ルイーズ・グリュック

アメリカの詩人、エッセイスト (1943-2023)

ルイーズ・エリザベス・グリュック[注 1]Louise Elisabeth Glück [glɪk][1][2], 1943年4月22日 - 2023年10月13日)は、アメリカ合衆国詩人エッセイスト2020年ノーベル文学賞を受賞した[3][4]

ルイーズ・グリュック
Louise Glück
ルイーズ・グリュック(c. 1977)
誕生 Louise Elisabeth Glück
(1943-04-22) 1943年4月22日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク
死没 (2023-10-13) 2023年10月13日(80歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州
職業 詩人エッセイスト教授
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
教育 サラ・ローレンス大学
コロンビア大学
活動期間 1968年 - 2023年
代表作 The Triumph of Achilles (1985年)
The Wild Iris (1992年)
主な受賞歴 ピューリッツァー賞 詩部門 (1993年)
全米図書賞 (2014年)
ノーベル文学賞 (2020年)
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2020年
受賞部門:ノーベル文学賞
受賞理由:厳粛な美によって個人の存在を普遍的なものとした、その紛う方無き詩的な声に対して

経歴

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ニューヨーク生まれ[注 2][5][6]ハンガリー系ユダヤ人の父、ロシア系ユダヤ人の子である母を持つ[7]。幼年時代をロングアイランドで過ごす。サラ・ローレンス大学コロンビア大学に学ぶが、拒食症を患い休学し、治療に専念する[8]。その後、コロンビア大学の夜間コースに復学し、レオニー・アダムス(en)やスタンリー・クニッツの指導を受けた[8]

幼少時からウィリアム・ブレイクなどのイギリス・ロマン派ギリシア神話に親しみ、20世紀の詩人ではT・S・エリオットウィリアム・バトラー・イェイツの影響を受けた[9]

1968年に初の詩集『第一子(Firstborn)』を発表。その後次々と詩集を発表し注目される[8]1992年に出版した『野生のアイリス(The Wild Iris)』はピュリッツァー賞を受賞した。グリュックの詩は広く西洋の童話や詩史、神話、聖書に題材を取り[8]1985年出版の『アキレスの勝利(The Triumph of Achilles)』以降、聖書や神話と個人の経験を重ね合わせることで詩集全体に一つの物語性を持たせる技法を積極的に用いるようになり、個人の苦悩に普遍性を炙り出す手法は後続の詩人らに大きな影響を与えることとなった[10]

2003年10月から1年間、アメリカの桂冠詩人(Poet Laureate Consultant)の栄誉を受け[8]アメリカ合衆国国会図書館の詩部門の顧問を務めた。コロンビア大学、ボストン大学アイオワ大学カリフォルニア大学バークレー校などで教鞭をとり、2004年にそれまで20年間教えていたウィリアムズ大学から、招聘作家としてイェール大学へ移り創作を教える[11]

詩の日本語翻訳としては、 D.W.ライト、沢崎順之助江田孝臣、森邦夫による『アメリカ現代詩101人集』(共訳、思潮社、2000年8月)や、小林愛明、山中章子、関根路代、池上俊彦による「ルイーズ・グルック――略伝と作品の特徴、ならびに詩の翻訳 (1)」(共著、2018年3月、獨協大学大学院外国語学研究科『英語文化研究』、第51号)等で、その一部が紹介されている。

2023年10月13日、がんのためマサチューセッツ州の自宅で死去[12]。80歳没。

受賞歴

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邦訳作品

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単行本

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アンソロジー

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  • 「朝」「子守歌」(江田孝臣訳)in『アメリカ現代詩101人集』D・W・ライト編、思潮社、1999年

主要作品

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  • Firstborn, 1968
  • The House on Marshland, 1975
  • Descending Figure, 1980
  • The Triumph of Achilles, 1985
  • Ararat, 1990
  • The Wild Iris, 1992
  • Meadowlands, 1997
  • Vita Nova, 1999
  • The Seven Ages, 2001
  • Averno. Farrar, 2006
  • A Village Life. Farrar, 2009.
  • Poems: 1962–2012, 2012
  • Faithful and Virtuous Night, 2014.

脚注

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注釈

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  1. ^ グリックの表記もある
  2. ^ 父方の祖父は1868年9月7日生まれのグリュック・ヘンリク (ハンガリー語: Glück Henrik [ˈɡlykːk ˈhɛɴrik])、その妻、つまり父方の祖母は1873年生まれのモシュコヴィッツ・テレーズィア (ハンガリー語: Moskovitz Terézia [ˈmoʃkovit͡s ˈtɛre̝ːziɒ])。2人ともオーストリア=ハンガリー君主国を構成するハンガリー王国ビハル城県エールミハーイファルヴァ市 (Érmihályfalva [ˈe̝ːrmihɑ̈ːjfɒlvɒ])(現在ルーマニア領。ルーマニア語名ヴァレァ・ルイ・ミハイ (Valea lui Mihai [ˈvale̯a luj miˈhaj])。現在も人口の 81 % はハンガリー人)生まれのハンガリー系ユダヤ人だった。2人が結婚したのは1892年頃だったと推定されている。曽祖父もグリュック・ヘンリクであった。グリュック夫妻は1900年12月にニューヨークに移住した。ヘンリクは葉巻工場で働き、1913年1月27日に米国に帰化申請した。記録によればグリュック夫妻には6人の子供が生まれたが、ルイーズの父親となるグリュック・ダーニエル (ハンガリー語: Glück Dániel [ˈɡlykːk ˈdɑ̈ːniɛl]) は1905年7月28日にニューヨークで生まれている。

出典

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  1. ^ Louise Glück wins Nobel Prize for Literature”. BBC (October 11, 2020). October 8, 2020閲覧。
  2. ^ Say How? – National Library Service for the Blind and Print Disabled”. Library of Congress. October 11, 2020閲覧。
  3. ^ 日本放送協会. “ノーベル文学賞にアメリカの詩人 ルイーズ・グリュック氏”. NHKニュース. 2020年10月10日閲覧。
  4. ^ “ノーベル文学賞に米国の詩人ルイーズ・グリュック氏 「ワイルド・アイリス」「忠実で高潔な夜」” (jp). Mainichi Daily News. (2020年10月8日). https://mainichi.jp/articles/20201008/k00/00m/030/271000c 2020年10月10日閲覧。 
  5. ^ https://www.szombat.org/tortenelem/az-ertol-az-oceanig-a-nobel-dijas-louise-e-gluck-magyar-gyokerei
  6. ^ https://www.facebook.com/geza.szabo.5201/posts/681173829066958
  7. ^ ノーベル文学賞2020年、裏読み解説 今年の授賞の謎ときに挑む(鴻巣友季子) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2021年1月17日閲覧。
  8. ^ a b c d e 陳育虹「思考の風格 ルイーズ・グリュックをめぐって」『現代詩手帖 2020年11月号』所収
  9. ^ 江田孝臣「ルイーズ・グリュック紹介」『現代詩手帖 2021年2月号』所収
  10. ^ 吉田恭子(2020)「ルイーズ・グリュック 「わたし」と対峙する詩人」『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』所収、書肆侃侃房
  11. ^ 木村淳子 (2005). “ルイーズ・グリック:花の声、人の声”. 北海道武蔵女子短期大学紀要 37: 45 - 62. 
  12. ^ ルイーズ・グリュックさん死去 ノーベル文学賞の米詩人、80歳”. 時事ドットコム (2023年10月14日). 2023年10月14日閲覧。

関連項目

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