シネオール (cineole)、別名ユーカリプトール (eucalyptol) は天然に存在する有機化合物で、環状エーテル構造を持つモノテルペノイドの一種である。1,8-シネオールリモネンオキシドカジェプトール (cajeptol) とも呼ばれる。 消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する[1]

シネオール
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識別情報
CAS登録番号 470-82-6 チェック
PubChem 2758
ChemSpider 2656 チェック
UNII RV6J6604TK チェック
EC番号 207-431-5
DrugBank DB03852
KEGG D04115 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL485259 チェック
2464
バイルシュタイン 105109 5239941
Gmelin参照 131076
特性
化学式 C10H18O
モル質量 154.249 g/mol
密度 0.9225 g/cm3
融点

2.9℃

沸点

176~177℃

磁化率 −116.3×10−6 cm3/mol
危険性
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性水生環境への有害性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H226, H304, H315, H317, H319, H411
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P272, P273, P280, P301+310, P302+352, P303+361+353
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

性状

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無色から淡黄色澄明の液体で、樟脳に似たさわやかな匂いとすっきりした味を持つ。大気に触れると次第に褐色を呈し、一部樹脂化する[2]

IUPAC系統名は、p-メンタンから誘導すると1,8-エポキシ-p-メンタン (1,8-epoxy-p-menthane) である。

存在

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ユーカリ属 (Eucalyptus) の植物、例えばユーカリ・ポリブラクテア (E. polybractea) などの精油に90%程度まで含まれる[3]。これはユーカリプトールの名称の由来となっている。ローリエヨモギバジリコニガヨモギローズマリーセージなどの葉からも見出される。ユーカリ精油を蒸留すると99.6%から99.8%の純度のものが得られる。

用途

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シネオールを含む坐剤、呼吸器系疾患に対して使われる

こころよい芳香と味を持つことから、食品添加物・香料・化粧品に利用される[4]。口中清涼剤やせき止めにも配合される。炎症や痛みを和らげる作用があるとされる[要出典]。また、白血病細胞を殺す作用を持つ[5]、あるいは副鼻腔炎の治療に効果があると報告されている[6]

シタバチ類英語版のオスはシネオールなどのテルペノイドを集める習性を持ち、これはフェロモンの合成に利用しているのではないかと考えられている。研究目的でシタバチ類を捕集する際にはシネオールが使われる[7]

ユーカリ精油はチリダニの駆除に有効であるとされている[8]

ティーツリー精油を医療用に使う場合には、シネオールには粘膜と皮膚への刺激があるため少ない方がよく、高品質なものではシネオールの含有量は5%未満となる[9]

出典

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  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 「ロワチンカプセル医薬品インタビューフォーム」扶桑薬品工業、2007年8月改訂、p4
  3. ^ Boland, D.J.; Brophy, J.J.; House, A. P. N. (1991). Eucalyptus Leaf Oils, p. 23. ISBN 0-909605-69-6.
  4. ^ 食品衛生法第10条に基づき指定される食品添加物である(食品衛生法施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第23号)
  5. ^ Moteki, H.; Hibasami, H.; Yamada, Y.; Katsuzaki, H.; Imai, K.; Komiya, T. (2002). "Specific induction of apoptosis by 1,8-cineole in two human leukemia cell lines, but not a in human stomach cancer cell line." Oncol. Rep. 9: 757–760. PMID 12066204.
  6. ^ Kehrl, W.; Sonnemann, U.; Dethlefsen, U. (2004). "Therapy for acute nonpurulent rhinosinusitis with cineole: results of a double-blind, randomized, placebo-controlled trial." Laryngoscope 114: 738–742. PMID 15064633.
  7. ^ Schiestl, F. P.; Roubik, D. W. (2004). "Odor compound detection in male euglossine bees." J. Chem. Ecol. 29: 253-257. PMID 12647866.
  8. ^ Asthma Topics for Consumers, Asthma Foundation of Victoria.
  9. ^ ジュリア・ローレス 著、川口健夫、川口香世子 訳『ティートリー油』フレグランスジャーナル社〈精油の科学と使用法シリーズ3〉、1998年(原著1994年)、30-31頁。ISBN 4-938344-93-9