package to Provide Targeted Relief for Lower-Income Households and Vulnerable Groups” (英語). MOF (21 June 2022). 26 March 2024時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  19. ^ $1.1 billion Cost-of-Living Support Package to Provide More Relief for Singaporean Households, Especially for Lower- to Middle-Income Families” (英語). MOF (28 September 2023). 26 January 2024時点のオリジナルよりアーカイブ9 April 2024閲覧。
  20. ^ Lawrence Wong promoted to Deputy Prime Minister in Singapore Cabinet reshuffle”. CNA (6 June 2022). 20 May 2023時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月26日閲覧。
  21. ^ Lawrence Wong to take over as Singapore Prime Minister from Lee Hsien Loong on May 15”. CNA (15 April 2024). 15 April 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月26日閲覧。
  22. ^ Lawrence Wong sworn in as fourth Prime Minister of Singapore” (英語). AsiaOne (15 May 2024). 15 May 2024閲覧。

外部リンク

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公職
先代
リー・シェンロン
  シンガポール共和国首相
第4代:2024年 -
次代
(現職)
先代
ヘン・スウィーキート英語版
  シンガポール共和国財務大臣
2021年 -
次代
(現職)
先代
ヘン・スウィー・キート
  シンガポール共和国副首相
2022年 - 2024年
次代
ガン・キム・ヨン
先代
オン・イェ・クン英語版
  シンガポール共和国教育大臣
2020年 - 2021年
次代
チャン・チュンシン英語版
先代
カウ・ブーン・ワン英語版
  シンガポール共和国国家開発大臣
2015年 - 2021年
次代
デスモンド・リー英語版
先代
(創設)
  シンガポール共和国文化・地域・青年大臣
2012年 - 2015年
次代
グレース・フー英語版