リン酸水素二ナトリウム
リン酸二ナトリウム (Disodium phosphate:DSP)またはリン酸水素二ナトリウム (sodium hydrogen phosphate)は、化学式Na2HPO4で表される無機化合物である。3種類あるナトリウムのリン酸塩の中の1つである。この塩は、無水物と2、7、8、12の水和物が知られており、全て水溶性の白い粉末である。無水物は吸湿性がある[1]。
リン酸水素二ナトリウム | |
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リン酸水素二ナトリウム | |
別称 オルトリン酸水素二ナトリウム リン酸水素ナトリウム 二塩基リン酸ナトリウム リン酸二ナトリウム | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7558-79-4 , 10028-24-7 (2水和物) , 7782-85-6 (7水和物) , 10039-32-4 (12水和物) |
PubChem | 24203 |
ChemSpider | 22625 |
UNII | 22ADO53M6F |
EC番号 | 231-448-7 |
E番号 | E339(ii) (酸化防止剤およびpH調整剤) |
ChEBI | |
ChEMBL | CHEMBL1060 |
RTECS番号 | WC4500000 |
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特性 | |
化学式 | Na2HPO4 |
モル質量 | 141.96 g/mol (無水物) 268.07 g/mol (7水和物) |
外観 | 白い結晶性の固体 |
匂い | 無臭 |
密度 | 1.7 g/cm3 |
融点 |
250 °C, 523 K, 482 °F (分解) |
水への溶解度 | 7.7 g/100 ml (20 °C) 11.8 g/100 mL (25 °C, 7水和物) |
溶解度 | アルコールに不溶 |
log POW | -5.8 |
酸解離定数 pKa | 12.35 |
屈折率 (nD) | 1.35644..1.35717 at 20°C |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC 1129 |
主な危険性 | 刺激性 |
NFPA 704 | |
引火点 | 不燃性 |
半数致死量 LD50 | 17000 mg/kg (ラット、経口) |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 亜リン酸水素二ナトリウム |
その他の陽イオン | リン酸水素二カリウム リン酸二アンモニウム |
関連物質 | リン酸二水素ナトリウム リン酸三ナトリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酸・塩基としての性質
編集リン酸水素二ナトリウムの溶液のpHは8.0から11.0の間であり、弱塩基である。
調製と反応
編集工業的には次の2つのステップを経て合成される。まず リン酸水素カルシウムと 硫酸水素ナトリウムを反応させ、リン酸二水素ナトリウムと硫酸カルシウムを作る[2]
次に、それを水酸化ナトリウムで部分的に中和する。
利用
編集リン酸水素二ナトリウムは食品中のリン酸ナトリウムと水の軟化剤を混合するために用いられる。食品内ではpH調整剤として用いられる。コンデンスミルクの調整時に、牛乳が凝固するのを防ぐ働きがある。また同様に、固化防止剤としても用いられる[3]。例えばプリンなどのデザートで調理時間を短くするために用いられるクリーム・オブ・ウィートや、 ジェル-Oのインスタント・プリンで増粘安定剤として用いられている。また、洗剤中の カルシウムが固まって目詰まりするのを遅らせる効果もある[2]。
リン酸水素二ナトリウムを加熱すると脱水縮合し、二リン酸ナトリウムが得られる。
リン酸水素ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムは便秘を治したり、大腸内視鏡検査の前に腸をきれいにしたりするために経口腸管洗浄剤として用いられる[4]。
脚注
編集- ^ Physical data (pdf)
- ^ a b Klaus Schrödter, Gerhard Bettermann, Thomas Staffel, Friedrich Wahl, Thomas Klein, Thomas Hofmann "Phosphoric Acid and Phosphates" ウルマンの産業化学百科事典 2008年 ウィリー-VCH ヴァインハイム. doi:10.1002/14356007.a19_465.pub3
- ^ MSDS
- ^ Sodium Phosphate, Dibasic, Sodium Phosphate, Monobasic Oral solution - Krames Online