ミミウイルス (Acanthamoeba polyphaga mimivirus) は、1992年アカントアメーバの中で発見されたウイルスである。2011年10月中旬にチリでメガウイルス・キレンシス (Megavirus chilensis) が発見されるまではウイルスの中で最も大きなものとされていた[1]

ミミウイルス
ミミウイルスの構造
ミミウイルスの構造
分類
レルム : ウァリドナウィリア Varidnaviria
: バンフォルドウイルス界 Bamfordvirae
: 巨大核質DNAウイルスNucleocytoviricota
: メガウイルス綱 Megaviricetes
: イミテルウイルス目 Imitervirales
: ミミウイルス科 Mimiviridae
: ミミウイルス属 Mimivirus
: ミミウイルス Acanthamoeba polyphaga mimivirus

本種のみでミミウイルス属を構成する。上位のミミウイルス科には複数の種が発見されており、近縁の種にママウイルス (Mamavirus) が存在する。グラム陽性菌に「化けて (mimick)」いたという意味で命名された[2]

概要

編集

ミミウイルスは、直径がおよそ750nmあり、20面体のカプシド内に脂質二重膜で覆われたDNAがあり、このカプシドを毛状構造が覆う形状を持つ [3]

また、ゲノムサイズはおよそ120万塩基対、遺伝子数は980あり[4]巨大核質DNAウイルスの一つに数えられる。

発見

編集

1992年、イングランドウェスト・ヨークシャーブラッドフォードにある病院の冷却水から、肺炎の原因菌を調査中に発見された[5][6]。この時は、ブラッドフォード球菌と名付けられたが、その後の調査によりリボソームRNAを持たないことが判明、2003年にサイエンス誌に発表された論文において、ミミウイルスMimivirus)と名付けられた [7]

参考文献

編集
  • 武村政春 (2015), 巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト, 講談社ブルーバックス, ISBN 978-4-06-257902-5 

出典・脚注

編集
  1. ^ 南米チリ沖で世界最大の「メガウイルス」発見”. AFP BBNEWS (2011年10月11日). 2015年11月1日閲覧。
  2. ^ Wessner, D R (2010). “Discovery of the Giant Mimivirus”. Nature Education 3 (9): 61. http://www.nature.com/scitable/topicpage/discovery-of-the-giant-mimivirus-14402410 2012年1月7日閲覧。. 
  3. ^ 武村政春 2015, p. 21-22.
  4. ^ 武村政春 2015, p. 37.
  5. ^ 緒方博之. “巨大ウイルスから見える新たな生物界の姿”. 生命誌ジャーナル. 2021年12月4日閲覧。
  6. ^ 武村政春 2015, p. 14-15.
  7. ^ 武村政春 2015, p. 20.