ロブスター (映画)
『ロブスター』(原題:The Lobster)は、ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス合作の2015年のSF恋愛映画。監督はヨルゴス・ランティモス。同監督初の英語作品であり、第68回カンヌ国際映画祭において審査員賞を受賞している。
ロブスター | |
---|---|
The Lobster | |
監督 | ヨルゴス・ランティモス |
脚本 |
ヨルゴス・ランティモス エフティミス・フィリップ |
製作 |
ヨルゴス・ランティモス セシー・デンプシー エド・ギニー リー・マギデイ |
製作総指揮 |
サム・ラヴェンダー アンドリュー・ロウ |
出演者 |
コリン・ファレル レイチェル・ワイズ ジョン・C・ライリー ベン・ウィショー ジェシカ・バーデン オリヴィア・コールマン レア・セドゥ |
撮影 | ティミオス・バカタキス |
編集 | ヨルゴス・モヴロプサリディス |
製作会社 |
Faliro House Productions Haut et Court Element Pictures Lemming Film Scarlet Films |
配給 |
Feelgood Entertainment Haut et Court Element Pictures De Filmfreak Picturehouse Entertainment ファインフィルムズ |
公開 |
2015年5月15日(カンヌ国際映画祭) 2015年10月16日 2015年10月22日 2015年10月28日 2016年3月5日 |
上映時間 | 118分[1] |
製作国 |
ギリシャ フランス アイルランド オランダ イギリス |
言語 |
英語 フランス語 |
製作費 | €4,000,000[2] |
興行収入 | $5,500,000[3] |
ストーリー
編集家庭を持ち、子孫を残すことが義務付けられた近未来。妻に捨てられてしまった男デイヴィッドは街のルールに従い、はずれにあるホテルへと送られる。そこでは45日以内に自分の配偶者となる人を見つけなければならず、見つけられなかった場合は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていた。ホテルの支配人に、「なりたい動物」を聞かれたデイヴィッドは、ロブスターと応える。 デイヴィッドは他の参加者と共に配偶者となる人を見つけようとするがうまくいかず、独身者の暮らす森へと逃げ込む。森では独身者のリーダーが決めた「恋愛禁止」のルールがあったが、彼はそれを破り、独身者の一人である"近眼の女"と恋に落ちてしまう[4][5]。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替
- デヴィッド - コリン・ファレル(竹内想)
- 近視の女 - レイチェル・ワイズ(浅井晴美)
- 独身者たちのリーダー - レア・セドゥ(勝田詩織)
- メイド - アリアーヌ・ラベド(笹島かほる)
- 滑舌の悪い男(ロバート) - ジョン・C・ライリー(菊池康弘)
- 足の悪い男(ジョン) - ベン・ウィショー(長谷部忠)
- 鼻血を出す女 - ジェシカ・バーデン
- ホテルのマネージャー - オリヴィア・コールマン
- 薄情な女 - アンゲリキ・パプリア
- 独身者 - マイケル・スマイリー
- 医者 - ロジャー・アシュトン=グリフィス
- ホテルの警備員 - イーウェン・マッキントッシュ
製作
編集本作品の主要撮影は2014年3月24日に始まり、同年5月9日に終了した。撮影は全てアイルランドのダブリンとケリー県で行われた[6][7][8][9]。
主演のコリン・ファレルは役作りのために40ポンド増量した[10]。
ジェイソン・クラークが主役にキャスティングされていたが、スケジュールの都合で降板した[11][12]。
マーケティングと配給
編集2014年5月、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントがオーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパおよび南米における本作品の映画配給権を獲得したことが発表され、それに伴い、主演のコリン・ファレル、ジョン・C・ライリー、ベン・ウィショーら3人が登場するシーンのスチル写真が公開された[13][14]。
翌2015年にはアルケミー社がアメリカでの映画配給権を獲得し、2016年3月11日に公開することが決定された[15][16]。
その後、アルケミーの財政難により、代わりにA24がアメリカでの配給権を獲得した[17]。 それにより、公開日が2016年5月13日に変更された[18]。
公開後の反応
編集批評
編集映画批評集積サイトRotten Tomatoesは55件もの批評家達からのレビューに基づき、満足度91%、平均スコア7.6/10という評価を下した。サイトでは批評家の総意として、本作品を「野心的でぞっとするほど奇妙であり、間違いなく見るたびに好きになっていく作品だ」としたうえで、「ヨルゴス・ランティモスの風変わりな感性が観客に理解されるためには、この作品が健全で映画として楽しめるものであることを示す必要がある」と評している[19]。Metacriticでは11件もの批評家からのレビューを基に80/100の加重平均値を打ち出し、サイトではおおむね好意的なレビューが寄せられた[20]。
受賞とノミネート
編集映画祭・賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
---|---|---|---|
第18回英国インディペンデント映画賞[21][22] | 作品賞 | ロブスター | ノミネート |
監督賞 | ヨルゴス・ランティモス | ノミネート | |
主演男優賞 | コリン・ファレル | ノミネート | |
助演男優賞 | ベン・ウィショー | ノミネート | |
助演女優賞 | オリヴィア・コールマン | 受賞 | |
製作者賞 | セシー・デンプシー、エド・ギニー、リー・マギデイ、ヨルゴス・ランティモス | ノミネート | |
脚本賞 | エフティミス・フィリップ、ヨルゴス・ランティモス | ノミネート | |
第68回カンヌ国際映画祭[23][24] | パルム・ドール | ロブスター | ノミネート |
審査員賞 | ロブスター | 受賞 | |
クィア・パルム - 特別表彰 | ロブスター | 受賞 | |
パルム・ドッグ賞 - 審査員賞 | ボブ | 受賞 | |
ロンドン映画批評家協会賞[25] | 作品賞 | ロブスター | ノミネート |
男優賞 | コリン・ファレル | ノミネート | |
助演女優賞 | オリヴィア・コールマン | ノミネート | |
第19回オンライン映画批評家協会賞[26][27] | 非アメリカ映画作品賞 | ロブスター | 受賞 |
ロッテルダム国際映画祭[28] | ARTE International Prize for Best CineMart 2013 Project | ロブスター | 受賞 |
第74回ゴールデングローブ賞[29] | 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) | コリン・ファレル | ノミネート |
出典
編集- ^ “THE LOBSTER”. British Board of Film Classification. 2015年12月31日閲覧。
- ^ “Les Arcs celebrates diverse crop of Ireland films”. Screen Daily (2014年12月21日). 2015年12月31日閲覧。
- ^ “The Lobster ‐ International Box Office Result ‐ Box Office Mojo”. Box Office Mojo. 2015年12月31日閲覧。
- ^ “伴侶が見つけられなければ、動物にさせられる映画とは?”. シネマトゥデイ (2015年11月4日). 2015年12月31日閲覧。
- ^ “独身者は矯正施設へ送られ、45日以内にカップルになれないと動物に変えられてしまう…『ロブスター』映像公開”. シネマトゥデイ (2015年12月29日). 2015年12月31日閲覧。
- ^ “Colin Farrell, Rachel Weisz to Star in Yorgos Lanthimos’ ‘The Lobster’”. Variety (2014年2月3日). 2016年1月2日閲覧。
- ^ “Colin Farrell's arrival gets quiet village dreaming of its own 'Quiet Man'”. Irish Independent (2014年3月25日). 2016年1月2日閲覧。
- ^ “Minister Deenihan visits set of ‘Lobster’ on final day of filming in Kerry”. Coillte (2014年5月2日). 2014年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月2日閲覧。
- ^ “What a happy set! Colin Farrell and Rachel Weisz share a laugh in between scenes as they film The Lobster in Dublin”. Daily Mail Online (2014年5月6日). 2016年1月2日閲覧。
- ^ “コリン・ファレル、役作りで“2か月20キロ増”! その方法が衝撃的”. cinemacafe.net (2016年5月12日). 2023年9月16日閲覧。
- ^ Tartaglione, Nancy (2013年10月23日). “Jason Clarke & Léa Seydoux Feast On ‘The Lobster’ From Greece’s Yorgos Lanthimos” (英語). Deadline. 2023年9月16日閲覧。
- ^ Tartaglione, Nancy (2014年2月3日). “Berlin: ‘The Lobster’ Nets Rachel Weisz, Colin Farrell” (英語). Deadline. 2023年9月16日閲覧。
- ^ “Sony Acquires ‘The Lobster’”. The Irish Film & Television Network (2014年5月12日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “First Look: Colin Farrell, Ben Whishaw & John C. Reilly In Yorgos Lanthimos' 'The Lobster'”. Indiewire (2014年5月9日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “Alchemy Catches ‘The Lobster:’ – Cannes”. Deadline (2015年5月20日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “The 17 Best Films of 2016 We've Already Seen”. Indiewire (2015年12月31日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ Siegel, Tatiana (2016年2月16日). “‘The Lobster’ Moves to A24 Amid Alchemy Struggles (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. 2023年9月16日閲覧。
- ^ McNary, Dave (2016年3月16日). “Colin Farrell-Rachel Weisz Comedy ‘The Lobster’ Set for May Release” (英語). Variety. 2023年9月16日閲覧。
- ^ “The Lobster (2015)”. Rotten Tomatoes. 2016年1月13日閲覧。
- ^ “The Lobster”. Metacritic. 2016年1月13日閲覧。
- ^ “The Lobster on a roll with seven British independent awards nominations”. The Guardian (2015年11月3日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “‘Ex Machina,’ ‘Room’ Win Big at British Independent Film Awards”. The Wrap (2015年12月6日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “Cannes 2015: Jacques Audiard's Dheepan wins the Palme d'Or - as it happened”. The Guardian (2015年5月25日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “Cannes: 'Dheepan' Wins the Palme d'Or”. The Hollywood Reporter (2015年5月24日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “‘Carol,’ ’45 Years’ and Tom Hardy Lead London Critics’ Nominations” (2015年12月15日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “2015 Awards (19th annual)”. Online Film Critics Society. 2016年1月13日閲覧。
- ^ “‘Mad Max: Fury Road’ Wins Best Picture of 2015 From Online Film Critics Society”. Variety (2015年12月13日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “Lanthimos Wins Rotterdam’s CineMart Prize”. Greek Reporter Europe (2013年2月1日). 2016年1月13日閲覧。
- ^ “ゴールデン・グローブ賞ノミネーション発表!『ラ・ラ・ランド』が最多7部門(1/3)”. シネマトゥデイ. (2016年12月12日) 2016年12月13日閲覧。