メンタン
メンタン (menthane) はテルペンの一種で、精油中など天然に存在する有機化合物である。無色の液体で、フェンネル様の芳香を持つ。p-メンタン骨格は多くのテルペン類の母体である。
p-メンタン | |
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trans-メンタン
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cis-メンタン
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1-isopropyl-4-methylcyclohexane | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 99-82-1 |
PubChem | 7459 |
ChemSpider | 7179 |
UNII | CGW5GN8TXU |
EC番号 | 202-790-4 |
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特性 | |
化学式 | C10H20 |
モル質量 | 140.27 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
密度 | 0.8086 g/cm3 |
沸点 |
168℃ |
その他溶媒への溶解度 | 有機溶媒に溶ける |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
構造
編集p-メンタンはシクロヘキサン環の1位と4位にメチル基とイソプロピル基が置換した構造を持ち、それらの向きが異なるシスとトランスの異性体が存在する。天然物も合成品もそれら二つの異性体の混合物である。また、置換基の位置が違う異性体として m-メンタン、o-メンタンがあるが、これらは天然にはみられず、利用価値にも乏しい。
合成
編集p-メンタンはグロブルスユーカリ (Eucalyptus globulus) の果実などの精油から得られる。工業的には、リモネン、テルピネオール、シメンなどを水素化することによって合成される[1]。
おもな誘導体
編集不飽和誘導体
編集- リモネン - p-メンタ-1,8-ジエン。香料、溶剤。
- シメン - メンタンを脱水素した芳香族化合物。香料、化成品原料。
- テルピネン、テルピノレン - 香料。
- α-フェランドレン - p-メンタ-1,5-ジエン。
アルコール誘導体
編集- メントール - p-メンタン-3-オール。清涼剤、医薬品。
- テルピネオール - p-メンタ-1-エン-8-オールなど。香料。
- イソプレゴール - p-メンタ-8-エン-3-オール。
- カルベオール - p-メンタ-1(6),8-ジエン-2-オール。
- テルピン - p-メンタン-1,8-ジオール。
- p-メンタン-3,8-ジオール - ユーカリの葉に含まれる生理活性物質。蚊の忌避効果がある[2]。
カルボニル化合物
編集- ペリルアルデヒド - p-メンタ-1,8-ジエン-7-アール。シソの芳香。
- メントン - p-メンタン-3-オン。香料、化粧品。
- プレゴン - p-メンタ-4(8)-エン-3-オン。
- カルボン - p-メンタ-1(6),8-ジエン-2-オン。香料。
その他
編集参考文献
編集- ^ Eggersdorfer, M. (2003). "Terpenes" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Wiley: Weinheim, p. 658.
- ^ 鳥居鎮夫『アロマテラピーの科学 普及版』朝倉書店、2011年、80頁。ISBN 978-4-254-30109-0。