マネー・ショート 華麗なる大逆転
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(マネー・ショート かれいなるだいぎゃくてん、The Big Short)は、2015年のアメリカ合衆国のドラマ映画。
マネー・ショート 華麗なる大逆転 | |
---|---|
The Big Short | |
監督 | アダム・マッケイ |
脚本 |
チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ |
原作 |
マイケル・ルイス 『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』 |
製作 |
デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー アーノン・ミルチャン ブラッド・ピット |
製作総指揮 |
ルイーズ・ロズナー=マイヤー ケヴィン・メシック |
出演者 |
クリスチャン・ベール スティーヴ・カレル ライアン・ゴズリング ブラッド・ピット |
音楽 | ニコラス・ブリテル |
撮影 | バリー・アクロイド |
編集 | ハンク・コーウィン |
製作会社 |
リージェンシー・エンタープライズ プランBエンターテインメント |
配給 |
パラマウント映画 東和ピクチャーズ |
公開 |
2015年12月11日 2016年3月4日 |
上映時間 | 130分[1] |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $28,000,000[2] |
興行収入 |
$133,440,870[2] $70,259,870[2] 5億8000万円[3] |
監督はアダム・マッケイ、出演はクリスチャン・ベール、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピットなど。マイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(2010年刊行)を原作としている。
ストーリー
編集2004年から2006年にかけて、アメリカ合衆国では住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家たちがそうした金融商品を買いあさる中で、いち早くバブル崩壊の兆しを読み取った投資家もいた。本作はそんな彼らがどのようにしてサブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げたのかを描き出す。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[5]
- 元神経科医の金融トレーダー。ヘヴィメタル好きで、常にTシャツ・短パン・裸足の変わり者。
- フロントポイント・パートナーズのリーダー。モデルはスティーヴ・アイズマン。
- ジャレド・ベネット - ライアン・ゴズリング[6](福田賢二)
- ドイツ銀行の行員。モデルはグレッグ・リップマン。
- 引退したトレーダー。ジェイミーとチャーリーに協力する。モデルはベン・ホケット。
- 若手個人投資家。モデルはチャーリー・レドリー。
- ジェイミー・シプリー - フィン・ウィットロック[7](中村章吾)
- 若手個人投資家。ベンの隣人。モデルはジェイミー・マイ。
- バウムのチームの一員。
- ヴィニー・ダニエル(ヴィンセント・ダニエル) - ジェレミー・ストロング(根本泰彦)
- バウムのチームの一員。
- ポーター・コリンズ - ハミッシュ・リンクレイター(宮本克哉)
- バウムのチームの一員。
- テッド・ジャン - スタンリー・ワン[8]
- モデルはユージーン・スー。
- マーク・バウムの妻。モデルはヴァレリー・フェイゲン。
- モデルはウィン・チャウ。
- ジョージア・ヘイル - メリッサ・レオ(有川知江)
- キャシー・タオ - アデペロ・オデュイエ
- クリス - ジェフリー・グリフィン
- ローレンス・フィールズ - トレイシー・レッツ
- イーヴィ - カレン・ギラン
- 住宅ローン・ブローカー - マックス・グリーンフィールド
- 住宅ローン・ブローカー - ビリー・マグヌッセン
- 本人役 - マーゴット・ロビー[9](兼田奈緒子)
- 本人役 - セレーナ・ゴメス[9](兼田奈緒子)
- 本人役 - リチャード・セイラー[9][10]
- 本人役 - アンソニー・ボーディン[9]
製作
編集構想
編集2013年、パラマウント映画はマイケル・ルイスのノンフィクション本『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』の映画化権を取得し、ブラッド・ピットが代表を務めるプランBエンターテインメントが製作を担当することになった[11]。2014年3月24日、アダム・マッケイが本作のメガホンをとり、脚色も担当することになったと報じられた[12]。なお、脚本の初稿はチャールズ・ランドルフが執筆した[13]。
キャスティング
編集2015年1月13日、ブラッド・ピット、クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリングの3人が本作に出演すると報じられた。また、デデ・ガードナーが本作のプロデューサーを務めることも決まった[14]。14日、スティーヴ・カレルが本作に出演すると報じられた[15]。4月21日、残りの主要キャストが公表された[13]。23日、マックス・グリーンフィールドの出演も決まった[16]。5月8日、カレン・ギランが自身のTwitterで本作に出演することを明かした[17]。
撮影
編集2015年3月18日、本作の主要撮影がルイジアナ州ニューオーリンズで始まった[18]。5月20日、マンハッタンに移って撮影が続行された[19]。22日にはニューヨーク州金融サービス局のオフィスでリーマン・ブラザーズのオフィスを再現した撮影が行われた。このとき、金融サービス局の助役がエキストラの一人として撮影に参加した[20]。
公開
編集2015年9月22日、パラマウント映画は本作を賞レースに参戦させるべく、アメリカでの限定公開日を同年12月11日、拡大公開日を12月23日に設定した[21][22]。日本では、UIP日本支社解散後、独自配給を行っていたパラマウント・ピクチャーズ・ジャパンが2016年1月31日で業務を終了したため、同年2月1日からは、パラマウントと劇場配給契約を締結した東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ」に変更され、同年3月4日に公開された。
評価
編集映画批評家によるレビュー
編集Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『マネー・ショート 華麗なる大逆転』はシリアスで複雑なテーマに細部にまでこだわりを持ってアプローチし、さらに実在の悪役たちをうまく演じ、痛烈な笑いで告発している。」であり、328件の評論のうち高評価は88%にあたる290件で、平均点は10点満点中7.80点となっている[23]。 Metacriticによれば、45件の評論のうち、高評価は37件、賛否混在は6件、低評価は2件で、平均点は100点満点中81点となっている[24]。
受賞歴
編集年 | 映画賞 | 賞 | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|---|
2015 | 第41回ロサンゼルス映画批評家協会賞[25] | 編集賞 | ハンク・コーウィン | 受賞 |
第19回トロント映画批評家協会賞[26] | 脚本賞 | アダム・マッケイ チャールズ・ランドルフ (原作:マイケル・ルイス) |
受賞 | |
AFIアワード 2015[27] | 映画部門 | 受賞 | ||
2016 | 第50回全米映画批評家協会賞[28] | 脚本賞 | アダム・マッケイ チャールズ・ランドルフ |
3位 |
第73回ゴールデングローブ賞 | 作品賞(ミュージカル / コメディ部門) | ノミネート | ||
主演男優賞(ミュージカル / コメディ部門) | クリスチャン・ベール | ノミネート | ||
スティーヴ・カレル | ノミネート | |||
脚本賞 | チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ |
ノミネート | ||
第27回アメリカ製作者組合賞[29][30] | 映画部門 | 受賞 | ||
第22回全米映画俳優組合賞[31] | 助演男優賞 | クリスチャン・ベール | ノミネート | |
キャスト賞 | ノミネート | |||
第69回英国アカデミー賞 | 脚色賞 | 受賞 | ||
アメリカ脚本家組合賞 2016[32][33] | 脚色賞 | チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ |
受賞 | |
第28回USCスクリプター賞[34] | 映画部門 | チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ |
受賞 | |
第20回サテライト賞[35][36] | 助演男優賞 | クリスチャン・ベール | 受賞 | |
作品賞 | ノミネート | |||
第88回アカデミー賞[37] | 脚色賞 | チャールズ・ランドルフ アダム・マッケイ |
受賞 | |
作品賞 | ノミネート | |||
監督賞 | アダム・マッケイ | ノミネート | ||
助演男優賞 | クリスチャン・ベール | ノミネート | ||
編集賞 | ノミネート | |||
エンパイア賞 2016[38] | 脚本賞 | 受賞 | ||
第66回アメリカ映画編集者協会 エディ賞[39] | ミュージカル/コメディ部門 | 受賞 |
出典
編集- ^ “マネー・ショート 華麗なる大逆転”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ a b c “The Big Short” (英語). Box Office Mojo. 2017年9月13日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報 2017年3月下旬号』p.43
- ^ “映画マネーショートをもっと面白く観るために投資歴30年のプロが解説”. 投資の教養 (2017年10月2日). 2018年12月10日閲覧。
- ^ “マネー・ショート 華麗なる大逆転 ブルーレイ+DVD セット”. 2016年4月27日閲覧。
- ^ a b c d Kit, Borys (2015年1月14日). “Steve Carell in Talks to Join Christian Bale, Ryan Gosling in 'The Big Short'”. hollywoodreporter.com 2016年4月27日閲覧。
- ^ a b c d “The True Story Behind The Big Short”. History vs Hollywood 2016年4月27日閲覧。
- ^ Rhoades, Shirrel (2015年12月24日). “The Big Short (Rhoades)”. Tropic Cinema 2016年4月27日閲覧。
- ^ a b c d Finely, Dash (2015年12月16日). “The Big Secrets Of The Big Short: How Unexpected Cameos Impact The Year's Must-See Film”. MoviePilot.com. 2016年4月27日閲覧。
- ^ “The Big Short Somehow Makes Subprime Mortgages Entertaining”. Wired.com (2015年12月11日). 2016年4月26日閲覧。
- ^ “‘Anchorman’s’ Adam McKay Boards Financial Drama”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “Paramount Taps ‘Anchorman’ Helmer Adam McKay To Adapt And Direct Michael Lewis’ ‘The Big Short’ About Economic Meltdown”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ a b “‘The Big Short’ Solidifies With Christian Bale, Steve Carell, Ryan Gosling, Brad Pitt”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “Brad Pitt, Christian Bale and Ryan Gosling to Star in Financial Drama ‘The Big Short’ (EXCLUSIVE)”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “Steve Carell in Talks to Join Christian Bale, Ryan Gosling in 'The Big Short' (Exclusive)”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “Max Greenfield Joins Brad Pitt, Ryan Gosling in ‘The Big Short’ (EXCLUSIVE)”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ https://twitter.com/karengillan/status/596799346303062016
- ^ “Brad Pitt, Ryan Gosling, & Christian Bale are headed to Orleans for ‘The Big Short’”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “‘The Big Short’, starring Brad Pitt and Ryan Gosling, is filming in NYC this week!”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “‘Big Short’ Recreates Lehman Bros. Offices in Regulator’s Building”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “ブラピ、ゴズリング、ベール共演「世紀の空売り」映画化、賞レース狙いの12月公開が決定”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “Paramount pushes 'The Big Short' into awards season”. 2015年12月6日閲覧。
- ^ “The Big Short (2015)” (英語). Rotten Tomatoes. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “The Big Short Reviews” (英語). Metacritic. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “LA批評家協会賞は「マッドマックス」が最多3冠 作品賞は「スポットライト」”. 映画.com (2015年12月7日). 2015年12月8日閲覧。
- ^ “The Toronto Film Critics Association names Todd Haynes’ Carol the Best Film of the Year”. TFCA (2015年12月14日). 2015年12月17日閲覧。
- ^ “「スター・ウォーズ フォースの覚醒」がAFIアワードにランクイン”. 映画.com (2015年12月18日). 2015年12月18日閲覧。
- ^ “Awards for 2015 films by NSFC on January 3, 2016”. 全米映画批評家協会 (2016年1月3日). 2016年1月6日閲覧。
- ^ “米製作者組合賞ノミネート発表”. 映画.com (2016年1月6日). 2016年1月8日閲覧。
- ^ “米製作者組合賞、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」が勝利する波乱!”. 映画.com (2016年1月25日). 2016年1月25日閲覧。
- ^ “米俳優組合賞ノミネート発表 ブライアン・クランストン主演「Trumbo」が最多3部門”. 映画.com (2015年12月11日). 2015年12月11日閲覧。
- ^ “米脚本家組合賞ノミネート発表”. 映画.com (2016年1月7日). 2016年1月8日閲覧。
- ^ “米脚本家組合賞、脚本賞「スポットライト」&脚色賞「マネー・ショート」”. 映画.com (2016年2月15日). 2016年2月16日閲覧。
- ^ “原作のある脚本を表彰!『マネー・ショート 華麗なる大逆転』が受賞!”. シネマトゥデイ (2016年2月25日). 2016年2月25日閲覧。
- ^ “サテライト賞ノミネート発表”. 映画.com (2015年12月3日). 2015年12月8日閲覧。
- ^ “作品賞は『スポットライト 世紀のスクープ』 ディカプリオにまた栄冠! 第20回サテライト・アワード発表”. シネマトゥデイ (2016年2月26日). 2016年2月26日閲覧。
- ^ “88th ANNUAL ACADEMY AWARDS 第88回アカデミー賞特集 ノミネート&結果一覧”. シネマトゥデイ. 2016年2月29日閲覧。
- ^ “『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が最多受賞!2016年エンパイア賞発表”. シネマトゥデイ. (2016年3月25日) 2016年3月25日閲覧。
- ^ “『スター・ウォーズ』『マッドマックス』がノミネート!第66回アメリカ映画編集者協会エディ賞”. シネマトゥデイ (2016年1月7日). 2016年1月8日閲覧。
関連項目
編集- 『マネーボール』 - マイケル・ルイスのノンフィクション『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』(2003年刊行)を原作とした2011年の映画。ブラッド・ピットが主演を務めた。